1
00:00:02,047 --> 00:00:07,106
Dデイから間もなく 米空挺師団の司令基地が
2
00:00:07,106 --> 00:00:12,052
ドイツ降下猟兵部隊の 激しい反撃に遭う
3
00:00:12,052 --> 00:00:18,119
砲兵連絡将校が 後方部隊に 援護射撃を要請するが
4
00:00:18,119 --> 00:00:22,107
無線が妨害されていた
5
00:00:23,137 --> 00:00:26,070
1944年6月6日
6
00:00:26,070 --> 00:00:30,137
連合軍が ノルマンディーに上陸
7
00:00:31,046 --> 00:00:33,058
西からの進攻が始まる
8
00:00:35,125 --> 00:00:41,067
対するナチスも 命懸けの防戦を試みる
9
00:00:46,114 --> 00:00:48,118
Dデイは死闘だった
10
00:00:50,081 --> 00:00:53,073
負けられない戦いが続く
11
00:01:05,099 --> 00:01:09,087
{\an8}Dデイから1日
12
00:01:09,087 --> 00:01:10,070
1944年6月7日 フランス ノルマンディー
13
00:01:16,075 --> 00:01:19,142
オマハ・ビーチ近くの
小さな港町に
14
00:01:20,051 --> 00:01:23,130
激しい銃声が響き渡る
15
00:01:25,047 --> 00:01:28,131
米軍と独軍が覇権を争うのは
16
00:01:28,131 --> 00:01:34,135
沿岸だけでなく パリに続く幹線道路の一帯だ
17
00:01:36,090 --> 00:01:40,115
独軍は 前日に上陸した 米軍の進軍を
18
00:01:40,115 --> 00:01:44,049
ここで止めなければならない
19
00:02:10,068 --> 00:02:14,089
町での銃撃戦のあと 独軍の工兵隊が
20
00:02:14,089 --> 00:02:20,069
かばんを手につないだ 米将校の死体を発見する
21
00:02:26,099 --> 00:02:28,141
中に書類があった
22
00:02:29,070 --> 00:02:32,133
中身を見たドイツ将校は
23
00:02:32,133 --> 00:02:36,066
{\an8}ペーター・リーブ
軍事史学者
24
00:02:36,066 --> 00:02:37,108
それが極秘情報だと
すぐに気づいた
25
00:02:37,108 --> 00:02:40,113
そこに示されていたのは
26
00:02:40,113 --> 00:02:44,096
連合軍の
大規模な侵攻作戦だった
27
00:02:46,109 --> 00:02:51,131
彼は 米軍5部隊の計画を すべて手に入れた
28
00:02:54,135 --> 00:03:01,111
{\an8}フランス
29
00:03:03,107 --> 00:03:08,086
死闘の末 海岸堡を確保し 内陸に進軍する
30
00:03:09,107 --> 00:03:14,058
沿岸の独軍は 大規模な侵攻を察知した
31
00:03:17,133 --> 00:03:20,138
しかし ヒトラーは違った
32
00:03:22,092 --> 00:03:25,113
ドイツ総統府は
警戒していた
33
00:03:25,113 --> 00:03:29,126
ノルマンディーは
上陸地点の1つにすぎず
34
00:03:29,126 --> 00:03:35,097
連合軍の目標地点は
カレー地域の可能性があった
35
00:03:36,127 --> 00:03:40,094
書類はその事実を語っていた
36
00:03:40,094 --> 00:03:43,077
これが主要な攻撃計画だ
37
00:03:45,086 --> 00:03:51,049
ドイツ諜報部にとっては
神からの贈り物だ
38
00:03:51,049 --> 00:03:55,045
連合国側の
17日間の作戦を知った
39
00:03:55,045 --> 00:04:02,054
計画を変更して
米軍の進攻を阻止できる
40
00:04:05,088 --> 00:04:07,092
連合軍の狙いは
41
00:04:07,092 --> 00:04:10,126
{\an8}フランス
42
00:04:10,126 --> 00:04:14,114
それには カランタンを 奪取するしかない
43
00:04:14,114 --> 00:04:17,043
カランタンは 内陸に位置し
44
00:04:17,043 --> 00:04:20,123
橋 道路 鉄道が 整備されている
45
00:04:20,123 --> 00:04:25,094
そのため戦車や兵士を フランスに送り込みやすい
46
00:04:25,094 --> 00:04:28,057
この要所を奪われまいと
47
00:04:28,057 --> 00:04:34,120
独軍は かなり前に 町の北西地域を水没させた
48
00:04:39,129 --> 00:04:41,112
ドイツ軍司令部は
49
00:04:41,112 --> 00:04:48,100
精鋭の第6降下猟兵連隊を カランタンの防衛に送り込む
50
00:04:48,100 --> 00:04:54,055
第6降下猟兵連隊は
師団で唯一戦闘が可能だ
51
00:04:54,055 --> 00:04:59,085
高度な訓練を受け
統率された兵士が多く
52
00:04:59,085 --> 00:05:02,081
戦闘能力が高い
53
00:05:02,081 --> 00:05:05,102
指揮官の統率力も強みだ
54
00:05:05,102 --> 00:05:10,128
フォン・デア・ハイテ少佐には
優れた軍歴がある
55
00:05:10,128 --> 00:05:13,057
ナチスの信奉者だったが
56
00:05:13,057 --> 00:05:17,053
この頃は懐疑的になっていた
57
00:05:17,053 --> 00:05:21,062
それでも名誉ある将校として
58
00:05:21,062 --> 00:05:24,062
カランタンを死守する覚悟だ
59
00:05:25,067 --> 00:05:27,125
米軍の攻撃に備えて
60
00:05:27,125 --> 00:05:33,072
部隊を郊外の防衛線に 直ちに配置した
61
00:05:33,072 --> 00:05:36,093
敵を狙い撃ちするのだ
62
00:05:38,097 --> 00:05:42,139
独軍は水没させた 北西の湿地を利用し
63
00:05:43,048 --> 00:05:49,073
4つの橋で結ばれた土手道に 攻撃者を追い込む
64
00:05:50,103 --> 00:05:54,136
その方向から現れたのが 米軍第502空挺師団―
65
00:05:55,045 --> 00:05:59,124
第3大隊長のコール中佐だ
66
00:05:59,124 --> 00:06:04,062
6月10日 部隊を率いて カランタンに向かう途中で
67
00:06:04,062 --> 00:06:06,096
攻撃にさらされる
68
00:06:07,054 --> 00:06:09,059
コールはテキサス出身で
69
00:06:09,059 --> 00:06:14,092
1939年にウェストポイント
士官学校を卒業した
70
00:06:14,092 --> 00:06:16,101
{\an8}まだ若者だ
71
00:06:16,101 --> 00:06:19,051
ジョン・C・マクマナス
著述家
72
00:06:19,051 --> 00:06:20,076
{\an8}20代後半で
大隊を指揮していた
73
00:06:20,076 --> 00:06:24,131
若者には 驚くほどの 責任感がある
74
00:06:26,106 --> 00:06:31,061
彼は2番目の橋が 破壊されていることに気づく
75
00:06:32,107 --> 00:06:37,045
修理のために派遣された 工兵は
76
00:06:37,045 --> 00:06:41,091
独軍の大砲に 追い払われてしまう
77
00:06:42,074 --> 00:06:46,091
そこでコールは 数人の部下と物資を手に
78
00:06:46,091 --> 00:06:50,088
自分たちで 仮設の橋を作り始める
79
00:06:50,088 --> 00:06:55,084
わずか2~3時間で
橋を作り上げた
80
00:06:56,067 --> 00:07:02,060
彼は 実行力と実践力を 兼ね備えたリーダーだ
81
00:07:03,101 --> 00:07:08,073
若い大隊長ならではの
82
00:07:08,073 --> 00:07:11,111
大胆な力強さもあった
83
00:07:19,082 --> 00:07:21,049
1人ずつ来い
84
00:07:21,049 --> 00:07:23,066
急げ!
85
00:07:25,129 --> 00:07:32,109
銃に狙われながら 1人ずつ渡り始める
86
00:07:33,079 --> 00:07:36,084
88ミリ高射砲も降り注ぐ
87
00:08:02,082 --> 00:08:08,062
両側が水浸しなので この道を進むしかない
88
00:08:11,142 --> 00:08:15,138
米軍は前進を続け 3番目の橋を通過する
89
00:08:17,055 --> 00:08:22,097
マドレーヌ川を渡る時 その対岸から砲撃を浴び
90
00:08:22,097 --> 00:08:25,135
“ベルギーの門”を
通過できない
91
00:08:27,077 --> 00:08:30,060
{\an8}1930年代に造られた
ベルギーの門は
92
00:08:30,060 --> 00:08:32,069
ベルギーの門
93
00:08:32,069 --> 00:08:34,069
{\an8}国境を守るための
障害物だ
94
00:08:34,069 --> 00:08:38,111
{\an8}金属製で構造は
納戸の扉に似ている
95
00:08:38,111 --> 00:08:42,132
扉がすべてつながった
巨大な壁だ
96
00:08:42,132 --> 00:08:45,112
{\an8}1940年に
ドイツ軍に奪われ
97
00:08:45,112 --> 00:08:46,124
スティーヴン・ザロガ
軍事史学者 著述家
98
00:08:46,124 --> 00:08:49,045
{\an8}ノルマンディー海岸の
防衛に使われた
99
00:08:49,045 --> 00:08:51,108
{\an8}それぞれを分解して
100
00:08:51,108 --> 00:08:56,071
{\an8}道路や壁などを
遮断することもできる
101
00:08:58,117 --> 00:09:02,118
ベルギーの門の前で 無防備になった部隊は
102
00:09:02,118 --> 00:09:05,126
独軍の格好の標的だ
103
00:09:18,069 --> 00:09:20,103
鉄門をこじ開ける
104
00:09:22,053 --> 00:09:24,136
弾丸が四方八方に跳ね返る
105
00:09:27,057 --> 00:09:30,049
そこに隙間ができた
106
00:09:32,071 --> 00:09:34,121
想像を絶する
107
00:09:34,121 --> 00:09:36,104
700人もの兵士が
108
00:09:36,104 --> 00:09:40,088
1人ずつ門を通過していく
109
00:09:40,088 --> 00:09:44,051
順番に隙間を通り抜けたんだ
110
00:09:48,072 --> 00:09:51,114
通過には何時間も要する
111
00:09:53,085 --> 00:09:58,115
後戻りができない中 部隊は前進できるのか
112
00:10:00,044 --> 00:10:02,061
撤退の選択肢はない
113
00:10:08,062 --> 00:10:12,083
コール中佐が 兵士の元に進んでいく
114
00:10:12,083 --> 00:10:15,112
第502空挺師団第3大隊に
115
00:10:15,112 --> 00:10:20,071
前進する仲間への 援護射撃を命じる
116
00:10:20,071 --> 00:10:26,068
{\an8}“致命的な漏斗”に
彼らは陥った
117
00:10:26,068 --> 00:10:28,122
門を抜けた土手道に
118
00:10:28,122 --> 00:10:32,068
兵士が集まってしまった
119
00:10:37,106 --> 00:10:42,111
中佐の指示を受け 部隊は小銃やバズーカ砲で
120
00:10:42,111 --> 00:10:45,111
対岸に銃弾を浴びせる
121
00:10:50,108 --> 00:10:52,058
だが劣勢は続く
122
00:10:52,058 --> 00:10:57,075
連絡将校ローズモンド大尉が
123
00:10:57,075 --> 00:11:02,125
後方の砲兵隊に 援護射撃を要請する
124
00:11:11,101 --> 00:11:12,089
進め!
125
00:11:21,052 --> 00:11:24,107
暗闇の中 米空挺部隊は
126
00:11:24,107 --> 00:11:28,078
門の隙間から 1人ずつ進んでいく
127
00:11:37,137 --> 00:11:43,121
突然 土手道脇の沼地から 砲撃を受ける
128
00:11:45,117 --> 00:11:48,122
十字砲火は致命的な脅威だ
129
00:11:50,080 --> 00:11:52,068
ブラント一等兵が
130
00:11:52,068 --> 00:11:56,064
手りゅう弾を持ち 水の中を進んでいく
131
00:11:56,064 --> 00:11:59,131
もう1人の兵士も すぐ後に続く
132
00:11:59,131 --> 00:12:02,060
湿地に足を踏み入れた時
133
00:12:02,060 --> 00:12:05,119
急降下爆撃機が 上空をかすめる
134
00:12:20,096 --> 00:12:26,080
ドイツ機が落とした爆弾で ブラント一等兵は気絶した
135
00:12:26,080 --> 00:12:30,126
{\an8}ドイツ空軍は
連合軍を攻撃しても
136
00:12:30,126 --> 00:12:33,126
スティーヴン・ザロガ
軍事史学者 著述家
137
00:12:33,126 --> 00:12:37,064
ノルマンディー作戦の
最初の数日間で
138
00:12:37,064 --> 00:12:40,127
米軍が空爆を受けた例は
少ない
139
00:12:43,048 --> 00:12:44,106
ブラントが気づくと
140
00:12:44,106 --> 00:12:49,099
2機目のドイツ機が 土手道の攻撃を続けていた
141
00:12:58,091 --> 00:13:00,070
仲間の兵士を見ると
142
00:13:00,070 --> 00:13:03,142
意識を失ったまま 沼に落ちていた
143
00:13:04,050 --> 00:13:08,055
ブラントは 彼を医療班に運ぶ
144
00:13:13,047 --> 00:13:17,139
土手道には 死体や負傷者が 散乱していた
145
00:13:19,135 --> 00:13:25,052
短時間の攻撃で 空挺部隊30人が死傷した
146
00:13:28,073 --> 00:13:32,044
死傷者が少なくて
むしろ奇跡だ
147
00:13:32,044 --> 00:13:35,111
敵には飛行機がなかった
148
00:13:37,099 --> 00:13:40,125
歩ける負傷者は 担架を運んだ
149
00:13:40,125 --> 00:13:43,091
本格的な戦いの前に
150
00:13:43,091 --> 00:13:46,108
兵士が25%も減ってしまった
151
00:13:46,108 --> 00:13:50,075
戦うには明らかに不利だ
152
00:13:57,118 --> 00:14:02,056
コールは 残りの3中隊の 進軍を決める
153
00:14:03,114 --> 00:14:08,086
彼らの任務は フランスの カランタンを奪取し
154
00:14:08,086 --> 00:14:12,115
ユタとオマハの海岸堡を 統合することだ
155
00:14:12,115 --> 00:14:15,124
大隊は狭い土手道を進み
156
00:14:15,124 --> 00:14:20,120
4つ目の橋を塞ぐ ベルギーの門を通過した
157
00:14:21,045 --> 00:14:25,129
コールと数名の兵士が マドレーヌ川対岸を偵察する
158
00:14:36,047 --> 00:14:39,051
早朝 ディーター一等兵は
159
00:14:39,051 --> 00:14:42,114
農場に接する生け垣に 近づいていった
160
00:14:52,077 --> 00:14:56,074
突然 独軍の 機関銃や迫撃砲が
161
00:14:56,074 --> 00:15:00,087
空挺部隊の周囲に降り注ぐ
162
00:15:10,063 --> 00:15:13,088
ディーターが左腕を撃たれた
163
00:15:14,101 --> 00:15:17,080
他の兵士も銃撃を浴びる
164
00:15:23,056 --> 00:15:27,127
コールが 連絡将校ローズモンド大尉に
165
00:15:27,127 --> 00:15:29,127
砲撃指示を出す
166
00:15:38,132 --> 00:15:44,053
ついに 米軍の大砲が 敵の陣地を破壊した
167
00:15:50,100 --> 00:15:54,071
しかし 攻撃は 激しくなる一方だ
168
00:15:54,071 --> 00:15:59,072
独軍は 米軍の 射撃能力を知っている
169
00:15:59,072 --> 00:16:04,126
だから最前線の人員を
わざと手薄にして
170
00:16:04,126 --> 00:16:05,060
ペーター・リーブ
軍事史学者
171
00:16:05,060 --> 00:16:10,140
銃撃による犠牲者を
少なくしようとした
172
00:16:11,094 --> 00:16:16,057
米軍は攻撃目標を 間違えていた
173
00:16:16,057 --> 00:16:19,099
敵の攻撃地点はもっと後方だ
174
00:16:20,128 --> 00:16:23,087
コールは決断を迫られる
175
00:16:23,087 --> 00:16:25,066
前進を続けるか
176
00:16:25,066 --> 00:16:28,091
それとも 撤退するべきか
177
00:16:33,100 --> 00:16:36,134
コール中佐には 分かっていた
178
00:16:36,134 --> 00:16:39,126
撤退すればベルギーの門に
179
00:16:39,126 --> 00:16:43,076
新たな障害物が作られる
180
00:16:43,076 --> 00:16:46,081
{\an8}まさに板挟みだ
181
00:16:46,081 --> 00:16:49,081
ジョン・C・マクマナス
著述家
182
00:16:49,081 --> 00:16:50,110
{\an8}土手道にとどまれば
無防備な標的となる
183
00:16:50,110 --> 00:16:52,135
先には敵がいるが
184
00:16:53,044 --> 00:16:57,057
とどまるわけには いかない
185
00:16:57,057 --> 00:17:00,119
任務を遂行するには
186
00:17:00,119 --> 00:17:04,107
前進して攻撃するしかない
187
00:17:06,087 --> 00:17:12,054
コールは敵の攻撃地点である 農場の攻略を決める
188
00:17:12,054 --> 00:17:14,100
土手道に広がった兵士が
189
00:17:14,100 --> 00:17:18,134
煙の下を200メートルに わたって横断する
190
00:17:20,059 --> 00:17:21,080
銃剣をつけろ!
191
00:17:22,118 --> 00:17:27,105
コールは銃剣突撃の準備を 指示する
192
00:17:39,082 --> 00:17:43,061
銃剣突撃は 古典的な戦術である
193
00:17:43,061 --> 00:17:44,141
銃剣は軍用ナイフだ
194
00:17:45,082 --> 00:17:47,091
{\an8}戦闘で使う場合は
195
00:17:47,091 --> 00:17:50,062
スティーヴン・ザロガ
軍事史学者 著述家
196
00:17:50,062 --> 00:17:50,083
{\an8}ライフルの先端に
装着する
197
00:17:52,062 --> 00:17:56,046
敵の内臓損傷を 目的とする―
198
00:17:56,046 --> 00:17:59,092
極めて残忍な武器だ
199
00:17:59,092 --> 00:18:02,096
銃剣の訓練は
民間人を鍛えて
200
00:18:02,096 --> 00:18:05,068
敵兵を殺すために行う
201
00:18:05,068 --> 00:18:08,093
銃で撃つ方法もある
202
00:18:08,093 --> 00:18:11,131
剣での接近戦も考えられる
203
00:18:11,131 --> 00:18:17,123
戦場で銃剣を使うことは 絶望的な状況を意味する
204
00:18:17,123 --> 00:18:21,128
第2次世界大戦中に
米軍が銃剣を使った例は
205
00:18:21,128 --> 00:18:23,090
多くない
206
00:18:24,044 --> 00:18:28,066
ただし落下傘部隊や
レンジャー部隊は
207
00:18:28,066 --> 00:18:33,083
敵を威嚇するために
銃剣を使うことがあった
208
00:18:34,079 --> 00:18:37,079
コールは 砲兵連絡係に
209
00:18:37,079 --> 00:18:41,080
発煙弾で 進軍を隠すように指示した
210
00:18:44,113 --> 00:18:46,134
本格的な戦闘が始まり
211
00:18:47,043 --> 00:18:49,110
兵士は興奮状態だった
212
00:18:49,110 --> 00:18:52,051
攻撃開始を待ちながら
213
00:18:52,051 --> 00:18:57,048
興奮と不安と恐怖が
入り混じっている
214
00:19:03,048 --> 00:19:05,078
周囲に煙が充満する中
215
00:19:05,078 --> 00:19:10,128
砲撃目標を家屋の先に変える 指示が出される
216
00:19:16,104 --> 00:19:22,088
コールが銃剣突撃を命じ コルト45口径を手に走り出す
217
00:19:26,092 --> 00:19:31,101
途中まで来て振り返り ぼうぜんとなる
218
00:19:32,110 --> 00:19:37,089
彼は今が攻め時と
威勢よく銃を構えていた
219
00:19:37,089 --> 00:19:42,069
でも 彼に続いたのは 数名の兵士だけだった
220
00:19:43,044 --> 00:19:46,094
突撃命令が 聞こえなかったのだ
221
00:19:46,094 --> 00:19:49,049
兵士は困惑した
222
00:19:49,049 --> 00:19:54,053
自分が突撃すべきか
途方に暮れていた
223
00:19:55,054 --> 00:19:59,133
敵の弾丸が コールの周囲に降り注ぐ
224
00:19:59,133 --> 00:20:05,075
それを見て兵士たちは
ようやく後に続いた
225
00:20:06,055 --> 00:20:08,072
完全な伝達ミスだ
226
00:20:08,072 --> 00:20:11,097
だが米空挺部隊の
歴史に残る―
227
00:20:11,097 --> 00:20:14,131
伝説的な戦闘が
そこから始まる
228
00:20:15,106 --> 00:20:20,052
攻撃が激しさを増す中 兵士が一列に続く
229
00:20:20,052 --> 00:20:23,098
一列縦隊で進んできたが
230
00:20:23,098 --> 00:20:29,082
目標を攻撃するには
横に広がる必要がある
231
00:20:29,082 --> 00:20:33,049
しかし 兵士は 一列に進んでいた
232
00:20:33,049 --> 00:20:37,099
“横に広がれ”という
コールの合図を
233
00:20:37,099 --> 00:20:40,104
兵士は勘違いし 地面に伏せる
234
00:20:42,079 --> 00:20:45,129
コールが部隊の元に駆け寄る
235
00:20:47,050 --> 00:20:49,117
彼は敵に発砲しながら
236
00:20:49,117 --> 00:20:53,064
“とにかく撃て”と
叫んでいた
237
00:20:53,064 --> 00:20:58,060
頭が変になったように
見えたはずだ
238
00:20:58,060 --> 00:21:01,048
銃を発砲し 部隊を鼓舞し
239
00:21:01,048 --> 00:21:05,069
兵士たちの戦意を高めた
240
00:21:05,069 --> 00:21:07,102
彼らの援護がなければ
241
00:21:07,102 --> 00:21:11,136
このイカれた大隊長は
殺されるだろう
242
00:21:12,045 --> 00:21:13,045
進め!
243
00:21:14,128 --> 00:21:16,128
ようやく勢いに乗る
244
00:21:22,100 --> 00:21:25,079
周囲の兵士が撃たれる中
245
00:21:25,079 --> 00:21:28,080
コールは母屋に向かって走る
246
00:21:29,100 --> 00:21:33,080
だが勢いあまって 水溝に突っ込んだ
247
00:21:37,122 --> 00:21:44,069
突撃の際 溝に突っ込んだ コールは無事だった
248
00:21:45,056 --> 00:21:49,132
その時 砲兵連絡係も 水に落ちてしまう
249
00:21:51,074 --> 00:21:55,099
空挺部隊が 次々と母屋に向かって進む
250
00:21:56,112 --> 00:21:59,049
一部の兵士は迂回する
251
00:21:59,049 --> 00:22:04,112
プロヴォスト少尉は 敷地の端で部隊を率いる
252
00:22:09,096 --> 00:22:14,067
茂みの機関銃巣から 激しい銃撃を受ける
253
00:22:22,135 --> 00:22:25,077
数名の兵士が撃たれた
254
00:22:26,048 --> 00:22:27,135
少尉と4人の兵士が
255
00:22:28,044 --> 00:22:33,086
射線を張りながら 機関銃巣に接近していく
256
00:22:47,100 --> 00:22:52,088
陸軍技師のジェームスが 手りゅう弾のピンを抜き
257
00:22:52,088 --> 00:22:54,063
生け垣に投げる
258
00:22:56,063 --> 00:22:59,064
生け垣は 自然の防御物だ
259
00:22:59,064 --> 00:23:02,085
通常 土地を囲むように 配置され
260
00:23:02,085 --> 00:23:06,052
沿岸の強風から
農地を守っている
261
00:23:06,052 --> 00:23:10,081
スティーヴン・ザロガ
軍事史学者 著述家
262
00:23:10,081 --> 00:23:11,056
{\an8}何世紀にもわたって
築かれた頑丈なものだ
263
00:23:11,056 --> 00:23:16,044
高さは2~3メートルで
岩と土で覆われている
264
00:23:17,086 --> 00:23:23,058
生け垣は密集していて 戦車さえも寄せつけない
265
00:23:23,058 --> 00:23:29,058
小さな戦場を無数に作り 大規模な攻撃を無力化する
266
00:23:30,063 --> 00:23:32,134
独軍の準備は万全だ
267
00:23:34,138 --> 00:23:38,105
彼らは 何ヵ月も 訓練してきた
268
00:23:38,105 --> 00:23:43,060
生け垣のあらゆる場所に
銃を配置した
269
00:23:45,047 --> 00:23:48,085
茂みに隠れて移動できるので
270
00:23:48,085 --> 00:23:50,106
ペーター・リーブ
軍事史学者
271
00:23:50,106 --> 00:23:51,056
米軍が前進するのは困難だ
272
00:23:51,056 --> 00:23:56,119
敵を察知するのが 手遅れになる場合もある
273
00:24:01,116 --> 00:24:06,045
幸いジェームスが投げた 手りゅう弾で
274
00:24:06,045 --> 00:24:09,062
ドイツ兵が気を失う
275
00:24:19,067 --> 00:24:22,043
弾丸の温存も重要だ
276
00:24:25,081 --> 00:24:29,098
{\an8}それが銃剣を使った
理由の1つだが
277
00:24:29,098 --> 00:24:30,139
ジョン・C・マクマナス
著述家
278
00:24:30,139 --> 00:24:33,065
{\an8}近代の戦闘においては
異例だ
279
00:24:36,065 --> 00:24:41,074
銃剣突撃により コール中佐が目標を奪取し
280
00:24:41,074 --> 00:24:43,070
母屋を占拠した
281
00:24:45,116 --> 00:24:48,100
大隊は指揮所を設置する
282
00:24:48,100 --> 00:24:51,092
マドレーヌ川の南側を足場に
283
00:24:51,092 --> 00:24:55,134
攻撃を続けながら カランタンを目指す
284
00:24:55,134 --> 00:24:56,050
{\an8}カランタン
285
00:24:56,050 --> 00:24:59,105
6月7日 アイゼンハワーは
286
00:24:59,105 --> 00:25:04,076
ユタとオマハの 海岸堡の統合を命じる
287
00:25:04,076 --> 00:25:06,126
カランタンが そのカギを握る
288
00:25:08,139 --> 00:25:11,098
町ではハイテ少佐が
289
00:25:11,098 --> 00:25:16,127
降下猟兵を配置し 米軍の攻撃に備えていた
290
00:25:16,127 --> 00:25:19,140
彼の任務は この町の死守だ
291
00:25:20,078 --> 00:25:25,137
その頃 第17SS装甲師団が カランタンに向かっていた
292
00:25:26,045 --> 00:25:28,141
戦車の補強が遅れていた
293
00:25:29,049 --> 00:25:33,075
独軍は夜間しか
移動できないためだ
294
00:25:33,075 --> 00:25:38,054
日中は 連合軍の戦闘機が 飛び回っている
295
00:25:38,054 --> 00:25:42,084
6月10日まで 補給も滞っていた
296
00:25:42,084 --> 00:25:45,114
ドイツ軍は混乱していた
297
00:25:46,093 --> 00:25:51,052
援軍を呼ぶのも
兵力の補給も難しく
298
00:25:51,052 --> 00:25:53,127
弾薬も不足していた
299
00:25:55,060 --> 00:25:59,077
それでも ハイテは 軍の原則に従い
300
00:25:59,077 --> 00:26:04,111
米軍が陣地を固める前に 反撃するように命じる
301
00:26:06,078 --> 00:26:09,078
母屋周辺を偵察していると
302
00:26:09,078 --> 00:26:13,066
プロヴォストは 再びドイツ兵に出くわした
303
00:26:21,050 --> 00:26:24,084
手りゅう弾のピンを 抜こうとした時
304
00:26:24,084 --> 00:26:26,130
敵の弾丸を浴びる
305
00:26:28,080 --> 00:26:32,081
彼は流血しながら 指揮所へ退却する
306
00:26:37,060 --> 00:26:40,098
中庭では コールが 兵士の治療に当たる
307
00:26:42,048 --> 00:26:44,099
仮設の救護所が作られ
308
00:26:44,099 --> 00:26:49,128
負傷した兵士の治療が 行われていた
309
00:26:50,053 --> 00:26:54,141
通常は 戦線の後方に 大隊の指揮所を置き
310
00:26:55,050 --> 00:26:57,108
そこに医療班を配置する
311
00:26:57,108 --> 00:27:02,088
でも ここでは 兵士が治療に当たっている
312
00:27:02,088 --> 00:27:04,134
衛生兵が不足していた
313
00:27:05,101 --> 00:27:07,088
物資が無いため
314
00:27:07,088 --> 00:27:13,068
コールは つるはしの柄に 骨折した足を固定した
315
00:27:19,069 --> 00:27:23,048
彼は靴を脱いでいる 若い兵士に気づく
316
00:27:24,061 --> 00:27:28,065
彼は 危険な場所に 姿をさらしていた
317
00:27:28,065 --> 00:27:31,087
コールは大声で叫んだ
318
00:27:32,045 --> 00:27:33,066
離れろ!
319
00:27:33,066 --> 00:27:39,112
兵士は 警告を聞かず かすり傷の治療を続けた
320
00:27:41,117 --> 00:27:45,134
その瞬間 敵の弾丸が 彼に命中した
321
00:27:45,134 --> 00:27:48,093
土地勘のある独軍は
322
00:27:48,093 --> 00:27:52,101
米軍の指揮所の場所を
推測できた
323
00:27:52,101 --> 00:27:55,131
自分たちが
前に選んだ場所と同じだ
324
00:27:56,077 --> 00:27:58,110
まさに格好の標的だ
325
00:27:59,085 --> 00:28:01,052
独軍が迫る中
326
00:28:01,052 --> 00:28:07,061
正確な砲撃を加えないと 反撃を阻止できない
327
00:28:07,061 --> 00:28:09,115
それには情報が必要だ
328
00:28:09,115 --> 00:28:14,053
しかし砲兵連絡係が 溝に落ちた時に
329
00:28:14,053 --> 00:28:17,075
無線機が壊れてしまった
330
00:28:17,075 --> 00:28:20,129
後方の砲兵隊に 連絡ができない
331
00:28:22,063 --> 00:28:26,134
せめて自軍の位置だけは
伝える必要がある
332
00:28:26,134 --> 00:28:31,055
そうすれば
その場所を避けて砲撃できる
333
00:28:33,047 --> 00:28:39,048
正午前 補給物資と共に 新しい無線機が届く
334
00:28:41,048 --> 00:28:43,056
ただし設定が必要だ
335
00:28:44,106 --> 00:28:46,119
選択肢は2つ
336
00:28:46,119 --> 00:28:51,078
新しい無線機で 正しい周波数を見つける
337
00:28:51,078 --> 00:28:54,078
または 古い無線の部品を使って
338
00:28:54,078 --> 00:28:57,129
砲兵隊の周波数に合わせる
339
00:28:59,129 --> 00:29:01,121
一刻を争う状況だ
340
00:29:01,121 --> 00:29:04,092
だから部品に解体して
341
00:29:04,092 --> 00:29:08,084
新しい無線に
取りつけることにした
342
00:29:11,130 --> 00:29:16,114
母屋周辺の 防御陣地が崩れ始める
343
00:29:22,048 --> 00:29:25,140
銃撃戦でグラント軍曹が 腕を打たれ
344
00:29:26,048 --> 00:29:28,094
応急処置のため退却した
345
00:29:31,094 --> 00:29:36,120
部下たちは
彼が撃たれたことに気づかず
346
00:29:36,120 --> 00:29:41,087
上官が撤退していると思い
後に続いた
347
00:29:42,046 --> 00:29:43,046
退却!
348
00:29:49,059 --> 00:29:52,126
他の空挺部隊も合流し 橋に向かう
349
00:29:55,059 --> 00:29:59,043
コールが異常事態に気づく
350
00:29:59,043 --> 00:30:02,114
部隊は激闘を戦い抜いてきた
351
00:30:02,114 --> 00:30:08,056
だから弾丸が切れて
力尽きたのだと思った
352
00:30:08,056 --> 00:30:12,103
火力優勢の法則では
不利な状況だ
353
00:30:12,103 --> 00:30:17,087
彼は戦いを
制御できなくなり始めていた
354
00:30:18,045 --> 00:30:20,133
かなり焦っていただろう
355
00:30:21,137 --> 00:30:24,141
コールは砲撃を要請した
356
00:30:26,079 --> 00:30:29,125
ローズモンドは 周波数を調整する
357
00:30:30,109 --> 00:30:31,113
頼む!
358
00:30:32,076 --> 00:30:35,118
一方 退去していた 数名の兵士の列が
359
00:30:35,118 --> 00:30:42,056
大きな群れとなり 橋に向かって走っていく
360
00:30:42,056 --> 00:30:45,081
まさに完全撤退だ
361
00:30:48,094 --> 00:30:52,123
ローズモンドは 部品の入れ替えを続ける
362
00:30:56,045 --> 00:30:59,082
その時 連隊長から 連絡が入る
363
00:31:01,045 --> 00:31:03,104
停戦命令だ
364
00:31:14,055 --> 00:31:19,043
米軍空挺部隊の一団が 橋に退却する
365
00:31:19,134 --> 00:31:23,085
一方 赤十字の旗を掲げた 米軍のジープが
366
00:31:23,085 --> 00:31:26,060
独軍が占領する カランタンに近づく
367
00:31:26,060 --> 00:31:31,052
第101空挺団司令官の テイラー少将が
368
00:31:31,052 --> 00:31:34,082
ハイテ将校に送った使者だ
369
00:31:34,082 --> 00:31:37,095
2人の捕虜も同行している
370
00:31:37,095 --> 00:31:44,099
カランタン
371
00:31:44,099 --> 00:31:46,108
ユタとオマハの統合の 要所となるフランスの都市だ
372
00:31:47,100 --> 00:31:49,121
米軍の降伏ではない
373
00:31:49,121 --> 00:31:54,055
独軍少佐に 名誉ある降伏を促し
374
00:31:54,055 --> 00:31:58,076
部下と市民の命を救うように 提案した
375
00:32:03,051 --> 00:32:05,060
ハイテは拒否する
376
00:32:05,060 --> 00:32:07,043
当然のことだ
377
00:32:07,043 --> 00:32:10,073
ペーター・リーブ
軍事史学者
378
00:32:10,073 --> 00:32:12,065
降伏は
将校としての使命に反する
379
00:32:12,065 --> 00:32:17,136
自分の経歴だけでなく
家族にも危険が及ぶ
380
00:32:18,044 --> 00:32:21,082
彼は降伏を迫られた時―
381
00:32:22,053 --> 00:32:26,070
“お前は同じ状況で
降伏するのか?”と答えた
382
00:32:27,066 --> 00:32:30,062
独軍が受け入れるはずがない
383
00:32:30,062 --> 00:32:33,129
戦いは始まったばかりだ
384
00:32:34,084 --> 00:32:39,130
他人の家に足を踏み入れ
こう言うのと同じだ
385
00:32:39,130 --> 00:32:41,139
“早く家を譲れ”
386
00:32:49,135 --> 00:32:53,111
一時停戦中に 米軍は立て直しを図る
387
00:32:55,052 --> 00:32:58,044
主力部隊が危機的な状況で
388
00:32:58,044 --> 00:33:00,115
補給も不十分だった
389
00:33:03,061 --> 00:33:08,087
{\an8}この停戦は
米軍に優位に働いた
390
00:33:10,083 --> 00:33:13,113
ハイテもこの停戦を利用した
391
00:33:14,079 --> 00:33:20,122
砲撃観測兵が 米軍の指揮所を偵察する
392
00:33:23,130 --> 00:33:27,085
砲兵隊に正確な位置を伝える
393
00:33:30,098 --> 00:33:32,114
停戦期限が切れると同時に
394
00:33:32,114 --> 00:33:37,052
独軍は米陣営に 激しい砲撃を加える
395
00:33:37,140 --> 00:33:43,116
ハイテは指揮官として
当然のことをした
396
00:33:44,066 --> 00:33:47,087
停戦中に部隊を再編成した
397
00:33:48,133 --> 00:33:51,075
戦う覚悟だ
398
00:33:57,084 --> 00:34:01,121
米軍は砲兵隊との交信を 再開させる
399
00:34:01,121 --> 00:34:07,130
ローズモンドが 最新の攻撃目標を伝える
400
00:34:10,102 --> 00:34:15,106
しかし生け垣があり 正確な地点を特定できない
401
00:34:16,102 --> 00:34:18,094
爆風や煙の位置から
402
00:34:18,094 --> 00:34:24,065
おおよその発射地点は
推測できるはずだ
403
00:34:24,065 --> 00:34:28,091
でも目で見て
判断するのは難しい
404
00:34:28,091 --> 00:34:33,100
戦場では多くの武器が
使われているので
405
00:34:33,100 --> 00:34:36,054
音でも判断できない
406
00:34:41,067 --> 00:34:47,072
独軍が木に沿って移動し 生け垣から回り込む
407
00:34:51,060 --> 00:34:57,098
彼らは 米兵から死角になる 砲撃網の下に移動する
408
00:34:59,086 --> 00:35:01,090
発射準備
409
00:35:03,103 --> 00:35:06,128
支援砲撃が待たれる中
410
00:35:06,128 --> 00:35:09,112
新たな苦難が襲う
411
00:35:11,112 --> 00:35:13,133
独軍による無線妨害だ
412
00:35:16,121 --> 00:35:18,129
通信が遮断された
413
00:35:18,129 --> 00:35:22,096
一刻も早く
解決する必要がある
414
00:35:22,096 --> 00:35:28,055
この状況で無線が不通では
命取りになりかねない
415
00:35:28,055 --> 00:35:32,118
通信を回復させることは
極めて重要だ
416
00:35:34,043 --> 00:35:39,094
降下猟兵が迫る中 米軍の弾薬が不足し始める
417
00:35:39,094 --> 00:35:44,128
このままでは 敵の攻撃を食い止められない
418
00:35:48,124 --> 00:35:50,045
最後だ!
419
00:35:54,074 --> 00:35:59,058
農場の指揮所は 長い土手道の南端にあり
420
00:35:59,058 --> 00:36:02,129
その先はベルギーの門に 阻まれている
421
00:36:03,100 --> 00:36:08,084
車両で弾薬を運ぶことは 不可能だ
422
00:36:08,084 --> 00:36:11,126
土手道は
ドイツ軍が狙っている
423
00:36:14,047 --> 00:36:17,047
負傷兵も道を塞いでいる
424
00:36:23,086 --> 00:36:27,048
補充兵でさえ前に進めない
425
00:36:30,082 --> 00:36:35,049
そこで その兵士の列を 利用することにした
426
00:36:37,070 --> 00:36:39,137
人による運搬装置だ
427
00:36:40,100 --> 00:36:45,054
負傷兵がその場を離れようと
列を作っていた
428
00:36:45,054 --> 00:36:48,067
彼らは弾薬箱を
429
00:36:48,067 --> 00:36:51,101
後ろの兵士に渡していった
430
00:36:51,101 --> 00:36:54,068
とっさの判断だ
431
00:36:54,068 --> 00:36:58,081
弾薬箱が 何百人もの手を経て
432
00:36:58,081 --> 00:37:02,044
前線部隊に補給されていく
433
00:37:05,094 --> 00:37:09,119
ドイツ第6連隊の ハイテ少佐も
434
00:37:09,119 --> 00:37:12,086
同じ困難に直面していた
435
00:37:12,086 --> 00:37:17,133
ドイツ軍も
弾薬を使い果たしていた
436
00:37:17,133 --> 00:37:23,054
この砲撃は米軍を阻止する
最後の一手だった
437
00:37:24,121 --> 00:37:29,055
ハイテは この反撃に すべてを懸けていた
438
00:37:32,138 --> 00:37:34,122
緊迫状態が続く
439
00:37:36,139 --> 00:37:41,135
コールの部隊は 敵の猛烈な砲火に屈していく
440
00:37:42,102 --> 00:37:44,135
米軍の防御が崩れる
441
00:37:45,115 --> 00:37:49,053
独軍がさらに接近する
442
00:37:57,049 --> 00:38:01,095
コール中佐が 砲兵隊の連絡係に加わる
443
00:38:02,100 --> 00:38:05,087
2人は戦況の変化に気づく
444
00:38:06,117 --> 00:38:10,113
コールは 後にそれを
“死の叫び”と表現した
445
00:38:10,113 --> 00:38:14,072
実に的を射た表現だ
446
00:38:14,072 --> 00:38:19,139
死の間際に発する
断末魔の叫びと似ている
447
00:38:20,047 --> 00:38:22,098
{\an8}彼はこう感じた
448
00:38:22,098 --> 00:38:25,089
ジョン・C・マクマナス
著述家
449
00:38:25,089 --> 00:38:26,106
{\an8}“このままでは
部隊が全滅する”
450
00:38:31,044 --> 00:38:33,124
防御線が突破された
451
00:38:33,124 --> 00:38:37,053
撤退準備が必要だ
452
00:38:39,062 --> 00:38:41,104
ローズモンドは あきらめない
453
00:38:43,045 --> 00:38:46,067
砲兵隊と連絡が取れれば
454
00:38:46,067 --> 00:38:50,084
敵の猛攻を 食い止めることができる
455
00:38:52,055 --> 00:38:53,138
妨害が続く中
456
00:38:54,047 --> 00:38:58,068
最後の望みをかけて 周波数を調節する
457
00:38:58,068 --> 00:39:02,072
当時 無線の信頼性は 低かった
458
00:39:02,072 --> 00:39:06,131
{\an8}独軍は敵の周波数を
知って妨害した
459
00:39:06,131 --> 00:39:07,098
スティーヴン・ザロガ
軍事史学者 著述家
460
00:39:07,098 --> 00:39:10,136
{\an8}無線を
その周波数に合わせて
461
00:39:11,044 --> 00:39:13,053
{\an8}ノイズを流した
462
00:39:13,053 --> 00:39:14,136
聞こえるか?
463
00:39:15,049 --> 00:39:16,045
通じました
464
00:39:16,045 --> 00:39:20,082
ついにローズモンドが 周波数を探し当てた
465
00:39:22,087 --> 00:39:26,137
彼は 農場への 至近着弾の砲撃を要請する
466
00:39:27,062 --> 00:39:30,079
味方の陣地を攻撃することを
467
00:39:30,079 --> 00:39:33,100
“至近着弾”と呼ぶ
468
00:39:33,100 --> 00:39:37,084
味方の犠牲を
覚悟する必要がある
469
00:39:37,084 --> 00:39:40,051
残りの部隊を守るため
470
00:39:40,051 --> 00:39:43,068
ここで敵を粉砕するつもりだ
471
00:39:44,127 --> 00:39:49,094
だが砲兵将校は “銃弾がない”と答える
472
00:39:51,052 --> 00:39:53,061
もう打つ手がない
473
00:39:53,061 --> 00:39:57,120
敵を砲撃する方法を 何とか見つけなくては
474
00:39:58,078 --> 00:40:01,128
コールは 最悪の事態に備える
475
00:40:02,087 --> 00:40:08,054
負傷者を置いていくという
苦渋の選択をするつもりだ
476
00:40:08,054 --> 00:40:14,063
いかに絶望的な状況か
この決断から分かるだろう
477
00:40:14,063 --> 00:40:19,051
最後の選択肢だが
覚悟するしかない
478
00:40:20,084 --> 00:40:23,126
間一髪で砲弾が補充された
479
00:40:24,081 --> 00:40:25,068
装填!
480
00:40:26,135 --> 00:40:29,077
米軍の砲弾が放たれる
481
00:40:30,048 --> 00:40:31,065
一斉砲撃だ
482
00:40:31,065 --> 00:40:36,048
彼らの戦闘を支援していた 2つの砲兵隊が
483
00:40:36,048 --> 00:40:38,128
集中砲火に加わった
484
00:40:38,128 --> 00:40:42,116
司令部の砲兵隊を
総動員するほど
485
00:40:42,116 --> 00:40:45,074
必死な状況だった
486
00:40:46,049 --> 00:40:48,058
負けられない戦いだ
487
00:40:50,096 --> 00:40:54,075
集中砲撃が 独軍を粉砕していく
488
00:40:56,059 --> 00:41:00,051
至近距離に 打ち込まれる銃弾が
489
00:41:00,051 --> 00:41:04,064
味方にも 容赦なく襲い掛かる
490
00:41:06,060 --> 00:41:08,102
後に多くの兵士が
491
00:41:08,102 --> 00:41:12,094
正当な攻撃だったと語った
492
00:41:12,094 --> 00:41:16,111
仲間を失ったが
仕方ない状況だった
493
00:41:17,069 --> 00:41:22,057
ハイテは 部隊を カランタンの南西に後退させ
494
00:41:22,057 --> 00:41:23,136
反撃に備える
495
00:41:25,057 --> 00:41:30,050
独軍も弾薬が不足し
多くの犠牲が出ている
496
00:41:30,050 --> 00:41:33,096
ペーター・リーブ
軍事史学者
497
00:41:33,096 --> 00:41:36,138
結局 彼は司令官として 適切な判断をして
498
00:41:37,046 --> 00:41:38,142
退却を命じた
499
00:41:41,076 --> 00:41:45,084
コールの部隊は 多大な犠牲を払い勝利した
500
00:41:46,055 --> 00:41:48,056
甚大な損失だ
501
00:41:48,056 --> 00:41:50,068
700人いた兵士が
502
00:41:50,068 --> 00:41:53,110
最後には 132人になった
503
00:41:55,052 --> 00:41:58,048
第502歩兵連隊第3大隊は
504
00:41:58,048 --> 00:42:03,045
その後 ノルマンディーで ほぼ戦闘不能だった
505
00:42:06,128 --> 00:42:10,079
しかし カランタンへの道が開けた
506
00:42:16,079 --> 00:42:19,050
ハイテは 6日間耐えたが
507
00:42:19,050 --> 00:42:23,138
援軍が来る前に 弾薬が底を尽きる
508
00:42:24,118 --> 00:42:26,126
独軍は町から撤退
509
00:42:26,126 --> 00:42:29,114
米軍は重要拠点を奪取する
510
00:42:30,101 --> 00:42:36,048
ハイテは カランタン陥落の 責任を追求された
511
00:42:36,048 --> 00:42:41,136
しかし 陸軍上級将校と 民兵将校に援護され
512
00:42:42,044 --> 00:42:44,057
軍法会議を免れる
513
00:42:45,049 --> 00:42:49,108
さらに“カランタンの獅子”
の異名を得る
514
00:42:52,141 --> 00:42:56,112
ローズモンド大尉は 殊勲十字章を授与される
515
00:42:56,112 --> 00:42:59,079
敵の猛攻に直面しながら
516
00:42:59,079 --> 00:43:03,076
砲撃指示を 完遂したことへの功績だ
517
00:43:07,134 --> 00:43:12,110
コール中佐は 英雄的な戦いが称賛される
518
00:43:12,110 --> 00:43:13,122
進め!
519
00:43:15,060 --> 00:43:20,119
野原では 生け垣に潜む敵に 常に狙われていた
520
00:43:20,119 --> 00:43:25,078
そのため 平原を 猛スピードで横切って
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00:43:25,078 --> 00:43:28,086
敵陣に飛び込んだ
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00:43:29,116 --> 00:43:34,141
彼には 軍で最高位の 議会名誉勲章が与えられたが
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00:43:35,050 --> 00:43:40,104
その知らせが届く前に 彼は狙撃兵によって殺された
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00:43:42,054 --> 00:43:47,063
{\an8}カランタン奪取が
米軍の進軍に拍車を掛け
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00:43:47,063 --> 00:43:50,055
{\an8}連合軍は
戦力を増大させる
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00:43:51,043 --> 00:43:56,064
{\an8}一方で独軍の増援が
海岸に迫っていた
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00:43:57,056 --> 00:44:02,081
{\an8}連合軍はフランス全域で
猛反撃を受ける
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00:44:03,061 --> 00:44:07,115
{\an8}欧州での大戦は
さらに11ヵ月続く
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00:44:08,049 --> 00:44:09,111
日本語字幕 大竹 恵子