1 00:00:06,243 --> 00:00:08,883 ‪NETFLIX ドキュメンタリー 2 00:00:19,443 --> 00:00:23,843 ‪30年前 私は初めて ‪ケニアを訪れました 3 00:00:25,243 --> 00:00:29,763 ‪亡き父の出身地ですが ‪父のことは よく知りません 4 00:00:30,283 --> 00:00:34,443 ‪親族に会い ‪彼らの出身地である村を訪ね 5 00:00:34,523 --> 00:00:36,243 ‪歓迎されました 6 00:00:36,923 --> 00:00:39,963 ‪姉と数日間サファリを ‪楽しむ中で 7 00:00:40,043 --> 00:00:42,763 ‪畏敬の念を抱きました 8 00:00:44,403 --> 00:00:48,363 ‪果てしなく広がる草原と大空 9 00:00:49,043 --> 00:00:52,163 ‪絶えることのなさそうな ‪野生動物 10 00:00:53,883 --> 00:00:56,843 ‪我々全員の ‪故郷である地を見て 11 00:00:56,923 --> 00:01:00,363 ‪世界を見る目が変わりました 12 00:01:02,443 --> 00:01:05,883 ‪一緒にケニアの ‪特別な国立公園を訪ね 13 00:01:05,963 --> 00:01:09,123 ‪アフリカの鼓動に ‪触れましょう 14 00:01:09,203 --> 00:01:13,203 ‪無限に広がる自然と ‪息をのむような美しさ 15 00:01:13,283 --> 00:01:15,723 ‪途方もない規模の野生動物 16 00:01:16,283 --> 00:01:18,163 ‪ツァボ国立公園です 17 00:01:26,083 --> 00:01:29,043 ‪そこでは象が王様です 18 00:01:30,003 --> 00:01:31,523 ‪皆 知っています 19 00:01:35,563 --> 00:01:38,163 ‪ケニアは東アフリカにあり 20 00:01:38,243 --> 00:01:42,723 ‪野生動物が数多く生息し ‪景色も素晴らしい国です 21 00:01:43,363 --> 00:01:45,323 ‪ツァボは南にあり 22 00:01:46,043 --> 00:01:49,443 ‪面積は ‪2万平方キロメートル以上‪で 23 00:01:49,523 --> 00:01:54,403 ‪小さな国ぐらいあり ‪ケニア最大の国立公園です 24 00:01:57,483 --> 00:02:04,163 ‪夕日がアフリカ大陸最高峰の ‪キリマンジャロに沈みます 25 00:02:07,963 --> 00:02:10,763 ‪溶岩でできた太古の大地に 26 00:02:11,323 --> 00:02:12,483 ‪火山丘陵 27 00:02:13,683 --> 00:02:16,043 ‪そして きらめくオアシス 28 00:02:23,123 --> 00:02:27,123 ‪東にはトゲだらけの低木が ‪覆い茂っています 29 00:02:31,723 --> 00:02:34,123 ‪生命を与える川が流れ 30 00:02:37,203 --> 00:02:41,483 ‪傍らにはヤッタ台地の壁が ‪そびえています 31 00:02:42,243 --> 00:02:45,323 ‪世界最長の溶岩流です 32 00:02:50,603 --> 00:02:52,243 ‪どこを見ても 33 00:02:52,323 --> 00:02:57,123 ‪ツァボを象徴する ‪真っ赤な土が地面を覆い 34 00:02:57,203 --> 00:03:01,403 ‪大自然の中で ‪暮らす生き物たちを彩ります 35 00:03:20,723 --> 00:03:22,603 {\an8}ケニア、ツァボ 36 00:03:22,603 --> 00:03:25,843 {\an8}ケニア、ツァボ ‪ツァボはケニアで最も ‪象が住む場所です 37 00:03:25,843 --> 00:03:26,683 ‪ツァボはケニアで最も ‪象が住む場所です 38 00:03:29,123 --> 00:03:33,603 ‪1万3000頭以上の象が ‪ここで暮らしています 39 00:03:36,563 --> 00:03:39,483 ‪さて どこにいるのでしょう 40 00:04:15,283 --> 00:04:16,523 ‪水浴びをして 41 00:04:17,043 --> 00:04:19,843 ‪若い雄たちは ‪憂さを晴らします 42 00:04:30,323 --> 00:04:33,883 ‪まるで液体チョコの中での ‪シンクロ 43 00:04:40,043 --> 00:04:42,963 ‪4月は水飲み場が ‪にぎわいます 44 00:04:49,523 --> 00:04:52,923 ‪これから半年以上 ‪雨は降りません 45 00:04:57,643 --> 00:05:00,643 ‪雄たちは成熟すると ‪群れを出ます 46 00:05:04,123 --> 00:05:09,443 ‪そして少数が最大級の牙を ‪持つことになります 47 00:05:15,123 --> 00:05:19,723 ‪彼はルガード レンジャーに ‪名付けられました 48 00:05:21,723 --> 00:05:24,643 ‪巨大な牙を持つ50歳の彼は 49 00:05:24,723 --> 00:05:27,443 ‪ケニアの国宝の1つです 50 00:05:30,403 --> 00:05:34,563 ‪片方の牙だけで ‪重さは45キロ以上あります 51 00:05:38,043 --> 00:05:43,003 ‪彼のような象の大使は ‪大きな試練に耐えてきました 52 00:05:47,083 --> 00:05:50,563 ‪断続的な干ばつや近年の開発 53 00:05:50,643 --> 00:05:53,403 ‪象牙の違法取引のための密猟 54 00:05:59,843 --> 00:06:04,683 ‪こうした‪巨大な牙を持つ象(スーパー・タスカー)‪は ‪現在アフリカに30頭のみ 55 00:06:08,603 --> 00:06:11,403 ‪その3分の1が ‪ツァボにいます 56 00:06:14,083 --> 00:06:17,003 ‪その多くが既に高齢です 57 00:06:22,203 --> 00:06:25,843 ‪彼らの保護に ‪国立公園は不可欠です 58 00:06:37,243 --> 00:06:40,563 ‪今後 数か月 ‪ツァボの極端な気候が 59 00:06:40,643 --> 00:06:43,083 ‪動物たちに試練を与えます 60 00:06:47,123 --> 00:06:50,723 ‪急激に変化する環境に ‪適応できなければ 61 00:06:50,803 --> 00:06:52,843 ‪乾期を生き残れません 62 00:06:56,643 --> 00:06:59,923 ‪このサイチョウは ‪朝食を得るため 63 00:07:00,003 --> 00:07:01,803 ‪賢い方法を使います 64 00:07:05,323 --> 00:07:06,723 ‪単独では無理 65 00:07:25,563 --> 00:07:28,483 ‪コビトマングースの家族 66 00:07:37,763 --> 00:07:40,003 ‪サイチョウは準備万端 67 00:07:40,923 --> 00:07:42,843 ‪マングースは お気楽 68 00:07:50,043 --> 00:07:51,283 ‪サイチョウは 69 00:07:52,243 --> 00:07:54,883 ‪ただマングースを待ちます 70 00:07:58,763 --> 00:08:02,803 ‪合図が来るまで ‪彼らは動きません 71 00:08:06,683 --> 00:08:09,003 ‪やっと行動開始 72 00:08:10,243 --> 00:08:12,683 ‪サイチョウも後に続きます 73 00:08:19,603 --> 00:08:22,763 ‪マングースが ‪草の中の虫をかき出し 74 00:08:23,363 --> 00:08:24,683 ‪逃れた虫を 75 00:08:25,483 --> 00:08:27,083 ‪サイチョウが確保 76 00:08:27,923 --> 00:08:30,843 ‪餌を探す手間が省けます 77 00:08:32,043 --> 00:08:34,323 ‪マングースも気に留めず 78 00:08:40,083 --> 00:08:42,563 ‪協力関係は皆にとって有効 79 00:08:43,523 --> 00:08:48,843 ‪特に植物が枯れて ‪隠れる場所がない時期は 80 00:08:54,843 --> 00:08:57,323 ‪サイチョウが見張り役に 81 00:09:06,003 --> 00:09:08,763 ‪皆に危険を知らせます 82 00:09:22,923 --> 00:09:24,483 ‪様々な餌の中で 83 00:09:25,683 --> 00:09:27,883 ‪これが皆のお気に入り 84 00:09:28,723 --> 00:09:31,163 ‪アフリカマイマイ 85 00:09:32,923 --> 00:09:34,763 ‪体長は15センチほど 86 00:09:36,283 --> 00:09:39,883 ‪水分の多い ‪世界最大級のカタツムリです 87 00:09:44,923 --> 00:09:46,323 ‪捕獲も簡単 88 00:09:47,203 --> 00:09:49,443 ‪素早く動けません 89 00:09:52,163 --> 00:09:55,243 ‪しかし硬い殻を割るのは困難 90 00:09:58,203 --> 00:10:02,003 ‪コビトマングースは ‪特別な技術で割ります 91 00:10:09,723 --> 00:10:11,923 ‪木を利用するのです 92 00:10:12,603 --> 00:10:14,763 ‪そこに たたきつけます 93 00:10:17,603 --> 00:10:22,203 ‪この行動が観察された場所は ‪世界でも まだ少数 94 00:10:29,003 --> 00:10:32,043 ‪サイチョウにとっては ‪夕食の合図 95 00:10:47,643 --> 00:10:52,163 ‪乾燥した土地で暮らすのは ‪楽ではありません 96 00:10:54,003 --> 00:10:58,203 ‪しかし協力すれば ‪餌の少ない時期も 97 00:10:58,883 --> 00:11:00,843 ‪食料を確保できます 98 00:11:10,843 --> 00:11:14,163 ‪乾期が この広大な公園を ‪支配する頃 99 00:11:14,923 --> 00:11:17,603 ‪最も必要とされる資源は 100 00:11:19,003 --> 00:11:20,203 ‪水です 101 00:11:23,443 --> 00:11:27,243 ‪絶滅寸前の ‪ある動物を守るため 102 00:11:27,323 --> 00:11:30,603 ‪レンジャーが ‪ここに水をためます 103 00:11:35,563 --> 00:11:38,683 ‪暗くなると ‪そのシャイな動物は 104 00:11:38,763 --> 00:11:41,443 ‪ようやく姿を現します 105 00:11:51,843 --> 00:11:53,483 ‪クロサイです 106 00:11:54,283 --> 00:11:56,083 ‪彼らは母と子 107 00:11:59,323 --> 00:12:01,963 ‪高精度の暗視カメラにより 108 00:12:02,043 --> 00:12:04,243 ‪色まで確認できます 109 00:12:09,563 --> 00:12:12,443 ‪子供は母親に ‪くっついています 110 00:12:13,763 --> 00:12:15,483 ‪親子の絆は強固 111 00:12:20,323 --> 00:12:22,763 ‪サイは近視ですが 112 00:12:24,643 --> 00:12:27,963 ‪聴覚と嗅覚は ‪とても優れています 113 00:12:33,443 --> 00:12:38,203 ‪唇を後ろに丸めて ‪においを嗅ぎ 周りを警戒 114 00:12:43,203 --> 00:12:45,443 ‪他の家族も来ました 115 00:12:50,043 --> 00:12:53,483 ‪クロサイは縄張り意識が ‪強い動物です 116 00:12:59,523 --> 00:13:02,923 ‪非常に短気な個体もいます 117 00:13:10,323 --> 00:13:14,363 ‪ツァボには一時 ‪約8000頭が生息していました 118 00:13:18,403 --> 00:13:23,763 ‪しかし1970~80年代 ‪角のための密猟により10頭に 119 00:13:28,323 --> 00:13:32,843 ‪その後 繁殖計画により ‪100頭まで戻りました 120 00:13:35,763 --> 00:13:39,803 ‪普段 単独行動の彼らですが ‪ここでは交流 121 00:13:43,043 --> 00:13:44,563 ‪母は友人に挨拶 122 00:13:46,363 --> 00:13:48,363 ‪子供は遊び仲間を発見 123 00:13:52,043 --> 00:13:53,723 ‪父親にも会います 124 00:13:58,443 --> 00:14:02,883 ‪しかし雄が増えると ‪雰囲気が変わります 125 00:14:08,083 --> 00:14:12,283 ‪乾期には非常に多くの個体が ‪ここに集まります 126 00:14:12,803 --> 00:14:18,683 ‪繁殖に成功したおかげで ‪場所や雌を取り合うほど― 127 00:14:20,483 --> 00:14:21,923 ‪数が増えました 128 00:15:10,363 --> 00:15:13,843 ‪1頭の雄が ‪子連れの母にアタック 129 00:15:15,283 --> 00:15:17,243 ‪しかし拒まれます 130 00:15:23,323 --> 00:15:26,203 ‪支配的な雄が ‪やって来ました 131 00:15:27,283 --> 00:15:29,363 ‪愛称はアトティ 132 00:15:34,843 --> 00:15:35,923 ‪若い雌は 133 00:15:37,443 --> 00:15:40,483 ‪あまりに年上の彼に興味なし 134 00:15:49,723 --> 00:15:52,683 ‪いらだちが敵意に変わります 135 00:16:03,923 --> 00:16:09,003 ‪角を彼女の後ろ足にひっかけ ‪転ばせようとしています 136 00:16:26,643 --> 00:16:30,923 ‪他の雌や子供たちは ‪その場を去っていきます 137 00:16:46,003 --> 00:16:48,243 ‪なんとか逃げきりました 138 00:16:58,723 --> 00:17:01,043 ‪アトティも落ち着きます 139 00:17:08,003 --> 00:17:10,203 ‪乾期が続き 140 00:17:10,283 --> 00:17:14,563 ‪自然の水源は徐々に ‪減っていきます 141 00:17:19,843 --> 00:17:24,923 ‪しかし北のほうに ‪枯れないオアシスがあります 142 00:17:31,163 --> 00:17:36,483 ‪西ツァボの平原を見下ろす ‪チユル丘陵の雲霧林 143 00:17:40,403 --> 00:17:44,403 ‪穴だらけの火山岩は ‪雨水が よく浸透し 144 00:17:44,483 --> 00:17:46,803 ‪水が地下に たまります 145 00:17:50,763 --> 00:17:55,443 ‪水が下の平原に染み出すまで ‪20年以上かかります 146 00:18:00,483 --> 00:18:03,523 ‪そして枯れない水源が ‪できました 147 00:18:06,803 --> 00:18:08,923 ‪それがムジマの泉 148 00:18:11,203 --> 00:18:14,763 ‪スワヒリ語で ‪“生命”という意味です 149 00:18:37,683 --> 00:18:43,003 ‪推定2億リットル近い水が ‪毎日 湧き出しています 150 00:18:43,803 --> 00:18:47,563 ‪澄みきった泉は ‪活気にあふれています 151 00:18:55,883 --> 00:18:59,363 ‪イチジクを食べる ‪ベルベットモンキー 152 00:19:07,283 --> 00:19:10,723 ‪バーベルは ‪落ちてくる実を待ちます 153 00:19:29,163 --> 00:19:30,883 ‪ここは豊かな楽園 154 00:19:31,963 --> 00:19:34,203 ‪誰も食べ物に困りません 155 00:19:44,523 --> 00:19:46,043 ‪しかし この泉は 156 00:19:46,123 --> 00:19:50,083 ‪14頭のカバの群れに ‪占領されています 157 00:19:51,163 --> 00:19:54,963 ‪体の大きな雄が ‪群れを守ります 158 00:20:01,403 --> 00:20:04,203 ‪息を止められるのは最長5分 159 00:20:05,363 --> 00:20:08,243 ‪一生の半分を ‪水中で過ごします 160 00:20:11,923 --> 00:20:14,243 ‪通常 濁った水を好むので 161 00:20:14,323 --> 00:20:18,603 ‪このシャイな動物の ‪隠れた生活をのぞけるのは 162 00:20:18,683 --> 00:20:20,243 ‪とてもレアです 163 00:20:29,043 --> 00:20:34,363 ‪毎朝 父親は家族を ‪奥の冷たい水のほうへ先導 164 00:20:44,883 --> 00:20:47,323 ‪車より重い個体もいますが 165 00:20:48,203 --> 00:20:51,283 ‪水中での身のこなしは ‪優雅です 166 00:20:57,483 --> 00:21:00,043 ‪大人たちは昼間 寝ています 167 00:21:02,123 --> 00:21:04,923 ‪その周りで遊ぶ子供たち 168 00:21:10,643 --> 00:21:12,523 ‪騒ぎすぎると 169 00:21:13,123 --> 00:21:14,883 ‪大人に叱られます 170 00:21:27,443 --> 00:21:31,403 ‪泉に多様な生物がいるのは ‪カバのおかげ 171 00:21:33,283 --> 00:21:36,483 ‪大切なものを ‪もたらしているのです 172 00:21:40,323 --> 00:21:42,603 ‪天然の肥料です 173 00:21:44,523 --> 00:21:47,923 ‪水は濁ってしまいますが 174 00:21:50,203 --> 00:21:55,163 ‪フンこそがムジマの生態系を ‪支えるものです 175 00:21:57,643 --> 00:21:59,843 ‪植物に栄養を与え 176 00:22:00,443 --> 00:22:02,443 ‪虫や魚の餌となります 177 00:22:06,323 --> 00:22:09,523 ‪新鮮な‪餌‪を求めて ‪カバを追う魚たち 178 00:22:14,683 --> 00:22:18,923 ‪魚に提供するのは ‪フンだけではありません 179 00:22:24,723 --> 00:22:28,323 ‪大きな口を開けて ‪強力なアゴの中へ 180 00:22:28,403 --> 00:22:31,243 ‪魚たちを迎え入れます 181 00:22:34,163 --> 00:22:36,963 ‪魚たちは歯の間のカスを食べ 182 00:22:38,643 --> 00:22:41,243 ‪揺るぎない信頼を示します 183 00:22:49,043 --> 00:22:52,763 ‪ガシガシと音を立て ‪カバの皮膚や 184 00:22:54,003 --> 00:22:58,443 ‪爪やガサガサの足など ‪あらゆる部分を掃除します 185 00:23:01,603 --> 00:23:05,963 ‪食事のお礼に ‪体中をツヤツヤにします 186 00:23:18,723 --> 00:23:23,923 ‪ムジマの泉は ‪周辺に住む幸運な動物たちに 187 00:23:24,003 --> 00:23:26,003 ‪水を供給します 188 00:23:29,243 --> 00:23:33,803 ‪しかし乾燥した大地を ‪さまよう者もいます 189 00:23:38,843 --> 00:23:41,283 ‪象は記憶力が良く 190 00:23:41,963 --> 00:23:46,603 ‪過去の乾期に餌や水を ‪見つけた場所を覚えています 191 00:23:49,043 --> 00:23:52,923 ‪しかし公園の真ん中で ‪障害に直面します 192 00:23:56,523 --> 00:23:59,163 ‪ツァボ国立公園は東と西に― 193 00:23:59,883 --> 00:24:01,443 ‪分かれています 194 00:24:02,683 --> 00:24:06,683 ‪隔てているのは ‪道路と鉄道です 195 00:24:10,243 --> 00:24:12,883 ‪交通量の多い道路は 196 00:24:12,963 --> 00:24:14,963 ‪動物にとって危険です 197 00:24:19,523 --> 00:24:23,883 ‪2017年 古い線路に沿って ‪新しい線路が完成 198 00:24:24,483 --> 00:24:29,403 ‪ケニア最大の港町モンバサと ‪首都ナイロビを結びます 199 00:24:32,043 --> 00:24:36,523 ‪急勾配の土手とフェンスが ‪動物の行く手を遮り 200 00:24:37,083 --> 00:24:38,643 ‪行動を制限 201 00:24:42,643 --> 00:24:47,323 ‪通れるのは ‪特別に作られた高架下のみ 202 00:24:56,723 --> 00:25:00,683 ‪果敢に道路を渡る象もいます 203 00:25:08,443 --> 00:25:11,443 ‪アフリカ中で ‪インフラ整備が進み 204 00:25:11,523 --> 00:25:14,163 ‪自然環境に影響が出ています 205 00:25:17,323 --> 00:25:20,243 ‪しかしツァボは広いので 206 00:25:22,723 --> 00:25:25,963 ‪動物たちは餌場に困りません 207 00:25:27,803 --> 00:25:33,043 ‪乾期に長距離を移動するのは ‪大型動物だけではありません 208 00:25:36,963 --> 00:25:40,163 ‪7月はツァボが ‪最も乾燥する月 209 00:25:50,003 --> 00:25:52,083 ‪東の乾燥した平原で 210 00:25:52,603 --> 00:25:56,203 ‪雄のサケイが雌と共に ‪家族を養います 211 00:26:01,963 --> 00:26:05,603 ‪地上営巣の鳥のヒナは ‪卵から かえると 212 00:26:05,683 --> 00:26:08,403 ‪数時間で歩きだします 213 00:26:12,803 --> 00:26:16,163 ‪気温が38度近くあるので 214 00:26:16,243 --> 00:26:19,123 ‪日陰の安全な場所が必要です 215 00:26:24,443 --> 00:26:27,083 ‪父は緊急の課題に直面します 216 00:26:27,723 --> 00:26:31,403 ‪ヒナのために ‪水を探すというものです 217 00:26:36,923 --> 00:26:39,603 ‪彼はサケイの群れに加わり 218 00:26:39,683 --> 00:26:42,483 ‪皆と一緒に水を探します 219 00:26:49,083 --> 00:26:51,963 ‪彼らは30キロほど飛びます 220 00:26:56,923 --> 00:26:59,203 ‪雄大なガラナ川まで 221 00:27:15,843 --> 00:27:20,523 ‪動物たちが過酷な乾期を ‪生き抜くための生命線です 222 00:27:26,443 --> 00:27:30,163 ‪サケイは この時期 ‪大群でやって来ます 223 00:27:37,523 --> 00:27:40,003 ‪水辺には危険な生物も 224 00:27:44,723 --> 00:27:49,403 ‪群れで寄り添い ‪無数の目で周りを警戒します 225 00:27:52,163 --> 00:27:55,323 ‪喉に ためられるのは ‪小さじ2杯分 226 00:27:55,403 --> 00:27:57,603 ‪3羽のヒナには不十分 227 00:28:04,523 --> 00:28:06,523 ‪もう少し中へ入り 228 00:28:07,043 --> 00:28:08,923 ‪すごい技を見せます 229 00:28:12,203 --> 00:28:14,043 ‪体を前後に揺すって 230 00:28:14,563 --> 00:28:17,403 ‪胸の羽毛に ‪水を染み込ませます 231 00:28:18,763 --> 00:28:23,563 ‪渦巻きのような形状で ‪スポンジのように水を吸収 232 00:28:25,043 --> 00:28:27,723 ‪15分ほど滞在し ‪飛び立ちます 233 00:28:29,723 --> 00:28:32,483 ‪たっぷりの水を抱え 帰路に 234 00:28:46,003 --> 00:28:49,683 ‪1羽ずつ ‪群れを離脱していきます 235 00:28:55,043 --> 00:28:56,603 ‪伴侶を呼びます 236 00:29:00,963 --> 00:29:04,283 ‪雌がヒナのいる場所へ ‪案内します 237 00:29:13,883 --> 00:29:15,683 ‪父が帰還しました 238 00:29:26,083 --> 00:29:29,683 ‪喉が渇いてるヒナたちは ‪父に群がり 239 00:29:29,763 --> 00:29:33,283 ‪くちばしを胸に突っ込み ‪水を飲みます 240 00:29:38,923 --> 00:29:43,923 ‪雄は この大変な仕事を ‪2か月間 毎日続けます 241 00:29:46,883 --> 00:29:51,323 ‪ヒナが自分で水場に ‪飛べるようになるまで 242 00:30:03,443 --> 00:30:05,683 ‪近年 ケニアの気候は 243 00:30:05,763 --> 00:30:08,923 ‪大きく偏っており ‪予想不能です 244 00:30:15,723 --> 00:30:17,563 ‪今は乾期の盛り 245 00:30:18,523 --> 00:30:20,603 ‪終わりが見えません 246 00:30:24,963 --> 00:30:29,043 ‪残っている緑の葉を ‪貪る動物もいます 247 00:30:30,043 --> 00:30:32,483 ‪つま先立ちのジェレヌク 248 00:30:33,523 --> 00:30:36,603 ‪彼らは一生 ‪水を飲まなくても平気 249 00:30:39,163 --> 00:30:41,283 ‪愛称はキリンガゼル 250 00:30:41,803 --> 00:30:45,403 ‪つま先立ちと ‪長い首を駆使して 251 00:30:45,483 --> 00:30:49,323 ‪他の草食動物が届かない ‪多肉葉を食べます 252 00:30:51,403 --> 00:30:54,243 ‪それも あまり ‪多くはありません 253 00:30:59,643 --> 00:31:04,163 ‪ツァボの赤土が旋風によって ‪巻き上げられます 254 00:31:09,923 --> 00:31:15,203 ‪バッファローなど大型動物は ‪餌と水のため移動を続けます 255 00:31:22,163 --> 00:31:25,243 ‪群れが合流し ‪1000頭以上の集団に 256 00:31:32,923 --> 00:31:37,083 ‪一年中 干上がらない ‪ガラナ川を目指します 257 00:31:47,483 --> 00:31:51,803 ‪仲間から はぐれたら ‪捕食者たちに狙われます 258 00:31:59,003 --> 00:32:04,923 ‪“ツァボ 750キロ” 259 00:32:05,003 --> 00:32:09,043 ‪古い鉄道が造られた ‪120年以上前 この地域は 260 00:32:09,123 --> 00:32:12,523 ‪2頭のライオンに ‪脅かされていました 261 00:32:14,563 --> 00:32:17,283 ‪ツァボの人食いライオンです 262 00:32:21,563 --> 00:32:22,803 ‪言い伝えでは 263 00:32:23,403 --> 00:32:26,723 ‪犠牲者は ‪鉄道建設の労働者135人 264 00:32:28,323 --> 00:32:30,923 ‪実際は ‪もっと少なかったはず 265 00:32:32,323 --> 00:32:36,723 ‪モヒカンのような頭は ‪現在も変わりません 266 00:32:40,603 --> 00:32:45,243 ‪それは低木林によって ‪形作られたと言われています 267 00:32:47,963 --> 00:32:52,123 ‪たてがみが短ければ ‪引っかからずに済みます 268 00:32:53,643 --> 00:32:55,963 ‪また暑い中でも快適です 269 00:33:00,363 --> 00:33:04,283 ‪しかし最強の捕食動物も ‪乾期に苦しみます 270 00:33:20,123 --> 00:33:24,603 ‪この群れの水飲み場は ‪ほぼ泥になりました 271 00:33:29,763 --> 00:33:33,403 ‪獲物たちも水を求めて ‪ここを去りました 272 00:33:35,043 --> 00:33:38,363 ‪少しの水分で今は ‪やり過ごします 273 00:33:54,363 --> 00:33:56,643 ‪公園の北部を目指し 274 00:33:57,443 --> 00:34:03,083 ‪東ツァボの乾いた平原を ‪雄象たちが歩いています 275 00:34:11,763 --> 00:34:15,803 ‪そこは最も自然な状態の ‪近寄り難い区域です 276 00:34:24,123 --> 00:34:28,203 ‪巨大な一枚岩が ‪何百万年も前から 277 00:34:28,283 --> 00:34:31,083 ‪低木林の間に ‪そびえています 278 00:34:45,323 --> 00:34:49,123 ‪象たちは皆 ‪歩いた道を記憶しています 279 00:34:53,843 --> 00:34:56,483 ‪代々受け継がれてきた道です 280 00:35:00,203 --> 00:35:04,003 ‪踏みならされて できた道は ‪空からも見え 281 00:35:05,203 --> 00:35:08,003 ‪網の目のように ‪広がっています 282 00:35:21,963 --> 00:35:24,803 ‪水なしで数日過ごせる雄象は 283 00:35:25,963 --> 00:35:31,243 ‪乾燥した低木地帯を長距離 ‪移動することができます 284 00:35:39,563 --> 00:35:44,363 ‪命懸けで たどり着いても ‪水があるかは分かりません 285 00:35:47,363 --> 00:35:50,203 ‪ティバ川は ‪干上がっていました 286 00:35:51,723 --> 00:35:54,403 ‪あるのは砂だけです 287 00:35:58,443 --> 00:36:00,483 ‪1滴の水もありません 288 00:36:04,243 --> 00:36:08,683 ‪しかし川岸のエダウチヤシは ‪青々としているので 289 00:36:09,643 --> 00:36:12,723 ‪どこかに水があるはずです 290 00:36:24,723 --> 00:36:27,403 ‪ベテランの象は知っています 291 00:36:50,883 --> 00:36:53,523 ‪象の嗅覚は優れていて 292 00:36:54,043 --> 00:36:59,123 ‪鼻孔に無数の受容体があり ‪数キロ先の水も嗅ぎつけます 293 00:37:00,963 --> 00:37:05,403 ‪また水が砂の下にあっても ‪感知できます 294 00:37:14,923 --> 00:37:17,283 ‪水を求めて穴を掘ります 295 00:37:22,723 --> 00:37:26,763 ‪徐々に地下水が ‪染み出してきます 296 00:37:31,283 --> 00:37:34,083 ‪鼻のストローで ‪砂混じりの水を 297 00:37:35,123 --> 00:37:36,923 ‪吸い上げます 298 00:37:40,843 --> 00:37:45,203 ‪鼻の中で砂を沈殿させて ‪水と分け 299 00:37:47,043 --> 00:37:48,683 ‪吹き出します 300 00:38:03,523 --> 00:38:06,443 ‪そして ‪ろ過した水を飲みます 301 00:38:20,843 --> 00:38:24,683 ‪羨ましげな動物たちに ‪見せびらかしながら 302 00:38:36,563 --> 00:38:40,883 ‪象が飲み終わったら ‪観客たち‪の番です 303 00:38:42,523 --> 00:38:45,723 ‪ヒヒは一番に やって来ます 304 00:38:55,443 --> 00:39:00,083 ‪ティバ川をずっと下った所に ‪ビサディ滝があります 305 00:39:01,003 --> 00:39:04,683 ‪干上がっていますが ‪わずかに水たまりも 306 00:39:07,123 --> 00:39:08,963 ‪不気味なほどの静寂 307 00:39:12,643 --> 00:39:15,203 ‪夜が明けるまでは 308 00:39:32,163 --> 00:39:35,923 ‪渓谷全体が ‪魔法にかけられたかのよう 309 00:39:38,723 --> 00:39:44,443 ‪コウヨウチョウは世界で ‪最も数の多い鳥類です 310 00:39:49,483 --> 00:39:50,723 ‪今は9月 311 00:39:50,803 --> 00:39:55,603 ‪水場が減ってきたため ‪複数の群れが集まり 312 00:39:55,683 --> 00:39:58,083 ‪数百万の大群になりました 313 00:40:17,363 --> 00:40:19,163 ‪魅惑のリズムで 314 00:40:19,763 --> 00:40:24,363 ‪数少ない水場の水を ‪一口ずつ飲みます 315 00:40:31,963 --> 00:40:34,963 ‪その数は乾期が明けるまで 316 00:40:35,523 --> 00:40:37,843 ‪どんどん増え続けます 317 00:40:46,443 --> 00:40:48,363 ‪混乱を引き起こし 318 00:40:49,403 --> 00:40:52,403 ‪飲みに来る者を追い払います 319 00:41:16,803 --> 00:41:21,003 ‪木々の枝が ‪曲がってしまうほどの数です 320 00:41:27,083 --> 00:41:29,003 ‪水が尽きないかぎり 321 00:41:30,043 --> 00:41:32,523 ‪この場所から離れません 322 00:41:54,803 --> 00:41:58,643 ‪乾期が終わるのを ‪皆 待ち望んでいます 323 00:42:04,003 --> 00:42:07,283 ‪そして希望の花が開きます 324 00:42:09,563 --> 00:42:14,323 ‪乾燥した風景の中 ‪バオバブが緑の葉を広げ 325 00:42:14,403 --> 00:42:17,003 ‪大きな白い花を咲かせます 326 00:42:22,683 --> 00:42:24,923 ‪変化が起きているのを 327 00:42:27,403 --> 00:42:29,043 ‪皆が感じています 328 00:42:38,163 --> 00:42:40,283 ‪そして10月になり 329 00:42:40,363 --> 00:42:42,803 ‪ようやく半年ぶりの― 330 00:42:44,283 --> 00:42:45,363 ‪雨です 331 00:42:47,443 --> 00:42:50,883 ‪西ツァボの山や丘に ‪雨雲が かかり 332 00:42:52,163 --> 00:42:55,203 ‪東ツァボの平原にも ‪雨が降ります 333 00:43:19,243 --> 00:43:22,483 ‪ティバ川に ‪水が戻ってきました 334 00:43:26,123 --> 00:43:29,803 ‪コウヨウチョウの水場の ‪ビサディ渓谷に 335 00:43:30,563 --> 00:43:32,843 ‪再び滝が現れました 336 00:44:14,163 --> 00:44:18,203 ‪これから数週間 ‪川には水が流れ続け 337 00:44:18,283 --> 00:44:19,883 ‪土地を潤します 338 00:44:41,363 --> 00:44:44,003 ‪困難は安心に変わりました 339 00:44:46,243 --> 00:44:49,563 ‪不毛の砂漠は ‪色鮮やかな楽園に 340 00:44:51,803 --> 00:44:55,083 ‪この極端な気候が ‪ツァボの魅力です 341 00:44:59,723 --> 00:45:02,083 ‪赤土が洗い流され 342 00:45:02,163 --> 00:45:06,203 ‪朝顔が公園を ‪花で埋め尽くします 343 00:45:12,203 --> 00:45:16,523 ‪こちらの大群は ‪アフリカスジグロシロチョウ 344 00:45:20,723 --> 00:45:24,803 ‪無数のチョウが ‪海岸を目指す旅をしています 345 00:45:31,163 --> 00:45:35,923 ‪まるでリレーのように ‪次の世代がバトンを受け 346 00:45:36,003 --> 00:45:38,643 ‪親の始めた旅を続けます 347 00:45:49,203 --> 00:45:53,843 ‪花から花へと舞う ‪雨期のチョウの群れは 348 00:45:53,923 --> 00:45:56,483 ‪公園の活性化に不可欠です 349 00:46:01,123 --> 00:46:02,603 ‪花粉を運び 350 00:46:03,203 --> 00:46:06,523 ‪昆虫を餌にする生物の腹も ‪満たします 351 00:46:17,603 --> 00:46:19,243 ‪生き物は遊んだり 352 00:46:25,523 --> 00:46:28,483 ‪次の世代を ‪育てたりしています 353 00:46:30,323 --> 00:46:31,563 ‪子だくさん! 354 00:46:34,243 --> 00:46:37,963 ‪自然を守るには ‪土地の広さが重要だと 355 00:46:38,763 --> 00:46:40,003 ‪教えられます 356 00:46:45,763 --> 00:46:50,283 ‪広ければ広いほど ‪多くの生物が暮らせるのです 357 00:46:51,923 --> 00:46:56,043 ‪遺伝子プールが大きいほど ‪動物は健康に 358 00:47:00,763 --> 00:47:04,683 ‪近年 ツァボ国立公園の ‪周辺の土地所有者が 359 00:47:04,763 --> 00:47:09,483 ‪力を合わせ 保護区を ‪拡大しようとしています 360 00:47:09,563 --> 00:47:13,643 ‪保護区が広がれば ‪動物たちは今まで以上に 361 00:47:13,723 --> 00:47:16,123 ‪広い土地を歩き回れます 362 00:47:26,043 --> 00:47:29,723 ‪ツァボのように ‪広大な区域を守り 363 00:47:29,803 --> 00:47:32,883 ‪そういう場所を ‪増やすことでしか 364 00:47:32,963 --> 00:47:37,283 ‪この地球上の ‪自然の未来は守れないのです 365 00:49:15,603 --> 00:49:17,603 ‪日本語字幕 小出 剛士