1 00:00:01,763 --> 00:00:04,083 1944年12月 2 00:00:04,803 --> 00:00:08,683 米軍の偵察兵が 敵陣に迷い込んだ 3 00:00:10,003 --> 00:00:14,043 彼は情報を収集しながら 混乱を巻き起こす 4 00:00:16,563 --> 00:00:21,003 これに対し 独軍は侵入者の捜索を開始 5 00:00:21,883 --> 00:00:24,163 偵察兵に接近する 6 00:00:24,723 --> 00:00:25,523 動くな 7 00:00:28,123 --> 00:00:30,403 1944年6月6日 8 00:00:30,883 --> 00:00:34,083 連合軍が ノルマンディーに上陸 9 00:00:35,163 --> 00:00:37,163 西からの進攻が始まる 10 00:00:39,923 --> 00:00:45,283 対するナチスも 命懸けの防戦を試みる 11 00:00:50,803 --> 00:00:52,443 Dデイは死闘だった 12 00:00:54,603 --> 00:00:56,963 負けられない戦いが続く 13 00:01:06,283 --> 00:01:11,843 1944年12月22日 ベルギー アルデンヌ 14 00:01:14,363 --> 00:01:19,283 米軍のマクドナルド中佐は 夜空を見上げた 15 00:01:20,763 --> 00:01:23,963 ベルギーに侵攻する 独軍に対抗するため 16 00:01:23,963 --> 00:01:28,283 第3機甲師団の主力部隊は 2日前に出立 17 00:01:30,483 --> 00:01:33,843 国境から50キロほどの村 オットンは 18 00:01:33,843 --> 00:01:36,323 前線から遠いと思われていた 19 00:01:36,643 --> 00:01:40,843 しかし 工兵や予備軍のみが 残された村は 20 00:01:40,843 --> 00:01:44,563 翌日 独軍の奇襲を受ける 21 00:01:44,963 --> 00:01:47,883 村にいたのは兵站へいたん部の兵士だ 22 00:01:48,243 --> 00:01:50,923 事務員 整備士 運転手 23 00:01:50,923 --> 00:01:53,243 司祭や本部の人間もいた 24 00:01:53,243 --> 00:01:56,243 {\an8}いわゆる後方支援部隊だ 25 00:01:58,043 --> 00:02:00,923 だが 独軍に対抗できるのは 26 00:02:00,923 --> 00:02:05,163 必ずしも戦闘に慣れた 兵士だけではない 27 00:02:07,043 --> 00:02:10,323 偵察兵であるマクドナルドは 前線に行くはずが 28 00:02:10,323 --> 00:02:12,843 肺炎を患っていた 29 00:02:14,723 --> 00:02:19,963 そこで数少ない戦闘員として マクドナルドは立ち上がり 30 00:02:20,123 --> 00:02:23,603 北部にある学校から 戦況を指揮した 31 00:02:25,963 --> 00:02:27,923 最後の26時間 32 00:02:27,923 --> 00:02:33,123 彼は村の周りにいる 独軍への迫撃砲攻撃を指揮 33 00:02:33,443 --> 00:02:36,683 独軍の村への侵入を 食い止めた 34 00:02:42,723 --> 00:02:43,963 閃光弾を使え 35 00:02:43,963 --> 00:02:48,843 彼は校舎正面での 閃光弾の投下を指示 36 00:02:52,123 --> 00:02:55,203 照らされた草原には 独軍が群がっていた 37 00:02:55,683 --> 00:02:56,483 いくぞ 38 00:02:57,603 --> 00:03:02,363 彼はその光を使い 砲撃チームに敵の位置を教示 39 00:03:21,763 --> 00:03:22,723 作戦は失敗 40 00:03:23,283 --> 00:03:25,443 彼に気づいたドイツ兵が 41 00:03:25,443 --> 00:03:28,803 パンツァーファウストを 撃ち込んだのだ 42 00:03:28,803 --> 00:03:29,723 パンツァーファウストだ 43 00:03:33,603 --> 00:03:38,443 弾は校舎を突き破り 中佐を吹き飛ばした 44 00:03:39,283 --> 00:03:43,163 司祭が彼を安全な場所に移動 45 00:03:48,923 --> 00:03:51,803 すると2発目が撃ち込まれる 46 00:03:56,483 --> 00:04:00,403 こうしてオットン北部は陥落 47 00:04:00,403 --> 00:04:04,203 部隊は村の内側へと後退した 48 00:04:11,283 --> 00:04:17,003 {\an8}フランス 49 00:04:17,203 --> 00:04:19,763 {\an8}ベルギー 50 00:04:19,763 --> 00:04:20,563 連合軍は行き詰まりを 解消すべく 51 00:04:20,563 --> 00:04:22,323 {\an8}ルクセンブルク 52 00:04:22,323 --> 00:04:26,443 しかし供給ラインから 離れたことで 53 00:04:26,443 --> 00:04:30,123 物資不足に 悩まされることになった 54 00:04:30,123 --> 00:04:33,443 {\an8}そこで ドイツに攻め込む前に 55 00:04:33,443 --> 00:04:35,163 アレクサンドラ・リチー コレギウム・ シビタス大学 教授 56 00:04:35,163 --> 00:04:39,043 {\an8}少しの間 休息を取り 軍を補強することにした 57 00:04:39,363 --> 00:04:41,763 しかし 12月16日 58 00:04:41,763 --> 00:04:45,803 独軍はルクセンブルクと ベルギーを攻撃 59 00:04:45,803 --> 00:04:49,323 目的は 供給の拠点 アントワープの奪還だ 60 00:04:50,683 --> 00:04:53,603 町から町へ 道路網をたどって進む 61 00:04:54,883 --> 00:04:58,523 小さい町では 十字路や橋が目印となる 62 00:04:58,523 --> 00:05:02,363 そして 人員や物資を 運ぶのはもちろん 63 00:05:02,363 --> 00:05:06,923 戦車のような重機の移動には 橋が不可欠だ 64 00:05:07,443 --> 00:05:11,323 グレイハウンドと呼ばれる 第116装甲師団が 65 00:05:11,323 --> 00:05:13,763 橋の捜索に当たった 66 00:05:13,923 --> 00:05:19,923 彼らのノルマンディーでの 戦いを非難する上官もいた 67 00:05:20,083 --> 00:05:25,683 {\an8}だが 西部戦線において 第116装甲師団は 68 00:05:25,683 --> 00:05:27,323 ペーター・リーブ 軍事史学者 69 00:05:27,323 --> 00:05:28,883 {\an8}当時 独軍最高峰の師団だった 70 00:05:29,683 --> 00:05:32,123 その紋章はグレイハウンドで 71 00:05:32,403 --> 00:05:37,883 スピード感のある 師団であることを示していた 72 00:05:38,443 --> 00:05:41,323 バルジの戦いが始まった当初 73 00:05:41,323 --> 00:05:45,203 彼らは1日半で 30キロほど進軍した 74 00:05:45,683 --> 00:05:47,523 そして 12月21日 75 00:05:47,523 --> 00:05:52,443 グレイハウンド師団は オットンに到着 76 00:05:53,283 --> 00:05:56,523 独軍戦線の最西端にある― 77 00:05:56,683 --> 00:05:59,763 ウルト川に架かる橋の 制圧を目指す 78 00:06:04,603 --> 00:06:08,443 独軍はミューズ川に 最も接近していた 79 00:06:08,443 --> 00:06:11,603 オットンを占領すれば ミューズ川を渡り 80 00:06:11,803 --> 00:06:15,203 最短距離でアントワープに たどり着ける 81 00:06:18,883 --> 00:06:22,403 米軍はオットンの防衛こそ 82 00:06:22,403 --> 00:06:25,043 最優先事項であると考えた 83 00:06:25,443 --> 00:06:30,843 それには空挺くうてい部隊を用いた 連合軍の戦線強化が必要だ 84 00:06:31,963 --> 00:06:37,203 そこで 第517空挺師団が オットンに向け出発 85 00:06:39,163 --> 00:06:43,803 当時 この師団は 装備を改良中だった 86 00:06:44,843 --> 00:06:48,963 新たな銃には コスモリンが塗られている 87 00:06:49,123 --> 00:06:50,923 {\an8}コスモリンは輸送中に 88 00:06:50,923 --> 00:06:53,283 スティーヴン・ザロガ 軍事史学者 著述家 89 00:06:53,283 --> 00:06:54,563 {\an8}武器を 保護するための物質だ 90 00:06:54,563 --> 00:06:57,323 主にさびを防いでくれる 91 00:07:01,083 --> 00:07:04,443 このグリースを ふき取らないと 92 00:07:04,443 --> 00:07:07,963 武器は正常に作動しない 93 00:07:10,443 --> 00:07:14,123 ガソリンを使って ふき取るも 94 00:07:15,403 --> 00:07:19,123 彼らに試射や調整をする 時間はない 95 00:07:19,883 --> 00:07:24,283 兵士は新しい武器で 戦地に行くのを嫌がる 96 00:07:24,883 --> 00:07:27,963 うまく作動するか 分からないからね 97 00:07:28,483 --> 00:07:31,963 試射なしでは その武器を信用できない 98 00:07:35,763 --> 00:07:40,163 極寒でも 空挺部隊は トラックで移動する 99 00:07:46,123 --> 00:07:50,843 20時間以上かけ 彼らはソイ近郊に到着した 100 00:07:50,843 --> 00:07:51,923 行くぞ 101 00:07:54,723 --> 00:08:00,043 準備不足のまま 第1大隊は 幹線道路沿いで戦闘を開始 102 00:08:06,083 --> 00:08:09,523 森に隠れた兵士が 素早く攻撃する 103 00:08:14,363 --> 00:08:16,443 しかし 独軍の反撃に遭い 104 00:08:16,603 --> 00:08:20,243 最初のオットン救出作戦は 失敗に終わる 105 00:08:21,603 --> 00:08:23,843 {\an8}ソイ 106 00:08:23,843 --> 00:08:26,163 その後 第517空挺師団は 2手に分かれた 107 00:08:27,003 --> 00:08:29,883 1隊目は側道を通って 108 00:08:29,883 --> 00:08:32,763 敵部隊の裏をかき オットンに進む 109 00:08:32,763 --> 00:08:36,723 もう1隊は 独軍の防衛を破りながら 110 00:08:36,723 --> 00:08:39,523 そのまま幹線道路を進む 111 00:08:46,963 --> 00:08:52,283 正面からの戦闘を避けたい B中隊長のロビンズ大尉は 112 00:08:52,283 --> 00:08:55,843 部隊を森の中に移動させた 113 00:08:59,603 --> 00:09:00,403 ビドル 114 00:09:00,403 --> 00:09:03,723 大尉が呼んだのは メルビン・ビドル一等兵 115 00:09:06,323 --> 00:09:07,443 最前線に出ろ 116 00:09:08,123 --> 00:09:09,963 彼は偵察を命じられる 117 00:09:13,283 --> 00:09:17,083 偵察兵とは部隊の先に立って 118 00:09:17,083 --> 00:09:23,003 1人または少人数で 敵の居場所を特定する役だ 119 00:09:23,003 --> 00:09:27,363 潜伏している兵士や 敵の動きを確認する 120 00:09:27,643 --> 00:09:30,523 そうして部隊を先導するのだ 121 00:09:31,803 --> 00:09:35,763 静かな森の中を ビドルは突き進む 122 00:09:37,643 --> 00:09:40,643 2年前に 徴兵の通知を受けた時 123 00:09:40,643 --> 00:09:43,603 当時19歳の彼は工員だった 124 00:09:44,683 --> 00:09:47,683 3人兄弟で 3番目の入隊だ 125 00:09:52,963 --> 00:09:57,243 静寂の中 銃声が響き 彼は雪の上に伏せる 126 00:10:03,683 --> 00:10:08,123 そして木々の間を縫うように 歩を進める 127 00:10:09,323 --> 00:10:11,403 視界が悪い中 128 00:10:11,803 --> 00:10:16,883 彼は3人のドイツ兵が 潜んでいるのを発見した 129 00:10:19,043 --> 00:10:22,203 ビドルは優れた偵察兵だ 130 00:10:22,203 --> 00:10:23,923 {\an8}常に冷静で 131 00:10:23,923 --> 00:10:25,843 デビッド・ボリス 軍事史学者 ランガラ・カレッジ 132 00:10:25,843 --> 00:10:27,523 {\an8}射撃がうまく 何より視力がいい 133 00:10:27,523 --> 00:10:31,043 相手より早く 敵を発見できるんだ 134 00:10:33,683 --> 00:10:38,083 敵に対し ビドルは回り込んで接近 135 00:10:48,123 --> 00:10:52,403 ビドル一等兵は ドイツ兵に忍び寄る 136 00:10:55,203 --> 00:11:00,283 相手に気づかれないよう 慎重に進む必要がある 137 00:11:03,363 --> 00:11:07,043 敵から30メートルほど手前で 銃を向ける 138 00:11:11,563 --> 00:11:13,643 ドイツ兵が倒れる 139 00:11:14,643 --> 00:11:18,803 ビドルは2発目の 発射をためらっていた 140 00:11:20,123 --> 00:11:22,683 捕虜にすることを考えたのだ 141 00:11:22,683 --> 00:11:25,283 しかし 敵が銃に手をかける 142 00:11:26,923 --> 00:11:29,683 ビドルの弾は2人目に命中 143 00:11:30,003 --> 00:11:31,963 もう1人は逃走する 144 00:11:33,883 --> 00:11:37,203 さらに2発を撃ち込むも 145 00:11:37,483 --> 00:11:41,043 ドイツ兵は よろめきながら後退した 146 00:11:46,483 --> 00:11:48,843 敵の持ち場に近づくビドル 147 00:11:52,243 --> 00:11:55,723 逃げた兵士の行方は 確認できない 148 00:12:01,803 --> 00:12:05,963 2番目に撃った ドイツ兵を見ると― 149 00:12:09,043 --> 00:12:12,323 彼はビドルと同じ 若い青年だった 150 00:12:18,443 --> 00:12:23,083 ビドルは彼のベルトを緩め 楽にしてやった 151 00:12:38,923 --> 00:12:43,483 突然 周囲の森に 砲弾が撃ち込まれた 152 00:12:44,443 --> 00:12:48,043 逃げた兵士が部隊に戻り 153 00:12:48,243 --> 00:12:50,683 ビドルの侵入を報告したのだ 154 00:12:55,323 --> 00:13:00,363 1944年12月23日 ベルギーの南東地域では 155 00:13:00,363 --> 00:13:05,123 独軍が連合軍の弱点を突き アルデンヌに侵攻 156 00:13:06,723 --> 00:13:11,563 アルデンヌ地方は地形的に へき地とされている 157 00:13:12,123 --> 00:13:15,643 沼地や森林の多い 丘陵地のため 158 00:13:15,643 --> 00:13:19,083 独軍は避けると 思われていたのだ 159 00:13:19,483 --> 00:13:23,203 {\an8}アイゼンハワーは 南北に軍隊を持っており 160 00:13:23,203 --> 00:13:27,763 {\an8}戦闘が始まれば 前線に送るつもりでいた 161 00:13:27,763 --> 00:13:29,203 アレクサンドラ・リチー コレギウム・ シビタス大学 教授 162 00:13:29,203 --> 00:13:30,323 {\an8}しかし アルデンヌは盲点だった 163 00:13:30,803 --> 00:13:33,763 こうして独軍はベルギー内を 164 00:13:33,763 --> 00:13:38,483 50キロ近く 進軍することができた 165 00:13:45,603 --> 00:13:50,363 激しい銃撃戦から 這い出したビドルは― 166 00:13:53,203 --> 00:13:57,923 ソイとオットンを結ぶ 幹線道路に向かう 167 00:14:06,643 --> 00:14:10,523 その途中で 1台の車を発見し― 168 00:14:12,603 --> 00:14:14,883 近づいてみることに 169 00:14:24,003 --> 00:14:29,283 それは側面に星の印のある 米軍の車両だった 170 00:14:29,483 --> 00:14:33,683 {\an8}しかし その周りに ドイツ兵がいると気づき 171 00:14:33,683 --> 00:14:35,563 デビッド・ボリス 軍事史学者 ランガラ・カレッジ 172 00:14:36,083 --> 00:14:39,123 彼は指揮官に 報告することにした 173 00:14:40,523 --> 00:14:44,803 きっと米軍の陣地に 潜入するための車両だろう 174 00:14:45,243 --> 00:14:50,003 重要な情報を得たことに 気づいたビドルは 175 00:14:50,003 --> 00:14:52,563 部隊に戻り 本部に報告する 176 00:14:55,923 --> 00:14:59,483 独軍の戦線の 最西端にいるのは 177 00:14:59,483 --> 00:15:04,443 米軍第517空挺師団の もう一方の部隊だ 178 00:15:04,643 --> 00:15:08,803 彼らは裏道を通り オットンに向かっていた 179 00:15:08,803 --> 00:15:09,283 {\an8}ウルト川 180 00:15:11,843 --> 00:15:14,963 そしてマクドナルド中佐が 率いる― 181 00:15:14,963 --> 00:15:18,803 第3機甲師団の予備軍と合流 182 00:15:21,163 --> 00:15:23,603 彼らは敵の進軍を遅延させた 183 00:15:24,163 --> 00:15:27,403 戦闘経験に乏しい兵士たちが 184 00:15:27,403 --> 00:15:30,083 独軍の侵攻を食い止めたのだ 185 00:15:33,243 --> 00:15:35,523 オットンに侵入できない 独軍に対し 186 00:15:35,523 --> 00:15:39,443 米軍の連合部隊も 村から出られない 187 00:15:46,483 --> 00:15:50,043 彼らは閉じ込められた状態で 村を守っていた 188 00:15:52,763 --> 00:15:57,843 グレイハウンド師団は 作戦の遅れにいら立っていた 189 00:15:57,843 --> 00:15:59,563 早く 行け! 190 00:16:02,603 --> 00:16:05,363 彼らは オットンを攻略できないまま 191 00:16:05,363 --> 00:16:08,603 別のルートを求め南東に移動 192 00:16:09,443 --> 00:16:13,243 さらなるルート変更は 独軍にとって 193 00:16:13,683 --> 00:16:16,203 大きな負担となった 194 00:16:16,963 --> 00:16:17,763 行くぞ 195 00:16:18,923 --> 00:16:21,723 ヒトラーは連合軍の 不意を突くため 196 00:16:21,723 --> 00:16:24,443 アルデンヌ攻勢を仕掛けた 197 00:16:24,443 --> 00:16:28,283 混乱の中 アントワープを 奪還しようと考えた 198 00:16:28,723 --> 00:16:31,403 しかし その思惑は外れる 199 00:16:31,403 --> 00:16:35,963 連合軍が奇襲に対応する 時間を得れば得るほど 200 00:16:35,963 --> 00:16:41,123 より多くの人員や武器 装備を投入することができる 201 00:16:44,843 --> 00:16:46,763 グレイハウンド師団に代わり 202 00:16:46,763 --> 00:16:52,523 ザンダー中佐率いる 擲弾兵てきだんへい師団が戦闘に参加 203 00:16:52,843 --> 00:16:59,403 ザンダーは1920年代後半に 入隊し 下士官として従軍後 204 00:16:59,603 --> 00:17:05,243 1940年後半になって ようやく中尉に任命された 205 00:17:05,363 --> 00:17:09,923 {\an8}戦時中は順調に キャリアを積んでおり 206 00:17:10,603 --> 00:17:15,403 {\an8}東部戦線での戦いを経て 勲章も授与されている 207 00:17:16,483 --> 00:17:19,923 ザンダーの部隊は オットンだけでなく 208 00:17:19,923 --> 00:17:23,603 幹線道路沿いの部隊を 駆逐戦車で攻撃 209 00:17:23,603 --> 00:17:27,723 米軍が2つの部隊を 合流させるためには 210 00:17:27,963 --> 00:17:30,843 潜伏する敵を倒す必要がある 211 00:17:39,923 --> 00:17:45,123 上官への報告を済ませた ビドルは仲間2人と共に 212 00:17:45,403 --> 00:17:50,363 その夜 怪しい米軍車両の 調査に出発した 213 00:17:51,083 --> 00:17:54,763 可能な限りで ドイツ兵の確保も命じられた 214 00:17:56,003 --> 00:17:59,203 捕虜の確保は よくある司令だ 215 00:17:59,483 --> 00:18:01,523 敵を捕えられれば 216 00:18:01,523 --> 00:18:04,203 相手の情報が得られる 217 00:18:05,523 --> 00:18:11,443 3人は例の米軍車両の脇に ドイツ軍将校がいるのを発見 218 00:18:11,643 --> 00:18:14,923 ビドルの仲間の軍曹が 彼を狙う 219 00:18:16,003 --> 00:18:19,283 しかし 物事は順調にはいかなかった 220 00:18:19,283 --> 00:18:22,163 軍曹は将校を制止した 221 00:18:22,563 --> 00:18:23,363 動くな 222 00:18:23,523 --> 00:18:25,723 もう一度 静かに伝えた 223 00:18:25,723 --> 00:18:26,603 動くな 224 00:18:26,803 --> 00:18:29,323 将校には ほぼ聞こえない声だ 225 00:18:30,043 --> 00:18:33,283 そして 15メートルほどの距離から 226 00:18:33,283 --> 00:18:37,163 軍曹が発砲するも 命中しなかった 227 00:18:39,883 --> 00:18:42,923 将校が応戦し 3人は散り散りに 228 00:18:43,123 --> 00:18:44,563 ジョニー! 229 00:18:48,443 --> 00:18:51,443 仲間は米陣営に 走って戻ったが 230 00:18:52,043 --> 00:18:53,523 ビドルは動けなかった 231 00:18:53,523 --> 00:18:58,203 軍曹が2度も弾を外したのが ショックだったんだ 232 00:18:59,763 --> 00:19:03,163 正気に戻り 急いで走り出すも 233 00:19:03,603 --> 00:19:07,523 向かったのは 部隊と逆方向だった 234 00:19:15,883 --> 00:19:20,443 逆方向に逃げたビルドが たどり着いたのは 235 00:19:20,763 --> 00:19:23,323 ドイツ陣営の森の中だった 236 00:19:24,883 --> 00:19:29,123 手元にはM1ガーランドと ナイフ 手りゅう弾のみ 237 00:19:33,683 --> 00:19:35,403 迷ったのに加え 238 00:19:35,403 --> 00:19:40,923 森の中の独軍を狙った 米軍の砲撃が降り注いでいた 239 00:19:42,123 --> 00:19:44,523 味方の攻撃を受けながらも 240 00:19:44,523 --> 00:19:48,083 21歳の青年は 自分の任務を続けた 241 00:19:48,883 --> 00:19:51,763 {\an8}彼は そこが 敵の陣地だと気づくと 242 00:19:51,883 --> 00:19:54,843 {\an8}偵察兵として 行動し始めた 243 00:19:54,843 --> 00:19:56,003 デビッド・ボリス 軍事史学者 ランガラ・カレッジ 244 00:19:56,003 --> 00:19:59,083 {\an8}できる限り 情報を 集めることにしたのだ 245 00:20:05,483 --> 00:20:11,123 彼は森の中を動き回り 敵の正確な位置を探る 246 00:20:17,563 --> 00:20:21,563 すると ドイツ兵が 彼の方に近づいてきた 247 00:20:39,803 --> 00:20:42,763 暗闇の中 もう1人の声が聞こえた 248 00:20:43,523 --> 00:20:44,363 “動くな”と 249 00:20:44,963 --> 00:20:47,763 ドイツ兵は “ホッテントット”と返した 250 00:20:53,603 --> 00:20:56,683 ビドルは ドイツ語を話せないが 251 00:20:56,683 --> 00:21:00,723 “ホッテントット”が 独軍の合言葉だと知った 252 00:21:03,443 --> 00:21:08,403 独軍の基地に迷い込んだ時に 使える情報だ 253 00:21:12,123 --> 00:21:13,403 ただ 1つ問題がある 254 00:21:13,763 --> 00:21:16,403 ビドルには なまりがある 255 00:21:16,523 --> 00:21:20,843 合言葉を叫んでも ドイツ人の発音と違えば 256 00:21:20,843 --> 00:21:23,323 敵だと気づかれてしまう 257 00:21:25,043 --> 00:21:27,563 彼は兵士に出くわした場合 258 00:21:27,563 --> 00:21:31,043 先に“動くな”と 言うことに決めた 259 00:21:32,163 --> 00:21:35,443 その方が発音しやすいからね 260 00:21:40,203 --> 00:21:45,363 ビドルは情報収集に加え さらなる難題に挑戦 261 00:21:49,123 --> 00:21:53,483 前方に見える 機関銃巣を排除するのだ 262 00:21:55,523 --> 00:22:00,683 身をさらす危険を承知の上で 手りゅう弾のピンを抜く 263 00:22:06,923 --> 00:22:11,723 手りゅう弾の爆発後 M1ガーランドで敵を掃討 264 00:22:15,523 --> 00:22:19,723 独軍が攻撃者を探す中 彼は闇へと消えた 265 00:22:23,163 --> 00:22:26,283 米軍の部隊はオットン内で 266 00:22:26,283 --> 00:22:29,683 敵の攻撃に耐え続けている 267 00:22:29,803 --> 00:22:33,643 目標はウルト川に 架かる橋を守り 268 00:22:33,643 --> 00:22:39,803 独軍の戦車がアントワープに 向かうのを阻止することだ 269 00:22:40,443 --> 00:22:44,963 ビドルが所属する連隊も 幹線道路に沿って 270 00:22:44,963 --> 00:22:47,483 後方から独軍を攻撃 271 00:23:01,843 --> 00:23:07,443 ドイツ陣営にいるビドルは 森の中で駆逐戦車を発見 272 00:23:10,323 --> 00:23:13,843 独軍にとって 米軍撃退のカギとなる― 273 00:23:13,843 --> 00:23:17,283 駆逐戦車の 位置を知ったビドル 274 00:23:17,283 --> 00:23:21,603 これを本部に報告すれば 戦況は変わる 275 00:23:25,843 --> 00:23:31,443 よく敵の駆逐戦車を 戦車と誤認することがある 276 00:23:32,523 --> 00:23:36,603 {\an8}米兵が戦場で見る 独軍の装甲車両は 277 00:23:36,843 --> 00:23:42,283 {\an8}通常 松などの木の枝で 車体を覆い隠している 278 00:23:42,563 --> 00:23:46,963 それが4号戦車か パンツァーイェーガーか 279 00:23:46,963 --> 00:23:49,603 判別するのは難しい 280 00:23:50,363 --> 00:23:53,403 装甲車両には 様々な種類がある 281 00:23:54,003 --> 00:23:57,123 {\an8}ドイツの パンツァーイェーガーは 282 00:23:57,123 --> 00:23:59,883 {\an8}対戦車車両だ 283 00:24:00,043 --> 00:24:03,043 {\an8}武器は車両上部に 固定された― 284 00:24:03,043 --> 00:24:06,563 {\an8}砲郭内に装備されている 285 00:24:07,003 --> 00:24:09,123 {\an8}目立たない外見のため 286 00:24:09,123 --> 00:24:12,803 {\an8}その位置を特定するのは 困難だった 287 00:24:13,643 --> 00:24:15,643 {\an8}戦車を攻撃するため 288 00:24:15,643 --> 00:24:18,643 {\an8}敵から身を隠す 必要があるのだ 289 00:24:18,643 --> 00:24:22,203 独軍の駆逐戦車は 防衛力が高く 290 00:24:22,483 --> 00:24:25,003 強力な銃も備えていた 291 00:24:27,683 --> 00:24:30,763 ビドルは その位置を記録 292 00:24:32,003 --> 00:24:36,963 彼は偵察兵なので 駆逐戦車に攻撃はしなかった 293 00:24:36,963 --> 00:24:39,083 彼の任務は情報収集だ 294 00:24:39,883 --> 00:24:42,803 重要な情報を手に 彼は移動する 295 00:24:50,083 --> 00:24:54,243 しかし 暗闇の中 彼を制止する声が聞こえた 296 00:24:54,243 --> 00:24:55,123 動くな 297 00:25:02,283 --> 00:25:07,083 若い米兵はドイツ語で 合言葉を返した 298 00:25:07,443 --> 00:25:08,403 ホッテントット 299 00:25:08,403 --> 00:25:10,483 しかし 敵兵には通じない 300 00:25:10,483 --> 00:25:11,363 違う 301 00:25:13,083 --> 00:25:17,763 ドイツ兵が銃を構えた瞬間 ビドルは走り出した 302 00:25:19,443 --> 00:25:23,243 兵士は銃を発射するが 弾はそれた 303 00:25:23,243 --> 00:25:24,323 緊急事態だ 304 00:25:27,323 --> 00:25:29,523 ビドルは森の中へ逃走 305 00:25:33,963 --> 00:25:35,243 隠れ場所を見つけ... 306 00:25:39,083 --> 00:25:40,203 横たわった 307 00:25:44,923 --> 00:25:48,723 ヘルムート・ ザンダー中佐率いる― 308 00:25:49,163 --> 00:25:51,563 第560国民擲弾兵師団 309 00:25:52,523 --> 00:25:57,403 ドイツ戦線への侵入者を 必死に捜索する 310 00:26:09,243 --> 00:26:11,283 ビドルに靴音が迫る 311 00:26:16,683 --> 00:26:18,843 ドイツ兵が接近していた 312 00:26:24,163 --> 00:26:27,603 {\an8}極寒の中 指先の冷えを感じた彼は 313 00:26:27,723 --> 00:26:31,963 {\an8}いざという時 引き金を 引けるか不安だった 314 00:26:33,963 --> 00:26:35,843 彼は素早く決断する 315 00:26:36,203 --> 00:26:38,763 引き金にかけた右手の指を 316 00:26:38,763 --> 00:26:42,963 左手で補助して 引くことにしたのだ 317 00:27:01,843 --> 00:27:05,643 暗闇の中 ドイツ兵が近づき 318 00:27:05,763 --> 00:27:08,643 ビドルの手の横を通った 319 00:27:11,323 --> 00:27:14,723 しかし 彼はビドルに気づかず 320 00:27:15,603 --> 00:27:17,843 通り過ぎていった 321 00:27:28,323 --> 00:27:30,403 危険が去ったあと― 322 00:27:32,363 --> 00:27:34,923 遠くで銃声が響いた 323 00:27:36,203 --> 00:27:38,643 自分の銃と同じ音だった 324 00:27:43,883 --> 00:27:49,043 彼は米軍の機関銃の音を 聞き分けると 325 00:27:49,243 --> 00:27:51,763 その位置を特定した 326 00:27:53,603 --> 00:27:58,443 味方がいると願い ビドルは銃声の方に向かう 327 00:28:01,923 --> 00:28:06,723 ちょうどその時 第517空挺師団の部隊が 328 00:28:06,723 --> 00:28:09,523 {\an8}ソイ 329 00:28:09,523 --> 00:28:12,563 幹線道路上の十字路で ドイツ国防軍と交戦していた 330 00:28:17,163 --> 00:28:22,083 米軍の大攻勢のあと 独軍が全力で反撃に出る 331 00:28:27,923 --> 00:28:30,803 夜間の戦いは 激しい接近戦だった 332 00:28:36,403 --> 00:28:42,003 独軍の機関銃手が “メリークリスマス”と叫び 333 00:28:42,003 --> 00:28:43,923 米兵をあおった 334 00:28:43,923 --> 00:28:46,323 その日は クリスマス・イブだったので 335 00:28:46,323 --> 00:28:48,643 米兵の闘争心に火がついた 336 00:28:52,003 --> 00:28:55,963 C中隊からの小隊が 独軍の攻撃を阻止 337 00:28:59,883 --> 00:29:04,403 10メートルほど前進すると 敵の攻撃が途絶えた 338 00:29:05,923 --> 00:29:08,323 空挺部隊は好機を捉える 339 00:29:11,043 --> 00:29:15,643 小隊は立ち上がり 発砲しながら突撃 340 00:29:23,283 --> 00:29:26,163 B中隊とA中隊も合流 341 00:29:32,643 --> 00:29:38,403 独軍の戦線を越え ついに十字路を奪取した 342 00:29:42,643 --> 00:29:45,163 十字路の制圧によって 343 00:29:45,283 --> 00:29:48,043 {\an8}ソイ 344 00:29:48,043 --> 00:29:50,363 米軍はオットンでの 味方の援護が可能になった 345 00:29:50,363 --> 00:29:50,843 {\an8}オットン 346 00:29:59,963 --> 00:30:05,323 ビドルが米軍の機関銃の 音がする方に近づくと 347 00:30:05,563 --> 00:30:07,723 別の音が聞こえてきた 348 00:30:08,843 --> 00:30:13,883 それは偵察を行う 独軍のユンカースJU88で 349 00:30:13,883 --> 00:30:16,563 かなり低空を飛行していた 350 00:30:18,123 --> 00:30:21,243 ドイツ機が近づくのを 見ていると 351 00:30:21,643 --> 00:30:23,803 もう1機が現れた 352 00:30:24,843 --> 00:30:28,963 米軍の P-61ブラックウィドウだ 353 00:30:32,643 --> 00:30:37,043 アメリカ陸軍航空隊の P-61は夜間専用で 354 00:30:37,043 --> 00:30:42,083 3~4人が搭乗できる 双発の大型爆撃機だ 355 00:30:42,763 --> 00:30:45,163 優れた空対空レーダーにより 356 00:30:45,163 --> 00:30:49,523 夜間でも敵機の位置を 特定できる 357 00:30:49,523 --> 00:30:53,883 {\an8}目視できなくても レーダーで探知するのだ 358 00:30:58,523 --> 00:31:01,563 突然 1機が炎に包まれる 359 00:31:08,363 --> 00:31:11,163 米軍の夜間戦闘機の攻撃で 360 00:31:11,763 --> 00:31:15,523 独軍のユンカースJU88が 墜落する 361 00:31:17,083 --> 00:31:20,083 {\an8}低い位置での 夜間の空中戦は 362 00:31:20,083 --> 00:31:21,843 デビッド・ボリス 軍事史学者 ランガラ・カレッジ 363 00:31:21,843 --> 00:31:22,963 {\an8}音も光景も すさまじいはずだ 364 00:31:22,963 --> 00:31:27,683 彼はアメリカ機の活躍に 最初は喜んだものの 365 00:31:27,683 --> 00:31:32,883 ドイツ機が落ちてくるという 事態に焦っただろう 366 00:31:39,403 --> 00:31:42,923 機体はビドルの上には 落ちなかった 367 00:31:44,403 --> 00:31:47,843 しかし 近くに墜落し 炎が森を照らした 368 00:31:52,963 --> 00:31:57,203 ビドルは再び 米軍部隊を捜し始める 369 00:32:01,283 --> 00:32:03,523 前日に部隊を離れたため 370 00:32:03,523 --> 00:32:07,083 彼は12月24日の 合言葉を知らない 371 00:32:10,283 --> 00:32:15,283 合言葉を答えられず 撃たれるのを心配していた 372 00:32:22,803 --> 00:32:24,523 ビドルは前進する 373 00:32:30,083 --> 00:32:31,603 すると 声が聞こえた 374 00:32:31,883 --> 00:32:33,283 ビドルか? 375 00:32:35,403 --> 00:32:36,203 そうだ 376 00:32:36,203 --> 00:32:41,683 ビドルは撃たれることも 合言葉を聞かれることもなく 377 00:32:41,803 --> 00:32:45,683 名前を呼ばれ 無事 部隊に戻った 378 00:32:53,603 --> 00:32:57,523 ビドルは中隊長の ロビンズ大尉の元に向かう 379 00:32:57,963 --> 00:33:03,843 ビドルの死を覚悟していた 大尉は胸をなで下ろし 380 00:33:03,843 --> 00:33:08,883 彼が重要な情報を得たと知り さらに喜んだ 381 00:33:10,843 --> 00:33:15,163 ビドルは独軍の機関銃巣を 発見しただけでなく 382 00:33:15,163 --> 00:33:19,883 駆逐戦車が潜んでいる場所を 特定したのだ 383 00:33:25,323 --> 00:33:30,523 早期の攻撃を決めた大尉は ビドルを解任し休息を与えた 384 00:33:41,483 --> 00:33:45,203 ビドルは木にもたれ 食料の缶を開けた 385 00:33:51,003 --> 00:33:53,763 そして食事を取り 目を閉じた 386 00:33:57,283 --> 00:34:01,843 12月24日の早朝 部隊は休むこともなく 387 00:34:02,003 --> 00:34:04,523 ひどい寒さに耐えていた 388 00:34:04,723 --> 00:34:08,683 皆 凍えないよう 動き回っていた 389 00:34:13,203 --> 00:34:15,283 眠ろうとしていたビドルは... 390 00:34:15,283 --> 00:34:16,163 ビドル 391 00:34:16,163 --> 00:34:19,283 いつもの命令で起こされた 392 00:34:20,643 --> 00:34:21,923 最前線に出ろ 393 00:34:22,683 --> 00:34:26,323 ロビンズ大尉は うれしそうに告げた 394 00:34:26,323 --> 00:34:28,763 “また君が必要なんだ”と 395 00:34:28,763 --> 00:34:31,643 そして ビドルは再び最前線へ 396 00:34:38,523 --> 00:34:43,483 ロビンズは 最前線に空挺師団を配置した 397 00:34:44,603 --> 00:34:47,483 これまで2度 オットン突破を試みたが 398 00:34:47,723 --> 00:34:50,843 独軍の駆逐戦車に 阻まれてきた 399 00:34:51,723 --> 00:34:56,403 今回は駆逐戦車の 位置を知る米軍が有利だ 400 00:34:56,403 --> 00:34:59,843 駆逐戦車を狙うことができる 401 00:35:13,243 --> 00:35:16,643 前進するビドルに 軍曹が合図を送る 402 00:35:19,323 --> 00:35:20,763 伏せるように指示 403 00:35:23,363 --> 00:35:26,283 ビドルが伏せると軍曹が発砲 404 00:35:27,883 --> 00:35:30,803 偵察兵は チームでの任務が多い 405 00:35:30,803 --> 00:35:36,163 敵兵に気づかなかった彼は 仲間に救われた 406 00:35:38,603 --> 00:35:40,163 ビドルは立ち上がり 407 00:35:40,163 --> 00:35:45,443 第517空挺師団の 先頭に立って 前へと進む 408 00:35:45,443 --> 00:35:49,923 オットンにいる米軍部隊を 救いに行くのだ 409 00:35:51,323 --> 00:35:54,003 指示に従い ビドルは左側を進み 410 00:35:54,003 --> 00:35:58,723 米軍の部隊は 独軍の駆逐戦車へと向かった 411 00:36:00,363 --> 00:36:01,923 腹ばいで進むビドル 412 00:36:06,003 --> 00:36:11,483 遠くに敵兵の一団が見えるが 視界が限られていた 413 00:36:14,403 --> 00:36:16,763 体勢を座位に変える 414 00:36:19,243 --> 00:36:24,003 そこから約200メートル先に ヘルメットが見えた 415 00:36:25,923 --> 00:36:29,483 彼はひざを立てて ライフルを固定 416 00:36:31,323 --> 00:36:32,803 大きく息を吸い― 417 00:36:34,123 --> 00:36:35,323 発砲した 418 00:36:43,483 --> 00:36:48,243 ビドルが試みているのは 珍しい射撃姿勢だ 419 00:36:48,243 --> 00:36:54,563 “座射”はアメリカの新兵が 基礎訓練で学ぶ姿勢の1つで 420 00:36:56,163 --> 00:37:01,483 筋肉ではなく 骨でライフルを支える方法だ 421 00:37:02,723 --> 00:37:07,283 まず座った状態で ライフルの紐を固定し 422 00:37:07,283 --> 00:37:11,603 少し体をひねって 左ひじをひざに乗せる 423 00:37:15,203 --> 00:37:18,363 {\an8}座射は かなり難しい姿勢だ 424 00:37:18,363 --> 00:37:22,403 {\an8}体で覚えるまでに 何度も練習が必要だ 425 00:37:23,883 --> 00:37:26,643 これでビドルの視界が開けた 426 00:37:27,043 --> 00:37:31,043 敵からは見えないが 彼には敵が見える 427 00:37:38,683 --> 00:37:43,123 距離を考慮し 少し上に向けて発砲した 428 00:37:58,323 --> 00:38:03,723 彼は約200メートル先の敵を 次々と倒していく 429 00:38:21,003 --> 00:38:24,403 基礎訓練で 座射を練習していた頃は 430 00:38:24,403 --> 00:38:28,963 使う機会はないと思ったが それは間違いだった 431 00:38:32,443 --> 00:38:35,563 彼は12発以上 命中させたが― 432 00:38:37,883 --> 00:38:40,443 死体を見には行かなかった 433 00:38:50,483 --> 00:38:54,723 もし見ていたら ひどい記憶が残っただろうと 434 00:38:54,723 --> 00:38:56,923 後に彼は語っている 435 00:39:01,043 --> 00:39:04,963 一方 米軍部隊は オットンへと進んでいた 436 00:39:06,643 --> 00:39:10,203 昨夜 ビドルが得た 情報を頼りに 437 00:39:11,603 --> 00:39:14,603 独軍の潜伏場所に接近する 438 00:39:16,603 --> 00:39:17,843 〈急ぐんだ〉 439 00:39:22,563 --> 00:39:26,483 独軍の駆逐戦車が 米軍に立ち向かう 440 00:39:35,083 --> 00:39:37,043 しかし 米軍が先に砲撃 441 00:39:41,323 --> 00:39:46,243 数日間 進軍を阻んできた 装甲車をついに撃破した 442 00:39:58,083 --> 00:40:03,323 米軍の部隊同士が連携し 独軍の防衛を破った 443 00:40:04,563 --> 00:40:07,763 {\an8}その頃 独軍は 2つの戦線で戦っていた 444 00:40:07,763 --> 00:40:09,803 ペーター・リーブ 軍事史学者 445 00:40:09,803 --> 00:40:11,483 {\an8}オットン内にいる米兵と 446 00:40:11,763 --> 00:40:17,803 {\an8}幹線道路沿いを西に 進軍してきた米軍部隊だ 447 00:40:17,803 --> 00:40:21,563 こうして 独軍の残党を南に追いやった 448 00:40:21,563 --> 00:40:22,323 {\an8}ウルト川 449 00:40:35,203 --> 00:40:39,043 米軍の2部隊は オットンの外で合流 450 00:40:45,883 --> 00:40:50,323 後方支援部隊は何日もの間 独軍の攻撃に耐えた 451 00:40:50,323 --> 00:40:53,443 {\an8}ドイツ兵は そこら中にいたが 452 00:40:53,723 --> 00:40:57,283 デビッド・ボリス 軍事史学者 ランガラ・カレッジ 453 00:40:57,283 --> 00:40:58,723 {\an8}戦闘が終わったのだ 454 00:41:02,843 --> 00:41:06,923 ついにオットンは 連合軍の手中に収まった 455 00:41:09,043 --> 00:41:11,123 戦闘後の惨状は 456 00:41:11,123 --> 00:41:16,723 戦闘員や村民への 被害の甚大さを物語っている 457 00:41:28,123 --> 00:41:29,723 第517空挺師団は 458 00:41:30,003 --> 00:41:33,843 小休止と クリスマスの晩餐ばんさんを楽しんだ 459 00:41:37,443 --> 00:41:43,003 ただ B中隊は休むことなく 十字路へと戻ることに 460 00:41:43,003 --> 00:41:45,323 ビドル 前線へ行け 461 00:41:46,043 --> 00:41:48,963 目的は幹線道路の安全確保だ 462 00:41:58,043 --> 00:42:02,883 第517空挺師団の第1大隊は オットンでの活躍により 463 00:42:02,883 --> 00:42:06,723 大統領殊勲部隊章を 授与された 464 00:42:06,883 --> 00:42:11,923 第3機甲師団も この村で大きな功績を上げた 465 00:42:12,523 --> 00:42:17,883 その防衛戦略は 独軍のマントイフェル大将も 466 00:42:17,883 --> 00:42:19,563 称賛したほどだ 467 00:42:20,523 --> 00:42:23,883 ビドル一等兵は 戦闘中の行動に対し 468 00:42:23,883 --> 00:42:28,723 米軍最高の賞である 議会名誉勲章を受勲 469 00:42:28,723 --> 00:42:31,723 彼の勇敢で大胆な行動により 470 00:42:31,723 --> 00:42:37,643 最小限の犠牲で 独軍を オットンから排除できたのだ 471 00:42:38,483 --> 00:42:43,483 任務以上の活躍をした彼は 名誉勲章にふさわしい 472 00:42:44,243 --> 00:42:45,803 戦闘というと 473 00:42:45,803 --> 00:42:50,163 大編隊で大きな目標を 達成するイメージだ 474 00:42:50,163 --> 00:42:54,763 しかし 個人の決断が 戦況を動かすことも多い 475 00:42:55,043 --> 00:42:58,403 実際にオットンでは ビドルが流れを変えた 476 00:42:59,843 --> 00:43:04,243 米軍の攻撃でオットンから 撤退したグレイハウンド 477 00:43:05,083 --> 00:43:09,523 彼らはすぐに ラ・ロシェの方に回り 478 00:43:09,803 --> 00:43:11,843 ウルト川を横断した 479 00:43:12,883 --> 00:43:17,603 しかし 他の部隊と同様 物資補給が途絶えてしまう 480 00:43:17,603 --> 00:43:22,563 {\an8}“素人は戦略を語る”と よく言われるが 481 00:43:22,563 --> 00:43:24,763 アレクサンドラ・リチー コレギウム・ シビタス大学 教授 482 00:43:24,763 --> 00:43:25,243 {\an8}軍人にとっては 兵站が第一 483 00:43:25,243 --> 00:43:30,363 物資の供給がないと 防衛にも隙ができてしまう 484 00:43:31,603 --> 00:43:35,963 バルジの戦いは 西側での 主導権を取り戻す― 485 00:43:35,963 --> 00:43:39,003 ドイツの最終作戦だった 486 00:43:39,523 --> 00:43:43,163 {\an8}しかし 作戦は失敗し 大きな損失を生んだ 487 00:43:43,323 --> 00:43:46,843 {\an8}最後の装甲予備軍を 投入した独軍は 488 00:43:46,843 --> 00:43:49,683 {\an8}東側では無防備な 状態だったのだ 489 00:43:49,683 --> 00:43:54,003 {\an8}1月12日 ソ連が 攻勢を開始し 490 00:43:54,163 --> 00:43:57,123 {\an8}一気にドイツの 国防軍を撃破 491 00:43:57,523 --> 00:44:01,563 {\an8}ポーランドを通り ベルリンへと進軍した 492 00:44:03,043 --> 00:44:07,843 {\an8}欧州での大戦は さらに4ヵ月続く 493 00:44:07,843 --> 00:44:09,923 日本語字幕 塚原 雅子