1 00:00:13,160 --> 00:00:15,360 月の神殿に入ると 2 00:00:17,920 --> 00:00:20,680 まず蛇に出迎えられます 3 00:00:23,760 --> 00:00:25,320 岩壁に刻まれて 4 00:00:26,280 --> 00:00:30,120 光る体は 生きているかのようです 5 00:00:32,120 --> 00:00:36,600 高い技術です 周囲の岩を削り取り 6 00:00:36,680 --> 00:00:40,640 蛇の側面だけを 高浮彫しています 7 00:00:44,600 --> 00:00:48,080 奥へ進むと さらに謎の形が現れます 8 00:00:48,600 --> 00:00:50,600 天然石の彫刻です 9 00:00:53,320 --> 00:00:56,080 独特の雰囲気があります 10 00:00:56,920 --> 00:00:58,760 細かい ちりが- 11 00:00:59,400 --> 00:01:03,200 天井から差し込む 光の中に舞っている 12 00:01:04,120 --> 00:01:08,880 その下には明らかに人造の 完璧に平らな台座 13 00:01:11,080 --> 00:01:13,720 この台座は あの蛇と同様に 14 00:01:13,800 --> 00:01:16,240 岩から切り出されています 15 00:01:16,320 --> 00:01:21,720 天井の割れ目から 日光も月光も当たります 16 00:01:24,360 --> 00:01:29,200 地元では“月の神殿”と 呼ばれますが正確には 17 00:01:29,280 --> 00:01:32,840 アマル·マルカワシ つまり“蛇の家” 18 00:01:34,040 --> 00:01:38,840 不気味ながら 強烈な存在感を放つ岩場です 19 00:01:41,560 --> 00:01:45,360 インカが豊穣(ほうじょう)の儀式に 使ったと言われます 20 00:01:45,440 --> 00:01:48,720 供物が贈られた対象は 月の女神で 21 00:01:48,800 --> 00:01:51,680 ビラコチャの娘 ママ·キリャです 22 00:01:56,360 --> 00:02:02,920 静寂や しんとした冷たさが 心にしみ込みます 23 00:02:03,000 --> 00:02:07,960 偶然の産物ではなく 意図的な設計だと感じます 24 00:02:11,160 --> 00:02:13,760 この神聖な場の作者が 25 00:02:13,840 --> 00:02:18,760 インカの きらびやかな 神殿を造った人々と 26 00:02:18,840 --> 00:02:20,840 同じとは思えません 27 00:02:24,200 --> 00:02:29,000 ここを発見したインカ人が 崇拝の意味で 28 00:02:29,080 --> 00:02:32,320 外壁を施したのでしょうか 29 00:02:33,720 --> 00:02:36,320 この建造物の作者は 30 00:02:36,840 --> 00:02:41,480 石細工に長けた より古い文明の人でしょうか 31 00:02:54,560 --> 00:02:59,080 {\an8}太古からの啓示 アメリカ大陸 32 00:02:59,160 --> 00:03:01,320 {\an8}第4章 33 00:03:04,840 --> 00:03:07,640 ペルーのクスコ近郊の丘で 34 00:03:07,720 --> 00:03:11,760 私が調べているのは 古代の石工技術 35 00:03:11,840 --> 00:03:13,400 ハナン・パチャです 36 00:03:16,040 --> 00:03:22,440 謎は幾重にも重なっていて それを解くためには 37 00:03:22,520 --> 00:03:26,160 多くの建築様式を見る 必要があります 38 00:03:26,240 --> 00:03:30,320 1つの壁に 共存していることもあります 39 00:03:30,400 --> 00:03:33,840 異なる文化の遺物と 考えられます 40 00:03:35,120 --> 00:03:39,480 月の神殿と サクサイワマンの間に 41 00:03:40,200 --> 00:03:43,280 重要な遺跡が もう1つあります 42 00:03:43,360 --> 00:03:47,480 同じ古代の石工技術を 使ったと思われる- 43 00:03:49,040 --> 00:03:49,920 ケンコーです 44 00:03:50,000 --> 00:03:53,400 ケンコー遺跡 45 00:03:54,120 --> 00:03:56,880 ケチュア語での意味は “迷路” 46 00:03:58,800 --> 00:04:01,680 歩き始めて 理由が分かりました 47 00:04:03,480 --> 00:04:09,720 中心へ向かって進むと 曲がりくねった通路が 48 00:04:09,800 --> 00:04:11,880 人を内観に導きます 49 00:04:15,280 --> 00:04:20,480 ケンコーは気づけば 独りになっている場所です 50 00:04:21,440 --> 00:04:24,280 謎めいた神秘的な雰囲気と 51 00:04:25,000 --> 00:04:27,000 静寂に包まれます 52 00:04:34,040 --> 00:04:36,480 複雑に掘られたトンネルと 53 00:04:39,240 --> 00:04:40,960 地下の通路 54 00:04:44,080 --> 00:04:46,240 岩盤を削って造られた- 55 00:04:47,600 --> 00:04:49,320 祭壇のようなもの 56 00:04:51,000 --> 00:04:53,840 そして円形の広場へ 57 00:04:56,200 --> 00:04:59,920 ヘスス·ガマラに 説明してもらいます 58 00:05:02,120 --> 00:05:10,360 ケンコーの中に インカ人が造ったものは? ヘスス·ガマラ 考古学研究者 <ありません> 59 00:05:10,440 --> 00:05:16,600 <小石や泥を使った接合など インカ人の手による痕跡も> 60 00:05:17,280 --> 00:05:19,840 <少しはありますが> 61 00:05:19,920 --> 00:05:26,320 <ハナン·パチャを尊重した 手の入れ方です> 62 00:05:26,400 --> 00:05:30,760 <愛を込めた崇拝の気持ちを> 63 00:05:30,840 --> 00:05:34,400 <小石を使って丁寧に-> 64 00:05:34,480 --> 00:05:39,320 <積み上げて囲むことで 示しています> 65 00:05:41,440 --> 00:05:46,000 古代に彫られた岩を つたない石積みで囲んでいる 66 00:05:46,080 --> 00:05:48,480 月の神殿と同じです 67 00:05:50,200 --> 00:05:52,120 様式の混在は 68 00:05:52,720 --> 00:05:55,640 ペルーの多くの聖地に 見られます 69 00:05:57,320 --> 00:05:57,840 {\an8}例えばマチュピチュの インティワタナです 70 00:05:57,840 --> 00:06:02,960 {\an8}例えばマチュピチュの インティワタナです ペルー マチュピチュ 71 00:06:04,800 --> 00:06:08,480 インカの建築と思われる 石が囲んでいます 72 00:06:09,560 --> 00:06:12,400 聖地への敬意の印でしょう 73 00:06:15,080 --> 00:06:15,680 {\an8}クスコと サクサイワマンも 74 00:06:15,680 --> 00:06:18,040 {\an8}クスコと サクサイワマンも ペルー クスコ 75 00:06:18,040 --> 00:06:18,120 {\an8}ペルー クスコ 76 00:06:18,120 --> 00:06:20,080 {\an8}ペルー クスコ 技術が混在しています 77 00:06:20,080 --> 00:06:20,160 {\an8}技術が混在しています 78 00:06:20,160 --> 00:06:21,200 {\an8}技術が混在しています ペルー サクサイワマン遺跡 79 00:06:21,200 --> 00:06:22,080 {\an8}ペルー サクサイワマン遺跡 80 00:06:22,080 --> 00:06:23,280 {\an8}ペルー サクサイワマン遺跡 ガマラによれば 81 00:06:23,280 --> 00:06:24,040 {\an8}ガマラによれば 82 00:06:24,120 --> 00:06:28,600 {\an8}恐らく古代に彫られた 滑らかな岩を 83 00:06:28,680 --> 00:06:30,800 {\an8}後世の人が 石で囲んだのです 84 00:06:33,640 --> 00:06:38,120 時期は さておき 疑問は造成の方法です 85 00:06:38,760 --> 00:06:42,440 これらは先史の技術の 痕跡なのでしょうか 86 00:06:47,000 --> 00:06:55,280 ガマラの同僚 ヤン・デヨングは ヤン・P・デヨング 研究者 サクサイワマンに 謎を解く鍵があると考えます 87 00:07:03,960 --> 00:07:08,320 壁が光る狭いトンネルが ありました 88 00:07:08,400 --> 00:07:09,640 ここは? 89 00:07:09,720 --> 00:07:12,120 チンカーナ・チカです 90 00:07:13,200 --> 00:07:16,160 意味は“道に迷う場所” 91 00:07:17,960 --> 00:07:19,880 自然の岩盤ですが 92 00:07:19,960 --> 00:07:23,320 明らかに 人が掘ったトンネルです 93 00:07:23,400 --> 00:07:26,880 天然の岩を削って造るのが 94 00:07:26,960 --> 00:07:29,560 古いスタイルの特徴ですか? 95 00:07:29,640 --> 00:07:32,440 ハナン・パチャ様式の特徴で 96 00:07:32,520 --> 00:07:36,000 まるで鋳型技術のようです 97 00:07:36,600 --> 00:07:41,160 あたかも岩が 軟らかい物だったかのように 98 00:07:41,680 --> 00:07:44,560 あらゆる加工がされています 99 00:07:44,640 --> 00:07:50,280 つまり岩を軟らかくして 形を作ったと? 100 00:07:50,360 --> 00:07:54,120 建設時は岩を 軟化していたと思います 101 00:07:56,320 --> 00:07:58,440 だが どうやって? 102 00:07:59,240 --> 00:08:03,040 このトンネルの壁が 謎の鍵だと言います 103 00:08:05,120 --> 00:08:09,080 トンネルの壁に 光が反射していましたね 104 00:08:09,720 --> 00:08:12,040 金属のような輝きで 105 00:08:12,560 --> 00:08:14,760 触感は滑らかです 106 00:08:16,720 --> 00:08:19,040 熱処理をされたことで 107 00:08:19,120 --> 00:08:21,840 岩に膜ができたのでしょう 108 00:08:22,800 --> 00:08:24,960 だから光るのです 109 00:08:27,080 --> 00:08:30,280 地質学者が ガラス化と呼ぶ現象です 110 00:08:31,440 --> 00:08:33,520 どれぐらいの熱? 111 00:08:33,600 --> 00:08:36,560 ガラス化するには 112 00:08:37,280 --> 00:08:40,440 摂氏1400度は必要です 113 00:08:41,080 --> 00:08:43,880 途方もない熱ですね 114 00:08:43,960 --> 00:08:47,560 方法は不明ですが やったのは確かです 115 00:08:52,720 --> 00:08:55,280 近くで見ると思います 116 00:08:55,960 --> 00:09:00,680 溶け合ったように見える サクサイワマンの巨岩は 117 00:09:00,760 --> 00:09:03,280 熱処理されたようだと 118 00:09:09,080 --> 00:09:14,080 懐疑派はトンネルの壁が 光っている理由を 119 00:09:14,160 --> 00:09:17,440 人がこすった結果だと 言うでしょうね 120 00:09:17,520 --> 00:09:19,840 その意見が大半でしょう 121 00:09:19,920 --> 00:09:24,920 “トンネルを掘る過程で 多くの手が触れたからだ”と 122 00:09:25,520 --> 00:09:29,080 しかし天井も 壁全体も光っています 123 00:09:29,160 --> 00:09:31,920 全てが同時に触れられた? 124 00:09:32,000 --> 00:09:34,560 それは論理的ではありません 125 00:09:34,640 --> 00:09:38,280 火山活動が 原因だという説は? 126 00:09:38,360 --> 00:09:40,280 ここに火山はない 127 00:09:41,000 --> 00:09:43,320 論理的な説明と言えません 128 00:09:45,480 --> 00:09:48,040 ヤンが唯一 納得できるのは 129 00:09:48,120 --> 00:09:52,520 何らかの古代の科学処理の 結果だという説です 130 00:09:52,600 --> 00:09:56,400 インカ帝国より前の文明です 131 00:09:59,000 --> 00:10:02,840 古代の人々が造ったのです 132 00:10:02,920 --> 00:10:05,840 我々の知らない技術でね 133 00:10:07,800 --> 00:10:12,720 サクサイワマンを見ると これは失われた技術だと- 134 00:10:12,800 --> 00:10:15,200 石工の科学だと感じます 135 00:10:15,280 --> 00:10:18,280 今の私たちには知識がなく 136 00:10:18,360 --> 00:10:21,080 再現できない技術です 137 00:10:26,400 --> 00:10:29,720 技術そのものは 謎のままですが 138 00:10:30,760 --> 00:10:33,160 ガマラは信じています 139 00:10:33,240 --> 00:10:37,080 岩を軟らかく 成形可能にした熱が 140 00:10:37,600 --> 00:10:40,320 岩を強固にもしたのだと 141 00:10:43,280 --> 00:10:46,000 見渡すと古代の遺跡なのに 142 00:10:46,080 --> 00:10:48,560 この石だけ新しく見えます 143 00:10:48,640 --> 00:10:51,840 あなたは どう解釈しますか 144 00:10:52,480 --> 00:10:57,760 <熱と鋳型を使って 作られた部分だけが> 145 00:10:58,360 --> 00:11:01,080 <きれいに残っているのです> 146 00:11:01,160 --> 00:11:05,480 <それ以外の部分は ザラザラしています> 147 00:11:06,000 --> 00:11:11,320 <風雨にさらされて 浸食したからです> 148 00:11:14,720 --> 00:11:18,040 この場所について あなたの考えは? 149 00:11:18,120 --> 00:11:21,880 <説明できない謎が たくさんあります> 150 00:11:21,960 --> 00:11:26,000 <ここは偉大な歴史の 一部だからです> 151 00:11:26,480 --> 00:11:28,920 <何千年も前のね> 152 00:11:33,080 --> 00:11:36,080 私たちは受け入れるべきです 153 00:11:36,160 --> 00:11:41,080 そこにあるのは 我々の知らない工学技術の 154 00:11:41,160 --> 00:11:42,960 成果だということを 155 00:11:44,560 --> 00:11:49,800 私たちは古代に対する 考え方を もっと 156 00:11:49,880 --> 00:11:52,000 柔軟にすべきです 157 00:11:54,080 --> 00:11:58,040 スペイン人が記録した 地元の伝説によれば 158 00:11:58,560 --> 00:12:01,240 高度な石工の技術は 159 00:12:01,320 --> 00:12:07,080 アンデスの創造神 ビラコチャの知の遺産です 160 00:12:11,000 --> 00:12:14,000 彼は岩を炎にのみ込ませ 161 00:12:14,520 --> 00:12:19,760 羽のように宙に浮かせて はめ込んだと言います 162 00:12:22,680 --> 00:12:25,480 熱処理説と似ています 163 00:12:28,440 --> 00:12:33,000 だから私は石を溶かして 接合したという- 164 00:12:33,080 --> 00:12:36,000 伝説に興味を持っています 165 00:12:36,080 --> 00:12:40,040 そのような可能性に 心を開きましょう 166 00:12:41,360 --> 00:12:44,680 説明できない技術の証拠が 167 00:12:44,760 --> 00:12:48,120 古代ペルーの高地に 多く残ります 168 00:12:49,800 --> 00:12:55,040 アンデス山脈の反対側にも あるのでしょうか 169 00:12:56,800 --> 00:13:01,440 アマゾンの熱帯雨林に 我々が見逃している痕跡が? 170 00:13:03,800 --> 00:13:08,840 アマゾン ペルー北東部 171 00:13:11,720 --> 00:13:15,840 現在 人間が住みやすく ないからといって 172 00:13:17,000 --> 00:13:20,560 昔も そうだったとは 限りません 173 00:13:21,360 --> 00:13:23,600 調査が進むことで 174 00:13:23,680 --> 00:13:27,280 アマゾンの秘密が 明かされつつあります 175 00:13:29,680 --> 00:13:33,280 古代に人が居住した証拠が あるのです 176 00:13:33,920 --> 00:13:37,160 {\an8}現在 少なくとも2万5000年前です 177 00:13:37,880 --> 00:13:43,200 {\an8}2万5000年前 失われた文明の時間枠が 178 00:13:43,280 --> 00:13:45,080 かなり開きました 179 00:13:46,200 --> 00:13:51,000 文明を求めて調査すべき 可能性の範囲が 180 00:13:51,080 --> 00:13:53,560 深く長くなりました 181 00:13:59,800 --> 00:14:06,320 1542年に初めてアマゾン川を 航行したヨーロッパ人たちは 182 00:14:07,520 --> 00:14:13,400 そのような文明の末えいを 見かけていたようです 183 00:14:16,800 --> 00:14:20,400 F·オレリャナが率いた 探検隊で 184 00:14:20,480 --> 00:14:23,800 ドミニコ会修道士 カルバハルが記録しました 185 00:14:26,960 --> 00:14:28,440 彼の日誌には 186 00:14:28,520 --> 00:14:32,760 果てしない無人の森は 登場しません 187 00:14:35,960 --> 00:14:39,600 彼が書き残したのは 多くの町と 188 00:14:39,680 --> 00:14:42,280 高い技術を持つ人々の話です 189 00:14:44,440 --> 00:14:49,320 “中には約20キロ続く 集落もある”とのこと 190 00:14:49,920 --> 00:14:52,200 マンハッタン島の長さです 191 00:14:55,520 --> 00:14:59,320 しかし1世紀後に来た ヨーロッパの伝道師は 192 00:14:59,400 --> 00:15:01,400 町など見ていません 193 00:15:03,000 --> 00:15:06,760 それで歴史家は カルバハルの記録を 194 00:15:06,840 --> 00:15:11,560 スペイン王室の投資を狙った 作り話と断定しました 195 00:15:14,360 --> 00:15:17,680 しかしジャングルが 開かれてくると 196 00:15:18,560 --> 00:15:22,200 報告が事実だった可能性が 出てきました 197 00:15:24,040 --> 00:15:28,760 最近の発見は 古代文明の存在を示唆します 198 00:15:32,200 --> 00:15:34,080 {\an8}2019年の調査で ボリビアの森の下に 199 00:15:34,080 --> 00:15:37,880 {\an8}2019年の調査で ボリビアの森の下に ボリビア北部 リャノス·デ·モホス 200 00:15:37,880 --> 00:15:40,240 {\an8}ボリビア北部 リャノス·デ·モホス 201 00:15:40,240 --> 00:15:40,600 {\an8}ボリビア北部 リャノス·デ·モホス 人工の巨大な建造物と 道路が見つかりました 202 00:15:40,600 --> 00:15:44,640 {\an8}人工の巨大な建造物と 道路が見つかりました 203 00:15:47,200 --> 00:15:50,800 大きな集落があったと 判明しています 204 00:15:52,240 --> 00:15:56,240 アマゾンには古代都市の 伝説がありますが 205 00:15:56,920 --> 00:16:00,840 まさに都市と呼ぶに ふさわしい集落です 206 00:16:02,560 --> 00:16:06,480 データ及び現存の村々に 関する知識に基づき 207 00:16:07,200 --> 00:16:13,520 研究者はコトカという集落の 予想図を再現しました 208 00:16:18,000 --> 00:16:20,320 幅は約1.6キロで 209 00:16:21,480 --> 00:16:26,080 運河と土手に囲まれた 大都市です 210 00:16:28,440 --> 00:16:33,280 運河の一部は個人が住む 高台へ続いていました 211 00:16:36,440 --> 00:16:39,960 町の中心には ピラミッド状の盛り土 212 00:16:40,520 --> 00:16:42,280 儀式の場のようです 213 00:16:46,160 --> 00:16:51,160 さらに この町は 少なくとも3つの集落と 214 00:16:51,240 --> 00:16:54,200 数キロの道で つながっていました 215 00:16:56,160 --> 00:16:59,280 住民については 分かっていません 216 00:16:59,360 --> 00:17:02,280 分かっているのは 深い森の下に 217 00:17:02,360 --> 00:17:05,640 さらに多くの町が 隠れていることです 218 00:17:06,080 --> 00:17:07,560 {\an8}エクアドル ウパノ渓谷 219 00:17:07,560 --> 00:17:10,720 {\an8}エクアドル ウパノ渓谷 考古学者が統合した 証拠によると 220 00:17:10,800 --> 00:17:15,560 {\an8}古代都市の失われた谷が エクアドルの森に存在 221 00:17:15,640 --> 00:17:20,840 {\an8}〝失われた谷を発見〞 アマゾン西部で考古学者が 〝2000年前の町が 森の中に〞 222 00:17:20,920 --> 00:17:23,480 大規模な集落を確認しました 223 00:17:24,080 --> 00:17:29,920 {\an8}現在 2500年前に 道路でつながっていました 2500年前 224 00:17:30,480 --> 00:17:32,960 あのブラジルの 地上絵のように 225 00:17:34,400 --> 00:17:38,320 大都市や地上絵を造ることは 226 00:17:38,400 --> 00:17:44,160 アマゾンの狩猟採集民には 不可能とされていました 227 00:17:44,240 --> 00:17:46,000 しかし実在します 228 00:17:46,080 --> 00:17:51,840 {\an8}〝アマゾン川流域地帯〞 古代の集落が 次々と発見されることで 229 00:17:52,760 --> 00:17:56,000 アマゾンには かつて文明が広がり 230 00:17:57,200 --> 00:18:01,080 2000万もの人々がいた ことが示唆されます 231 00:18:03,920 --> 00:18:09,880 明らかになってきた事実は 従来の定説と異なります 232 00:18:11,640 --> 00:18:15,760 カルバハルは1542年に 確かに町を見たのです 233 00:18:18,320 --> 00:18:21,720 だとしたら 1世紀後に来た欧州人は 234 00:18:21,800 --> 00:18:24,600 なぜ何も見なかったのか? 235 00:18:28,000 --> 00:18:30,280 暗い解釈があります 236 00:18:31,760 --> 00:18:34,640 スペイン人とポルトガル人が 237 00:18:34,720 --> 00:18:37,640 アメリカ大陸に 病気を持ち込んだのです 238 00:18:37,720 --> 00:18:40,640 欧州人には 免疫があったものの 239 00:18:40,720 --> 00:18:43,240 アマゾンの人々にはなかった 240 00:18:45,280 --> 00:18:48,400 現地の人口は壊滅状態となり 241 00:18:49,200 --> 00:18:52,520 熱帯雨林が 集落をのみ込みました 242 00:18:53,560 --> 00:18:56,080 しかし古代文明の残響は 243 00:18:56,680 --> 00:19:00,880 西アマゾンのトゥカノ族の 神話に残っています 244 00:19:02,040 --> 00:19:05,600 トゥカノ族の伝説では 彼らの祖先は 245 00:19:05,680 --> 00:19:09,360 文明化の一環として この地に来ました 246 00:19:09,440 --> 00:19:14,040 蛇のカヌーで アマゾン川を下ってきました 247 00:19:16,680 --> 00:19:18,440 伝説によれば 248 00:19:18,520 --> 00:19:22,040 精霊が大蛇のカヌーを操り 249 00:19:22,600 --> 00:19:24,920 移民たちを上陸させました 250 00:19:28,880 --> 00:19:32,680 直後に太陽神の娘が 降臨します 251 00:19:33,880 --> 00:19:36,720 携えていたのは火と道具と 252 00:19:37,960 --> 00:19:40,000 工芸の知識でした 253 00:19:43,320 --> 00:19:47,920 彼女と精霊は 人類のために土地を耕し 254 00:19:48,920 --> 00:19:51,600 異世界へ戻っていきました 255 00:19:55,720 --> 00:20:00,360 世界中で語られている 文明化の英雄の物語に 256 00:20:00,440 --> 00:20:05,120 よく似ていて パターンも同じだと思います 257 00:20:05,200 --> 00:20:07,120 実に普遍的です 258 00:20:08,320 --> 00:20:10,520 船で来た精霊と言えば 259 00:20:12,720 --> 00:20:15,280 アステカのケツァルコアトル 260 00:20:16,920 --> 00:20:19,760 ラパ・ヌイのホトゥ・マトゥア 261 00:20:22,400 --> 00:20:27,440 混乱の後 チチカカ湖から 現れたビラコチャ 262 00:20:30,760 --> 00:20:35,840 人々をアマゾンに定住させた この太陽の娘は 263 00:20:36,360 --> 00:20:40,040 失われた文明に 関係があるのでしょうか 264 00:20:45,280 --> 00:20:49,840 ペルーのビラコチャは 石に奇跡を起こしました 265 00:20:51,240 --> 00:20:55,120 しかしアマゾンには 露出した岩が少なく 266 00:20:55,720 --> 00:21:00,400 建造物の材料は 耐久性の低い木材や土でした 267 00:21:04,200 --> 00:21:07,320 分からないのは なぜ人々が 268 00:21:07,400 --> 00:21:11,040 条件の良くない土地に 定住できたかです 269 00:21:13,600 --> 00:21:16,360 不毛だと思われてきた土地で 270 00:21:17,720 --> 00:21:21,080 どうやって大人数を 養ったのでしょう 271 00:21:23,520 --> 00:21:27,600 数百万人を養った アマゾンの人々の能力を 272 00:21:27,680 --> 00:21:30,120 真剣に考えなければ 273 00:21:30,200 --> 00:21:35,320 人類史の真実を総括して 理解することはできません 274 00:21:36,800 --> 00:21:41,040 鍵があるのはブラジルの アマゾン川流域の中心部 275 00:21:42,440 --> 00:21:43,520 マナウスです 276 00:21:44,840 --> 00:21:48,360 {\an8}〝マナウス〞 アマゾンの森に 隠れていた秘密が 277 00:21:48,360 --> 00:21:48,800 {\an8}〝マナウス〞 278 00:21:48,880 --> 00:21:51,920 最近 明らかになりました 279 00:21:52,560 --> 00:21:56,120 熱帯雨林が都市の人口を どう支えたか 280 00:21:56,200 --> 00:21:59,680 その説明になる 古代科学の証拠です 281 00:22:03,640 --> 00:22:06,480 考古学者のアンジェラは 282 00:22:06,560 --> 00:22:10,160 人類と植物の関係を 調べています 283 00:22:14,040 --> 00:22:18,080 最近 ある不思議な現象に 注目しています 284 00:22:21,400 --> 00:22:26,440 一般的に熱帯雨林の土壌は 肥沃(ひよく)ではなく 285 00:22:26,520 --> 00:22:28,520 農業に適しません 286 00:22:30,840 --> 00:22:33,760 しかし古代と現在の 集落の周辺で 287 00:22:33,840 --> 00:22:36,400 驚くべき発見がありました 288 00:22:37,440 --> 00:22:39,600 自己再生する土壌です 289 00:22:40,240 --> 00:22:43,440 “テラ·プレタ” 黒い土と呼ばれます 290 00:22:44,960 --> 00:22:50,360 周囲の土と比べると 黒い色をしています 291 00:22:50,440 --> 00:22:53,600 奇妙なことに その中のバクテリアが 292 00:22:53,680 --> 00:22:58,720 絶え間なく養分を作り 土壌を再生しています 293 00:22:58,800 --> 00:23:00,400 魔法の土です 294 00:23:02,040 --> 00:23:06,200 この土はアマゾン川流域の 全ての集落跡で 295 00:23:06,840 --> 00:23:09,120 見つかっています 296 00:23:11,400 --> 00:23:14,600 私は最近発見された 古代の集落跡へ 297 00:23:15,280 --> 00:23:17,280 土を見に行きます 298 00:23:19,360 --> 00:23:24,760 いつアマゾンの黒い土に 興味を持ったのですか? 299 00:23:24,840 --> 00:23:30,280 <この地域では今もその土を 農業に使っています> アンジェラ・アラウジョ 考古学者 300 00:23:30,280 --> 00:23:31,680 <この地域では今もその土を 農業に使っています> 301 00:23:31,760 --> 00:23:35,080 <ある時 私は過去の人々と> 302 00:23:35,160 --> 00:23:39,680 <この土とのつながりを 知りました> 303 00:23:39,760 --> 00:23:42,760 <それで興味を持ったのです> 304 00:23:42,840 --> 00:23:48,000 <彼らが黒い土と出合った 理由と経緯にね> 305 00:23:48,720 --> 00:23:54,000 研究者らが黒い土を調べると どんなに年代が古くても 306 00:23:54,080 --> 00:23:57,880 必ず陶磁器の破片が 混ざっていました 307 00:23:59,000 --> 00:24:03,960 この特別な土の生成に 人間が関わった証拠です 308 00:24:05,320 --> 00:24:09,920 7000年以上前のサンプルも 発見されました 309 00:24:13,200 --> 00:24:15,200 人口の規模は? 310 00:24:15,280 --> 00:24:19,240 <断言はできませんが 資料によれば> 311 00:24:19,320 --> 00:24:22,680 <アウト·リオ· ネグロだけで-> 312 00:24:22,760 --> 00:24:26,640 <少なくとも300万人は 住んでいました> 313 00:24:27,240 --> 00:24:32,040 古代人は この土を意図的に 創ったのでしょうか 314 00:24:32,120 --> 00:24:36,560 または偶然 見つけたのでしょうか 315 00:24:36,640 --> 00:24:38,840 <意図的とは思いません> 316 00:24:38,920 --> 00:24:45,360 <多くの人が暮らせば ゴミもたくさん出ます> 317 00:24:45,440 --> 00:24:49,360 <それが たまたま養分に なったのでしょう> 318 00:24:50,880 --> 00:24:53,200 どちらが先かの議論です 319 00:24:55,000 --> 00:24:56,960 でも矛盾がありますね 320 00:24:57,040 --> 00:24:59,520 一方の言説では 321 00:25:00,040 --> 00:25:03,360 アマゾンの人口が 多かったから- 322 00:25:03,440 --> 00:25:08,720 偶然の副産物として 黒い土が生まれたとされる 323 00:25:09,600 --> 00:25:14,600 だが一方では本来 アマゾンの土壌はやせていて 324 00:25:14,680 --> 00:25:17,400 大人数を養えないとされる 325 00:25:18,160 --> 00:25:22,840 黒い土があったからこそ たくさんの人が 326 00:25:22,920 --> 00:25:24,680 暮らせたのでは? 327 00:25:24,760 --> 00:25:28,240 <作物の実りがいい場所が あることに> 328 00:25:28,320 --> 00:25:32,800 <人々が気づいていた 可能性はあります> 329 00:25:33,520 --> 00:25:38,400 <しかし だからと言って ゴミを捨てて土壌を肥やし> 330 00:25:38,480 --> 00:25:43,240 <収穫を増やすことまで 思い至らなかったでしょう> 331 00:25:46,760 --> 00:25:48,280 研究は続いていますが 332 00:25:48,960 --> 00:25:51,880 私は大いに意図を感じます 333 00:25:52,480 --> 00:25:55,880 黒い土が見つかるのが アマゾン全域の 334 00:25:56,480 --> 00:25:59,400 先史時代の集落近く だからです 335 00:26:01,480 --> 00:26:05,880 私たちは古代人の能力を もっと偏見なく 336 00:26:05,960 --> 00:26:08,440 考える必要があります 337 00:26:08,520 --> 00:26:13,120 彼らを環境の名人と 見なすべきです 338 00:26:13,200 --> 00:26:17,400 何千年も前に環境を 改良していたのです 339 00:26:20,520 --> 00:26:22,920 この広大なジャングルに 340 00:26:23,440 --> 00:26:27,360 隠れているテラ·プレタの 量が分かれば 341 00:26:27,920 --> 00:26:32,680 この奇跡の土の起源が さらに早まるかもしれません 342 00:26:34,600 --> 00:26:39,360 多くの考古学者に 異議を唱えられていますが 343 00:26:39,920 --> 00:26:43,600 私はアマゾンにおける 人の定住と拡大は 344 00:26:43,680 --> 00:26:45,400 計画されたと考えます 345 00:26:47,920 --> 00:26:51,280 しかし広大な集落の 建設と維持には 346 00:26:51,360 --> 00:26:54,680 大量の天然資源が 必要だったでしょう 347 00:26:56,240 --> 00:27:01,840 農作物だけではなく アマゾンには常に豊富な- 348 00:27:02,920 --> 00:27:03,800 木材です 349 00:27:08,520 --> 00:27:12,080 アマゾン川流域は 多様性の宝庫です 350 00:27:14,440 --> 00:27:19,360 現在 ここには 約3900億本の木があります 351 00:27:20,120 --> 00:27:22,680 樹木種は1万6000です 352 00:27:26,280 --> 00:27:29,200 もしも この 広大なジャングルが 353 00:27:29,280 --> 00:27:32,160 数千年前の人類による- 354 00:27:32,240 --> 00:27:35,800 意図的な行動の 産物だとしたら? 355 00:27:37,880 --> 00:27:41,200 アマゾンが 人工林だったとしたら? 356 00:27:48,200 --> 00:27:53,680 {\an8}〝アマゾン川流域〞 研究者によれば氷河期の間 357 00:27:53,760 --> 00:27:56,320 アマゾンは森ではなく 358 00:27:57,240 --> 00:27:59,680 広い草原でした 359 00:28:01,160 --> 00:28:05,760 地球温暖化で森が広がったと 推測されています 360 00:28:06,520 --> 00:28:10,680 しかし最近 植物考古学者による発見で 361 00:28:11,240 --> 00:28:16,760 森の半分を構成するのが 樹木種のたった1.4%で 362 00:28:17,760 --> 00:28:22,760 しかもそれらは人類に役立つ 種類だと判明しました 363 00:28:24,680 --> 00:28:29,400 数千年前に始まった 長期計画の成果でしょうか 364 00:28:29,960 --> 00:28:32,440 その後のアマゾンに文明を- 365 00:28:32,520 --> 00:28:36,080 花開かせるプロジェクトです 366 00:28:38,160 --> 00:28:43,720 さらにテラ·プレタと同様 人の役に立つ木々は 367 00:28:43,800 --> 00:28:47,240 発見された古代都市の 近くにあります 368 00:28:49,000 --> 00:28:53,520 西洋人が考えるような 危険なジャングルではなく 369 00:28:53,600 --> 00:28:57,720 彼らは数百万人を養える 庭園へと- 370 00:28:57,800 --> 00:29:00,560 アマゾンを作り変えたのです 371 00:29:02,120 --> 00:29:05,120 20世紀 アマゾンの奥地は 372 00:29:05,200 --> 00:29:11,560 全くの未開で手つかずの地と 思われていました 373 00:29:11,640 --> 00:29:14,840 しかし ここにある 木の多くが- 374 00:29:14,920 --> 00:29:17,760 ブラジルナッツやヤシなどが 375 00:29:17,840 --> 00:29:22,360 半栽培 あるいは植樹されて いたと分かりました 376 00:29:22,440 --> 00:29:26,240 熱帯雨林への考え方が 変わりました 377 00:29:28,080 --> 00:29:33,360 まさに長期にわたる 科学プロジェクトです 378 00:29:36,600 --> 00:29:38,040 その期間は? 379 00:29:40,320 --> 00:29:44,800 興味深いことに アマゾン最古の樹木栽培は 380 00:29:44,880 --> 00:29:48,440 1万800年前だったことが 分かりました 381 00:29:49,960 --> 00:29:52,440 {\an8}現代 氷河期の終わり頃です 382 00:29:52,520 --> 00:30:00,160 世界中で人類の文明化と イノベーションが 1万800年前 飛躍的に進んだ まさに その時期です 383 00:30:03,200 --> 00:30:09,000 他にも意外な何かが 広大なアマゾンの熱帯雨林に 384 00:30:09,080 --> 00:30:13,240 隠れているのではないかと 思われます 385 00:30:17,880 --> 00:30:21,360 古代ペルーの 高度な石積み技術と 386 00:30:21,440 --> 00:30:25,600 アマゾンの集落の 洗練された農業計画は 387 00:30:26,240 --> 00:30:28,400 数千年前に始まりました 388 00:30:28,480 --> 00:30:32,760 古代の科学としては 控えめに言っても 389 00:30:32,840 --> 00:30:34,480 予想外の功績です 390 00:30:37,840 --> 00:30:43,000 アマゾンへの認識を 根底から変えるべきです 391 00:30:43,080 --> 00:30:46,600 人類の知性と先見の明と 創意と意志の- 392 00:30:46,680 --> 00:30:49,240 結晶と見るべきです 393 00:30:50,560 --> 00:30:53,720 驚くべきアマゾンの技術 394 00:30:53,800 --> 00:30:58,200 その英知の源として 意外な可能性があります 395 00:31:05,040 --> 00:31:08,040 私はペルーに戻りました 396 00:31:08,120 --> 00:31:09,680 {\an8}ペルー イキトス 397 00:31:09,680 --> 00:31:11,240 {\an8}ペルー イキトス 港町のイキトスです 398 00:31:11,240 --> 00:31:12,280 {\an8}港町のイキトスです 399 00:31:12,360 --> 00:31:15,760 {\an8}大河と複数の支流が 合流します 400 00:31:17,040 --> 00:31:18,920 港は新しいですが 401 00:31:19,000 --> 00:31:21,960 この地域は何千年も前から 402 00:31:23,160 --> 00:31:26,160 ある深遠な風習の 中心地でした 403 00:31:26,240 --> 00:31:28,000 アヤワスカの使用です 404 00:31:29,600 --> 00:31:31,560 “アヤワスカ” 405 00:31:33,240 --> 00:31:36,760 ルナ博士は現地の人類学者で ルイス·E·ルナ博士 人類学者 406 00:31:36,840 --> 00:31:40,320 この植物由来の薬の 専門家です 407 00:31:41,880 --> 00:31:47,400 アヤワスカを飲む人々は 驚くべき体験をします 408 00:31:47,480 --> 00:31:50,200 異世界へ旅する人もあれば 409 00:31:50,280 --> 00:31:52,400 自己を見つめ直して 410 00:31:52,480 --> 00:31:55,480 問題の解決法を 見出す人もいます 411 00:31:55,560 --> 00:31:58,920 彼らの人生に 大きな変化が起きる? 412 00:31:59,000 --> 00:32:01,200 大勢から手紙が来ます 413 00:32:01,280 --> 00:32:04,400 “あの体験で完全に 人生が変わった” 414 00:32:04,480 --> 00:32:06,600 “ものの見方が変わった”と 415 00:32:08,440 --> 00:32:13,320 現代社会で最近 話題のアヤワスカですが 416 00:32:14,880 --> 00:32:20,120 アマゾンの人々には 昔から聖なる飲み物です 417 00:32:22,040 --> 00:32:24,440 多くの先住民が言います 418 00:32:24,520 --> 00:32:27,800 それを飲むのは 社会の規範を理解し 419 00:32:27,880 --> 00:32:30,160 良い人間になるためだと 420 00:32:34,200 --> 00:32:39,360 アヤワスカを準備するのは シャーマンや呪医です 421 00:32:42,720 --> 00:32:53,000 カパナワ族のドン·シュナも その1人 ドン·F·M·シュナ 呪医 マパチョという 古代のタバコの煙を吹いて 422 00:32:53,080 --> 00:32:54,560 儀式を清めます 423 00:32:57,360 --> 00:33:00,920 <カパナワ語で私の名は> 424 00:33:01,000 --> 00:33:03,360 <シャモリン·キヤシ· ピアリ> 425 00:33:03,880 --> 00:33:07,720 <“ジャングルの天使”という 意味です> 426 00:33:19,480 --> 00:33:22,120 <うちは呪医の家系です> 427 00:33:23,040 --> 00:33:27,120 <私は祖先との つながりを感じます> 428 00:33:27,600 --> 00:33:32,440 <祖母や曽祖母など 一族全員とのつながりです> 429 00:33:32,520 --> 00:33:38,880 <我々はアマゾンの全てと つながっています> 430 00:33:41,120 --> 00:33:46,280 研究によりアヤワスカの 健康効果が確認されています 431 00:33:49,400 --> 00:33:53,160 ツルの煎じ液に 強い治癒力があります 432 00:33:53,680 --> 00:33:57,360 ハルミンという物質を 含んでいるためです 433 00:34:00,320 --> 00:34:03,160 神経形成が示唆されています 434 00:34:03,640 --> 00:34:07,720 ハルミンが作るのは 神経細胞や 435 00:34:07,800 --> 00:34:10,000 すい臓のベータ細胞 436 00:34:10,080 --> 00:34:14,440 さらに じん帯などの 新しい細胞です 437 00:34:16,800 --> 00:34:19,880 ハルミンは医学上の 奇跡ですが 438 00:34:21,600 --> 00:34:24,040 それ自体で幻覚は起こさず 439 00:34:24,680 --> 00:34:30,560 別のアマゾン固有の植物と 混ぜた時だけに起こります 440 00:34:30,640 --> 00:34:32,880 例えばチャリポンガです 441 00:34:35,240 --> 00:34:39,160 その葉は 精神活性物質を含有します 442 00:34:39,680 --> 00:34:42,560 DMT ジメチルトリプタミンです 443 00:34:46,200 --> 00:34:49,720 DMTは最強の幻覚剤の 1つとされます 444 00:34:50,520 --> 00:34:53,440 しかし依存性はありません 445 00:34:54,880 --> 00:35:00,880 量と状況が適切であれば 治療効果も期待されます 446 00:35:03,840 --> 00:35:07,840 カウンセリングと併用すれば 447 00:35:07,920 --> 00:35:12,520 治りにくい症状の改善に 極めて有効です 448 00:35:16,280 --> 00:35:21,240 しかし問題はDMTが 経口では効かないことです 449 00:35:21,320 --> 00:35:25,160 消化管の酵素で 分解されるからです 450 00:35:27,240 --> 00:35:31,240 それをアマゾンの 呪術的科学が 451 00:35:31,960 --> 00:35:33,600 見事に解決します 452 00:35:35,320 --> 00:35:38,480 ツルが含むハルミンが 453 00:35:38,560 --> 00:35:42,600 消化器での DMTの分解を防ぐのです 454 00:35:43,280 --> 00:35:47,240 そしてDMTが 血液脳関門を通過し 455 00:35:47,320 --> 00:35:49,400 脳の受容体に入って 456 00:35:50,080 --> 00:35:52,920 幻覚を見せます 457 00:35:54,320 --> 00:35:55,200 結果は? 458 00:35:55,800 --> 00:35:59,280 アマゾンの 何万種もの植物の中で 459 00:36:00,200 --> 00:36:05,480 DMTを含む植物と アヤワスカの混合だけが 460 00:36:05,560 --> 00:36:08,880 幻覚効果を生み出します 461 00:36:12,040 --> 00:36:17,560 単独では影響を及ぼさない 2種類の植物を 462 00:36:17,640 --> 00:36:22,720 一緒に煎じると精神活性薬の アヤワスカ茶になる 463 00:36:22,800 --> 00:36:24,520 それが分かるまで 464 00:36:24,600 --> 00:36:28,400 数百年 数千年の実験が 重ねられたはずです 465 00:36:30,160 --> 00:36:33,560 私には発見に至った経過が 466 00:36:33,640 --> 00:36:36,760 科学プロジェクトに思えます 467 00:36:36,840 --> 00:36:38,440 そのとおりです 468 00:36:38,520 --> 00:36:42,320 その知見の基盤になったのは 経験と観察と 469 00:36:42,400 --> 00:36:44,760 実験の繰り返しです 470 00:36:44,840 --> 00:36:45,840 数千年の? 471 00:36:45,920 --> 00:36:46,760 そうです 472 00:36:49,240 --> 00:36:53,720 <これは数千年前から 続く伝統です> 473 00:36:55,280 --> 00:36:59,200 <2000年か3000年かは 分かりません> 474 00:37:01,560 --> 00:37:04,480 アマゾンには科学があります 475 00:37:04,560 --> 00:37:09,160 先住民のシャーマンが 知識を積み重ね 476 00:37:09,240 --> 00:37:13,280 世代を超えて何千年も 伝えてきました 477 00:37:13,360 --> 00:37:18,640 植物の性質と 効果を生み出す混合方法です 478 00:37:29,080 --> 00:37:33,320 アヤワスカの儀式の間 幻覚を誘発するため 479 00:37:33,400 --> 00:37:36,560 シャーマンは “イカロ”を歌います 480 00:37:43,400 --> 00:37:46,360 しかし彼らは 単に儀式の先導者で 481 00:37:48,080 --> 00:37:51,200 教えを与えるのは あくまで植物です 482 00:37:53,120 --> 00:37:54,600 <茶を飲む前に> 483 00:37:56,120 --> 00:37:59,640 <聞きたいことを 用意しておけば> 484 00:38:00,160 --> 00:38:01,800 <答えをくれます> 485 00:38:07,600 --> 00:38:12,480 幻覚剤で英知を得るのは アマゾンに限りません 486 00:38:14,040 --> 00:38:18,760 世界中の多くの 有名な古代文化に見られます 487 00:38:20,600 --> 00:38:24,240 いわゆる幻覚剤が 世界中の古代文化で 488 00:38:24,320 --> 00:38:26,800 明らかに使われていました 489 00:38:30,040 --> 00:38:33,000 古代ギリシャで ソクラテスとプラトンが 490 00:38:33,080 --> 00:38:35,280 知的な発見を著したのは 491 00:38:35,360 --> 00:38:38,640 幻覚誘発剤を使った 儀式の後でした 492 00:38:39,800 --> 00:38:43,240 ヒエログリフによれば エジプトでは 493 00:38:43,320 --> 00:38:47,440 青いスイレンの花びらを食べ 神と交信しました 494 00:38:48,600 --> 00:38:51,280 古代インドの宗教では 495 00:38:51,360 --> 00:38:54,320 聖職者は神々とつながるため 496 00:38:54,400 --> 00:38:57,200 興奮飲料ソーマを飲みました 497 00:38:59,360 --> 00:39:03,640 先史時代から こうした意識の変容状態が 498 00:39:03,720 --> 00:39:05,760 受容されてきました 499 00:39:05,840 --> 00:39:09,160 人間にとって 重要な体験だからです 500 00:39:09,680 --> 00:39:13,160 古代世界を知るためには 幻覚剤の理解が 501 00:39:13,240 --> 00:39:15,160 必須だと思います 502 00:39:17,080 --> 00:39:19,760 アヤワスカの歴史は? 503 00:39:19,840 --> 00:39:23,920 少なくとも数千年前から 使われていたでしょう 504 00:39:24,960 --> 00:39:27,120 古代を感じます 505 00:39:27,200 --> 00:39:28,000 ええ 506 00:39:28,080 --> 00:39:29,520 謎ですね 507 00:39:32,280 --> 00:39:37,680 アヤワスカの歴史は 想像以上にさかのぼります 508 00:39:38,720 --> 00:39:40,280 証拠もあります 509 00:40:12,000 --> 00:40:14,080 {\an8}日本語字幕 塚田 祐子