1 00:00:49,299 --> 00:00:53,679 ファイヤーボール:宇宙からの来訪者 2 00:01:01,270 --> 00:01:04,397 メキシコ メリダ死者の日 3 00:01:09,987 --> 00:01:12,990 ユカタン半島のメリダ 4 00:01:13,115 --> 00:01:18,829 ここは地球上で最も大きな変動が起きた地点です 5 00:01:19,162 --> 00:01:22,416 小惑星が衝突したのです 6 00:01:23,125 --> 00:01:27,379 人類が現れる何百万年も前のことなのに–– 7 00:01:27,504 --> 00:01:32,384 この火の玉の儀式は再現しているかのようです 8 00:01:33,051 --> 00:01:37,222 むろん古代マヤも現れる以前のことです 9 00:01:42,311 --> 00:01:45,772 人類を絶滅させるものが訪れるのか 10 00:01:42,769 --> 00:01:45,772 シベリアチェリャビンスク 11 00:01:45,898 --> 00:01:48,233 それはわかりません 12 00:01:48,442 --> 00:01:52,112 しかしシベリア上空の火の玉のようで–– 13 00:01:52,237 --> 00:01:54,364 ずっと巨大なものでしょう 14 00:01:56,575 --> 00:02:01,955 車載カメラの映像はあたかもSFのようです 15 00:02:32,653 --> 00:02:38,325 未知の世界 暗黒の宇宙からの来訪者はいます 16 00:02:38,450 --> 00:02:41,578 まだ無数が旅の途中です 17 00:02:45,290 --> 00:02:50,212 オ︱ストラリア西部ウルフ・クリ︱ク・クレ︱タ︱ 18 00:02:46,875 --> 00:02:49,378 巨大なものが来たら︱ 19 00:02:49,503 --> 00:02:53,215 昼間の空をも明るく照らすでしょう 20 00:02:53,715 --> 00:02:56,927 それは数百万年後かもしれません 21 00:03:00,722 --> 00:03:04,226 隕石は常に地球に衝突しており–– 22 00:03:04,351 --> 00:03:08,397 大きなものは根本的に地形を変えました 23 00:03:08,897 --> 00:03:12,818 そして文化に深い影響を残しました 24 00:03:13,986 --> 00:03:16,613 その代表がイスラム文化 25 00:03:17,114 --> 00:03:23,036 伝説で その石はアダムとイブが祭壇を作るため 26 00:03:23,161 --> 00:03:27,624 神が送ったものと言い伝えられています 27 00:03:29,251 --> 00:03:34,548 隕石の落下した所に聖地メッカが築かれました 28 00:03:38,594 --> 00:03:42,431 サウジアラビアメッカ 29 00:03:41,597 --> 00:03:45,851 ここはイスラムの世界で最も聖なる地 30 00:03:46,185 --> 00:03:48,312 その中心にあるカアバ神殿 31 00:03:48,687 --> 00:03:52,357 東側の端に黒い石が置かれています 32 00:03:52,608 --> 00:03:57,988 預言者ムハンマドがイスラム教を創立する–– 33 00:03:58,322 --> 00:04:01,992 千年前から重んじられていました 34 00:04:04,536 --> 00:04:11,210 黒い石は銀で縁取られ分析することは許されませんが 35 00:04:11,335 --> 00:04:15,047 間違いなく隕石でしょう 36 00:04:18,675 --> 00:04:23,013 イスラム教の信者は19億人 37 00:04:23,347 --> 00:04:28,936 巡礼者にとって 黒い石は最も崇敬する遺跡なのです 38 00:04:29,061 --> 00:04:34,107 手に触れ接吻する人が尽きることはありません 39 00:04:35,776 --> 00:04:41,323 信者以外は聖都に立ち入ることさえできません 40 00:04:41,865 --> 00:04:47,162 ですから信者が携帯で撮影した映像が頼りです 41 00:05:13,605 --> 00:05:18,610 ここは広漠としたオーストラリアの砂漠 42 00:05:21,238 --> 00:05:24,533 ケンブリッジ大学のクライブ・オッペンハイマー 43 00:05:24,658 --> 00:05:29,413 この映画の発案者が説明してくれました 44 00:05:30,539 --> 00:05:35,169 科学者がこの穴に気づいたのは1947年 45 00:05:35,294 --> 00:05:37,629 上空から見た時でした 46 00:05:37,838 --> 00:05:41,091 クレーターの直径は約1キロ 47 00:05:41,216 --> 00:05:44,511 クライブ・オッペンハイマ︱ 48 00:05:41,884 --> 00:05:46,597 できた原因となった鉄の小惑星は 49 00:05:47,055 --> 00:05:53,937 戦艦ほどの大きさで毎秒15キロで落下しました 50 00:05:54,229 --> 00:06:00,152 クレーターの側面は古代の岩でできており–– 51 00:06:00,277 --> 00:06:03,697 落下の衝撃で飛び散ったものです 52 00:06:04,198 --> 00:06:10,412 隕石そのものはほとんど気化していますが–– 53 00:06:10,829 --> 00:06:17,377 散乱した わずかな破片が周囲の砂漠で見つかっています 54 00:06:19,671 --> 00:06:23,467 噴出物の広がり方から落下は–– 55 00:06:23,884 --> 00:06:26,428 この方角だとわかります 56 00:06:26,970 --> 00:06:32,017 異常な高温で落下し巨大な熱プルームを生じました 57 00:06:32,142 --> 00:06:34,937 大気を成層圏まで突き上げ–– 58 00:06:35,062 --> 00:06:39,983 溶けた破片が広範囲に降り注いだでしょう 59 00:06:40,108 --> 00:06:43,570 当然 その衝撃により–– 60 00:06:43,779 --> 00:06:48,367 巨大なエネルギーが生じ地震も起きたでしょう 61 00:06:48,534 --> 00:06:50,410 ここは砂漠ですが–– 62 00:06:50,536 --> 00:06:56,625 同様のことが都会だったらと想像してみてください 63 00:06:56,750 --> 00:06:58,961 全てを崩壊するでしょう 64 00:06:59,086 --> 00:07:02,881 隕石がぶつかった人はいますか? 65 00:07:03,131 --> 00:07:08,345 テレビを見ていて隕石が当たった女性がいます 66 00:07:08,470 --> 00:07:11,348 屋根を突き抜けて–– 67 00:07:11,807 --> 00:07:15,352 天井から落下してきたのです 68 00:07:11,807 --> 00:07:18,021 1954年11月30日午後12時46分 69 00:07:15,477 --> 00:07:18,021 シラコ︱ガ隕石と呼ばれています 70 00:07:18,814 --> 00:07:21,400 ひどい打撲を負いました 71 00:07:19,731 --> 00:07:24,236 アラバマ州シラコ︱ガアン・ホッジス 72 00:07:27,990 --> 00:07:32,369 荒涼として わびしいクレーター周辺には–– 73 00:07:32,494 --> 00:07:36,206 昔から先住民が生活しています 74 00:07:37,165 --> 00:07:40,085 多くが芸術で生計を立てています 75 00:07:38,250 --> 00:07:42,838 〝ビリルナ・ア︱トセンタ︱〟 76 00:07:40,210 --> 00:07:44,047 クレーターに近いビリルナが一例です 77 00:07:45,090 --> 00:07:49,845 10万年前の出来事は知る由もありませんが–– 78 00:07:49,970 --> 00:07:55,058 現在の活動によって文化を継承しています 79 00:07:55,475 --> 00:08:00,272 クレーターがモチーフの絵画が多いですが–– 80 00:08:00,397 --> 00:08:02,774 背景に言い伝えもあります 81 00:08:04,735 --> 00:08:09,781 ケイティ・ダーキーは地域の中でも優れた芸術家 82 00:08:10,073 --> 00:08:12,201 あなたの作品ですか? 83 00:08:12,326 --> 00:08:13,744 見せてください 84 00:08:17,456 --> 00:08:20,959 美しいですね何を描いてます? 85 00:08:21,084 --> 00:08:22,628 ここが砂丘で–– 86 00:08:23,754 --> 00:08:25,380 これが草地です 87 00:08:25,506 --> 00:08:27,341 ブッシュポテト〝カ︱ンティ〟は 88 00:08:27,216 --> 00:08:31,303 芸術家ケイティ・ダ︱キ︱ 89 00:08:27,466 --> 00:08:28,842 育ちません 90 00:08:29,259 --> 00:08:32,679 昔の人の言い伝えがあります 91 00:08:33,429 --> 00:08:39,352 ある男が小川を渡り野鳥狩りに出かけたそうです 92 00:08:39,520 --> 00:08:45,984 彼は川の下を抜けるトンネルを通っていたのです 93 00:08:46,109 --> 00:08:50,531 そしてクレーターの反対側に出て–– 94 00:08:51,198 --> 00:08:56,620 狩猟に出る前の元の場所に戻ったそうです 95 00:08:57,871 --> 00:09:03,252 その話の中でクレーターは何だと言われています? 96 00:09:03,752 --> 00:09:07,339 “カーンティヤ”の世界では隕石と 97 00:09:07,464 --> 00:09:08,632 それは白人が? 98 00:09:08,757 --> 00:09:14,179 そうです星が落ちたと言う人もいました 99 00:09:15,264 --> 00:09:21,562 でも先祖や年配の人たちは虹蛇が落ちたと言います 100 00:09:21,979 --> 00:09:27,526 クレーターには3つの話があり全て1つにつながります 101 00:09:28,819 --> 00:09:30,487 週末に–– 102 00:09:31,405 --> 00:09:35,242 子供を連れてキャンプに行きます 103 00:09:35,659 --> 00:09:40,163 クレーターを訪れ先祖や家族を身近に感じ–– 104 00:09:40,330 --> 00:09:44,918 見守ってくれていると考えるからです 105 00:09:46,086 --> 00:09:51,466 私たちや家族にとっても大切な場所なのです 106 00:10:29,963 --> 00:10:32,841 隕石はどこにでも落下します 107 00:10:32,966 --> 00:10:37,095 フランスのアルザス地方にも例があります 108 00:10:38,972 --> 00:10:44,603 ここでは人々の生活を変え歴史にも影響しました 109 00:11:09,044 --> 00:11:12,464 遠方に見えるのがエンシスハイムの町 110 00:11:12,631 --> 00:11:17,052 フランス アルザスエンシスハイム 111 00:11:13,715 --> 00:11:17,553 15世紀に世界の歴史がここで作られました 112 00:11:17,678 --> 00:11:21,390 落下した石によってハプスブルク帝国は–– 113 00:11:21,515 --> 00:11:23,934 正当性を得ました 114 00:11:24,893 --> 00:11:27,980 落下の記念碑があります 115 00:11:31,733 --> 00:11:34,736 クライブが大学の同僚の–– 116 00:11:34,862 --> 00:11:37,781 教授を連れてきました 117 00:11:35,404 --> 00:11:40,367 ケンブリッジ大学サイモン・シャフナ︱ 118 00:11:38,407 --> 00:11:43,912 科学史家で数少ない博学者の1人です 119 00:11:44,580 --> 00:11:49,585 1492年11月7日に何が起きたのですか? 120 00:11:49,877 --> 00:11:53,672 その記念すべき日に–– 121 00:11:53,797 --> 00:11:58,427 火の玉がこの南東方向から現れたのです 122 00:11:58,552 --> 00:12:03,098 すごい速度で鋭い音を立て近づいてきました 123 00:12:03,223 --> 00:12:08,896 そして午前11時半頃ここに落下しました 124 00:12:09,146 --> 00:12:14,526 多くの記録によればそこに立っていたのは1人 125 00:12:14,651 --> 00:12:18,405 羊飼いの少年が見たと言われています 126 00:12:18,530 --> 00:12:24,203 136キロもの岩が地面に落下し 穴をあけたのを 127 00:12:24,328 --> 00:12:26,872 目撃したのでしょう 128 00:12:27,414 --> 00:12:33,879 その石が落下した1492年11月7日とは–– 129 00:12:34,004 --> 00:12:40,052 もう1つの重要な出来事のわずか数日後のことでした 130 00:12:40,177 --> 00:12:43,680 クリストファー・コロンブスの–– 131 00:12:43,805 --> 00:12:47,226 カリブ海の新大陸発見です 132 00:12:48,018 --> 00:12:50,687 結果コロンブスのおかげで–– 133 00:12:50,812 --> 00:12:53,857 ここにトウモロコシが育っています 134 00:12:53,982 --> 00:12:59,196 それ以前はアメリカだけで栽培された作物が–– 135 00:12:59,321 --> 00:13:02,866 ヨーロッパ農業に入ってきたわけです 136 00:13:03,325 --> 00:13:07,246 石の落下は大きな事件だったので–– 137 00:13:07,371 --> 00:13:11,708 1492年について述べた年代記がありますが 138 00:13:11,834 --> 00:13:14,878 エンシスハイムの石は記載しても–– 139 00:13:15,003 --> 00:13:17,381 コロンブスのことは省いています 140 00:13:18,549 --> 00:13:23,512 当時 考えられたように石は神からの授かり物か 141 00:13:23,637 --> 00:13:30,060 アルザスのエンシスハイムに近いことに意味があるのです 142 00:13:30,185 --> 00:13:33,981 当時 この町は地域の中でも–– 143 00:13:34,106 --> 00:13:38,277 オーストリア軍の支配の中心地でした 144 00:13:38,402 --> 00:13:42,656 石が落下した2週間後に–– 145 00:13:42,948 --> 00:13:50,747 オーストリア軍の最高司令官マクシミリアンも到着しました 146 00:13:52,165 --> 00:13:56,295 なぜ この時期に石が落下したのでしょう? 147 00:13:56,545 --> 00:14:03,135 この土地に石が落下したのは何かの予兆だったのでしょう 148 00:14:03,427 --> 00:14:09,224 人々は超自然現象を天からのお告げと解釈しました 149 00:14:09,349 --> 00:14:12,895 マクシミリアンの件で天から–– 150 00:14:13,020 --> 00:14:15,606 メールを受信したかのようです 151 00:14:15,731 --> 00:14:19,902 彼は敵を打破する正当な支配者だから–– 152 00:14:20,027 --> 00:14:22,321 従うよう告げているのです 153 00:14:22,446 --> 00:14:24,740 どんなところが魅力? 154 00:14:24,865 --> 00:14:29,745 隕石に取りつかれる理由の1つとしては–– 155 00:14:29,870 --> 00:14:35,042 それが意味を持つ感性を広げるからです 156 00:14:35,250 --> 00:14:39,922 落下とともに降り注ぐ他のものを想像させる 157 00:14:40,047 --> 00:14:45,677 旧約聖書に記述された殺りく カエル 血の川など 158 00:14:45,802 --> 00:14:48,472 災いや大異変のことです 159 00:14:48,597 --> 00:14:53,143 隕石のような物は動物のように生命を宿し–– 160 00:14:53,268 --> 00:14:56,396 私たちに何かを伝えていると 161 00:14:56,522 --> 00:15:00,108 強く訴える力があると考えたのでしょう 162 00:15:00,234 --> 00:15:06,490 隕石がもたらす意味と人類に課せられた任務は–– 163 00:15:07,074 --> 00:15:11,995 その意味を解釈することという見解なのです 164 00:15:12,955 --> 00:15:16,333 サイモン・シャファーの話は–– 165 00:15:16,458 --> 00:15:20,003 尽きることなく続いたかもしれません 166 00:15:20,128 --> 00:15:25,467 ともかく地元の博物館へ実際の石を見に行きました 167 00:15:26,051 --> 00:15:30,013 非現実に思えて想像力をそそります 168 00:15:31,598 --> 00:15:35,060 町長も駆けつけてくれ–– 169 00:15:35,185 --> 00:15:39,106 隕石ファンと共に歓迎してくれました 170 00:15:40,065 --> 00:15:46,446 象徴画は中世の木版で作られ至る所で見られます 171 00:15:47,781 --> 00:15:53,954 過去を振り返り 何世紀も先を考えることになるのです 172 00:15:54,830 --> 00:16:01,420 石でつながる仲間は遠い未来を考えているのでしょうか? 173 00:16:02,337 --> 00:16:04,089 何を考え–– 174 00:16:04,464 --> 00:16:08,010 未来を計画しているのでしょう? 175 00:16:09,595 --> 00:16:12,973 もしも人類が絶滅したら? 176 00:16:14,016 --> 00:16:19,229 将来 銀河へ旅立つ宇宙飛行士たちが–– 177 00:16:19,354 --> 00:16:24,443 地球を見殺しにしないと証明できるでしょうか? 178 00:16:25,861 --> 00:16:30,782 石が置かれた横にはこんな展示がありました 179 00:16:36,246 --> 00:16:39,958 “私の名前はジャン”と地球外生命体に–– 180 00:16:40,083 --> 00:16:42,377 フランス語で語ります 181 00:16:42,503 --> 00:16:44,296 “私は炭鉱夫です” 182 00:16:44,421 --> 00:16:47,799 “この星はこのように美しい” 183 00:16:49,510 --> 00:16:55,974 “しかし上空から危険が迫るとわかれば策を講じます” 184 00:16:56,183 --> 00:17:00,229 “地面を掘りシェルターを作ります” 185 00:17:00,646 --> 00:17:04,441 “10年間は生き延びることができます” 186 00:17:05,108 --> 00:17:11,156 “大火災でも人類は生き残ると確信しています” 187 00:17:11,781 --> 00:17:15,117 “しかし私は預言者ではありません” 188 00:17:18,288 --> 00:17:21,290 “ご来訪ありがとうございました” 189 00:17:34,513 --> 00:17:36,849 〝ヴァルホ︱ル・アリ︱ナ〟 190 00:17:36,390 --> 00:17:40,269 ノルウェ︱オスロ︱ 191 00:17:36,974 --> 00:17:42,354 次の目的地はノルウェ︱の競技場です 192 00:17:43,772 --> 00:17:48,819 広大な施設でサッカー場がすっぽり入ります 193 00:17:49,945 --> 00:17:52,823 しかし関心は屋上にあります 194 00:17:52,948 --> 00:17:56,743 ノルウェ︱の有名なジャズ演奏家 195 00:17:55,242 --> 00:18:00,163 ヨン・ラ︱セン 196 00:17:56,869 --> 00:18:00,163 ヨン・ラ︱センです 197 00:18:01,123 --> 00:18:07,713 彼は市民科学者でもあり確固たる理由でここにいます 198 00:18:26,648 --> 00:18:29,943 なぜここを選んだのですか? 199 00:18:30,235 --> 00:18:37,409 衛星画像アプリで探し最も広い屋上を見つけました 200 00:18:37,534 --> 00:18:42,748 当時オスローでは最大の競技場でした 201 00:18:42,873 --> 00:18:45,626 そこで考えたのは–– 202 00:18:46,418 --> 00:18:52,716 小さな物体が転がり蓄積して排水溝にたまるだろうと 203 00:18:52,841 --> 00:18:56,386 見てのとおり泥がありますが–– 204 00:18:56,512 --> 00:19:00,140 宇宙のちりが見つかると思いました 205 00:19:00,516 --> 00:19:01,934 動機は? 206 00:19:02,059 --> 00:19:06,605 演奏家として40年ものキャリアがあるのに 207 00:19:06,980 --> 00:19:10,651 ファンから逃れて屋上に行きついた? 208 00:19:10,776 --> 00:19:14,738 地質学に興味があり岩石を集めていました 209 00:19:14,863 --> 00:19:17,824 生涯の趣味だったのです 210 00:19:17,950 --> 00:19:23,664 10年前 戸外で朝食をとっていた時に–– 211 00:19:23,789 --> 00:19:28,627 テーブルの上に光る黒い点を発見しました 212 00:19:28,752 --> 00:19:31,505 2秒前はなかったのに 213 00:19:31,630 --> 00:19:33,340 指でつまみました 214 00:19:33,465 --> 00:19:36,885 私の鉱物学知識は素人ですから–– 215 00:19:37,010 --> 00:19:39,763 小さな石だという程度だけです 216 00:19:40,180 --> 00:19:45,561 “どこから来たんだろう?宇宙かも”と考えました 217 00:19:45,686 --> 00:19:51,358 そしてネットで検索した結果宇宙には–– 218 00:19:51,775 --> 00:19:56,321 流星塵りゅうせいじんという小さなちりがあると知りました 219 00:19:56,446 --> 00:19:57,573 それ以来です 220 00:19:57,698 --> 00:20:02,494 ここにある物をどうやって集めるのですか? 221 00:20:03,120 --> 00:20:05,205 主に磁石を使います 222 00:20:05,330 --> 00:20:08,208 磁石を使う理由は–– 223 00:20:08,792 --> 00:20:10,961 流星塵は磁石だからです 224 00:20:11,086 --> 00:20:17,593 まず磁石をビニールの保存袋に入れて保護します 225 00:20:18,594 --> 00:20:20,804 持ちやすくなります 226 00:20:20,929 --> 00:20:25,893 単純な道具で 科学に新たな部門を生み出した–– 227 00:20:26,018 --> 00:20:29,646 ヨン・ラーセンには驚きです 228 00:20:29,938 --> 00:20:33,275 ここでサンプルを集めるので–– 229 00:20:33,400 --> 00:20:35,986 こんな風に地面に付けます 230 00:20:37,029 --> 00:20:42,409 重い粒子は転がり落ちて地面に残ります 231 00:20:42,910 --> 00:20:47,164 これは非常に微小な磁石の粒子でしょう 232 00:20:47,331 --> 00:20:49,791 後で顕微鏡で見ます 233 00:20:50,000 --> 00:20:55,172 地球に1日どのくらいの量が落下しますか? 234 00:20:55,297 --> 00:20:57,674 およそ100トンです 235 00:20:57,799 --> 00:21:04,056 ダンプカー2台分が毎日 地球に降っているんです 236 00:21:04,181 --> 00:21:08,060 つまり毎年1平方メートルあたり–– 237 00:21:08,185 --> 00:21:11,855 1粒ということになります 238 00:21:12,189 --> 00:21:17,694 何かメッセージ的なものを感じませんか? 239 00:21:17,819 --> 00:21:22,991 ええ ここにあるのは最も太古の物なのです 240 00:21:23,408 --> 00:21:25,077 想像できないほど 241 00:21:25,202 --> 00:21:29,331 この手に流星塵を取ると感じるのです 242 00:21:30,082 --> 00:21:34,044 これ以上 太古の物に触れた人はいないと 243 00:21:34,169 --> 00:21:38,465 果てしのない時間を経た物なのです 244 00:21:38,632 --> 00:21:44,763 これは異なる時代前世に滅亡した星の灰なのです 245 00:21:44,972 --> 00:21:49,601 はるか昔のビッグバンへ思いを巡らせます 246 00:21:52,062 --> 00:21:53,856 ヤン・ブラリー・キーレ 247 00:21:53,981 --> 00:21:59,444 ヨンの流星塵を顕微鏡で分析する地質学者です 248 00:21:55,691 --> 00:22:00,612 ヤン・ブラリ︱・キ︱レ 249 00:21:59,570 --> 00:22:02,322 保安官のような服装ですね 250 00:22:02,614 --> 00:22:04,533 彼はテキサス生まれ 251 00:22:05,158 --> 00:22:07,035 驚く経歴の持ち主です 252 00:22:07,286 --> 00:22:09,872 ガンを4度経験しました 253 00:22:09,997 --> 00:22:15,169 うち2回は死の宣告を受けたと言います 254 00:22:15,711 --> 00:22:18,964 ガンの研究に貢献するため–– 255 00:22:19,089 --> 00:22:24,303 新しい治療法の先駆的な活動に関わっています 256 00:22:25,012 --> 00:22:30,225 この隠れ家で写真の記録を取っています 257 00:22:30,559 --> 00:22:34,438 彼は長年一緒に研究しているヤンです 258 00:22:34,563 --> 00:22:39,818 高解像度で流星塵のカラー写真を撮ります 259 00:22:40,027 --> 00:22:44,948 見たこともない拡大率で撮ることができます 260 00:22:45,866 --> 00:22:47,576 どのくらいの倍率? 261 00:22:47,701 --> 00:22:52,164 粒子は小さいので実際には見えません 262 00:22:52,289 --> 00:22:57,127 2000倍か3000倍の拡大が必要になります 263 00:22:57,461 --> 00:23:02,257 オリジナル写真は直径1メートル必要です 264 00:23:02,591 --> 00:23:07,471 誰もが不可能だと言った新しい科学を作りました 265 00:23:07,596 --> 00:23:14,186 当時の同僚の反応を思い出すと皆 大笑いしていたよね 266 00:23:14,645 --> 00:23:17,689 “一体 何をする気だ?”と 267 00:23:18,065 --> 00:23:20,150 全く不可能だと思われた 268 00:23:20,275 --> 00:23:25,739 1対10億以上のSN比があるできる訳がないと 269 00:23:27,199 --> 00:23:29,785 気分を害したかい? 270 00:23:29,910 --> 00:23:31,161 そんなことない 271 00:23:31,662 --> 00:23:37,251 それが科学だよ感情ではなく好奇心だからね 272 00:23:37,709 --> 00:23:40,254 これが今日 採取した物か 273 00:23:40,629 --> 00:23:43,799 特殊な表面を見ればわかる 274 00:23:43,924 --> 00:23:48,011 これは産業排気物ではなく流星塵だと 275 00:23:48,136 --> 00:23:52,391 見たところ不鮮明ですが撮影しても? 276 00:23:52,516 --> 00:23:54,643 それはできません 277 00:23:54,768 --> 00:24:01,191 わずかな心臓の鼓動でもぶれてしまうので無理です 278 00:24:01,316 --> 00:24:04,361 撮影する際には部屋を出ます 279 00:24:04,820 --> 00:24:07,281 どこから来た物ですか? 280 00:24:07,406 --> 00:24:10,784 その答がわかればいいのですが 281 00:24:11,076 --> 00:24:13,120 もちろん宇宙からです 282 00:24:13,245 --> 00:24:18,208 小惑星帯からの物もあれば彗星すいせいもあるでしょう 283 00:24:18,333 --> 00:24:24,089 別の銀河系や太陽系からの粒子かも知れません 284 00:24:24,590 --> 00:24:28,051 各粒子の母体となる天体は不明です 285 00:24:28,427 --> 00:24:33,974 毎週火曜日にヨンが新しい資料を持ってくるたびに 286 00:24:34,349 --> 00:24:37,895 ビックリし興奮してしまいます 287 00:24:38,145 --> 00:24:41,773 これらは宇宙で小さい単一の存在です 288 00:24:41,899 --> 00:24:46,778 中には大きな塊に至ったことがなく–– 289 00:24:46,904 --> 00:24:52,534 小惑星帯で小規模の惑星になり始めている物もあります 290 00:24:52,659 --> 00:24:56,788 これは宇宙のちりで宇宙を漂っています 291 00:24:57,247 --> 00:25:01,627 この先端は鉄とニッケルの混合体です 292 00:25:03,003 --> 00:25:09,593 そして ここはガラスから結晶体になり始めています 293 00:25:10,552 --> 00:25:13,263 橄欖石かんらんせきになるのです 294 00:25:13,639 --> 00:25:18,227 表面は非常に薄い硫化鉄で覆われています 295 00:25:18,435 --> 00:25:21,021 まるで太陽系外惑星の… 296 00:25:21,146 --> 00:25:22,856 氷枕みたいだ 297 00:25:22,981 --> 00:25:25,651 氷が はみ出した状態のね 298 00:25:26,068 --> 00:25:28,111 これは特に興味深い 299 00:25:28,237 --> 00:25:33,992 大気圏突入時にかなり高温だったと思われます 300 00:25:34,117 --> 00:25:40,082 先端の部分の向きが大気圏に落ちていった方向です 301 00:25:40,374 --> 00:25:46,922 減速し始めた時に重金属の中心部が惰性により… 302 00:25:47,881 --> 00:25:49,258 押し出された 303 00:25:49,383 --> 00:25:53,929 結果 粒子の前面に金属の山のようになりました 304 00:25:54,638 --> 00:25:58,350 鉄とニッケルの混合体が特徴的です 305 00:25:58,475 --> 00:26:04,106 これまでに2500種類の標本を集めましたが–– 306 00:26:04,231 --> 00:26:05,858 同じ物はありません 307 00:26:06,859 --> 00:26:11,864 流星塵と宇宙の粒子を知るようになると–– 308 00:26:11,989 --> 00:26:16,535 地球の地質学と異なることがわかります 309 00:26:16,660 --> 00:26:21,039 これらはライフル銃弾の50倍のスピードの–– 310 00:26:21,164 --> 00:26:26,420 超高速と非常な高温で通り抜けてきました 311 00:26:26,545 --> 00:26:29,798 宇宙から来た宝物です 312 00:27:08,170 --> 00:27:13,509 その美しさと不思議さは更に広がります 313 00:27:13,634 --> 00:27:15,677 この模様を見てください 314 00:27:15,928 --> 00:27:19,431 ここを押さえていて 315 00:27:19,556 --> 00:27:22,434 投影している模様は–– 316 00:27:22,559 --> 00:27:26,480 有り得ないと考えられていたものです 317 00:27:26,772 --> 00:27:30,067 これは結晶構造の問題で–– 318 00:27:30,192 --> 00:27:32,819 不可能だと思われていました 319 00:27:32,945 --> 00:27:35,489 いわゆる準結晶です 320 00:27:36,323 --> 00:27:40,285 不可能という言葉を拒絶するのは︱ 321 00:27:36,323 --> 00:27:40,285 プリンストン大学ポ︱ル・スタインハ︱ト 322 00:27:40,744 --> 00:27:43,372 世界的に有名な宇宙論者です 323 00:27:43,497 --> 00:27:46,750 プリンストン大学のポール・スタインハート 324 00:27:46,917 --> 00:27:52,840 最終的には宇宙の隕石から自然の準結晶の–– 325 00:27:52,965 --> 00:27:55,217 証拠を発見しました 326 00:27:55,342 --> 00:27:57,427 準結晶とは何ですか? 327 00:27:58,303 --> 00:28:03,058 有り得ないと考えられていた配列のことです 328 00:28:03,183 --> 00:28:07,396 400年間不可能だと確信していました 329 00:28:07,604 --> 00:28:11,900 現在では可能だとわかりましたが–– 330 00:28:12,025 --> 00:28:16,280 はるか昔に宇宙で作られた物です 331 00:28:16,405 --> 00:28:17,990 簡潔に説明します 332 00:28:18,740 --> 00:28:24,705 結晶配列は風呂場のタイルのように規則があります 333 00:28:25,372 --> 00:28:27,207 四角形ですね 334 00:28:27,332 --> 00:28:30,127 四角形は隙間ができない 335 00:28:30,252 --> 00:28:33,839 しかし5回対称性の五角形では–– 336 00:28:33,964 --> 00:28:35,757 うまくいきません 337 00:28:35,966 --> 00:28:37,634 これでどうかな 338 00:28:38,594 --> 00:28:40,095 それでも… 339 00:28:40,512 --> 00:28:42,306 できませんね 340 00:28:42,431 --> 00:28:47,394 隙間ができるから別の方法を考えないと 341 00:28:47,519 --> 00:28:49,396 ピッタリと収まらない 342 00:28:49,521 --> 00:28:52,149 どちらへ置いても隙間が 343 00:28:52,274 --> 00:28:53,192 ええ 344 00:28:54,318 --> 00:28:56,111 原子は隙間を嫌います 345 00:28:56,236 --> 00:29:00,407 原子は隙間を作ると逃れようと動きます 346 00:29:00,532 --> 00:29:04,077 5回対称性は禁制とされています 347 00:29:04,494 --> 00:29:09,583 準結晶は これよりも複雑で謎に包まれています 348 00:29:10,209 --> 00:29:16,215 まず準結晶の模様を見て視覚的印象を確認しましょう 349 00:29:16,340 --> 00:29:20,511 ここにあるタイルを例にしてみます 350 00:29:20,636 --> 00:29:25,349 ご覧のように2種類の形の物があります 351 00:29:25,682 --> 00:29:26,808 鶏ですね 352 00:29:27,601 --> 00:29:33,732 子供用のパズルに見えますが数学が巧妙に隠されています 353 00:29:34,399 --> 00:29:38,487 この模様は1970年代に英国の数学家が発見しました 354 00:29:39,404 --> 00:29:43,367 数学家で宇宙論者でもあります 355 00:29:39,404 --> 00:29:43,367 ロジャ︱・ペンロ︱ズ卿 356 00:29:44,243 --> 00:29:48,789 驚くことにこの模様はイランの︱ 357 00:29:45,118 --> 00:29:50,082 イランイスファハ︱ンイマ︱ムモスク 358 00:29:48,914 --> 00:29:52,000 イスファハ︱ンの寺院にもあります 359 00:29:52,376 --> 00:29:56,797 基礎となる数学的原理の知識がない時代です 360 00:29:56,922 --> 00:29:59,967 500年以上前の職人が–– 361 00:30:00,092 --> 00:30:04,805 5回対称性の幾何学を解明したのです 362 00:30:05,514 --> 00:30:06,807 そうです 363 00:30:09,226 --> 00:30:10,352 ここからです 364 00:30:10,561 --> 00:30:16,692 教授の言うとおり ここからとても複雑になりますが 365 00:30:16,817 --> 00:30:20,404 詳細は難しいので省略しましょう 366 00:30:20,904 --> 00:30:22,406 これはサンプル 367 00:30:22,865 --> 00:30:28,203 正二十面体ではなく20面の二十面体を作ります 368 00:30:28,453 --> 00:30:33,709 なら構造を維持するよう外面に足そうと考えます 369 00:30:34,001 --> 00:30:35,252 でも不可能です 370 00:30:35,919 --> 00:30:38,922 この模型が解決してくれます 371 00:30:39,047 --> 00:30:41,925 準結晶を表しています 372 00:30:42,050 --> 00:30:43,927 この面を作れば… 373 00:30:44,052 --> 00:30:48,182 スタインハートは解決策を見つけます 374 00:30:50,267 --> 00:30:55,397 仮説を立てカムチャツカで野外作業しましたね… 375 00:30:55,522 --> 00:30:58,775 ええ この模型から発想を得た 376 00:30:58,901 --> 00:31:02,654 もし原子が無理やり組まれたら–– 377 00:31:02,779 --> 00:31:05,282 こんな構造に強いられる 378 00:31:05,407 --> 00:31:06,950 そこで考えました 379 00:31:07,075 --> 00:31:11,288 人類以前に自然界で準結晶ができたのか? 380 00:31:11,413 --> 00:31:16,627 そして数十年間 自然の準結晶の探索が始まりました 381 00:31:17,127 --> 00:31:21,715 最終的にイタリアで鉱物学者に出会いました 382 00:31:18,253 --> 00:31:21,715 フロ︱レンス大学ルカ・ビンディ 383 00:31:21,840 --> 00:31:25,802 彼の標本室にあるサンプルの中に︱ 384 00:31:26,261 --> 00:31:28,847 複合体の石がありました 385 00:31:28,972 --> 00:31:32,559 中に小さな準結晶の粒があったのです 386 00:31:32,935 --> 00:31:35,187 調べた結果–– 387 00:31:35,312 --> 00:31:39,233 我々が所有する物は隕石の断片らしいと 388 00:31:39,358 --> 00:31:44,613 しかし証明するには 石がどこから来たか究明し–– 389 00:31:44,738 --> 00:31:47,616 更にサンプルが必要です 390 00:31:48,075 --> 00:31:51,161 スタインハートとビンディは–– 391 00:31:51,286 --> 00:31:57,084 ロシアの東端 ベーリング海峡の付近へ遠征しました 392 00:31:59,837 --> 00:32:04,299 赤い点が隕石の破片の発見現場です 393 00:32:04,925 --> 00:32:10,013 リストヴィニトヴィという小川付近で–– 394 00:32:10,138 --> 00:32:12,099 初めて聞く地名です 395 00:32:13,058 --> 00:32:18,397 遠征には数十年前最初のサンプルを発見した–– 396 00:32:18,522 --> 00:32:22,317 地元の地質学チームも参加しました 397 00:32:36,874 --> 00:32:39,877 スタインハートには新体験 398 00:32:40,002 --> 00:32:43,046 未踏の地を克服するのです 399 00:32:43,422 --> 00:32:49,887 プリンストン大学外での野外調査は初めてのことです 400 00:33:00,397 --> 00:33:04,067 無数の蚊に悩まされました 401 00:33:04,193 --> 00:33:07,696 蚊よけのネットで顔を守ります 402 00:33:08,280 --> 00:33:10,532 熟睡もできません 403 00:33:10,741 --> 00:33:15,746 夢ではなく現実に熊が現れました 404 00:33:16,580 --> 00:33:20,876 その苦労が報われ隕石の発見に至りました 405 00:33:21,668 --> 00:33:25,506 最初の調査で期待が望めそうでした 406 00:33:26,131 --> 00:33:30,344 ビンディとスタインハートは喜びましたが–– 407 00:33:30,552 --> 00:33:35,390 準結晶の存在はまだ知りませんでした 408 00:33:37,351 --> 00:33:41,605 発見したサンプルをエックス線回析した結果–– 409 00:33:41,730 --> 00:33:44,775 5回対称性が明らかになりました 410 00:33:44,900 --> 00:33:49,363 隕石に準結晶がある証明ができたのです 411 00:33:49,488 --> 00:33:52,199 これを見た時の感想は? 412 00:33:52,908 --> 00:33:56,828 その瞬間時が止まったようでした 413 00:33:58,205 --> 00:33:59,248 まるで… 414 00:34:00,165 --> 00:34:04,294 眺めている画像が告げているようでした 415 00:34:04,419 --> 00:34:09,341 長年 努力してきたことを成し遂げたのだと 416 00:34:09,466 --> 00:34:12,803 加えて準結晶が自然界だけでなく–– 417 00:34:12,928 --> 00:34:17,516 宇宙でも形成されていたと立証したのです 418 00:34:17,641 --> 00:34:22,312 〝隕石研究センタ︱〟 419 00:34:19,059 --> 00:34:22,312 難解な謎はさておき–– 420 00:34:22,771 --> 00:34:27,317 落下する中でも普通の石に注目しましょう 421 00:34:27,442 --> 00:34:30,279 粘着シートがあります 422 00:34:31,864 --> 00:34:36,577 アリゾナ大学では膨大な数を収集しています 423 00:34:36,702 --> 00:34:39,663 外の泥は保管室に入れません 424 00:34:36,702 --> 00:34:40,496 アリゾナ大学ロ︱レンス・ガ︱ヴィ 425 00:34:39,788 --> 00:34:42,623 何があるのでしょうか 426 00:34:42,748 --> 00:34:45,668 靴の裏の泥を落としてください 427 00:34:46,335 --> 00:34:49,297 ローレンス・ガーヴィが案内します 428 00:34:49,422 --> 00:34:53,802 清浄な空気を保つため陽圧換気になっています 429 00:34:53,927 --> 00:34:55,512 泥を落とした? 430 00:34:55,637 --> 00:34:59,641 監視カメラも作動してます手を振って 431 00:34:59,892 --> 00:35:05,314 ともあれ このような隕石の施設で重要なのは–– 432 00:35:05,439 --> 00:35:08,650 清潔な環境で保管することです 433 00:35:08,775 --> 00:35:13,697 サンプルに手の汚れが付かないようにします 434 00:35:13,822 --> 00:35:16,617 私たちも手袋を 435 00:35:16,742 --> 00:35:21,246 これから驚くような隕石をお見せします 436 00:35:21,371 --> 00:35:24,708 数週間前コスタリカに落下した物です 437 00:35:24,833 --> 00:35:28,962 有機化合物を多く含んだ隕石です 438 00:35:29,087 --> 00:35:32,132 太陽系の初期のことがわかり–– 439 00:35:32,257 --> 00:35:35,552 生命の誕生も分かるかも知れません 440 00:35:35,677 --> 00:35:40,766 この窒素保管庫の中にサンプルを入れています 441 00:35:40,891 --> 00:35:46,480 保管庫の中に乾燥窒素が送り込まれています 442 00:35:46,605 --> 00:35:51,318 扉を開けるとその音が聞こえるはずです 443 00:35:51,443 --> 00:35:56,657 隕石には水も流さず酸素も送らず保存しています 444 00:35:56,782 --> 00:35:59,660 最高の保存状態と言えます 445 00:35:59,785 --> 00:36:00,869 シューと… 446 00:36:00,994 --> 00:36:02,246 聞こえるでしょ 447 00:36:03,330 --> 00:36:06,792 1つをお見せしますこれが… 448 00:36:08,377 --> 00:36:11,713 素晴らしい隕石ですよ 449 00:36:12,089 --> 00:36:13,757 ここに名前が 450 00:36:14,216 --> 00:36:15,676 “犬小屋” 451 00:36:16,844 --> 00:36:17,886 これを… 452 00:36:21,765 --> 00:36:24,309 手を添えて落とさないで 453 00:36:24,434 --> 00:36:25,602 気をつけます 454 00:36:25,727 --> 00:36:27,646 落とさないでください 455 00:36:30,858 --> 00:36:35,946 これが数週間前コスタリカに落下しました 456 00:36:36,071 --> 00:36:39,825 犬が寝ている犬小屋を突き抜けました 457 00:36:39,950 --> 00:36:40,826 犬は無事? 458 00:36:40,951 --> 00:36:46,623 数ミリずれてすぐそばに埋まったそうです 459 00:36:46,999 --> 00:36:51,128 興味深いのは犬の毛が付いているのです 460 00:36:51,253 --> 00:36:52,296 うそでしょ 461 00:36:52,421 --> 00:36:57,843 それに驚いたことに匂いをかいでみると–– 462 00:36:59,052 --> 00:37:02,806 有機化合物の香りを感じるでしょ 463 00:37:02,931 --> 00:37:09,188 45億年前の原始惑星で形成された化合物です 464 00:37:09,313 --> 00:37:13,233 もう存在しない惑星の化合物なのです 465 00:37:13,358 --> 00:37:17,321 小惑星帯に40億年間いたのに–– 466 00:37:17,446 --> 00:37:21,200 何らかの理由でコスタリカに到着した 467 00:37:21,325 --> 00:37:23,911 そしてここに至るわけです 468 00:37:24,036 --> 00:37:26,038 何の匂いですか? 469 00:37:26,163 --> 00:37:28,582 分かりませんが–– 470 00:37:28,707 --> 00:37:32,920 防虫剤の配合物に似たような感じです 471 00:37:33,045 --> 00:37:34,796 溶媒のような? 472 00:37:34,922 --> 00:37:36,548 少し似ています 473 00:37:36,673 --> 00:37:38,884 もう保管庫に戻します 474 00:37:39,259 --> 00:37:42,596 赤い色は犬小屋の屋根からです 475 00:37:43,388 --> 00:37:46,850 白い部分は床の塗料が付いたもの 476 00:37:46,975 --> 00:37:51,563 犬は空からの物だと気が付いたのですか? 477 00:37:51,688 --> 00:37:54,274 いえ でも意外なことが 478 00:37:54,399 --> 00:37:57,903 隕石の匂いを嗅ぎ分けるよう–– 479 00:37:58,028 --> 00:38:01,365 犬を訓練することができます 480 00:38:02,074 --> 00:38:03,408 戻しましょう 481 00:38:09,706 --> 00:38:12,459 これはメキシコのトルカ鉄です 482 00:38:12,584 --> 00:38:15,671 落としたら足の骨が折れますよ 483 00:38:15,796 --> 00:38:16,380 重い 484 00:38:16,505 --> 00:38:22,219 たった1個でも重量は30~40キロはあるでしょう 485 00:38:22,344 --> 00:38:23,512 鉄鉱石? 486 00:38:23,637 --> 00:38:25,389 ニッケルが豊富です 487 00:38:25,514 --> 00:38:26,974 落とさないよう 488 00:38:27,099 --> 00:38:28,225 返します 489 00:38:29,726 --> 00:38:33,272 テレビでも見たことがない物があります 490 00:38:33,397 --> 00:38:35,607 これはテクタイト 491 00:38:35,732 --> 00:38:40,320 これは落下の衝撃で地球の表面が–– 492 00:38:40,445 --> 00:38:44,366 大量に溶け出した物です 493 00:38:44,491 --> 00:38:50,414 恐らく数千平方キロメートルが瞬時に溶けた物です 494 00:38:50,539 --> 00:38:55,586 衝撃で噴き出して地球の3分の1に広がりました 495 00:38:55,711 --> 00:38:56,670 いつ頃? 496 00:38:56,795 --> 00:38:59,423 75万年前頃と考えます 497 00:38:59,548 --> 00:39:05,971 大昔ですが 地質学的には昨日のように最近のことです 498 00:39:06,096 --> 00:39:06,805 ガラス? 499 00:39:06,930 --> 00:39:09,391 この音を聞いてみれば… 500 00:39:10,225 --> 00:39:13,478 地球外のガラスではありません 501 00:39:13,604 --> 00:39:18,233 地球そのものですこの溶けた物体は 502 00:39:18,358 --> 00:39:22,529 融解した地球が噴き出した物なのです 503 00:39:22,654 --> 00:39:26,408 これは南東アジアフィリピン–– 504 00:39:26,533 --> 00:39:29,119 インドネシアからオーストラリア 505 00:39:29,244 --> 00:39:31,371 南極大陸にもあります 506 00:39:31,496 --> 00:39:34,333 どでかい出来事だったのです 507 00:39:34,458 --> 00:39:37,085 これらの形を見てください 508 00:39:37,211 --> 00:39:42,216 噴射した後に凝固した物だと分かります 509 00:39:43,091 --> 00:39:46,762 人類がいたら滅亡したでしょうか? 510 00:39:46,887 --> 00:39:47,971 壊滅です 511 00:39:48,096 --> 00:39:50,933 想像してみて数千キロの範囲が–– 512 00:39:51,058 --> 00:39:55,103 瞬時にガラスになってしまうのです 513 00:39:55,229 --> 00:39:59,942 お茶を飲んでいる人も何もかもガラスです 514 00:40:04,821 --> 00:40:10,744 暗闇の世界から来た石にそれぞれ物語があります 515 00:40:21,630 --> 00:40:27,052 その物語を通じて私たちの想像力を魅了します 516 00:40:27,386 --> 00:40:30,597 携帯電話のライトでさえ–– 517 00:40:30,722 --> 00:40:35,936 かなたから来た旅人の不思議な美しさを放ちます 518 00:41:04,590 --> 00:41:05,674 ここには… 519 00:41:05,799 --> 00:41:10,554 アリゾナの同じ隕石研究センターにいる–– 520 00:41:10,679 --> 00:41:13,265 ミーナクシ・ワドワ博士です 521 00:41:13,390 --> 00:41:16,727 隕石研究で第一人者の科学者です 522 00:41:16,852 --> 00:41:19,062 4万個の隕石があります 523 00:41:19,354 --> 00:41:21,899 まるで美術館ですね 524 00:41:19,354 --> 00:41:24,526 惑星科学者ミ︱ナクシ・ワドワ 525 00:41:22,024 --> 00:41:23,692 そのとおりです 526 00:41:25,235 --> 00:41:29,698 私たちの研究にとって素晴らしい資料です 527 00:41:27,529 --> 00:41:29,698 〝別世界からの使者〟 528 00:41:29,907 --> 00:41:31,533 これは何ですか? 529 00:41:31,825 --> 00:41:37,664 画面に映っている小さな丸い形のものは–– 530 00:41:38,040 --> 00:41:43,337 太陽系の歴史で最も初期のとても小さい滴です 531 00:41:43,462 --> 00:41:46,256 45億年前頃です 532 00:41:46,381 --> 00:41:48,133 惑星ができる前? 533 00:41:48,258 --> 00:41:55,098 はい ガスとちりだけで惑星も地球も何もない頃のことです 534 00:41:55,474 --> 00:42:01,730 これらは火の雨の滴と表現されています 535 00:42:02,397 --> 00:42:06,360 ガスとちりの星雲から凝縮したものです 536 00:42:06,485 --> 00:42:12,449 初期の太陽系で何らかの衝撃が起きたのでしょう 537 00:42:12,658 --> 00:42:15,536 衝撃の詳細は分かりません 538 00:42:15,661 --> 00:42:20,958 現在 形成している他の太陽系と同じと考えています 539 00:42:21,542 --> 00:42:22,793 他の元素は? 540 00:42:22,918 --> 00:42:28,340 そこに見える美しいステンドグラスのような–– 541 00:42:28,465 --> 00:42:32,302 模様は橄欖石かんらんせきという鉱物です 542 00:42:32,636 --> 00:42:36,056 そして回転して見ると–– 543 00:42:36,849 --> 00:42:40,435 鉱物を通して光って見えます 544 00:42:40,561 --> 00:42:43,272 光が偏光していますが–– 545 00:42:43,397 --> 00:42:48,110 その光を鉱物が特定の方向へ消しています 546 00:42:48,235 --> 00:42:53,323 それで明るい部分と暗い部分が見えるのです 547 00:42:53,699 --> 00:42:58,453 美しいステンドグラスのようでしょ 548 00:42:58,579 --> 00:43:00,247 素晴らしいね 549 00:43:00,372 --> 00:43:07,129 この薄く切ったものは火星のサンプルから取ったもので–– 550 00:43:07,254 --> 00:43:11,884 私の隕石研究のきっかけになったものです 551 00:43:12,009 --> 00:43:15,262 別世界から来たと考えた時–– 552 00:43:15,387 --> 00:43:18,932 魅了されてしまったのです 553 00:43:19,433 --> 00:43:23,645 火星の石とわかるのは中のガスが–– 554 00:43:23,770 --> 00:43:27,399 火星の大気中の組成と同じだからです 555 00:43:27,774 --> 00:43:32,070 石の破片を熱してガスを放出します 556 00:43:32,196 --> 00:43:37,075 そのガスを測定すると火星で測定した–– 557 00:43:37,409 --> 00:43:40,829 組成と完全に一致するのです 558 00:43:41,455 --> 00:43:43,415 驚きでしょ 559 00:44:06,647 --> 00:44:09,399 カール・セーガンの説ですね 560 00:44:10,192 --> 00:44:16,031 私たちの体は全て隕石の小片で構成されていると 561 00:44:16,156 --> 00:44:20,702 既に他の星で合成されていたという説です 562 00:44:20,827 --> 00:44:22,913 つまり私たちは星くず 563 00:44:23,830 --> 00:44:24,998 詰まるところ 564 00:44:25,123 --> 00:44:26,291 究極論ですね 565 00:44:26,583 --> 00:44:31,046 後にも先にも撮影に割り込んだのは ここだけ 566 00:44:31,171 --> 00:44:36,468 どうしても我慢できずカメラの後ろから ひと言… 567 00:44:37,052 --> 00:44:40,764 私は星くずでなくバイエルン出身ですが… 568 00:44:44,726 --> 00:44:47,354 特殊な構成なんだね 569 00:44:47,813 --> 00:44:49,690 そのとおりだわ 570 00:44:58,740 --> 00:45:04,580 次の目的地は巨大な火の玉の落下地です 571 00:44:59,741 --> 00:45:04,580 インドラムガ︱ル・クレ︱タ︱ 572 00:45:05,372 --> 00:45:09,626 生命は宇宙から来たのか知りたいのです 573 00:45:10,252 --> 00:45:14,256 これは北インドのラージャスタンにある–– 574 00:45:14,381 --> 00:45:16,675 ラムガール・クレーター 575 00:45:17,217 --> 00:45:20,262 宇宙から一目でわかりますが–– 576 00:45:20,387 --> 00:45:25,142 降り立ってもクレーターとは気付きません 577 00:45:25,392 --> 00:45:30,564 10世紀にヒンドゥー教の寺院が建てられました 578 00:45:32,441 --> 00:45:36,403 果たして隕石の有機物質が–– 579 00:45:36,528 --> 00:45:41,325 地球の生命の要素をもたらし得たのでしょうか 580 00:45:42,326 --> 00:45:46,663 化学から生物学への推移を研究している–– 581 00:45:46,788 --> 00:45:51,001 ニタ・サハイ教授の見解を聞きます 582 00:45:52,377 --> 00:45:58,133 隕石の落下でできた巨大なクレーターにいます 583 00:45:58,258 --> 00:46:02,012 これが炭素なのかは不明ですが–– 584 00:46:02,137 --> 00:46:06,266 炭素隕石は有機分子を含んでいます 585 00:46:06,391 --> 00:46:10,521 生命の構成要素となるのは主に何ですか? 586 00:46:10,646 --> 00:46:15,400 隕石に生命の構成要素は発見されています 587 00:46:11,522 --> 00:46:15,400 地球化学者ニタ・サハイ 588 00:46:15,526 --> 00:46:19,988 たんぱく質を作るアミノ酸細胞膜を作る脂質分子 589 00:46:20,113 --> 00:46:23,075 意外ですが糖であるリボースもです 590 00:46:23,200 --> 00:46:28,539 糖やたんぱく質を作るものが隕石から発見された 591 00:46:28,664 --> 00:46:30,499 それは驚きですね 592 00:46:30,624 --> 00:46:31,291 はい 593 00:46:31,416 --> 00:46:35,379 地質学的には鉱物ですかそれとも… 594 00:46:35,712 --> 00:46:40,634 有機分子という点から鉱物ではありません 595 00:46:40,759 --> 00:46:42,928 鉱物表面の有機分子の–– 596 00:46:43,053 --> 00:46:46,932 相互作用で形成されたと思われます 597 00:46:47,057 --> 00:46:49,560 例えば星間粒子にも–– 598 00:46:49,685 --> 00:46:53,772 隕石そのものの表面にもあります 599 00:46:54,314 --> 00:47:01,029 まだ分子から生命の光を宿すまでは段階がありますよね 600 00:47:01,530 --> 00:47:06,743 その分子を熱源に封じ込めるようなこと? 601 00:47:06,869 --> 00:47:12,416 その構成要素が長鎖状に重合する必要があります 602 00:47:12,541 --> 00:47:17,546 そのほうが褶曲しゅうきょくし機能的になるのです 603 00:47:17,671 --> 00:47:23,218 生命は宇宙に分散しているというパンスペルミア説は? 604 00:47:23,343 --> 00:47:30,309 生命体は宇宙の極度の高温や放射能も生き抜く可能性も 605 00:47:30,475 --> 00:47:33,270 DNAは頑強なので–– 606 00:47:33,395 --> 00:47:37,774 宇宙で生き延びる可能性はあります 607 00:47:37,941 --> 00:47:42,654 全生命体が胞子のような形で残存するかも 608 00:47:42,779 --> 00:47:48,160 地面を何キロも掘り下げてみましたが–– 609 00:47:48,744 --> 00:47:54,708 何百万年も生存したらしき細菌も見つかっています 610 00:47:54,833 --> 00:47:59,505 1種の仮死状態で生き延びたと考えられます 611 00:47:59,796 --> 00:48:05,260 なぜここにシバに捧げる寺院が建てられたと? 612 00:48:05,385 --> 00:48:09,681 隕石の落下跡とは出来過ぎた話ですよね 613 00:48:09,806 --> 00:48:14,144 シバとパールバティに捧げられた寺院で–– 614 00:48:14,269 --> 00:48:19,816 天地創造を象徴するタントラというのも興味深いです 615 00:48:19,942 --> 00:48:22,402 シバは破壊の神でもあります 616 00:48:22,528 --> 00:48:29,451 ヒンドゥーの神話では 創造と破壊の循環の概念があります 617 00:48:29,576 --> 00:48:36,083 事実 隕石の落下現場では衝撃で生命を死滅させ–– 618 00:48:36,208 --> 00:48:41,463 同時に生命の種となる有機分子をもたらします 619 00:48:45,592 --> 00:48:50,639 地元の仙人もこのことを話しています 620 00:48:50,973 --> 00:48:56,520 人類や全ての生命が 戦争や隕石で絶滅した場合は–– 621 00:48:56,645 --> 00:49:01,441 このクレーター湖で再生すると言います 622 00:49:10,409 --> 00:49:14,955 最も巨大な火の玉の落下現場を訪ねます 623 00:49:16,039 --> 00:49:19,042 メキシコユカタン半島の沿岸の–– 624 00:49:19,168 --> 00:49:23,172 発音しにくい地名にあります 625 00:49:20,794 --> 00:49:24,715 〝チクスルブ・プエブロメキシコ〟 626 00:49:24,840 --> 00:49:31,180 想像もできないような大惨事をまさに経験した土地です 627 00:49:31,555 --> 00:49:37,561 ここに落下したのは広島の核爆弾の何億倍–– 628 00:49:37,686 --> 00:49:43,317 ことによると何十億倍のパワーがあります 629 00:49:44,610 --> 00:49:47,905 形跡のかけらもありません 630 00:49:48,071 --> 00:49:52,242 全てが退屈な空気に包まれています 631 00:49:54,328 --> 00:50:00,584 チクスルブは荒れ果てて寂しげなビーチリゾートです 632 00:51:12,489 --> 00:51:19,079 ここで起きたことは犬にも理解できないでしょう 633 00:51:19,204 --> 00:51:25,878 まさにここで生物の4分の3を絶滅させた出来事がありました 634 00:51:31,633 --> 00:51:35,637 恐竜は博物館にしかいません 635 00:51:38,640 --> 00:51:42,811 人口の瞳では何も見えていません 636 00:51:43,979 --> 00:51:50,736 唯一残る実物の足跡がゆっくり歩いていたことを示しています 637 00:51:51,570 --> 00:51:55,199 突如 訪れた死に違いありません 638 00:52:13,550 --> 00:52:20,015 このさびれた地に地球の歴史上最大の地殻変動がありました 639 00:52:20,140 --> 00:52:24,353 地球の生命の行路への不可逆変化でした 640 00:52:24,478 --> 00:52:29,024 6600万年前に直径10キロもの小惑星が–– 641 00:52:29,149 --> 00:52:34,321 秒速20キロのスピードで地球に激突したのです 642 00:52:34,863 --> 00:52:41,828 そのパワーは深さ30キロの穴をあけるほどの衝撃でした 643 00:52:42,204 --> 00:52:44,373 クレーターの形は–– 644 00:52:44,498 --> 00:52:49,837 沖へも内陸へも100キロ 広がりました 645 00:52:50,170 --> 00:52:54,424 衝撃によって生み出された熱は–– 646 00:52:54,550 --> 00:53:00,138 地殻も小惑星そのものも溶かし気化したのです 647 00:53:00,722 --> 00:53:03,267 マグニチュード11の地震と–– 648 00:53:03,392 --> 00:53:07,855 かつてない規模の津波が発生しました 649 00:53:07,980 --> 00:53:10,649 100メーターの高さの巨大津波は–– 650 00:53:10,774 --> 00:53:14,069 海岸線を広範囲に破壊しました 651 00:53:14,194 --> 00:53:19,616 広範囲に広がったちり溶けた粒とガスが–– 652 00:53:19,741 --> 00:53:21,118 舞い上がりました 653 00:53:21,243 --> 00:53:26,415 引力の脱出速度に達し宇宙へ抜けたものもあります 654 00:53:26,623 --> 00:53:30,919 3000キロの範囲に溶けた粒の雨が降り–– 655 00:53:31,044 --> 00:53:34,214 地表に火を付けました 656 00:53:34,339 --> 00:53:36,717 お気に入りの映画があります 657 00:53:36,842 --> 00:53:40,888 ﹁恐竜の不思議絶滅の秘密﹂(2010年) 658 00:53:37,176 --> 00:53:39,845 落下地点から800キロまで︱ 659 00:53:39,970 --> 00:53:41,471 閃光に照らされた 660 00:53:41,597 --> 00:53:45,601 アラモサウルスの体が透けて見えるほどだ 661 00:53:47,853 --> 00:53:51,398 その影が地面に焼き込まれた 662 00:53:54,568 --> 00:53:59,948 眼球が焦げるような光で何が迫ってくるか見えない 663 00:54:00,782 --> 00:54:02,117 熱さにうめく 664 00:54:04,620 --> 00:54:10,459 哺乳類は生き延び新しい生態系の機会を得ました 665 00:54:11,376 --> 00:54:17,382 この衝突がなければ人類は誕生しなかったでしょう 666 00:54:18,967 --> 00:54:24,139 このクレーターは1970年代まで未確認でした 667 00:54:24,389 --> 00:54:30,896 重力異常と採掘孔のデータから構造と大きさが判明しました 668 00:54:31,647 --> 00:54:33,899 外観で分かるのは–– 669 00:54:34,024 --> 00:54:38,987 セノーテと呼ばれる水がたまった池があることです 670 00:54:34,024 --> 00:54:38,987 〝チクスルブ・プエブロ〟 671 00:54:39,321 --> 00:54:42,866 衝突によりできたものです 672 00:54:39,321 --> 00:54:42,866 〝メリダ〟 673 00:54:43,534 --> 00:54:47,746 ユカタン半島には川や湖がないため–– 674 00:54:47,871 --> 00:54:51,625 この池がマヤ文明に導いていきます 675 00:54:52,501 --> 00:54:55,128 セノーテがなければ–– 676 00:54:55,754 --> 00:55:00,259 チチェン・イッツァも存在しなかったでしょう 677 00:54:56,463 --> 00:55:00,259 チチェン・イッツァククルカン・ピラミッド 678 00:55:01,969 --> 00:55:06,765 彼らは上位文化の文字表記や天文学–– 679 00:55:06,890 --> 00:55:11,103 ピラミッドや寺院など建築物を発展させました 680 00:55:20,404 --> 00:55:25,075 望遠鏡以前に天文台も建設しました 681 00:55:25,200 --> 00:55:28,620 天体の位置を検知したのです 682 00:55:29,705 --> 00:55:35,752 この時代で最も正確なカレンダーを作成しました 683 00:55:37,546 --> 00:55:42,426 マヤ文明は死と来世に深く魅了されていました 684 00:55:43,010 --> 00:55:48,515 その信仰では9つの下界と13の天国がありました 685 00:55:53,854 --> 00:56:00,110 下界を見るため セノーテを底まで下りてみました 686 00:56:06,033 --> 00:56:10,996 洞窟が専門の考古学者F・T・プ︱ルが︱ 687 00:56:06,450 --> 00:56:12,372 洞窟考古学者ファティマ・テク・プ︱ル 688 00:56:11,121 --> 00:56:14,750 雨の神の住居に案内してくれます 689 00:56:17,503 --> 00:56:21,048 ここは最近まで知られていませんでした 690 00:56:21,173 --> 00:56:23,425 セノーテや洞窟と–– 691 00:56:23,550 --> 00:56:28,805 マヤ文明の儀式や信仰とはどんな関係がありますか? 692 00:56:29,181 --> 00:56:32,142 ここは水と洞窟が一体化した–– 693 00:56:32,267 --> 00:56:35,938 様子が見られる興味深い場所です 694 00:56:36,063 --> 00:56:41,151 マヤの人々はどう儀式に利用したのか 695 00:56:41,276 --> 00:56:45,405 この中にはマヤの人々が巡礼をした–– 696 00:56:45,531 --> 00:56:47,491 神聖な壁があります 697 00:56:47,616 --> 00:56:48,325 中へ? 698 00:56:48,450 --> 00:56:50,077 行きましょう 699 00:56:58,544 --> 00:57:01,004 洞窟は下界の入口です 700 00:57:01,171 --> 00:57:06,385 洞窟の自然な形状をどのように利用し–– 701 00:57:06,510 --> 00:57:09,429 人骨を供えたかが分かります 702 00:57:09,555 --> 00:57:13,100 マヤ人の祖先でしょう 703 00:57:13,725 --> 00:57:15,561 時代はいつ頃? 704 00:57:15,686 --> 00:57:17,396 古典期以前でしょう 705 00:57:19,565 --> 00:57:24,987 そこに見える入口からもっと下へ行けます 706 00:57:25,904 --> 00:57:28,991 興味深いものがありますよ 707 00:57:34,079 --> 00:57:37,040 人の指の骨です 708 00:57:37,958 --> 00:57:41,837 壁の中に供えられています 709 00:57:42,045 --> 00:57:47,050 灰が見えますが壁に埋葬される前に–– 710 00:57:47,467 --> 00:57:50,721 火葬されたのでしょう 711 00:57:50,888 --> 00:57:54,808 神の住居に人間が入っていいのですか? 712 00:57:54,933 --> 00:57:56,810 大丈夫です 713 00:58:14,203 --> 00:58:18,540 メキシコの死の日に合わせてここへ来ました 714 00:58:18,665 --> 00:58:21,960 マヤの人々は死に執着していました 715 00:58:22,419 --> 00:58:26,840 どくろの模様ばかりが続いています 716 00:58:39,811 --> 00:58:42,773 メリダにある中央墓地 717 00:58:42,898 --> 00:58:47,069 チクスルブのクレーター周辺での行事 718 00:58:49,404 --> 00:58:53,408 死者が墓から出てきて交わるのです 719 01:01:08,877 --> 01:01:14,883 ロ︱マ教皇の避暑地カステル・ガンドルフォ 720 01:01:23,934 --> 01:01:29,940 ローマ教皇の避暑地カステル・ガンドルフォの公園 721 01:01:30,107 --> 01:01:34,194 この平穏な場所に本格的な科学があります 722 01:01:34,987 --> 01:01:41,368 天体図の写真で有名な天体観測所があるのです 723 01:01:42,786 --> 01:01:48,667 アルバーノ湖の住宅地の横に火山クレーターがあります 724 01:01:51,003 --> 01:01:54,089 観測所の所長はイエズス会の–– 725 01:01:54,214 --> 01:01:56,842 ガイ・コンソルマニョ修道士です 726 01:01:55,507 --> 01:01:59,553 惑星科学者ガイ・コンソルマニョ修道士 727 01:01:57,593 --> 01:02:00,554 流星研究の権威です 728 01:02:01,889 --> 01:02:05,225 教皇庁の観測所の中心には–– 729 01:02:05,350 --> 01:02:09,146 歴史的な隕石が収集されていますね 730 01:02:09,271 --> 01:02:13,442 30年近くの間で集めたものです 731 01:02:13,567 --> 01:02:15,402 それで ここに? 732 01:02:15,527 --> 01:02:20,199 自分の意志ではなく教会に忠誠を誓ったのです 733 01:02:20,324 --> 01:02:23,160 科学者の私はイエズス会に入り–– 734 01:02:23,285 --> 01:02:26,830 ジョージタウン大学で教えるつもりでした 735 01:02:26,955 --> 01:02:30,626 しかし教会がローマへ異動を命じました 736 01:02:30,751 --> 01:02:34,046 その結果ここへ行きついたのです 737 01:02:34,171 --> 01:02:37,257 来てみたら数千の隕石もあった 738 01:02:37,382 --> 01:02:39,927 教会はここに隕石があり–– 739 01:02:40,052 --> 01:02:43,096 私の専門が隕石だと知らなかった 740 01:02:43,222 --> 01:02:46,099 神が起こした偶然の出会いです 741 01:02:46,225 --> 01:02:52,981 宇宙から地球を訪ねてきた隕石がここにあるのです 742 01:02:53,106 --> 01:02:55,359 地球にない物質が–– 743 01:02:55,484 --> 01:03:01,073 化学作用で45億年前に作られたのです 744 01:03:01,198 --> 01:03:06,328 現代の技術によりそれが判明したのは奇跡です 745 01:03:06,578 --> 01:03:11,124 地球の生命の起源が宇宙だという説は–– 746 01:03:11,250 --> 01:03:14,127 理にかなっていると? 747 01:03:14,253 --> 01:03:17,339 データはないが可能性はあります 748 01:03:17,464 --> 01:03:22,094 宇宙の生命の存在を信じるかよく聞かれます 749 01:03:22,219 --> 01:03:26,181 疑問は当然でこれは信念の問題です 750 01:03:26,306 --> 01:03:28,267 データがないだけです 751 01:03:28,475 --> 01:03:32,729 科学者として究明したい人がいれば–– 752 01:03:32,855 --> 01:03:35,148 大歓迎しますよ 753 01:03:35,274 --> 01:03:39,778 ですが空飛ぶ円盤の宇宙人の研究には–– 754 01:03:39,903 --> 01:03:42,197 あまり賛成できません 755 01:03:42,322 --> 01:03:47,286 もし宇宙人が来たら洗礼を施しますか? 756 01:03:47,411 --> 01:03:48,996 依頼があれば 757 01:03:50,789 --> 01:03:54,793 歴史的な望遠鏡を見せてくれました 758 01:03:54,918 --> 01:03:59,298 空全体の写真を撮影し天体写真を作成します 759 01:03:59,673 --> 01:04:02,759 あらゆる歴史の中や世界中で–– 760 01:04:02,885 --> 01:04:06,930 なぜ天国が上空にあると思うのでしょう? 761 01:04:07,848 --> 01:04:11,435 分かりませんがどの言語でも–– 762 01:04:11,560 --> 01:04:14,813 空と天国は同じ所と言われます 763 01:04:15,814 --> 01:04:20,569 専門家なら いい答があるのでしょうが–– 764 01:04:20,694 --> 01:04:26,241 私なら星を見上げれば感じることができます 765 01:04:26,366 --> 01:04:28,243 我を忘れて–– 766 01:04:28,744 --> 01:04:32,623 神に遭遇する心の準備をしなくてはと 767 01:04:33,957 --> 01:04:39,922 流れ星は科学的事実ですかそれとも驚異の事ですか? 768 01:04:40,047 --> 01:04:42,633 両方とも当てはまります 769 01:04:43,509 --> 01:04:48,305 正直に言うと 科学の方に畏敬の念があります 770 01:04:48,805 --> 01:04:53,018 “美しい光だ”と言うこともできるし–– 771 01:04:53,143 --> 01:04:57,689 “光の色の構成元素がわかる”とも言えます 772 01:04:57,814 --> 01:05:03,570 もしカメラでとらえていたら測定できただろうと 773 01:05:03,695 --> 01:05:10,202 驚きだけでなく彗星のちりに関することがわかります 774 01:05:10,327 --> 01:05:14,998 彗星のちりに地球が突進したのです 775 01:05:15,123 --> 01:05:17,626 窓ガラスに当たる雪のように–– 776 01:05:17,751 --> 01:05:22,172 光の矢が大気圏に突入したのです 777 01:05:22,714 --> 01:05:27,344 それが喜びを増し消すことはできません 778 01:05:27,553 --> 01:05:31,181 合理的で詩的想像的で理論的な–– 779 01:05:31,306 --> 01:05:35,310 異なる知識の動力を生んだのですね 780 01:05:35,435 --> 01:05:41,483 壮大な宇宙の問題と魂の本質問題に対応すべく–– 781 01:05:41,608 --> 01:05:46,822 同じ思考過程で整理したということですね 782 01:05:47,322 --> 01:05:50,951 どちらが欠けても成り立ちません 783 01:05:51,118 --> 01:05:55,038 科学の追求科学の欲求には–– 784 01:05:55,163 --> 01:06:00,002 畏敬の念と驚異の念が欠かせないのです 785 01:06:00,711 --> 01:06:07,551 創造を経験することなく神を信じることはできません 786 01:06:07,801 --> 01:06:10,304 だから信仰があるのです 787 01:06:11,138 --> 01:06:15,851 70年代にウェスト彗星について述べていますね 788 01:06:15,976 --> 01:06:20,606 感動的ではなく恐れたと言ってます 789 01:06:20,731 --> 01:06:23,817 心底からぞっとしたと理由は? 790 01:06:24,651 --> 01:06:30,157 かつて写真で見たような彗星が空にありました 791 01:06:30,282 --> 01:06:33,577 写真だけの存在だと思っていたのに 792 01:06:33,702 --> 01:06:37,247 地球外のものは大きく恐ろしかった 793 01:06:37,372 --> 01:06:40,250 “昨日はなかったのに何だ?” 794 01:06:41,001 --> 01:06:44,713 昔の人々が彗星を見た時に–– 795 01:06:44,838 --> 01:06:50,135 何かの前兆だと非常に恐れたことが理解できました 796 01:06:50,677 --> 01:06:55,307 もしNASAの望遠鏡が地球の脅威となる–– 797 01:06:55,432 --> 01:06:59,686 物体の接近を検知したら教会の反応は? 798 01:06:59,853 --> 01:07:04,149 正直言って 祈りますよ他に何ができます? 799 01:07:05,609 --> 01:07:10,239 ﹁ディ︱プ・インパクト﹂(1998年) 800 01:07:08,195 --> 01:07:10,697 身に迫る実在的恐怖が︱ 801 01:07:10,822 --> 01:07:17,162 襲いかかり 観衆を震え上がらせた映画があります 802 01:07:17,371 --> 01:07:19,540 見事な描写です 803 01:07:53,991 --> 01:08:00,247 修道士の祈りはさておき実用的な観測も行われています 804 01:08:00,455 --> 01:08:02,875 ここはパンスタ︱ズ天文台 805 01:08:01,290 --> 01:08:06,336 ハワイ州 ハレアカラパンスタ︱ズ天文台 806 01:08:03,000 --> 01:08:07,880 ハワイのマウイ島にある全天観測型で︱ 807 01:08:08,005 --> 01:08:11,633 緊急対応システムの天文台です 808 01:08:11,842 --> 01:08:13,844 ブレーキを解除したわ 809 01:08:14,011 --> 01:08:19,349 パンスタ︱ズ天文台技術者ドナ・ロ︱ア 810 01:08:14,636 --> 01:08:17,514 みんな離れて下ろすわよ 811 01:08:17,639 --> 01:08:21,977 望遠鏡のメンテナンスを行っています 812 01:08:45,375 --> 01:08:50,339 パンスタ︱ズオペレ︱ション・センタ︱ 813 01:08:52,424 --> 01:08:56,053 ジョアナ・バルガ︱博士は︱ 814 01:08:53,300 --> 01:08:57,261 ハワイ天文学研究所ジョアナ・バルガ︱ 815 01:08:56,178 --> 01:08:58,930 人類の命を任されています 816 01:09:01,767 --> 01:09:05,479 同僚のマーク・ウィルマン博士も同様です 817 01:09:05,770 --> 01:09:10,943 その表情から確固たる自信がうかがえます 818 01:09:06,939 --> 01:09:10,943 ハワイ天文学研究所マ︱ク・ウィルマン 819 01:09:14,071 --> 01:09:17,323 夜間観測を見せてもらいました 820 01:09:17,448 --> 01:09:18,658 こんばんは 821 01:09:18,783 --> 01:09:19,743 やあ クライブ 822 01:09:19,868 --> 01:09:22,328 見学させてもらいます 823 01:09:22,453 --> 01:09:23,705 どうぞ 824 01:09:23,830 --> 01:09:24,831 かけて 825 01:09:24,957 --> 01:09:30,546 敵意のある宇宙の岩から地球を守ってるんですね 826 01:09:30,671 --> 01:09:34,758 観察するだけだが湿度のせいで中断です 827 01:09:34,883 --> 01:09:37,010 現在は90%あります 828 01:09:37,135 --> 01:09:42,057 鏡に湿気は禁物なので85%で閉じます 829 01:09:42,474 --> 01:09:45,519 望遠鏡側との連絡法は? 830 01:09:45,644 --> 01:09:47,145 そういうことか… 831 01:09:48,354 --> 01:09:52,317 リモート操作してる頂上は無人です 832 01:09:52,484 --> 01:09:56,363 標高3000メートルまで登る必要はない 833 01:09:56,488 --> 01:09:59,491 ここなら約600メートルなので 834 01:10:00,701 --> 01:10:04,204 この画面は夜の空ですか? 835 01:10:04,371 --> 01:10:06,415 はい これが星図です 836 01:10:06,540 --> 01:10:11,086 真上が天頂でここに望遠鏡があります 837 01:10:11,336 --> 01:10:14,882 これが観測するターゲットです 838 01:10:15,007 --> 01:10:21,680 約60枚を撮影したうち同じ地点の映像が4枚あります 839 01:10:21,805 --> 01:10:26,977 つまり4つの映像で移動している物をとらえます 840 01:10:27,102 --> 01:10:29,229 世界一大きいカメラとか? 841 01:10:29,354 --> 01:10:30,314 はい 842 01:10:30,564 --> 01:10:34,151 私のは12メガピクセルですがどんな物? 843 01:10:34,276 --> 01:10:37,237 10億ピクセル以上です 844 01:10:37,362 --> 01:10:38,780 ですから… 845 01:10:39,531 --> 01:10:44,661 一般消費者向けカメラよりはるかに大きいです 846 01:10:46,496 --> 01:10:50,083 これはピクセル配列ですか? 847 01:10:50,209 --> 01:10:53,253 はい これは原画像です 848 01:10:53,378 --> 01:10:56,089 45秒の露出です 849 01:10:56,215 --> 01:11:01,011 カメラの大きさもわかると思います 850 01:11:02,262 --> 01:11:08,727 これでおよそ7平方度で3度の視野角が広がります 851 01:11:08,936 --> 01:11:13,732 カメラは8x8の配列に処理可能な–– 852 01:11:13,857 --> 01:11:16,026 CCDカメラです 853 01:11:16,485 --> 01:11:20,113 実際に映像の1つをクリックすると… 854 01:11:20,239 --> 01:11:23,242 あれは何?隕石ですか? 855 01:11:23,367 --> 01:11:27,538 いいえ これは視野に入った人工衛星です 856 01:11:27,663 --> 01:11:30,332 やりがいのある仕事です 857 01:11:32,376 --> 01:11:38,048 恐竜の絶滅のような末路を避けるために観測します 858 01:11:38,173 --> 01:11:43,595 たとえ巨大な隕石の衝突の確率は低いとしてもです 859 01:11:44,096 --> 01:11:49,726 しかし いずれは来るので監視しているのです 860 01:11:50,686 --> 01:11:53,230 安心して眠れますね 861 01:11:53,355 --> 01:11:56,608 常にここで誰かが夜勤で–– 862 01:11:56,733 --> 01:12:00,028 火の玉を探してくれてるなら 863 01:12:00,153 --> 01:12:02,155 365日 必ずいますよ 864 01:12:02,281 --> 01:12:04,992 守っていただき感謝します 865 01:12:05,200 --> 01:12:07,494 どういたしまして 866 01:12:07,870 --> 01:12:12,875 撮影した写真は惑星防衛研究の︱ 867 01:12:10,122 --> 01:12:14,126 ハワイ天文学研究所ロブ・ウェリック 868 01:12:13,000 --> 01:12:16,503 ロブ・ウェリック博士が分析します 869 01:12:17,462 --> 01:12:19,923 望遠鏡は初めて見ます 870 01:12:20,048 --> 01:12:25,554 通常はデータ分析なので実際に見るのはいい機会です 871 01:12:25,679 --> 01:12:29,016 初対面の兄弟のようですね 872 01:12:29,183 --> 01:12:30,851 そんな感じです 873 01:12:30,976 --> 01:12:36,273 夜明け前に1時間半 撮影しデータを今朝検討して–– 874 01:12:36,398 --> 01:12:38,775 6個の候補を見つけました 875 01:12:38,901 --> 01:12:39,526 あなたが? 876 01:12:39,651 --> 01:12:43,697 ええ でもチームの仕事で行っています 877 01:12:43,822 --> 01:12:46,116 最も興奮したものは? 878 01:12:46,241 --> 01:12:49,328 “オウムアムア”と呼ばれるものです 879 01:12:49,453 --> 01:12:53,582 太陽系外から飛来した恒星間天体です 880 01:12:53,707 --> 01:12:56,335 史上初の発見です 881 01:12:56,460 --> 01:12:57,461 オウムアムア? 882 01:12:57,586 --> 01:13:02,299 ハワイ語で“最初の使者”という意味です 883 01:13:03,800 --> 01:13:05,844 2段階の手順です 884 01:13:05,969 --> 01:13:10,807 コンピューターは不完全なので毎晩検出するものを–– 885 01:13:10,933 --> 01:13:14,436 再検討するのが私の仕事です 886 01:13:14,561 --> 01:13:20,400 実在するのは一連の点や軌跡になっているものです 887 01:13:20,651 --> 01:13:22,528 あなたが一番最初? 888 01:13:22,653 --> 01:13:28,450 観測者がデータ収集する間地球で最初に見るのが私です 889 01:13:28,575 --> 01:13:33,205 私の判断で地球に危険が迫れば警報を出します 890 01:13:34,456 --> 01:13:37,417 警報は即座にNASAの–– 891 01:13:37,543 --> 01:13:41,255 惑星防衛部門に伝えられます 892 01:13:41,380 --> 01:13:45,801 〝惑星防衛部門〟 893 01:13:42,089 --> 01:13:45,801 その存在を知るのは数人のみです 894 01:13:45,926 --> 01:13:49,972 責任者はケリ︱・ファ︱スト博士 895 01:13:45,926 --> 01:13:49,972 天文学者ケリ︱・ファ︱スト 896 01:13:50,347 --> 01:13:54,142 小惑星は太陽系の害虫だと聞きました 897 01:13:54,268 --> 01:13:56,270 なぜですか? 898 01:13:56,395 --> 01:14:01,149 小惑星以外を見ている天文学者にとっては–– 899 01:14:01,275 --> 01:14:07,990 観測している以外の邪魔物が紛れ込んでくるわけです 900 01:14:08,115 --> 01:14:13,328 そういう意味で太陽系の害虫と言うわけです 901 01:14:13,453 --> 01:14:15,831 NASAの見解では–– 902 01:14:15,956 --> 01:14:20,586 科学と宇宙探査の目的として素晴らしいです 903 01:14:20,711 --> 01:14:26,967 しかし2つの天体が同じ空間に同時にいると問題なので 904 01:14:27,092 --> 01:14:31,597 地球の軌道上を地球と同時期に交差する小惑星がないか–– 905 01:14:31,722 --> 01:14:33,265 監視します 906 01:14:33,390 --> 01:14:39,813 流れ星のようなちりは常にあり大気圏で燃え尽きます 907 01:14:39,938 --> 01:14:46,069 しかしサイズが大きくなり小惑星クラスになると… 908 01:14:47,112 --> 01:14:52,159 地球の大気圏でも燃えず突入してしまいます 909 01:14:52,284 --> 01:14:55,871 チェリャビンスク隕石は直径約20メートル 910 01:14:56,288 --> 01:14:58,707 1908年 シベリアのツングースカでは–– 911 01:14:58,832 --> 01:15:02,377 約40メ︱トルの隕石と想定されます 912 01:14:59,750 --> 01:15:04,755 1908年 シベリアツング︱スカ 913 01:15:04,338 --> 01:15:08,300 8千万本の木々が爆風でなぎ倒されました 914 01:15:08,425 --> 01:15:13,472 しかし小惑星のかけらも見つかっていません 915 01:15:16,225 --> 01:15:21,897 では巨大な小惑星からどう守ればいいのでしょう? 916 01:15:22,022 --> 01:15:24,650 最高の方法は準備です 917 01:15:24,775 --> 01:15:29,321 まずは発見しないと自衛方法もわかりません 918 01:15:29,446 --> 01:15:34,076 それを最優先として地上で調査をしています 919 01:15:34,535 --> 01:15:36,161 想像してください 920 01:15:36,286 --> 01:15:41,166 地球や惑星が太陽の周りを回る競技場があり–– 921 01:15:41,291 --> 01:15:44,127 また多くの小惑星もあります 922 01:15:44,253 --> 01:15:49,883 するとお互い接近することが何度もあるわけです 923 01:15:50,008 --> 01:15:56,390 小惑星が地球に月の距離ほどに近距離接近するのです 924 01:15:56,849 --> 01:16:02,563 それが巨大で地球到達まで時間がなかったら 925 01:16:02,688 --> 01:16:06,149 それを爆破する映画があります 926 01:16:04,857 --> 01:16:09,528 ﹁ディ︱プ・インパクト﹂(1998年) 927 01:16:06,275 --> 01:16:09,528 それより強く押す力が必要です 928 01:16:09,653 --> 01:16:14,157 映画でも使われた核爆弾などです 929 01:16:14,283 --> 01:16:18,245 その発想は小惑星の近くで爆破させ–– 930 01:16:18,370 --> 01:16:23,250 その爆破エネルギーで表面を放射するのです 931 01:16:23,375 --> 01:16:28,297 それで表面を吹き飛ばし別の方向へ向かせるのです 932 01:16:30,340 --> 01:16:34,386 日本の探査機がそっと接近したのが︱ 933 01:16:30,340 --> 01:16:38,265 リュウグウ直径1キロメ︱トル 934 01:16:34,511 --> 01:16:38,265 小惑星の〝リュウグウ〟です 935 01:16:39,308 --> 01:16:43,145 表面に映った探査機の影から–– 936 01:16:43,270 --> 01:16:47,149 小惑星の小ささが分かります 937 01:16:49,860 --> 01:16:53,864 引力が小さいためそっと着陸しただけで–– 938 01:16:53,989 --> 01:16:59,077 大量の破片を宇宙空間に放出しました 939 01:17:00,537 --> 01:17:04,124 これで隕石の由来が分かります 940 01:17:04,958 --> 01:17:08,879 探査機は1グラムのサンプルを採取し–– 941 01:17:09,004 --> 01:17:12,799 地球への帰路に就いています 942 01:17:13,759 --> 01:17:18,597 大きなサンプル採取に格好の場所は南極大陸です 943 01:17:21,642 --> 01:17:25,521 多くの落下があるからではありません 944 01:17:25,812 --> 01:17:31,318 北米より広い大陸をおおってしまう程の–– 945 01:17:31,443 --> 01:17:34,821 巨大な氷河の上で目視できるからです 946 01:17:35,989 --> 01:17:41,453 韓国の科学者グループの調査に加わります 947 01:17:41,745 --> 01:17:45,207 南極大陸の東部の海岸にある︱ 948 01:17:42,746 --> 01:17:47,668 南極大陸チャン・ボゴ基地 949 01:17:45,332 --> 01:17:50,295 チャン・ボゴ基地に約50名がいます 950 01:17:52,965 --> 01:17:57,052 南半球の夏は5ヵ月近く続き–– 951 01:17:57,427 --> 01:18:00,430 その間 太陽は沈みません 952 01:18:03,183 --> 01:18:07,437 内部は予想よりも広いところでした 953 01:18:08,522 --> 01:18:13,569 わずか数キロ先はテラノバ遠征のスコット隊が 954 01:18:13,694 --> 01:18:20,284 幅3メートルの雪洞で寒さを耐え忍んだ所です 955 01:18:20,576 --> 01:18:23,579 不衛生な所で空腹と寒さに耐え 956 01:18:23,704 --> 01:18:28,750 食べ物はアザラシの肉と1日1枚のビスケットだけ 957 01:18:29,418 --> 01:18:31,837 その日記には–– 958 01:18:31,962 --> 01:18:37,634 現実から離れ ごちそうを夢見たと書かれています 959 01:18:37,843 --> 01:18:41,972 夢でごちそうにありついたのは1人だけ 960 01:18:42,097 --> 01:18:46,185 当然ながら同僚に憎まれたそうです 961 01:18:50,063 --> 01:18:53,650 しかし我々の目的は食事ではありません 962 01:18:53,775 --> 01:18:58,405 早く南極高原内部まで行ってみたいのです 963 01:18:58,780 --> 01:19:02,868 陸路を車で行く方法もありますが–– 964 01:19:02,993 --> 01:19:05,829 3週間かかってしまいます 965 01:19:05,954 --> 01:19:11,043 それに隕石を探す付近にブルーアイスがあるのです 966 01:19:20,928 --> 01:19:25,766 まずヘリコプターで2000メートルに上昇します 967 01:19:26,183 --> 01:19:30,729 沿岸にある基地から大陸の氷原まで–– 968 01:19:30,854 --> 01:19:35,025 滝のような氷河の上を飛行していきます 969 01:19:35,400 --> 01:19:37,986 徒歩では無理でしょう 970 01:19:38,320 --> 01:19:44,076 険しく突き出した氷はビルを上回る高さです 971 01:19:44,201 --> 01:19:48,038 それが常に海へ向かって流れています 972 01:19:51,416 --> 01:19:54,127 やっと高原に到着です 973 01:19:54,628 --> 01:19:59,341 わずかに残る山が島のようにそびえ立っています 974 01:20:01,677 --> 01:20:06,723 まるで地球外の世界に入っていくようです 975 01:20:11,562 --> 01:20:16,400 ここからは2~4キロの厚さの氷におおわれた–– 976 01:20:16,525 --> 01:20:21,196 孤独な大陸が果てしなく広がります 977 01:20:26,285 --> 01:20:30,789 GPSで調べた場所にいる遠征隊が–– 978 01:20:31,999 --> 01:20:34,376 我々を待っています 979 01:20:52,978 --> 01:20:56,315 出迎えたのは調査のリーダー 980 01:20:56,440 --> 01:20:58,984 チョン・イク・リーです 981 01:20:59,401 --> 01:21:03,238 彼が我々を南極へ招いてくれました 982 01:21:03,363 --> 01:21:06,742 古い友人との再会のようです 983 01:21:05,157 --> 01:21:09,119 韓国南極研究所チョン・イク・リ︱ 984 01:21:07,409 --> 01:21:09,119 無事でよかった 985 01:21:09,786 --> 01:21:11,288 遂に来たよ 986 01:21:11,413 --> 01:21:12,956 長年の夢だ 987 01:21:13,248 --> 01:21:18,170 彼が撮影した映像を数年前に見たのです 988 01:21:18,921 --> 01:21:21,507 彼は巨大な隕石を発見 989 01:21:21,632 --> 01:21:26,595 その隕石の映像と彼の歓喜に魅了されました 990 01:21:26,970 --> 01:21:30,057 これぞ科学のだいご味です 991 01:21:32,893 --> 01:21:37,856 2014年韓国南極研究所提供映像 992 01:22:10,055 --> 01:22:12,349 もう下ろして 993 01:22:20,941 --> 01:22:25,404 歓喜の記録以外に興味を持ったことがあります 994 01:22:25,529 --> 01:22:30,367 倫理上問題視されるかも知れませんが… 995 01:22:31,618 --> 01:22:34,413 背後を見てください 996 01:22:34,538 --> 01:22:38,417 意図不明の行動が映ってしまいます 997 01:22:38,542 --> 01:22:40,878 お尻を向けた姿 998 01:22:59,271 --> 01:23:01,106 現在に戻りましょう 999 01:23:01,648 --> 01:23:06,153 チョン・イクの妻で南極地質学者の–– 1000 01:23:06,278 --> 01:23:09,489 ミ・チュンも合流しました 1001 01:23:21,168 --> 01:23:23,629 夫婦そろったね 1002 01:23:24,505 --> 01:23:29,384 到着後すぐに最初の隕石を発見しました 1003 01:23:30,219 --> 01:23:34,056 雪におおわれていない透明な氷で–– 1004 01:23:34,181 --> 01:23:36,934 発見には理想的な地形です 1005 01:23:37,601 --> 01:23:42,814 巨大な氷のかたまりは移動し続けているので–– 1006 01:23:42,940 --> 01:23:48,862 数十万年前に落下した物がその姿を現わすのです 1007 01:23:51,782 --> 01:23:55,619 そのほとんどは海へ流されますが 1008 01:23:55,869 --> 01:24:01,875 はるか下にある山脈により氷河が上へ傾くと–– 1009 01:24:02,000 --> 01:24:06,588 氷が気化し抱えていた物が表面に残ります 1010 01:24:08,131 --> 01:24:11,927 ここにあるのは全て隕石です 1011 01:24:55,304 --> 01:24:58,765 右手の人が何か見つけました 1012 01:25:12,112 --> 01:25:15,282 ラッキーなことにクライブでした 1013 01:25:15,449 --> 01:25:18,952 お膳立てしたわけではありません 1014 01:25:23,415 --> 01:25:24,875 見てくれ 1015 01:25:25,459 --> 01:25:29,254 やったねこれは君が採取してくれ 1016 01:25:29,546 --> 01:25:31,131 おめでとう 1017 01:25:31,548 --> 01:25:34,092 今日の収穫では一番大きい 1018 01:25:34,218 --> 01:25:39,264 あそこで小さいのを見つけたと思ったら… 1019 01:25:39,389 --> 01:25:44,978 結果 これが今期の調査で最大の隕石となり–– 1020 01:25:45,103 --> 01:25:50,776 最初の鑑定で珍しいサンプルだと示唆されました 1021 01:26:03,830 --> 01:26:08,627 調査を続行しましたが別の考えも忍び寄ります 1022 01:26:09,044 --> 01:26:13,048 夜が訪れるまでは5ヵ月かかります 1023 01:26:13,715 --> 01:26:19,847 誰にも会うことなく5000キロは歩けるでしょう 1024 01:26:42,786 --> 01:26:47,958 ここは徒歩で 究極の宇宙体験ができる場所です 1025 01:26:49,084 --> 01:26:55,382 しかし徒歩では行きつけない魂が旅立つ場所があります 1026 01:26:55,966 --> 01:27:00,304 人類の存在を超越する所です 1027 01:27:05,267 --> 01:27:09,563 最後に向かうのは最も人里離れた–– 1028 01:27:09,688 --> 01:27:12,983 トレス海峡にある諸島です 1029 01:27:13,817 --> 01:27:18,655 そこはオーストラリアとニューギニアの間 1030 01:27:20,032 --> 01:27:25,787 メルと呼ばれるこの島の人口は約400人 1031 01:27:26,747 --> 01:27:30,918 流れ星が死人の魂を新しい命へ運ぶ 1032 01:27:31,043 --> 01:27:35,923 そんな話が部族に伝わっているそうです 1033 01:27:38,509 --> 01:27:41,470 ダグ・パッシは部族の長老 1034 01:27:38,509 --> 01:27:42,554 ファレン・〝ダグ〟・パッシ 1035 01:27:41,595 --> 01:27:44,431 魂が流星から冥界に︱ 1036 01:27:44,556 --> 01:27:47,476 旅立つ話をしてくれました 1037 01:27:49,311 --> 01:27:52,981 家族の1人は“マイヤー”の亡霊に–– 1038 01:27:54,191 --> 01:27:55,275 運ばれたのです 1039 01:27:55,400 --> 01:27:56,527 “マイヤー”とは… 1040 01:27:56,652 --> 01:27:58,111 流れ星です 1041 01:27:58,237 --> 01:28:04,284 彼女は燃える“マイヤー”に実際に乗っていたのです 1042 01:28:06,161 --> 01:28:08,121 そう聞きました 1043 01:28:08,789 --> 01:28:11,667 これは本当の話だそうです 1044 01:28:12,167 --> 01:28:16,338 その老婦人の名はギゾ・シンボロです 1045 01:28:16,463 --> 01:28:17,714 生存して… 1046 01:28:17,840 --> 01:28:19,925 ええ 生きてました 1047 01:28:20,509 --> 01:28:23,762 家族に死期が近づくと–– 1048 01:28:24,721 --> 01:28:27,224 “マイヤー”は言います 1049 01:28:27,349 --> 01:28:31,645 “誰かが数日以内に亡くなる”と 1050 01:28:32,354 --> 01:28:34,022 あるいは… 1051 01:28:34,898 --> 01:28:38,277 “誰かが世を去った”と 1052 01:28:39,361 --> 01:28:44,533 流れ星“マイヤー”は赤い時も青い時もある 1053 01:28:46,201 --> 01:28:52,207 死とは大きな出来事ではなく旅の始まりなんですね 1054 01:28:53,166 --> 01:28:57,337 新しい生命の始まりということです 1055 01:29:02,342 --> 01:29:04,428 違う種になるのです 1056 01:29:04,803 --> 01:29:09,433 鳥に 犬に人になることもある 1057 01:29:11,059 --> 01:29:14,479 それとも壁に映る影かも知れない 1058 01:29:14,938 --> 01:29:17,191 浮かんでいる木かも 1059 01:29:17,900 --> 01:29:20,736 海に漂う木です 1060 01:29:27,743 --> 01:29:33,624 撮影で訪れたので 島民が踊りを見せてくれました 1061 01:29:33,749 --> 01:29:37,127 半世紀ぶりに踊るそうです 1062 01:29:44,009 --> 01:29:49,806 長老のアロ・タピムが若者に振り付けの指導をします 1063 01:29:59,566 --> 01:30:03,612 アロ・タピム 1064 01:30:48,156 --> 01:30:54,454 これは“マイヤー”の話を踊りにしたものです 1065 01:30:55,664 --> 01:30:59,918 “マイヤー”は星彗星のことです 1066 01:31:00,794 --> 01:31:03,046 特別な星です 1067 01:31:06,925 --> 01:31:10,971 特別な時にだけ私たちの前に現れます 1068 01:31:11,096 --> 01:31:14,099 メルの人々は見守るのです 1069 01:31:14,725 --> 01:31:19,188 愛する人が新たな生命へ旅立ちます 1070 01:31:20,606 --> 01:31:24,067 星を介して転生が行われるのです 1071 01:31:26,111 --> 01:31:31,408 踊り手はたいまつを持ちます 1072 01:31:32,659 --> 01:31:34,578 “ネア”と呼ぶものを–– 1073 01:31:35,454 --> 01:31:36,747 持ちます 1074 01:31:38,248 --> 01:31:41,293 それは流れ星が–– 1075 01:31:42,127 --> 01:31:48,425 燃え尽きていく様子を表しています 1076 01:31:49,927 --> 01:31:53,096 たいまつで表現しているのです 1077 01:31:54,097 --> 01:31:57,559 2本のたいまつが会います 1078 01:31:58,685 --> 01:32:00,938 ぶつかります 1079 01:32:01,563 --> 01:32:04,942 2本のたいまつが当たった時 1080 01:32:06,818 --> 01:32:09,238 そこで つながるのです 1081 01:32:12,824 --> 01:32:14,284 それが–– 1082 01:32:15,160 --> 01:32:17,955 星を表現しています 1083 01:32:19,748 --> 01:32:22,084 これが言い伝えです 1084 01:37:36,857 --> 01:37:38,859 日本語字幕 遠藤 純