1 00:00:02,168 --> 00:00:05,668 仲間の退却を援護する一等兵 2 00:00:07,918 --> 00:00:11,043 独軍戦車からの砲撃に 脚がすくむ 3 00:00:14,209 --> 00:00:18,251 爆撃によって 機関銃と眼鏡が壊れるも― 4 00:00:19,626 --> 00:00:22,960 ライフルを構え 戦線を維持し続ける 5 00:00:26,501 --> 00:00:28,835 1944年6月6日 6 00:00:29,251 --> 00:00:32,543 連合軍が ノルマンディーに上陸 7 00:00:33,585 --> 00:00:35,668 西からの進攻が始まる 8 00:00:38,376 --> 00:00:43,793 対するナチスも 命懸けの防戦を試みる 9 00:00:49,293 --> 00:00:50,918 Dデイは死闘だった 10 00:00:53,209 --> 00:00:55,543 負けられない戦いが続く 11 00:01:06,251 --> 00:01:09,084 1945年1月9日 12 00:01:09,793 --> 00:01:13,501 {\an8}Dデイから218日 13 00:01:15,293 --> 00:01:21,710 ライフルを構え雪の中を進む 米軍のシュミット一等兵 14 00:01:23,626 --> 00:01:27,668 彼の部隊はハッテン郊外で 独軍の奇襲を受けた 15 00:01:28,418 --> 00:01:32,835 その戦闘中 彼は2発の銃弾を浴びる 16 00:01:33,043 --> 00:01:35,002 1発はヘルメットに 17 00:01:35,002 --> 00:01:37,209 もう1発は顔に命中 18 00:01:37,877 --> 00:01:39,835 彼が唯一の生き残りだ 19 00:01:40,002 --> 00:01:44,543 この時のシュミットは 非常に不運だった 20 00:01:44,543 --> 00:01:46,585 {\an8}いつもの任務中に 21 00:01:46,585 --> 00:01:48,710 ジョン・C・マクマナス 著述家 22 00:01:48,710 --> 00:01:50,043 {\an8}たまたま 独軍と鉢合わせたのだ 23 00:01:51,543 --> 00:01:53,668 敵の追跡を受けながら 24 00:01:53,877 --> 00:01:56,209 彼は指揮官の元へ急ぐ 25 00:01:57,793 --> 00:02:02,501 彼が持っているのは 自分の目や耳で集めた情報だ 26 00:02:02,501 --> 00:02:08,002 他の兵士よりも 軽症で済んだのは幸運だった 27 00:02:08,960 --> 00:02:12,043 独軍はバルジの戦いの 真っ最中だった 28 00:02:12,418 --> 00:02:15,126 “ラインの守り作戦”が 失速すると 29 00:02:15,126 --> 00:02:19,209 ヒトラーは敵の弱点を 攻めることにした 30 00:02:19,209 --> 00:02:20,084 {\an8}ストラスブール 31 00:02:20,084 --> 00:02:24,084 {\an8}そうすることで 米軍と英軍の関心が 32 00:02:24,084 --> 00:02:25,002 ペーター・リーブ 軍事史学者 33 00:02:25,002 --> 00:02:27,168 {\an8}北部から遠のくと 考えたのだ 34 00:02:28,168 --> 00:02:33,126 このノルトヴィント作戦の 指揮を執るのは 35 00:02:33,126 --> 00:02:37,418 親衛隊全国指導者の ハインリヒ・ヒムラーだ 36 00:02:38,501 --> 00:02:42,460 ヒトラーは 人を信用しなくなっていたが 37 00:02:42,460 --> 00:02:48,793 常に忠義を尽くしてくれる ヒムラーだけは例外だった 38 00:02:49,585 --> 00:02:54,084 当時 ヒトラーの 首相就任記念日が迫っていた 39 00:02:54,918 --> 00:02:58,126 ヒムラーは ストラスブール奪還を 40 00:02:58,126 --> 00:03:05,209 1月30日の12周年記念の 贈り物にしたいと考えていた 41 00:03:07,168 --> 00:03:09,626 {\an8}“ストラスブール” 42 00:03:09,626 --> 00:03:10,334 アルザス地方圏の首府 ストラスブールは 43 00:03:10,334 --> 00:03:14,126 11月下旬 仏軍により解放された 44 00:03:14,668 --> 00:03:16,209 作戦の成功は... 45 00:03:16,209 --> 00:03:21,043 米仏同盟にとって 大きな打撃になり得る 46 00:03:24,126 --> 00:03:28,585 ストラスブールの北東にある ハッテン郊外で― 47 00:03:31,084 --> 00:03:33,877 シュミットは味方の元へ急ぐ 48 00:03:38,877 --> 00:03:41,460 突然 白い光に包まれた 49 00:03:43,668 --> 00:03:44,835 彼は撃たれ― 50 00:03:45,668 --> 00:03:51,043 負傷した背中を冷やすため 雪の上に転がった 51 00:03:52,251 --> 00:03:54,209 かなり怖かっただろう 52 00:03:54,209 --> 00:03:57,002 彼は数ヵ所 負傷しており 53 00:03:57,918 --> 00:03:59,293 体はボロボロだった 54 00:04:00,793 --> 00:04:04,209 彼を襲ったのは 独軍に向けた― 55 00:04:04,209 --> 00:04:07,793 米軍の手りゅう弾や 迫撃砲だった 56 00:04:14,418 --> 00:04:15,752 痛みをこらえ 57 00:04:15,752 --> 00:04:20,168 彼は味方のいる バンカーへと向かった 58 00:04:23,585 --> 00:04:28,209 シュミットはマジノ線上の 第9トーチカに到達した 59 00:04:31,126 --> 00:04:36,376 {\an8}マジノ線は第1次大戦後 仏軍が構築した要塞で 60 00:04:36,376 --> 00:04:39,585 マジノ線 61 00:04:39,585 --> 00:04:41,168 {\an8}スイスとの国境付近から ベルギーまで続いていた 62 00:04:42,376 --> 00:04:45,752 それは巨大なバンカーで 構成されていた 63 00:04:46,626 --> 00:04:49,793 {\an8}その多くは 地下に作られており 64 00:04:49,793 --> 00:04:52,376 {\an8}多くの兵士を収容できた 65 00:04:52,376 --> 00:04:53,877 スティーヴン・ザロガ 軍事史学者 著述家 66 00:04:53,877 --> 00:04:56,084 {\an8}上部には 射撃装置が搭載され 67 00:04:56,084 --> 00:04:58,501 {\an8}地下通路も 完備されていた 68 00:04:59,793 --> 00:05:02,668 コンクリートの厚みは 3メートル以上 69 00:05:03,209 --> 00:05:09,710 戦闘機から砲撃を浴びても 中にいる部隊に影響はない 70 00:05:10,501 --> 00:05:13,793 しかし 1940年 侵攻してきた独軍は 71 00:05:14,251 --> 00:05:15,835 マジノ線を迂回うかい 72 00:05:16,209 --> 00:05:20,710 ドイツ軍はマジノ線を 横断するのを避け 73 00:05:20,710 --> 00:05:23,376 ベルギーから侵入した 74 00:05:24,668 --> 00:05:28,126 米軍はそのバンカーを占拠し 75 00:05:28,126 --> 00:05:32,168 東から来る独軍の攻撃に 備えていた 76 00:05:44,501 --> 00:05:48,710 プレル中佐率いる 第35装甲擲弾兵てきだんへい連隊が 77 00:05:48,710 --> 00:05:51,084 ハッテン侵攻の先陣を切る 78 00:05:54,668 --> 00:05:58,585 カール・プレルは元々 下士官だったが 79 00:05:58,585 --> 00:06:03,877 東部戦線での指揮ぶりが 評価され すぐに昇進した 80 00:06:04,043 --> 00:06:08,293 最高位の勲章も 複数 授与されている 81 00:06:17,418 --> 00:06:22,418 林の中からトーチカへと 進軍する装甲擲弾兵 82 00:06:25,918 --> 00:06:29,126 バンカーは無人だと 思っていたが 83 00:06:29,126 --> 00:06:32,334 突然 米軍からの 激しい抵抗に遭う 84 00:06:34,002 --> 00:06:39,084 先頭部隊は 迫撃砲や 機関銃の攻撃を受ける 85 00:06:43,376 --> 00:06:46,752 正面攻撃により 多くの犠牲が出た 86 00:06:58,710 --> 00:07:01,585 生存者は林へと後退する 87 00:07:03,168 --> 00:07:06,460 東部戦線で 経験を積んだプレルは 88 00:07:06,460 --> 00:07:10,668 柔軟に戦術を変える 必要があると考えた 89 00:07:16,877 --> 00:07:19,084 部隊はハッテン侵攻のため 90 00:07:19,084 --> 00:07:22,543 バンカー間の 抜け道を探さねばならない 91 00:07:24,793 --> 00:07:31,793 {\an8}ハッテン 92 00:07:34,543 --> 00:07:36,585 村にある指揮所から 93 00:07:36,585 --> 00:07:41,460 A中隊長のコルソン大尉が 防衛を指揮する 94 00:07:42,793 --> 00:07:46,251 彼らは電話線を使って 連絡を取り 95 00:07:46,626 --> 00:07:50,668 独軍の攻撃に関する 情報を集めた 96 00:07:52,084 --> 00:07:55,334 {\an8}コルソンは 連絡を密に取り合い 97 00:07:55,334 --> 00:07:58,251 ジョン・C・マクマナス 著述家 98 00:07:58,251 --> 00:08:00,543 {\an8}できる限り多くの情報を 集めることに尽力した 99 00:08:01,501 --> 00:08:05,168 この時 コルソン率いる 第242歩兵連隊は 100 00:08:05,418 --> 00:08:09,126 欧州に 到着したばかりだった 101 00:08:10,585 --> 00:08:12,960 アルザスに送り込まれたのは 102 00:08:12,960 --> 00:08:16,960 本来なら静かなこの土地で 訓練するためだ 103 00:08:18,918 --> 00:08:23,168 彼らの師団には 強みも弱みもあった 104 00:08:23,168 --> 00:08:27,918 弱みは経験や組織力 自信が不足していることだ 105 00:08:27,918 --> 00:08:31,251 だが逆に 経験が浅いからこそ 106 00:08:31,251 --> 00:08:37,293 戦闘への熱意を 失っていないのが強みになる 107 00:08:39,877 --> 00:08:41,585 攻撃に対抗するため 108 00:08:41,585 --> 00:08:46,418 第242連隊は 即席の防衛態勢を整え始めた 109 00:08:50,334 --> 00:08:54,251 敵の進軍を防ぐため 地雷を設置するのだ 110 00:09:00,084 --> 00:09:01,626 地雷によって 111 00:09:01,626 --> 00:09:05,918 第1大隊の指揮所と 教会の間の道を封鎖 112 00:09:12,501 --> 00:09:13,710 その上方では 113 00:09:13,710 --> 00:09:17,293 兵士が教会の尖塔せんとうから バズーカを構える 114 00:09:25,460 --> 00:09:30,293 そこにはトーチカを守るため 砲撃の指示を行う― 115 00:09:30,293 --> 00:09:32,293 砲兵観測手もいた 116 00:09:32,793 --> 00:09:35,376 砲兵観測手は 第2次大戦において 117 00:09:35,376 --> 00:09:38,334 非常に大事な役割を担った 118 00:09:38,918 --> 00:09:44,668 米軍の迫撃砲のような 殺傷能力が非常に高い武器を 119 00:09:44,918 --> 00:09:49,168 うまくコントロールするのが その役割だ 120 00:09:51,084 --> 00:09:52,334 第9トーチカでは― 121 00:09:53,918 --> 00:09:57,168 A中隊のカフーン軍曹が 防衛に当たる 122 00:09:58,168 --> 00:10:03,043 大砲や迫撃砲による 仲間の援護を受けて 123 00:10:04,918 --> 00:10:07,501 第3小隊への攻撃を撃破 124 00:10:08,752 --> 00:10:12,209 しかし彼は 南部での危険な動きに気づく 125 00:10:12,793 --> 00:10:17,668 第4 第5トーチカ間を 独軍が突破したのだ 126 00:10:25,877 --> 00:10:29,960 独軍の戦車は バンカーの横を抜けて 127 00:10:29,960 --> 00:10:32,126 ハッテンを目指す 128 00:10:41,084 --> 00:10:42,293 しかし 突然― 129 00:10:44,126 --> 00:10:48,918 教会の上から 米軍のバズーカ砲が降り注ぐ 130 00:10:49,460 --> 00:10:52,460 そこは敵の動きが よく見える 131 00:10:52,460 --> 00:10:54,418 {\an8}独軍の指揮官も 132 00:10:54,418 --> 00:11:00,002 {\an8}そこに観測手がいると すぐに察知したと思う 133 00:11:00,501 --> 00:11:02,293 独軍は応戦し― 134 00:11:05,251 --> 00:11:06,877 尖塔を破壊 135 00:11:08,293 --> 00:11:13,251 米軍のバズーカ部隊と 砲兵観測手は撃破された 136 00:11:13,835 --> 00:11:18,209 これにより米軍は 砲撃による援護を失い 137 00:11:18,209 --> 00:11:21,334 村の防衛体制も弱体化した 138 00:11:24,334 --> 00:11:30,960 教会の下では 第1大隊が ハッテンの防衛に当たった 139 00:11:40,793 --> 00:11:44,793 一等兵のヴィト・ ベルトルドもその1人だ 140 00:11:45,585 --> 00:11:50,168 彼は視力が悪かったが 入隊を希望した 141 00:11:50,168 --> 00:11:55,043 懸命な努力もむなしく 最初は入隊を拒否された 142 00:11:55,043 --> 00:11:59,543 だが戦争が進むにつれて 入隊の基準が下がり 143 00:11:59,543 --> 00:12:02,376 調理兵として入隊した 144 00:12:03,334 --> 00:12:06,543 ベルトルドは その配置が不満だった 145 00:12:06,752 --> 00:12:11,418 調理係の軍曹にとって 彼は問題児だった 146 00:12:11,668 --> 00:12:14,334 問題のある兵士がいた場合 147 00:12:14,334 --> 00:12:18,251 最も害が少ない場所に 配置するものだ 148 00:12:18,585 --> 00:12:22,002 欧州に到着すると コルソン大尉の指示で 149 00:12:22,002 --> 00:12:26,168 ベルトルドは ハッテンでの援護を任された 150 00:12:27,002 --> 00:12:31,168 それは昇進ではなく 左遷に近い異動だった 151 00:12:35,877 --> 00:12:40,626 だが ベルトルドにとっては 戦闘に参加するチャンスだ 152 00:12:41,877 --> 00:12:44,626 ベルトルドは よく話していた 153 00:12:44,626 --> 00:12:48,585 “戦闘に参加したら 俺はヒーローになれる”と 154 00:12:49,334 --> 00:12:53,668 彼は 会話の度に 大口をたたいていたが 155 00:12:53,668 --> 00:12:58,376 実際に弾丸が飛んでくると 逃げるしかなかった 156 00:12:59,710 --> 00:13:04,043 元調理兵は戸口に マシンガンを設置して待機 157 00:13:11,376 --> 00:13:14,752 指揮所は独軍の砲撃を浴びる 158 00:13:23,543 --> 00:13:27,002 独軍の砲弾で 通信システムが停止 159 00:13:27,793 --> 00:13:32,752 それまで 各トーチカと 連絡を取り合っていたが― 160 00:13:34,334 --> 00:13:36,293 ついに途絶えてしまう 161 00:13:36,752 --> 00:13:40,585 指揮官は戦場のどこに 自分の身を置くべきか 162 00:13:41,043 --> 00:13:43,168 常に判断を迫られる 163 00:13:47,334 --> 00:13:49,501 コルソンは指揮所を離れ― 164 00:13:50,960 --> 00:13:54,960 トーチカにいる 前衛部隊の下に向かう 165 00:13:58,835 --> 00:14:00,877 米軍の砲撃が弱まる中 166 00:14:00,877 --> 00:14:05,835 プレル中佐の部隊は 北側のバンカーを攻撃 167 00:14:12,043 --> 00:14:14,209 第9トーチカは耐えたが 168 00:14:15,460 --> 00:14:18,002 他の陣地は制圧された 169 00:14:30,585 --> 00:14:32,043 南側では... 170 00:14:33,418 --> 00:14:37,418 {\an8}ヤークトティーガーは 当時 最大級の装甲車だ 171 00:14:38,710 --> 00:14:42,752 {\an8}基本のシャシーは ティーガーIIと同じだが 172 00:14:42,752 --> 00:14:46,209 {\an8}88ミリ砲を搭載した 砲塔はない 173 00:14:46,209 --> 00:14:49,793 {\an8}その代わり 固定された上部構造内に 174 00:14:49,793 --> 00:14:53,710 {\an8}厚い装甲と 128ミリ砲を搭載 175 00:14:54,084 --> 00:14:56,585 {\an8}敵戦車の駆逐が目的で 176 00:14:56,585 --> 00:15:00,209 {\an8}128ミリ砲の 重量は約5トン 177 00:15:00,209 --> 00:15:02,209 {\an8}1キロ近い距離から 178 00:15:02,209 --> 00:15:05,585 {\an8}約2メートルの コンクリートを貫通する 179 00:15:07,501 --> 00:15:09,710 アルザスでの戦闘中 180 00:15:09,710 --> 00:15:14,793 独軍部隊はマジノ線の バンカーを攻撃し始めた 181 00:15:14,960 --> 00:15:17,752 それを聞いた ヒトラーは言った 182 00:15:17,752 --> 00:15:20,293 “それなら ヤークトティーガーで―” 183 00:15:20,793 --> 00:15:24,376 “バンカーを 吹き飛ばせばいい”と 184 00:15:29,793 --> 00:15:33,043 戦車や装甲擲弾兵の攻撃で 185 00:15:33,043 --> 00:15:35,418 トーチカは次々に陥落 186 00:15:41,002 --> 00:15:44,376 コルソン大尉は 通信を復活させるため 187 00:15:44,376 --> 00:15:47,084 第9トーチカへ急ぐ 188 00:15:48,334 --> 00:15:50,002 バンカーに近づくと― 189 00:15:51,376 --> 00:15:53,168 ジープは銃弾を浴びる 190 00:15:54,501 --> 00:15:58,460 外に出た大尉らは ジープの陰に避難した 191 00:16:01,835 --> 00:16:04,752 大尉はトーチカまで 走ると決めた 192 00:16:06,002 --> 00:16:10,376 地上戦では 昔から よく見られる事態だ 193 00:16:10,543 --> 00:16:12,626 単純な行動ほど難しい 194 00:16:13,209 --> 00:16:17,251 身動きが取れず 状況の把握もできない 195 00:16:17,251 --> 00:16:21,209 {\an8}走るのは難しく 命の危険もある状態だ 196 00:16:22,168 --> 00:16:25,251 大尉は部下に無線機を渡し 197 00:16:25,251 --> 00:16:29,501 ハッテンにいる第1大隊への 連絡役を頼んだ 198 00:16:32,626 --> 00:16:35,960 トーチカで 死闘が繰り広げられる中 199 00:16:35,960 --> 00:16:40,126 独軍の戦車と装甲擲弾兵は ハッテンに進軍 200 00:16:41,668 --> 00:16:45,918 独軍がここまで進軍するのは 想定外だった 201 00:16:45,918 --> 00:16:47,793 これは異常事態だ 202 00:16:48,209 --> 00:16:49,793 独軍が突然― 203 00:16:49,793 --> 00:16:53,126 米軍の指揮所に現れたのだ 204 00:17:22,710 --> 00:17:29,251 幸いにも指揮所の外に作った 即席の地雷原が 205 00:17:29,251 --> 00:17:32,418 独軍の侵攻を食い止めた 206 00:17:45,043 --> 00:17:50,168 プレル中佐の装甲擲弾兵が 地雷の撤去に当たる 207 00:17:55,710 --> 00:18:01,084 ベルトルド一等兵からは その様子が よく見えない 208 00:18:03,835 --> 00:18:06,585 視界のいい位置に移動すると 209 00:18:06,585 --> 00:18:10,877 彼は道の真ん中に 機関銃を設置した 210 00:18:26,168 --> 00:18:28,710 敵兵を視界に捉えると 211 00:18:28,710 --> 00:18:33,877 米軍のベルトルド一等兵は 機関銃を発砲した 212 00:18:39,835 --> 00:18:45,501 標的は 進軍を防ぐ地雷を 撤去している独軍部隊だ 213 00:18:53,334 --> 00:18:55,626 独軍は やむを得ず後退 214 00:19:00,168 --> 00:19:03,835 彼は機関銃を 別の場所に移動した 215 00:19:05,626 --> 00:19:09,002 {\an8}彼は機関銃の 位置を変える重要性を 216 00:19:09,002 --> 00:19:11,877 ジョン・C・マクマナス 著述家 217 00:19:11,877 --> 00:19:11,918 {\an8}訓練の際に学んでいた 218 00:19:11,918 --> 00:19:16,626 機関銃のような強力な武器は 敵に狙われるからだ 219 00:19:20,460 --> 00:19:21,543 ハッテン郊外では 220 00:19:22,209 --> 00:19:26,752 コルソンが独軍の攻撃を避け 第9トーチカに到着 221 00:19:28,501 --> 00:19:32,460 カフーン軍曹率いる 第242歩兵連隊の 222 00:19:32,460 --> 00:19:35,334 A中隊と合流した 223 00:19:37,084 --> 00:19:41,334 そこでは 弾薬が不足し 負傷者も多数いた 224 00:19:44,043 --> 00:19:49,710 マジノ線上での米軍の防衛は 既に ほぼ崩れていたが 225 00:19:49,918 --> 00:19:53,501 第9トーチカは 抵抗を続けていた 226 00:19:55,376 --> 00:20:01,209 コルソンは連隊に向け 全力で防衛を続けるよう指示 227 00:20:05,251 --> 00:20:08,793 ジープに残った隊員に 伝達しようとするも― 228 00:20:10,334 --> 00:20:11,835 連絡は取れず 229 00:20:13,376 --> 00:20:17,460 夜にハッテンに戻り 援護を求めることにした 230 00:20:20,918 --> 00:20:24,710 {\an8}トーチカが陥落し ハッテンが侵攻されれば 231 00:20:24,918 --> 00:20:27,168 ストラスブール 232 00:20:27,168 --> 00:20:30,251 {\an8}首府のストラスブールが 攻撃を受けることになる 233 00:20:30,251 --> 00:20:31,043 アルザス地方 234 00:20:33,126 --> 00:20:37,835 ノルトヴィント作戦の開始後 アイゼンハワーは 235 00:20:37,835 --> 00:20:41,543 アルザス地方を 手放す覚悟でいた 236 00:20:42,877 --> 00:20:46,877 {\an8}彼は北部での 攻撃を重視しており 237 00:20:46,877 --> 00:20:52,251 {\an8}南部のアルザスには あまり関心がなかった 238 00:20:52,251 --> 00:20:54,293 アレクサンドラ・リチー コレギウム・ シビタス大学 教授 239 00:20:54,293 --> 00:20:55,585 {\an8}彼は この戦線から 撤退して 240 00:20:55,585 --> 00:21:00,960 {\an8}ベルリンへの攻撃に 集中したいと考えていた 241 00:21:02,752 --> 00:21:06,501 だが その案は 仏軍の反発を受ける 242 00:21:09,334 --> 00:21:11,668 アルザスは仏軍と独軍の 243 00:21:11,793 --> 00:21:14,168 領土争いに巻き込まれてきた 244 00:21:14,501 --> 00:21:17,251 そして 当時の 重要なできごとは 245 00:21:17,251 --> 00:21:20,418 仏軍による ストラスブール解放だった 246 00:21:20,793 --> 00:21:26,043 フランスにとって その地は 非常に重要なシンボルで 247 00:21:26,043 --> 00:21:28,752 再び失うことは許されない 248 00:21:40,585 --> 00:21:44,251 ハッテンでは 独軍の歩兵と戦車が 249 00:21:44,251 --> 00:21:46,793 第1大隊本部に攻撃を開始 250 00:21:49,626 --> 00:21:53,960 援護射撃のもと 装甲擲弾兵部隊は 251 00:21:53,960 --> 00:21:55,793 地雷の撤去を行う 252 00:21:56,543 --> 00:21:59,626 今の米軍にとっての 防衛手段だ 253 00:22:00,877 --> 00:22:05,251 これで独軍の動きを止めて 時間が稼げる 254 00:22:05,251 --> 00:22:09,334 重要なのは時間稼ぎと 援軍を得ることだ 255 00:22:10,334 --> 00:22:11,835 強力な防御ではない 256 00:22:13,418 --> 00:22:16,626 独軍の戦車が 地雷を踏み 257 00:22:16,626 --> 00:22:21,543 爆発して道を封鎖すれば アメリカにとって理想的だ 258 00:22:22,793 --> 00:22:27,585 指揮所への接近と 地雷原を監視できる屋内で 259 00:22:29,293 --> 00:22:34,209 ベルトルド一等兵と 助手が機関銃を設置する 260 00:22:35,251 --> 00:22:38,710 {\an8}助手の役割は 多岐にわたるが 261 00:22:38,710 --> 00:22:41,209 スティーヴン・ザロガ 軍事史学者 著述家 262 00:22:41,209 --> 00:22:41,793 {\an8}中でも重要なのは 弾薬の装填だ 263 00:22:43,002 --> 00:22:47,752 敵軍から機関銃を守るという 副次的な役割もある 264 00:22:48,835 --> 00:22:51,126 機関銃を机に固定する 265 00:22:52,752 --> 00:22:55,585 軽機関銃は 通常 三脚に乗せる 266 00:22:55,585 --> 00:23:00,334 その三脚の先を 机に固定することで 267 00:23:00,334 --> 00:23:04,376 機関銃が安定し 正確な射撃ができる 268 00:23:11,626 --> 00:23:14,918 ベルトルドは軽機関銃で攻撃 269 00:23:25,543 --> 00:23:30,251 猛烈な射撃で 独軍は後退を余儀なくされる 270 00:23:33,585 --> 00:23:37,209 しかし今度は敵の戦車が ベルトルドを狙い― 271 00:23:38,460 --> 00:23:41,960 約70メートル先から 撃ってきた 272 00:23:41,960 --> 00:23:43,126 撃て! 273 00:23:49,126 --> 00:23:50,960 砲弾が家屋を破壊 274 00:23:53,626 --> 00:23:59,168 ベルトルド一等兵と助手は 吹き飛ばされるも― 275 00:24:00,710 --> 00:24:02,877 驚くことに無傷だった 276 00:24:03,460 --> 00:24:07,960 撃たれたのが徹甲弾だから 助かったんだ 277 00:24:08,209 --> 00:24:12,043 {\an8}そうは言っても 撃ち込まれたくないがね 278 00:24:12,043 --> 00:24:12,460 ジョン・C・マクマナス 著述家 279 00:24:12,460 --> 00:24:14,668 {\an8}激しい衝撃を受けるが 280 00:24:15,334 --> 00:24:19,418 {\an8}それでも榴弾ほど 致命的ではない 281 00:24:20,376 --> 00:24:22,835 ベルトルドは はって机に戻る 282 00:24:24,418 --> 00:24:27,626 戦車は まだ地雷原の向こうにいる 283 00:24:29,877 --> 00:24:33,168 ベルトルドは 再び機関銃を撃つ 284 00:24:35,793 --> 00:24:39,460 戦車に機関銃を撃つなんて 正気じゃない 285 00:24:40,501 --> 00:24:42,334 戦車を貫通どころか 286 00:24:42,626 --> 00:24:44,585 居場所を明かすだけだ 287 00:24:47,752 --> 00:24:51,501 独軍の司令官が ハッチから顔を出した 288 00:24:53,168 --> 00:24:55,293 ベルトルドは ライフルを取り― 289 00:24:56,168 --> 00:24:59,126 射程距離 約70メートルから発砲 290 00:25:01,501 --> 00:25:03,293 司令官を殺害した 291 00:25:08,043 --> 00:25:12,334 ベルトルドは攻撃を続け ドイツ兵を食い止める 292 00:25:14,793 --> 00:25:16,835 この戦いの行方は 293 00:25:16,835 --> 00:25:19,376 現段階では分からない 294 00:25:20,126 --> 00:25:22,626 果たしてベルトルドは― 295 00:25:23,251 --> 00:25:26,793 ハッテンへの侵攻を 止められるのか 296 00:25:26,793 --> 00:25:30,084 援軍の到着は間に合うのか 297 00:25:30,084 --> 00:25:32,043 それらにかかっている 298 00:25:35,668 --> 00:25:37,918 一方 第9トーチカでは 299 00:25:37,918 --> 00:25:41,960 ハッテンに戻る コルソン大尉が夜を待つ 300 00:25:43,626 --> 00:25:46,543 独軍の攻撃を観察し 301 00:25:46,543 --> 00:25:49,543 近くのトーチカの 状況を把握する 302 00:25:51,293 --> 00:25:56,626 ハッテンに戻り無線機で 砲兵隊の位置を知らせ― 303 00:25:57,002 --> 00:26:00,918 弾薬を送り トーチカへの 圧力を軽減したい考えだ 304 00:26:04,918 --> 00:26:07,835 突如 砲撃が砲塔を襲い 305 00:26:07,835 --> 00:26:09,710 コルソンは吹き飛ばされる 306 00:26:20,543 --> 00:26:25,626 日が沈み 独軍が 第9トーチカに迫ってきた 307 00:26:26,126 --> 00:26:31,043 プレル中佐の部隊は 精鋭歩兵部隊として 308 00:26:31,043 --> 00:26:36,376 戦車や装甲を支援し 戦況に応じて迅速に対応する 309 00:26:40,543 --> 00:26:44,668 バンカーへの攻撃に 戦車は有効ではない 310 00:26:45,251 --> 00:26:49,918 それよりも装甲歩兵や 装甲擲弾兵の方が 311 00:26:50,209 --> 00:26:52,334 バンカーの攻撃に有利だ 312 00:26:52,334 --> 00:26:56,376 {\an8}防衛システムの弱点を 認識することができ― 313 00:26:56,376 --> 00:26:57,710 ペーター・リーブ 軍事史学者 314 00:26:57,710 --> 00:26:59,960 {\an8}戦車の側面も 保護できるからだ 315 00:27:11,002 --> 00:27:12,334 コルソンが負傷し 316 00:27:12,752 --> 00:27:16,209 カフーン軍曹は 難しい選択を迫られる 317 00:27:18,877 --> 00:27:21,877 独軍の砲撃は激しさを増す 318 00:27:26,668 --> 00:27:30,752 弾薬が尽き 負傷者が続出する中 319 00:27:30,752 --> 00:27:35,043 カフーンは安全なバンカーに 戻るよう指示する 320 00:27:36,543 --> 00:27:39,501 私たちは第二次大戦中の バンカーを 321 00:27:39,501 --> 00:27:42,168 頑丈な要塞と考えがちだ 322 00:27:42,168 --> 00:27:44,668 だがバンカーの中にいるのは 323 00:27:44,668 --> 00:27:47,626 恐怖に怯える兵士たちだ 324 00:27:48,251 --> 00:27:53,168 外の様子は 小さな隙間からしか見えない 325 00:27:58,126 --> 00:28:03,501 兵士たちは暗闇の中で 周囲の音に耳を澄ます 326 00:28:15,918 --> 00:28:17,710 トーチカの中で― 327 00:28:18,126 --> 00:28:23,002 ドイツ兵が換気管に 爆薬を詰め込む音を聞く 328 00:28:24,334 --> 00:28:29,835 {\an8}1945年の戦闘が 始まる前に独軍が来て 329 00:28:29,835 --> 00:28:31,084 スティーヴン・ザロガ 軍事史学者 著述家 330 00:28:31,084 --> 00:28:34,209 {\an8}バンカーの鋼鉄製品を すべて持ち去った 331 00:28:34,209 --> 00:28:37,835 それらは大西洋の壁に 使われた 332 00:28:37,835 --> 00:28:42,376 そのため バンカーは 攻撃に対して脆弱だ 333 00:28:42,376 --> 00:28:45,835 換気シャフトは 弱点になり得る 334 00:28:48,084 --> 00:28:50,376 カフーンには 反撃の手段がない 335 00:28:50,376 --> 00:28:53,710 爆薬が爆発すれば 彼らの命はない 336 00:28:55,209 --> 00:28:58,168 弾薬は使い果たしてしまい 337 00:28:58,168 --> 00:29:00,710 大部隊とも連絡が取れない 338 00:29:00,710 --> 00:29:03,043 彼は部下を 外に出せずにいた 339 00:29:05,960 --> 00:29:10,501 負傷したコルソン大尉に カフーンが相談する 340 00:29:11,543 --> 00:29:15,209 {\an8}いたる所に 独軍がいる今の状況では 341 00:29:15,209 --> 00:29:18,960 {\an8}部下たちは 死んでしまうだろう 342 00:29:18,960 --> 00:29:20,668 ジョン・C・マクマナス 著述家 343 00:29:20,668 --> 00:29:20,918 {\an8}カフールは降伏を決めた 344 00:29:29,002 --> 00:29:30,710 コルソンは同意した 345 00:29:38,460 --> 00:29:41,251 カフーンは ドイツ兵に降伏を伝える 346 00:29:45,209 --> 00:29:48,626 残りのA中隊が 負傷した仲間や司令官と 347 00:29:48,626 --> 00:29:50,918 第9トーチカを出る 348 00:29:56,626 --> 00:29:59,752 マジノ線の最後の守備隊は 349 00:29:59,752 --> 00:30:02,376 捕虜として捕らえられる 350 00:30:06,960 --> 00:30:10,251 村の外側の 米軍を排除したことで 351 00:30:10,251 --> 00:30:13,877 独軍は難なく ハッテンに侵入できる 352 00:30:19,668 --> 00:30:24,126 1945年1月9日の夜 フランス北東部 353 00:30:26,877 --> 00:30:30,043 米軍の新たな防衛線は 354 00:30:30,043 --> 00:30:32,710 ハッテンの村 そのものになった 355 00:30:37,209 --> 00:30:41,918 第9トーチカ陥落のあとも 町の東部には 356 00:30:41,918 --> 00:30:47,460 第242歩兵連隊第1大隊と 第2大隊の指揮所がある 357 00:30:49,168 --> 00:30:50,877 しかし援軍が必要だ 358 00:30:53,626 --> 00:30:57,168 独軍は攻撃に対し 多くの物資― 359 00:30:57,168 --> 00:31:00,877 火力 人員を投入して 反撃してきた 360 00:31:00,877 --> 00:31:03,293 独軍の作戦は単純明快だ 361 00:31:03,626 --> 00:31:06,460 ジョン・C・マクマナス 著述家 362 00:31:06,460 --> 00:31:06,960 {\an8}ハッテンを奪還し 状況を逆転するんだ 363 00:31:09,126 --> 00:31:11,877 一方 第一大隊は指揮所を 364 00:31:11,877 --> 00:31:15,501 教会から離れた 別の場所に移す 365 00:31:19,877 --> 00:31:22,668 ベルトルド一等兵は その場に留まり 366 00:31:22,668 --> 00:31:25,918 夜通しの援護を志願した 367 00:31:33,334 --> 00:31:34,752 なぜ志願したか? 368 00:31:34,960 --> 00:31:37,835 死にたいわけじゃないだろう 369 00:31:38,710 --> 00:31:43,334 だが状況によっては 死を覚悟していたと思う 370 00:31:43,835 --> 00:31:48,043 それを考えると 勇気ある決断だ 371 00:31:51,752 --> 00:31:54,752 夜が明けるとすぐに独軍は 372 00:31:54,752 --> 00:31:58,334 米軍より先に攻撃を開始した 373 00:32:00,002 --> 00:32:03,251 独軍はハッテンから 米軍を撤退させ 374 00:32:03,251 --> 00:32:06,209 ストラスブールへ 進出しようとする 375 00:32:06,668 --> 00:32:09,251 ペーター・リーブ 軍事史学者 376 00:32:09,251 --> 00:32:09,585 {\an8}これには 高い象徴的価値がある 377 00:32:10,251 --> 00:32:14,251 “アルザスの首都は ドイツであるべき” 378 00:32:14,251 --> 00:32:17,209 これがナチスの考え方だ 379 00:32:23,918 --> 00:32:27,668 到着した米軍の援軍は 独軍の進撃を阻むが 380 00:32:28,710 --> 00:32:33,376 ベルトルドと指揮所に たどり着けない 381 00:32:39,918 --> 00:32:41,334 日が暮れても 382 00:32:41,334 --> 00:32:44,918 ベルトルドは 地雷原の前にいる 383 00:32:55,293 --> 00:33:00,334 独軍は足止めする地雷を 何度も撤去しようとする 384 00:33:05,126 --> 00:33:09,293 ベルトルドは機関銃で 撤去を妨害 385 00:33:17,084 --> 00:33:20,460 ドイツ兵は散り散りになり 戦車は後退 386 00:33:22,877 --> 00:33:27,251 ベルトルドと助手は 銃弾を補充する 387 00:33:28,752 --> 00:33:32,418 ベルトルドたちは 敵のダメージ数を 388 00:33:32,585 --> 00:33:35,918 チョークで壁に記録するんだ 389 00:33:36,084 --> 00:33:39,877 それで気が紛れて 心を保てるなら 390 00:33:39,877 --> 00:33:42,501 それはそれでいいだろう 391 00:33:43,668 --> 00:33:45,793 突然 状況が悪化 392 00:33:48,752 --> 00:33:50,710 家屋が破壊され 393 00:33:51,043 --> 00:33:53,626 ベルトルドは爆風で倒れる 394 00:33:57,501 --> 00:34:01,251 爆発で自身も 負傷したにも関わらず 395 00:34:01,251 --> 00:34:03,418 助手を助けようとする 396 00:34:07,752 --> 00:34:09,960 相棒は重症を負っている 397 00:34:09,960 --> 00:34:13,752 手当てをして 別の場所へ移動するのも 398 00:34:14,209 --> 00:34:16,293 非常に困難な状況だ 399 00:34:22,043 --> 00:34:25,168 助手を危険な位置から 遠ざける 400 00:34:25,585 --> 00:34:27,376 外を見ると― 401 00:34:29,293 --> 00:34:33,543 脇道に忍び寄る 敵戦車の砲身が見える 402 00:34:34,710 --> 00:34:36,209 その瞬間― 403 00:34:37,710 --> 00:34:39,752 戦車が炎上する 404 00:34:41,585 --> 00:34:46,251 攻撃したのは2階にいた バズーカ砲部隊だ 405 00:34:47,835 --> 00:34:50,835 戦車は激しく炎上し後退する 406 00:34:53,793 --> 00:34:56,418 ベルトルドが機関銃で攻撃 407 00:35:00,460 --> 00:35:03,043 怒りを込めた攻撃だ 408 00:35:06,084 --> 00:35:09,460 仲間を負傷させた独軍に 打撃を与える 409 00:35:11,501 --> 00:35:14,209 これはベルトルドの戦いだ 410 00:35:21,002 --> 00:35:24,835 助手を負傷させた代償を 払わせるため― 411 00:35:24,835 --> 00:35:30,209 ベルトルドは燃える戦車から 逃げ出すドイツ兵を狙う 412 00:35:45,293 --> 00:35:48,209 1月10日 23時 413 00:35:50,710 --> 00:35:55,043 歩兵第242連隊は ハッテンから西の安全な村に 414 00:35:55,043 --> 00:35:59,334 退却するようにとの 命令が下される 415 00:35:59,835 --> 00:36:01,793 前日の攻撃開始以来 416 00:36:01,793 --> 00:36:04,835 大隊は必死に 持ちこたえていた 417 00:36:05,752 --> 00:36:07,209 撤退は小人数で動く 418 00:36:08,126 --> 00:36:10,501 仲間の背後をカバーし 419 00:36:10,501 --> 00:36:14,334 隠れながら 建物の間を抜けていく 420 00:36:14,877 --> 00:36:17,460 とにかく逃げるんだ 421 00:36:17,668 --> 00:36:18,543 今だ 進め 422 00:36:18,543 --> 00:36:23,668 交代する兵士と入り交じり さらに混乱が生じる 423 00:36:34,626 --> 00:36:36,918 助手を失ったベルトルドは 424 00:36:37,043 --> 00:36:41,668 退却する部隊の援護射撃を 再び買って出る 425 00:36:43,752 --> 00:36:48,376 {\an8}援護射撃をする者にも 疑問がつきまとうだろう 426 00:36:48,376 --> 00:36:50,835 ジョン・C・マクマナス 著述家 427 00:36:50,835 --> 00:36:51,168 {\an8}“自分は 逃げられるのか”とね 428 00:36:53,626 --> 00:36:57,002 暗闇の中 ドイツ兵は 指揮所にたどり着き 429 00:36:57,002 --> 00:36:59,835 ベルトルドの下まで来た 430 00:37:01,293 --> 00:37:05,126 この位置からでは 機関銃が撃てない 431 00:37:10,752 --> 00:37:14,251 代わりに彼は 手榴りゅう弾に手を伸ばす 432 00:37:16,626 --> 00:37:18,835 リンを含む兵器は 433 00:37:18,835 --> 00:37:22,376 隠れるための 煙幕によく使われる 434 00:37:23,710 --> 00:37:28,877 リンは空気中の 酸素に触れると自然発火し 435 00:37:28,877 --> 00:37:34,293 760度以上の高温で燃えると 濃い煙を発生させる 436 00:37:35,877 --> 00:37:40,084 またリンを含む手榴弾や 砲弾は放火性があり 437 00:37:40,084 --> 00:37:41,752 目標を焼くことが可能だ 438 00:37:42,543 --> 00:37:45,460 人間は炎に巻き込まれる 439 00:37:45,460 --> 00:37:49,543 簡単に甚大な被害をもたらす 恐ろしい兵器だ 440 00:37:49,543 --> 00:37:53,543 白リン弾だと 半径約18メートルから 441 00:37:53,543 --> 00:37:59,126 破片が飛び出し 皮膚を焼き尽くすこともある 442 00:38:00,126 --> 00:38:05,418 水で消火しても リンは蒸発して再着火する 443 00:38:23,376 --> 00:38:26,460 ベルトルドの一斉射撃で 兵士が散る 444 00:38:28,793 --> 00:38:33,626 進撃を妨げるベルトルドを 独軍が攻撃する 445 00:38:39,626 --> 00:38:43,126 ベルトルドは再び 吹き飛ばされる 446 00:38:45,126 --> 00:38:47,626 おそらく独軍の誰かが 447 00:38:47,626 --> 00:38:51,376 戦車から ベルトルドを狙っている 448 00:38:52,043 --> 00:38:55,293 それに白リン弾を 使ってきたなら― 449 00:38:55,293 --> 00:38:58,002 至急 犯人を 捕らえる必要がある 450 00:38:58,960 --> 00:39:01,877 独軍の戦車が 窓に狙いを定めた 451 00:39:04,209 --> 00:39:07,002 彼はひどい脳振盪を起こした 452 00:39:08,002 --> 00:39:12,793 耳や聴覚に 相当なダメージを受けている 453 00:39:15,084 --> 00:39:19,126 だが彼の直近の問題は 眼鏡が壊れたことだ 454 00:39:19,960 --> 00:39:22,835 機関銃はもう使えない 455 00:39:23,293 --> 00:39:25,835 だがベルトルドは諦めずに 456 00:39:26,209 --> 00:39:30,960 ライフルを手に取り ドイツ兵を狙い攻撃する 457 00:39:39,168 --> 00:39:41,585 彼はすべてを懸けて 戦ってきた 458 00:39:41,877 --> 00:39:44,251 革新的な判断をし― 459 00:39:44,793 --> 00:39:47,293 勇気あふれる行動をとった 460 00:40:09,209 --> 00:40:13,002 2日間 地雷原を 死守したベルトルドは 461 00:40:13,002 --> 00:40:16,543 ようやく撤退を告げられる 462 00:40:42,334 --> 00:40:46,126 ベルトルドと 第242歩兵連隊の兵士は 463 00:40:46,126 --> 00:40:48,960 ハッテンに進む独軍を 阻止した 464 00:40:53,334 --> 00:40:56,460 ハッテンでの戦闘は さらに10日間続き― 465 00:40:59,002 --> 00:41:02,460 独軍のストラスブール奪還は 阻止された 466 00:41:03,752 --> 00:41:09,168 1945年1月の戦闘は 実に苛酷な戦いだった 467 00:41:09,168 --> 00:41:12,460 {\an8}苛烈な市街戦が 繰り広げられた 468 00:41:12,835 --> 00:41:15,710 当然 住民たちも被害に遭い 469 00:41:15,710 --> 00:41:18,752 美しい街の インフラも破壊された 470 00:41:18,752 --> 00:41:20,835 全壊した街もある 471 00:41:21,418 --> 00:41:25,376 結局ヒムラーは 第三帝国建国12周年記念に 472 00:41:25,376 --> 00:41:29,376 ストラスブールを 総統に捧げられなかった 473 00:41:31,752 --> 00:41:35,835 しかしヒトラーは ヒムラーを再び昇進させ 474 00:41:35,835 --> 00:41:40,084 “ヴァイクセル軍集団”の 指揮を任せた 475 00:41:40,334 --> 00:41:43,835 {\an8}ヒムラーは最初の任務に 失敗したのに 476 00:41:43,835 --> 00:41:44,877 ペーター・リーブ 軍事史学者 477 00:41:44,877 --> 00:41:46,585 {\an8}重要任務を 与えられたんだ 478 00:41:48,376 --> 00:41:51,960 捕虜になったコルソン大尉 カフーン軍曹に― 479 00:41:51,960 --> 00:41:54,043 シュミット一等兵 480 00:41:54,251 --> 00:41:56,960 そして第9トーチカの 兵士たちは 481 00:41:56,960 --> 00:42:00,084 捕虜収容所で終戦を迎える 482 00:42:03,376 --> 00:42:05,668 第242大隊の第1大隊は 483 00:42:05,668 --> 00:42:10,126 ハッテンでの功績を称える 勲章を授与された 484 00:42:10,793 --> 00:42:14,626 新兵の戦力の 7割近い500人以上の兵士と 485 00:42:14,626 --> 00:42:18,043 将校が犠牲になったと 認められた 486 00:42:22,043 --> 00:42:27,501 プロル中佐は1月19日まで ハッテンへの攻撃を継続 487 00:42:28,293 --> 00:42:30,752 彼の大隊も 壊滅的な打撃を受け 488 00:42:30,752 --> 00:42:32,835 生存者は100名のみだった 489 00:42:33,626 --> 00:42:37,168 彼はこの作戦で 鉄十字勲章を授与される 490 00:42:37,168 --> 00:42:41,501 表彰では米軍の攻撃を 35回撃退したと記された 491 00:42:42,501 --> 00:42:45,585 彼の栄誉は 1月末前に発表された 492 00:42:46,043 --> 00:42:48,126 様々な理由が考えられる 493 00:42:48,418 --> 00:42:51,877 まず1つは 彼が非常に優れており 494 00:42:51,877 --> 00:42:56,251 明らかに勲章の授与に ふさわしかったからだ 495 00:42:56,626 --> 00:42:59,084 別の理由も考えられる 496 00:42:59,084 --> 00:43:02,877 独軍が敗北を隠すため 勲章を授与して 497 00:43:02,877 --> 00:43:08,293 英雄的な敗北を演出する 意図があったかもしれない 498 00:43:09,960 --> 00:43:14,084 ベルトルド一等兵は 粘り強さと勇気を称えられ 499 00:43:15,418 --> 00:43:19,543 最高位の名誉勲章を 授与された 500 00:43:21,418 --> 00:43:24,251 指揮官のコルソン大尉は 501 00:43:24,251 --> 00:43:28,209 帰国後 新聞で この件を知ることになる 502 00:43:28,793 --> 00:43:33,209 役立たずの調理兵は 優れた兵士だったのだ 503 00:43:35,668 --> 00:43:37,710 コルソンは驚いただろう 504 00:43:37,918 --> 00:43:39,835 “なぜ見抜けなかった?” とね 505 00:43:41,460 --> 00:43:44,960 {\an8}ヒトラーの “ラインの守り作戦”と 506 00:43:44,960 --> 00:43:48,126 {\an8}“ノルトヴィント作戦”は 1945年1月まで続く 507 00:43:48,877 --> 00:43:52,501 {\an8}しかし思惑通りには いかなかった 508 00:43:52,501 --> 00:43:57,418 {\an8}そして国境まで撤退を 余儀なくされた独軍は 509 00:43:57,418 --> 00:44:00,752 {\an8}防衛体制を固め 連合軍を迎え撃つ 510 00:44:03,501 --> 00:44:08,418 {\an8}欧州での大戦は さらに3ヵ月続く 511 00:44:09,002 --> 00:44:10,126 日本語字幕 塚原 雅子 ベレスフォード 由紀江