1 00:00:16,601 --> 00:00:20,813 私はモデストの 農場で育った 2 00:00:19,896 --> 00:00:23,232 ジョージ・ルーカス 3 00:00:26,360 --> 00:00:30,907 ヴァレーの若者らしく 車を乗り回していた  4 00:00:34,285 --> 00:00:38,748 青春時代の大半を    町をブラついて過ごした 5 00:00:40,833 --> 00:00:45,338 そんな感じだったから 高校では落第しかけ—— 6 00:00:45,505 --> 00:00:49,425 母は私の将来を心配していた 7 00:00:50,093 --> 00:00:55,139  でも父の口癖は    “あいつは大器晩成型だ〟 8 00:00:56,265 --> 00:00:59,519 私は車で飛ばすのが 好きだった     9 00:00:59,852 --> 00:01:01,729 あの感覚がいい 10 00:01:02,897 --> 00:01:05,691 レースカーの整備士に憧れた 11 00:01:07,110 --> 00:01:11,781 高校生の時          これくらいの小型車に乗ってた 12 00:01:12,406 --> 00:01:17,829 田舎道から私道に      入ろうとしていた時のことだ 13 00:01:19,580 --> 00:01:23,626 別の車が時速150キロで 向かってきた     14 00:01:23,793 --> 00:01:27,421 クラクションが   聞こえたと思ったら… 15 00:01:29,382 --> 00:01:30,675 意識を失った 16 00:01:32,093 --> 00:01:33,636 横からぶつかられ—— 17 00:01:33,761 --> 00:01:37,431 私の車は7~8回転して 木に激突        18 00:01:38,224 --> 00:01:41,018 目覚めた時    看護師に言われた 19 00:01:41,144 --> 00:01:43,563 “手足は無事ですよ〟 20 00:01:44,856 --> 00:01:46,732 意味が分からなかった 21 00:01:49,610 --> 00:01:52,363 死んでても おかしくなかった 22 00:01:50,111 --> 00:01:54,115 “若者が事故で生還  ジョージ・ルーカス〟 23 00:01:57,451 --> 00:02:00,496 あの時 心を入れ替えたよ 24 00:02:01,414 --> 00:02:03,166 使命を果たそうと 25 00:02:40,620 --> 00:02:43,623 ライト&マジック 26 00:02:54,342 --> 00:02:58,763 父は事務用品店を 経営していて—— 27 00:02:56,052 --> 00:02:59,013 ジョージ・ルーカス・シニア 28 00:02:59,347 --> 00:03:03,768 私に継がせようとしたが 私は断った 29 00:03:00,097 --> 00:03:03,768 L・M・モリス社 カリフォルニア州 モデスト 1956年 30 00:03:04,185 --> 00:03:08,940 毎日 同じことの    繰り返しなんてゴメンだ 31 00:03:09,440 --> 00:03:12,318 大ゲンカになったよ 32 00:03:12,693 --> 00:03:15,780 それで大学に行くことにした 33 00:03:15,947 --> 00:03:17,823 ベトナム戦争の頃だ 34 00:03:18,950 --> 00:03:22,161 唯一 入れたのが 短期大学で——  35 00:03:23,079 --> 00:03:28,501 社会科学や心理学 人類学など 授業をたくさん取った    36 00:03:28,668 --> 00:03:31,504 とても面白くて 夢中で学んだ 37 00:03:32,046 --> 00:03:35,549  課題図書の1つが   “千の顔をもつ英雄〟で—— 38 00:03:35,925 --> 00:03:40,179 社会の成り立ちに  大きな興味を抱いた 39 00:03:40,888 --> 00:03:44,934 物語や神話 英雄が 社会を作ってるんだ 40 00:03:49,397 --> 00:03:54,777 映画に出会ったのは 大学3年生の時だった 41 00:03:50,022 --> 00:03:52,984 南カリフォルニア大学USC 映画芸術学部 66年卒業生 42 00:03:56,779 --> 00:03:58,364 UCSに編入してね 43 00:04:00,533 --> 00:04:03,619 あらゆる映画を見ていたよ 44 00:04:03,786 --> 00:04:07,123 “メトロポリス〟  フリッツ・ラング  1929年 45 00:04:04,578 --> 00:04:07,123 新たな世界に目を見張った 46 00:04:07,456 --> 00:04:10,960 “暁の出撃〟  マイケル・アンダーソン  1955年 47 00:04:08,291 --> 00:04:13,379 食事や睡眠を取るように 映画を見て 夢中になった 48 00:04:11,127 --> 00:04:14,505 “駅馬車〟  ジョン・フォード  1939年 49 00:04:14,714 --> 00:04:20,011 “七人の侍〟  黒澤明 1954年 50 00:04:15,256 --> 00:04:19,343 これが自分の道だと すぐに分かった   51 00:04:20,511 --> 00:04:24,015 プロデューサーや監督の 役割すら知らず 52 00:04:22,096 --> 00:04:30,646 ジョージ・ルーカス 1969年 53 00:04:24,140 --> 00:04:26,976 ただ映画を作りたくて… 54 00:04:27,393 --> 00:04:30,646 何でもやった 55 00:04:30,813 --> 00:04:33,107 短編映画 ジョージ・ルーカス 56 00:04:32,023 --> 00:04:35,401 最初の学期から  映画を撮り始め—— 57 00:04:33,274 --> 00:04:34,734 “ルック・アット・  ライフ〟 58 00:04:36,235 --> 00:04:38,529 学部で評判になった 59 00:04:40,990 --> 00:04:42,825 出会いは1960年代だ 60 00:04:43,284 --> 00:04:47,163 “THX-1138〟が  映画祭で上映され—— 61 00:04:44,452 --> 00:04:47,163 スティーヴン・ スピルバーグ 62 00:04:47,330 --> 00:04:50,791 ジョージが グランプリを取った 63 00:04:49,332 --> 00:04:52,460 “電子的迷宮/  THX-1138・・  4EB〟 1967年 64 00:04:52,626 --> 00:04:55,254 THX-1138に告ぐ 65 00:04:55,379 --> 00:04:57,006 今すぐ止まれ 66 00:04:57,381 --> 00:05:00,634 あんな傑作    私には作れないよ 67 00:05:01,969 --> 00:05:06,057 我々を結びつけたのは 観客のために——    68 00:05:06,182 --> 00:05:08,351 映画を撮るという姿勢だ 69 00:05:08,517 --> 00:05:13,564 スピルバーグ/ コッポラ/ルーカス 70 00:05:09,477 --> 00:05:10,978 私の友人は皆—— 71 00:05:11,562 --> 00:05:13,564 映画を愛していた 72 00:05:13,731 --> 00:05:17,902 興味の対象は       金儲けではなく映画作りだ 73 00:05:21,197 --> 00:05:25,076 ルーカスは大学を卒業後 コッポラと組む     74 00:05:25,242 --> 00:05:28,537 彼もUCLAを卒業したばかり 75 00:05:29,163 --> 00:05:34,460 コッポラ作“雨のなかの女〟は ワーナー・ブラザースの3作目  76 00:05:34,627 --> 00:05:38,130 ルーカスは      そのメイキングを撮影 77 00:05:39,590 --> 00:05:43,177 これをやるんだという 信念を貫けば—— 78 00:05:42,259 --> 00:05:45,679 フランシス・ フォード・コッポラ 79 00:05:43,302 --> 00:05:46,305 邪魔するものは何もない 80 00:05:46,472 --> 00:05:49,266 助手のルーカスの印象は? 81 00:05:49,809 --> 00:05:51,894 助手じゃない 盟友だ 82 00:05:52,019 --> 00:05:53,229 なるほど 83 00:05:53,396 --> 00:05:59,026 “フィニアンの虹〟の   メイキングを撮ってる 84 00:05:59,151 --> 00:06:01,570 “あのひげ面は?〟と  聞いたら——    85 00:06:01,695 --> 00:06:03,989 “あなたを観察してる〟と 86 00:06:04,490 --> 00:06:09,495 あの撮影現場で50歳以下は 私と彼だけだった 87 00:06:04,698 --> 00:06:09,495 “フィニアンの虹〟の  舞台裏 1968年 88 00:06:10,121 --> 00:06:12,164 映画学校を出たのもね 89 00:06:12,289 --> 00:06:16,669 似た者同士で        彼も私も権威に反発していた 90 00:06:17,753 --> 00:06:21,715 そこで1969年       2人でサンフランシスコへ 91 00:06:22,007 --> 00:06:24,885 目指すべき場所だった 92 00:06:25,052 --> 00:06:28,472 “アメリカン・ゾエトロープ〟 93 00:06:29,098 --> 00:06:31,767 ロビーにビリヤード台? 94 00:06:31,892 --> 00:06:36,772 夜中の3時でも     くつろげる空間を作った 95 00:06:36,897 --> 00:06:39,108 作業の合間にね 96 00:06:39,775 --> 00:06:42,695 音響や編集の機材を買い—— 97 00:06:44,196 --> 00:06:46,282 小さなスタジオを作った 98 00:06:47,491 --> 00:06:49,618 全部 自分たちでやった 99 00:06:50,870 --> 00:06:54,039 私の自主映画を  長編にすることに 100 00:06:59,044 --> 00:07:04,008 コッポラ製作の映画が  空港の倉庫で撮影された 101 00:07:04,175 --> 00:07:09,221 SF作品で脚本と監督は  25歳のジョージ・ルーカス 102 00:07:09,722 --> 00:07:12,516 編集はルーカスと その妻 103 00:07:10,014 --> 00:07:13,851 編集 マーシア・ルーカス 104 00:07:12,641 --> 00:07:15,603 ワーナー・ブラザースの 配給だが—— 105 00:07:15,728 --> 00:07:18,522 内容はルーカスに一任 106 00:07:19,440 --> 00:07:23,027 自分の映画なら   自由に口出しできる 107 00:07:23,569 --> 00:07:26,238 遠慮する気はない 108 00:07:27,072 --> 00:07:30,075 THXは矯正不能 109 00:07:27,573 --> 00:07:30,451 “THX-1138〟  ジョージ・ルーカス  1971年 110 00:07:30,201 --> 00:07:32,495 よって永久に拘留とする 111 00:07:32,620 --> 00:07:35,998 ワーナー側は   現場には現れず—— 112 00:07:36,123 --> 00:07:38,292 脚本を読んだかも怪しい 113 00:07:38,417 --> 00:07:41,629 完成した作品を見て驚いてた 114 00:07:46,759 --> 00:07:50,179 上層部は         気に入らなかったようで—— 115 00:07:50,387 --> 00:07:53,891 いい場面も含め  5分もカットした 116 00:07:55,184 --> 00:07:59,855 部外者に作品を       別物に変えられることほど—— 117 00:07:59,980 --> 00:08:02,233 腹立たしいことはない 118 00:08:02,816 --> 00:08:08,531 結局 ファイナルカット版は ワーナーと意見が合わず—— 119 00:08:09,281 --> 00:08:14,870 予定していたプロジェクトも 白紙に戻された       120 00:08:15,955 --> 00:08:20,584 コッポラと立ち上げた会社が 倒産すると——        121 00:08:20,709 --> 00:08:23,462 彼は“ゴッドファーザー〟を 撮った          122 00:08:24,338 --> 00:08:29,385 芸術家気取りのSF映画は もうたくさんだと言い——  123 00:08:29,552 --> 00:08:33,556 私にコメディーを撮れと 勧めてきた       124 00:08:34,515 --> 00:08:37,851 “アメリカン・グラフィティ〟 125 00:08:41,021 --> 00:08:44,066 ジョージと 初めて会ったのは—— 126 00:08:41,939 --> 00:08:46,360 ロン・ハワード 127 00:08:44,233 --> 00:08:47,570 映画の オーディションだ 128 00:08:47,695 --> 00:08:51,407 “グラフィティ〟の意味を  辞書で調べたよ    129 00:08:51,532 --> 00:08:57,079 俳優として 彼には   神秘的な雰囲気を感じた 130 00:08:57,705 --> 00:09:01,709 話す内容が役者とは違い 謎めいてた       131 00:09:01,834 --> 00:09:05,921 雰囲気や世界観について 語るんだ        132 00:09:06,463 --> 00:09:10,801 オーディションを   半年かけて6回 行い—— 133 00:09:10,968 --> 00:09:14,054 キャストを選んでいた 134 00:09:17,433 --> 00:09:22,229 車を選ぶのも         そのくらいかかると言ってたよ 135 00:09:26,275 --> 00:09:31,780 撮影で魅了されたのは    役者の裁量が大きいことと—— 136 00:09:31,947 --> 00:09:34,908 その“世界観〟の作りだ 137 00:09:35,034 --> 00:09:37,620 当時は知らなかった用語さ 138 00:09:42,082 --> 00:09:44,585 彼には車が重要だった 139 00:09:45,169 --> 00:09:47,546 自分の経験を元にした 140 00:09:48,088 --> 00:09:50,549 “クルージング〟は廃れてね 141 00:09:50,674 --> 00:09:57,014 人間と機械の関係の本質を 記録しておきたいと思った 142 00:09:57,139 --> 00:10:01,018 あれはアメリカ特有の デートの儀式だ    143 00:10:08,984 --> 00:10:12,404 なに 何て言った? 144 00:10:13,489 --> 00:10:16,200 無意識のレベルで—— 145 00:10:13,489 --> 00:10:16,200 “1973年  最高評価の映画〟 146 00:10:16,367 --> 00:10:18,619 “1962年の青春が  よみがえる〟 147 00:10:17,826 --> 00:10:19,995 観客の心をつかんだ 148 00:10:18,786 --> 00:10:23,207 “アカデミー賞  5部門でノミネート〟 149 00:10:23,374 --> 00:10:25,668 こう思ったよ 150 00:10:23,374 --> 00:10:25,668 “愉快で痛快な映画〟 151 00:10:25,834 --> 00:10:27,252 “業界の将来を悲観〟 152 00:10:25,834 --> 00:10:30,255 “監督として認められた  好きに映画が撮れる〟 153 00:10:32,758 --> 00:10:35,969 ある日 ダイナーで ジョージに——   154 00:10:36,095 --> 00:10:38,972 次は何を撮りたいか尋ねた 155 00:10:39,556 --> 00:10:41,558 彼は“SFがいい〟 156 00:10:42,601 --> 00:10:45,020 “キューブリックの  功績を生かし——〟 157 00:10:44,353 --> 00:10:49,817 “2001年宇宙の旅〟  S・キューブリック  1968年 158 00:10:45,562 --> 00:10:50,859 “「原子未来戦」のような   映画シリーズを作りたい〟 159 00:10:51,985 --> 00:10:55,739 “使うのは「2001年」と  同等の特殊効果〟  160 00:10:56,281 --> 00:10:58,867 “ただ船はもっと速い〟 161 00:10:59,660 --> 00:11:01,453 そんなことを言ってた 162 00:11:01,787 --> 00:11:03,122 それで全部だ 163 00:11:04,081 --> 00:11:07,459 ストーリーを考えていて—— 164 00:11:07,960 --> 00:11:09,837 神話に行き着いた 165 00:11:10,754 --> 00:11:15,342 人々が崇拝できる英雄を 社会が生み出す     166 00:11:16,301 --> 00:11:21,390 それが世界の仕組みで 普遍的な真実に思えた 167 00:11:24,643 --> 00:11:27,730 その現代版を作りたかった 168 00:11:28,188 --> 00:11:30,149 まずはプロットだ 169 00:11:30,315 --> 00:11:33,318 “メイス・ウィンディの  物語〟 170 00:11:32,651 --> 00:11:35,738 私は名脚本家ではない 171 00:11:33,485 --> 00:11:36,363 “再考 スターキラー〟 172 00:11:37,072 --> 00:11:40,701 “「ウィルズ銀河史」  ルーク・スターキラーの  冒険〟 173 00:11:37,698 --> 00:11:40,701 2~3の映画会社に 提案したが——    174 00:11:40,868 --> 00:11:43,454 意味不明だと却下された 175 00:11:44,163 --> 00:11:46,457 ロボットにウーキー 176 00:11:46,957 --> 00:11:49,668 何の話か       分からなかったらしい 177 00:11:46,957 --> 00:11:49,668 “ジェダイ フォース〟 178 00:11:49,835 --> 00:11:51,545 “荒野の理想郷〟 179 00:11:50,169 --> 00:11:54,256 当時 SFは      興行収入が低迷していた 180 00:11:51,712 --> 00:11:53,630 “惑星全体〟 181 00:11:54,381 --> 00:11:57,050 加えて若者向けだったので—— 182 00:11:57,176 --> 00:12:01,221 それはディズニーの領分だと 言われた          183 00:12:01,847 --> 00:12:07,519 脚本を書き直したが 映画会社にフラれ続け—— 184 00:12:07,644 --> 00:12:09,855 絶望的だった 185 00:12:10,481 --> 00:12:13,317 でも いったん 腹を決めたら—— 186 00:12:13,442 --> 00:12:16,069 突き進むタチだ 187 00:12:16,195 --> 00:12:20,824 売り込むには    文章より絵が有効だ 188 00:12:23,786 --> 00:12:28,916 そこでラルフ・マクォーリーに キャラクターを描いてもらった 189 00:12:35,881 --> 00:12:39,009 イメージどおりだったよ 190 00:12:39,176 --> 00:12:42,554 アイデアを       次々と形にしてもらった 191 00:12:50,062 --> 00:12:55,359 絵に触発されて脚本も進み 完成にこぎつけた     192 00:12:55,484 --> 00:12:57,653 この映画は—— 193 00:12:57,152 --> 00:13:01,281 ラルフ・マクォーリー 194 00:12:57,778 --> 00:13:02,157 すばらしい映像体験に なる 195 00:13:02,282 --> 00:13:06,537 ジェットコースターに 乗った気分になれる  196 00:13:07,704 --> 00:13:12,543 仕掛けが盛りだくさんで 驚きの連続だ      197 00:13:12,709 --> 00:13:17,506 その頃 20世紀フォックスの 新しい重役が——      198 00:13:15,587 --> 00:13:20,259 20世紀フォックス社長 アラン・ラッド・ジュニア 199 00:13:17,631 --> 00:13:20,259 “アメリカン・グラフィティ〟を  気に入ってね        200 00:13:20,384 --> 00:13:22,386 ものすごい映画だ 201 00:13:22,553 --> 00:13:27,266 ジョージに会って 構想を聞きたくなった 202 00:13:27,641 --> 00:13:30,269 アランに絵を見せ—— 203 00:13:30,394 --> 00:13:34,773 昔懐かしい         スペースオペラだと説明した 204 00:13:35,315 --> 00:13:38,569 主人公の仲間には 巨大な犬もいて—— 205 00:13:38,694 --> 00:13:41,363 理解するのは難しい 206 00:13:42,281 --> 00:13:48,328 ジョージはやりたいことが はっきり分かっていた 207 00:13:49,037 --> 00:13:52,749 ユニークなので契約した 208 00:13:52,916 --> 00:13:55,252 “20世紀フォックス〟 209 00:13:55,919 --> 00:13:58,213 “ジョージ・W・  ルーカス・ジュニア〟 210 00:13:56,628 --> 00:14:00,173 特殊効果の予算は 200万ドルだ   211 00:14:00,966 --> 00:14:03,468 今ならワンカットも撮れない 212 00:14:04,845 --> 00:14:09,224 当初 フォックスは この映画のために—— 213 00:14:09,391 --> 00:14:14,938 特殊効果に特化した会社を 作ることに無関心だった 214 00:14:09,892 --> 00:14:16,023 ILM カリフォルニア州 ヴァン・ナイズ 1975年 215 00:14:15,397 --> 00:14:19,359 そこで私はILM設立に 50万ドルを—— 216 00:14:19,902 --> 00:14:23,155 “アメリカン・グラフィティ〟の  収益から出した       217 00:14:26,950 --> 00:14:30,287 優秀な人材を 1人 雇えば—— 218 00:14:29,620 --> 00:14:31,830 ジョン・ダイクストラ 219 00:14:32,164 --> 00:14:34,374 才能は集まる 220 00:14:37,836 --> 00:14:41,840 会社は生き物のように 成長していった    221 00:14:43,800 --> 00:14:46,386 でも名前が決まらなくてね 222 00:14:46,803 --> 00:14:48,555 こう考えた 223 00:14:48,680 --> 00:14:51,183 工場のような倉庫で—— 224 00:14:51,308 --> 00:14:54,978 魔法と光を使い  物を生み出してる 225 00:14:55,145 --> 00:14:59,483 “インダストリアル・      ライト&マジック〟がいい 226 00:14:59,775 --> 00:15:00,984 ILMだ 227 00:15:00,525 --> 00:15:03,111 インダストリアル・ ライト&マジック 228 00:15:03,278 --> 00:15:06,323 私は撮影で       イギリスとチュニジアへ 229 00:15:07,157 --> 00:15:08,158 アクション 230 00:15:09,868 --> 00:15:13,580 関節がガタガタで 壊れそうだ    231 00:15:17,000 --> 00:15:21,964 チュニジアでは不調で 全てが悪い方に進んだ 232 00:15:22,130 --> 00:15:26,927 夜の間にセットが   吹き飛ばされるなど—— 233 00:15:27,094 --> 00:15:29,179 次々と問題が起きた 234 00:15:31,473 --> 00:15:33,892 問題が山積みだった 235 00:15:31,473 --> 00:15:39,648 アラン・ラッド・ ジュニアの声 236 00:15:34,017 --> 00:15:35,978 特に財政的にね 237 00:15:36,103 --> 00:15:39,648 経費がどんどん 膨らんでいった 238 00:15:41,108 --> 00:15:44,236 映画作りの秘訣を 聞かれたら——   239 00:15:44,569 --> 00:15:46,405 “忍耐〟と答える 240 00:15:46,947 --> 00:15:49,032 他に言いようがない 241 00:15:49,324 --> 00:15:53,787 諦めたり くじけたりしたら そこで終わる       242 00:15:53,954 --> 00:15:57,624 不可能な状況下でも 粘るしかない    243 00:15:58,792 --> 00:16:02,379 だから飛行機に乗り ILMへ      244 00:16:02,546 --> 00:16:05,048 “ヴァン・ナイズ空港〟 245 00:16:10,971 --> 00:16:14,891 特殊効果に残された時間は 1年もない        246 00:16:15,017 --> 00:16:18,103 だが彼らは     100万ドルを費やし—— 247 00:16:19,146 --> 00:16:23,316 3カットしか    仕上げていなかった 248 00:16:23,775 --> 00:16:24,985 彼の怒りは—— 249 00:16:25,152 --> 00:16:28,739 居合わせなくても 伝わってきた 250 00:16:25,318 --> 00:16:28,447 モデルショップ ローン・ピーターソン 251 00:16:29,948 --> 00:16:31,908 不満の原因が—— 252 00:16:32,075 --> 00:16:35,328 私なのか 状況なのか 分からなかった 253 00:16:33,452 --> 00:16:37,622 視覚効果監修 ジョン・ダイクストラ 254 00:16:35,495 --> 00:16:39,291 映画会社が うるさかったしね 255 00:16:40,000 --> 00:16:44,087 ある時 編集室に 行く必要があった 256 00:16:41,835 --> 00:16:44,087 撮影部 ケン・ラルストン 257 00:16:44,254 --> 00:16:47,632 そこへ行くには 試写室を通るんだ 258 00:16:47,799 --> 00:16:52,304 私が全速力で     試写室に駆け込むと—— 259 00:16:52,429 --> 00:16:56,725 ジョージとダイクストラが 言い争っていた      260 00:16:57,184 --> 00:17:02,439 鉢合わせる形になったが  何の口論か分からなかった 261 00:17:02,856 --> 00:17:05,567 ジョンの解雇を考えた 262 00:17:05,692 --> 00:17:08,570 金と時間を費やし 成果なし 263 00:17:08,987 --> 00:17:14,242 制作スケジュールもなく ノープランだった 264 00:17:14,367 --> 00:17:15,952 あり得ない 265 00:17:16,078 --> 00:17:19,414 設備とミニチュア模型を 作るために——      266 00:17:19,539 --> 00:17:21,875 1日18時間 働いていた 267 00:17:24,002 --> 00:17:28,507 全てを完成させることは できておらず——     268 00:17:28,632 --> 00:17:33,804 撮影のことまで    頭が回っていなかった 269 00:17:33,970 --> 00:17:37,224 サンフランシスコへの 帰路で思った     270 00:17:37,390 --> 00:17:39,184 “これではダメだ〟 271 00:17:39,309 --> 00:17:42,687 “大失敗して      キャリアが終わる〟 272 00:17:42,854 --> 00:17:44,981 すると胸が痛くなり—— 273 00:17:45,107 --> 00:17:48,401 心臓発作を疑い 病院へ行った 274 00:17:49,194 --> 00:17:52,572 重圧を感じているか 聞かれてね     275 00:17:53,198 --> 00:17:56,827 それが原因だと言われ 薬をもらった     276 00:17:56,993 --> 00:18:00,539 心臓発作ではなく  狭心症か何かだった 277 00:18:00,705 --> 00:18:02,749 だが皆 慌ててたよ 278 00:18:02,916 --> 00:18:05,627 私が死ねば映画は完成しない 279 00:18:10,048 --> 00:18:14,928 私がやっていることを  誰も理解していなかった 280 00:18:15,095 --> 00:18:16,972 私は4人目の編集担当だ 281 00:18:17,139 --> 00:18:22,978 編集 ポール・ハーシュ 282 00:18:17,472 --> 00:18:19,391 かなりの編集作業が—— 283 00:18:19,558 --> 00:18:23,186 私が参加した時には 終わっていた 284 00:18:23,603 --> 00:18:26,356 全てに感銘を受けたが—— 285 00:18:26,481 --> 00:18:30,110 ほぼ全カットに    特殊効果が必要だった 286 00:18:30,443 --> 00:18:34,531 私は意を決し     ジョージにこう伝えた 287 00:18:34,698 --> 00:18:37,159 “こんな大仕事は初めてだ〟 288 00:18:37,284 --> 00:18:39,828 すると彼は“皆 そうだ〟と 289 00:18:41,413 --> 00:18:43,665 イヤな予感がする 290 00:18:43,790 --> 00:18:44,749 引き返そう 291 00:18:44,875 --> 00:18:45,750 それがいい 292 00:18:45,876 --> 00:18:48,295 全速反転! 補助パワー! 293 00:18:48,503 --> 00:18:51,256 特殊効果もなく編集が進み—— 294 00:18:51,381 --> 00:18:54,467 やり遂げられるか不安だった 295 00:18:54,593 --> 00:18:59,723 ある時 ジョージは   監督仲間に意見を求めた 296 00:19:00,182 --> 00:19:02,684 デ・パルマやスコセッシ 297 00:19:02,809 --> 00:19:05,187 スピルバーグにね 298 00:19:05,896 --> 00:19:08,398 最初に見たのは ラフカットだ 299 00:19:05,896 --> 00:19:08,398 スティーヴン・ スピルバーグ 300 00:19:09,232 --> 00:19:13,403 モス・アイズリー宇宙港だ 301 00:19:14,112 --> 00:19:18,992 宇宙の荒くれどもが集まる 悪の巣窟だ        302 00:19:19,117 --> 00:19:20,535 映画は—— 303 00:19:21,578 --> 00:19:24,956 好意的な見方をすると 未完成だった     304 00:19:27,500 --> 00:19:28,501 船へ! 305 00:19:28,627 --> 00:19:30,128 待って! 306 00:19:30,670 --> 00:19:32,714 特殊効果がまだでね 307 00:19:32,881 --> 00:19:36,259 助けて オビ=ワン・ケノービ 308 00:19:36,593 --> 00:19:42,349 数カットしかなかったから 主に内容について議論した 309 00:19:42,515 --> 00:19:46,102 ここはどこで 彼らは何者? 310 00:19:46,478 --> 00:19:48,104 必要な存在? 311 00:19:48,813 --> 00:19:52,609 この風変わりな生き物は 何なんだ?       312 00:19:52,734 --> 00:19:57,072 批判されたくて   我々に見せたのか? 313 00:19:57,239 --> 00:19:59,616 編集 ポール・ハーシュ 314 00:19:57,239 --> 00:20:01,952 編集の私でさえ 話を追うのに苦労した 315 00:20:02,118 --> 00:20:05,038 ラフカットよりラフだった 316 00:20:06,873 --> 00:20:13,296 映画の半分は 第2次大戦の 記録映像を見ている気分だ 317 00:20:13,755 --> 00:20:14,714 行くぞ! 318 00:20:15,090 --> 00:20:16,091 まだか 319 00:20:15,090 --> 00:20:21,596 塹壕ざんごうシーンのラフカット 320 00:20:18,885 --> 00:20:20,553 敵機に注意しろ 321 00:20:22,430 --> 00:20:24,849 だが私とアランだけは—— 322 00:20:25,016 --> 00:20:29,396 そんな状態でも    あの映画を気に入った 323 00:20:29,896 --> 00:20:36,319 R2とC-3POが    乗り込んだ脱出ポッドが—— 324 00:20:36,736 --> 00:20:42,242 船を離れ 宇宙へ飛び出す シーンを見て理解した  325 00:20:42,784 --> 00:20:44,536 この映画が—— 326 00:20:44,661 --> 00:20:49,457 ILMの力を借りて   どんなふうになるのかね 327 00:20:49,874 --> 00:20:51,960 完成が待たれた 328 00:20:52,627 --> 00:20:56,423 何しろ特殊効果の会社は 他にない        329 00:20:56,548 --> 00:20:59,759 世界中のどこにもなかった 330 00:21:00,135 --> 00:21:05,473 だから険しい道を     突き進むしかなかったんだ 331 00:21:06,516 --> 00:21:10,854 ただ仕事を       こなすだけになっていた 332 00:21:11,813 --> 00:21:15,692 これで問題ないと   判断したというより—— 333 00:21:15,817 --> 00:21:19,446 ジョージは諦めの境地だった 334 00:21:19,738 --> 00:21:23,366 モーションコントロールで 撮影する時は——      335 00:21:23,533 --> 00:21:27,537 カメラのあらゆる動きを 調整する        336 00:21:27,787 --> 00:21:31,166 とんでもなく 手間がかかった 337 00:21:28,288 --> 00:21:31,166 撮影部 リチャード・エドランド 338 00:21:32,292 --> 00:21:37,297 そして撮影すべき要素は たくさんあったが——   339 00:21:37,839 --> 00:21:40,967 全部 撮るには 時間が足りない 340 00:21:41,676 --> 00:21:44,054 そこでケンが大砲を撮り—— 341 00:21:44,179 --> 00:21:46,848 デニスがXウイングを撮った 342 00:21:47,849 --> 00:21:53,021 私がカメラを模型にぶつけると その場で直す         343 00:21:53,188 --> 00:21:55,940 完璧な環境ではなかった 344 00:21:56,483 --> 00:21:59,152 大量のフィルムと格闘し—— 345 00:22:00,153 --> 00:22:03,198 とにかく つらかったよ 346 00:22:06,951 --> 00:22:12,248 これをどう管理するのか 正直 心配だった    347 00:22:12,832 --> 00:22:15,710 試作品に問題は付き物だが—— 348 00:22:16,211 --> 00:22:19,381 ジョージには   解決できなかった 349 00:22:20,256 --> 00:22:24,386 変わった機材で    新しいことをしていた 350 00:22:25,428 --> 00:22:29,140 ダイクストラが  仕切っていたが—— 351 00:22:29,557 --> 00:22:32,685 時間も資金も尽きていた 352 00:22:32,852 --> 00:22:36,981 私は何でもいいから 撮るように言った  353 00:22:37,107 --> 00:22:38,733 終わらせないと 354 00:22:38,900 --> 00:22:43,988 効率を上げ 体系化するため 何人か送り込まれた    355 00:22:45,448 --> 00:22:50,245 ジョージ・マザーが かなり尽力してくれてね 356 00:22:46,449 --> 00:22:51,621 製作監修 ジョージ・マザー 357 00:22:50,370 --> 00:22:54,999 我々は彼のやり方を 徐々に取り入れた 358 00:22:55,125 --> 00:22:59,796 だが それを        うまくまとめたのはローズだ 359 00:23:01,548 --> 00:23:04,217 面接で社屋を訪れたら—— 360 00:23:04,384 --> 00:23:08,805 言っちゃ悪いけど ひどい有り様だった 361 00:23:04,884 --> 00:23:08,805 ローズ・ドゥイニャン 362 00:23:09,180 --> 00:23:12,392 まともな家具はなくて—— 363 00:23:12,517 --> 00:23:15,311 まるでゴミ溜めだったわ 364 00:23:15,478 --> 00:23:18,565 隣の男は       足を上げて座ってて—— 365 00:23:19,023 --> 00:23:20,692 私は受付係に聞いた 366 00:23:20,859 --> 00:23:25,447 “ルーカスは優しい?   映画について教えて〟 367 00:23:25,613 --> 00:23:27,198 彼女に緊張が走った 368 00:23:27,323 --> 00:23:31,369 その時 ダイクストラに 部屋に呼ばれた    369 00:23:32,036 --> 00:23:34,831 すると隣の男も一緒に来た 370 00:23:35,957 --> 00:23:38,168 彼が当のルーカスだった 371 00:23:38,293 --> 00:23:41,004 聞かれた質問は2つ 372 00:23:41,171 --> 00:23:44,466 “速記はできる?〟  “月曜から働ける?〟 373 00:23:44,591 --> 00:23:48,386 “アメリカン・グラフィティ〟を  見て 心は決まってた    374 00:23:48,553 --> 00:23:51,181 どんなことでもやると 375 00:23:51,764 --> 00:23:54,851 彼はイギリスから 戻ったばかりで—— 376 00:23:54,976 --> 00:23:57,604 大抵は北部で編集してた 377 00:23:57,729 --> 00:24:02,400 週に2日 彼が来た時に 記録を取るのが私の仕事 378 00:24:02,525 --> 00:24:09,032 彼がどの部署で何を言ったか 記録する必要があったからね 379 00:24:09,824 --> 00:24:12,577 でも大抵は       ダイクストラについてた 380 00:24:14,287 --> 00:24:18,166 彼は魅力とカリスマ性を 備えていて——      381 00:24:18,583 --> 00:24:21,169 おおらかで楽しい人よ 382 00:24:21,711 --> 00:24:25,340 でもジョージが来ると 事務的になり——    383 00:24:25,465 --> 00:24:28,468 2人の間には距離があった 384 00:24:30,178 --> 00:24:36,142 計画を立てる人はおらず 撮影スケジュールは不明 385 00:24:37,310 --> 00:24:42,357 やるべきことを     管理する人が必要だった 386 00:24:43,316 --> 00:24:46,110 マザーが秩序をもたらし—— 387 00:24:46,236 --> 00:24:49,572 それがルーカスに 自信を与えた   388 00:24:49,822 --> 00:24:53,451 マザーと私で      すべきことを洗い出し—— 389 00:24:53,576 --> 00:24:57,580 予定表に書き込むと 現場は回り出した  390 00:24:58,748 --> 00:25:02,043 絵コンテのファイルがあってね 391 00:25:02,210 --> 00:25:06,548 毎日 ラッシュ上映で   出た意見を私がタイプし—— 392 00:25:06,881 --> 00:25:09,592 彼がファイルに貼りつけた 393 00:25:10,718 --> 00:25:13,513 システムが出来上がると—— 394 00:25:14,097 --> 00:25:18,935 私はジョージを何度か呼び 手順を説明した      395 00:25:19,477 --> 00:25:24,566 “2~3の要素から成る  このカットから始めよう〟 396 00:25:21,854 --> 00:25:24,566 “Xウイング3機の接写〟 397 00:25:24,732 --> 00:25:26,276 “モーションテスト〟 398 00:25:27,193 --> 00:25:32,740 最初の要素を撮影し     10分ほどで現像して映写し—— 399 00:25:32,865 --> 00:25:35,785 修正が必要か聞いた 400 00:25:35,910 --> 00:25:40,582 すると彼が       要望を伝えてくるから—— 401 00:25:40,748 --> 00:25:44,252 私はそのとおりに撮り直す 402 00:25:44,419 --> 00:25:48,673 そして次の要素を撮影し 映像を合成すると——   403 00:25:48,798 --> 00:25:52,218 彼は2つの要素を確認できる 404 00:25:53,011 --> 00:25:57,223 それを何度か繰り返し やり方を教えた    405 00:25:59,475 --> 00:26:02,854 彼はうまくいくと見込んだ 406 00:26:02,979 --> 00:26:08,735 仕上がった映像は      簡単で安い方法で撮るより—— 407 00:26:08,860 --> 00:26:14,073 はるかに興味深く     訴えるものがあったからね 408 00:26:14,449 --> 00:26:19,662 古い手法で撮影できる カットも多かったが—— 409 00:26:14,616 --> 00:26:19,662 撮影部 デニス・ミューレン 410 00:26:20,038 --> 00:26:23,916 ジョンのやり方は エレガントだった 411 00:26:24,459 --> 00:26:29,172 どんなカットも   撮れるようになった 412 00:26:30,632 --> 00:26:32,467 教育効果もあったよ 413 00:26:32,592 --> 00:26:36,179 組み合わせることで 技術が洗練され——  414 00:26:36,304 --> 00:26:38,806 監督のビジョンも理解できた 415 00:26:40,350 --> 00:26:44,687 どのカットも         絵コンテが要旨を教えてくれた 416 00:26:44,937 --> 00:26:50,485 だから絵コンテを読み解き 何から撮るかを決める   417 00:26:51,235 --> 00:26:56,908 私が最も神経を使ったのは オープニングのカットだ  418 00:26:58,409 --> 00:27:01,245 なぜなら 映画の冒頭で—— 419 00:27:00,036 --> 00:27:04,374 撮影部 リチャード・エドランド 420 00:27:01,371 --> 00:27:06,709 観客の心をつかまねば 困ったことになる 421 00:27:08,336 --> 00:27:14,550 最良の特殊効果は       さりげない工夫が施されており 422 00:27:14,717 --> 00:27:17,679 現実と見分けがつかない 423 00:27:17,804 --> 00:27:19,889 ジョージに言われた 424 00:27:20,014 --> 00:27:23,434 “スター・デストロイヤーを  巨大に見せたい〟    425 00:27:23,601 --> 00:27:29,524 “外壁に模型やハシゴをつけて  スケール感を出そう〟   426 00:27:29,691 --> 00:27:35,279 だが艦は完成していて  全長はこのくらいあった 427 00:27:36,155 --> 00:27:37,699 テストが必要だ 428 00:27:37,824 --> 00:27:43,413 優秀な人材を投入して    艦の底面のデザインを詰め—— 429 00:27:43,621 --> 00:27:48,668 ブロッケード・ランナーを   タバコサイズで作ってもらった 430 00:27:48,835 --> 00:27:52,380 それをワイヤで    艦の前方に吊るせば—— 431 00:27:53,172 --> 00:27:56,384 スケール感を生み出せる 432 00:27:57,301 --> 00:28:02,306 カメラを模型に       近づける必要があったので—— 433 00:28:02,432 --> 00:28:04,934 ブームで吊ることにした 434 00:28:05,059 --> 00:28:07,687 艦をひっくり返し—— 435 00:28:07,812 --> 00:28:12,024 0.8ミリのところまで レンズを近づけた  436 00:28:12,150 --> 00:28:14,944 何ヵ所か こすったよ 437 00:28:15,278 --> 00:28:17,989 基本的に逆さまで撮った 438 00:28:23,411 --> 00:28:26,956 翌日 映像を見たら 皆 驚いてた    439 00:28:28,040 --> 00:28:29,041 こうさ 440 00:28:38,384 --> 00:28:43,848 冒頭 スター・デストロイヤーが 頭上を通る時の感じは——    441 00:28:46,142 --> 00:28:50,062 まさにジョージが   求めていたものだった 442 00:28:52,732 --> 00:28:55,485 それが 実現した要因は—— 443 00:28:52,732 --> 00:28:55,485 視覚効果監修 ジョン・ダイクストラ 444 00:28:55,777 --> 00:29:01,741 手前から奥まで 艦全体に ピントが合っていたことだ 445 00:29:01,866 --> 00:29:06,037 スケール感を出すには それが重要だった   446 00:29:08,748 --> 00:29:12,543 また 模型には    ドアや窓などをつけた 447 00:29:12,668 --> 00:29:17,465 人間サイズの物があることで その大きさが分かる     448 00:29:17,632 --> 00:29:22,637 そういう視覚的な手掛かりを うまく使うことで——     449 00:29:22,804 --> 00:29:27,350 単なる技巧とは違って 芸術性が生まれる   450 00:29:37,193 --> 00:29:39,904 これぞ神秘で魔法だね 451 00:29:41,239 --> 00:29:44,867 退屈な過程を経て 魔法を生み出す  452 00:29:52,917 --> 00:29:55,545 強い団結心が芽生え—— 453 00:29:55,837 --> 00:30:00,842 全スタッフが協力して 問題解決に取り組んだ 454 00:30:00,967 --> 00:30:05,805 作業を終わらせるには 助け合う必要があった 455 00:30:03,386 --> 00:30:05,805 美術部 ジョー・ジョンストン 456 00:30:07,223 --> 00:30:11,102 大事なのは映画を作り 物語を伝えること   457 00:30:11,269 --> 00:30:14,647 それをエゴで阻んでは ダメだ 458 00:30:11,727 --> 00:30:14,647 マットペイント ハリソン・エレンショー 459 00:30:15,982 --> 00:30:18,985 多くの問題が   給湯室で解決した 460 00:30:19,110 --> 00:30:22,780 困った時は     そこで助けを求める 461 00:30:23,114 --> 00:30:24,824 我々は家族だった 462 00:30:25,908 --> 00:30:31,706 ジョージは夜遅くまで残り 雑用を手伝ってくれた   463 00:30:31,831 --> 00:30:35,334 夜9時に          絵コンテにスタンプを押した 464 00:30:38,504 --> 00:30:44,302 彼がモデルショップに来て 船に部品をつけることも  465 00:30:44,927 --> 00:30:46,220 楽しんでたよ 466 00:30:47,722 --> 00:30:50,892 撮影スケジュールは 押してたが——    467 00:30:51,267 --> 00:30:53,144 彼は柔軟でね 468 00:30:53,311 --> 00:30:54,979 カットを再利用し—— 469 00:30:55,146 --> 00:30:59,442 別物に見せる方法を 提案してくれた   470 00:30:59,609 --> 00:31:03,195 大きな進歩を遂げ 物事が加速した  471 00:31:07,658 --> 00:31:09,952 時には無茶もした 472 00:31:10,620 --> 00:31:15,875 特殊効果をやるには   少しぶっ飛んでないとね 473 00:31:26,636 --> 00:31:28,721 カリフォルニア州 デスヴァレー 474 00:31:30,806 --> 00:31:33,434 完成形が分からないので—— 475 00:31:34,477 --> 00:31:37,897 常識にとらわれず撮影できた 476 00:31:44,445 --> 00:31:46,864 常に楽しかったよ 477 00:31:47,823 --> 00:31:50,076 大変な時だってね 478 00:31:51,243 --> 00:31:55,498 宇宙空間は中が空洞で 快適に眠れた     479 00:31:55,623 --> 00:31:59,835 枕を照明に立てかけて 怒られてた人も    480 00:32:00,378 --> 00:32:02,380 どうかしてたよ 481 00:32:03,089 --> 00:32:04,882 パーティーもした 482 00:32:05,257 --> 00:32:09,345 パンチに          ドライアイスを入れて遊んだ 483 00:32:09,512 --> 00:32:13,057 体に毒だとは知らなかったの 484 00:32:16,018 --> 00:32:19,814 ピザとビールがあれば 皆 何でもやる    485 00:32:22,358 --> 00:32:25,403 まるで学生寮みたいだった 486 00:32:26,737 --> 00:32:29,073 あだ名は“カントリークラブ〟 487 00:32:29,240 --> 00:32:30,866 “スター・ウォーズ〟 488 00:32:30,491 --> 00:32:35,454 浴槽や滑り台で遊んで まるで子供だった   489 00:32:36,998 --> 00:32:41,127 でも どこよりも必死に 夜遅くまで働き——   490 00:32:42,253 --> 00:32:43,462 “シーカー  クローズアップ〟 491 00:32:43,045 --> 00:32:45,006 新境地を切り開いた 492 00:32:51,429 --> 00:32:55,599 楽しかったが      終わりが近づくにつれ—— 493 00:32:55,766 --> 00:32:57,518 重圧を感じた 494 00:32:57,685 --> 00:33:05,026 “この夏 あなたを銀河へ 「スター・ウォーズ」〟 495 00:33:00,187 --> 00:33:04,150 公開に向けて     自分たちを追い込んだ 496 00:33:05,192 --> 00:33:07,570 プレミアが迫ると パニックさ 497 00:33:05,693 --> 00:33:07,570 撮影部 ケン・ラルストン 498 00:33:07,695 --> 00:33:11,365 音を乗せたいと 音響部にせかされ—— 499 00:33:12,158 --> 00:33:15,661 ジョーが絵コンテを修正し 撮り直しに        500 00:33:16,620 --> 00:33:19,206 撮影現場はバタバタだ 501 00:33:20,332 --> 00:33:22,293 ケン・ラルストン 502 00:33:21,333 --> 00:33:23,085 間に合わせようと—— 503 00:33:24,253 --> 00:33:28,090 模型や照明を用意し 急いで撮った    504 00:33:30,968 --> 00:33:34,680 ただひたすら    信じるしかなかった 505 00:33:35,681 --> 00:33:41,228 成功するかは不明だったが 皆 希望に満ちていた   506 00:33:42,521 --> 00:33:47,735 だが私もクルーも     大きな重圧を感じていたね 507 00:33:48,152 --> 00:33:50,154 製作助手 ローズ・ドゥイニャン 508 00:33:48,569 --> 00:33:52,031 現場を回る彼は いら立ってた 509 00:33:52,156 --> 00:33:55,284 物事が思いどおりに進まず—— 510 00:33:55,409 --> 00:33:58,287 いくつかのカットに 失望してた     511 00:33:58,871 --> 00:34:02,500 仕事ぶりが 認められない者もいた 512 00:34:01,582 --> 00:34:05,294 マットペイント ハリソン・エレンショー 513 00:34:02,958 --> 00:34:07,838 ジョージが厳しすぎる とは言わないが—— 514 00:34:08,923 --> 00:34:13,135 彼の映画だから   責任を負うのは彼だ 515 00:34:13,302 --> 00:34:15,012 私は完璧主義者だ 516 00:34:14,386 --> 00:34:16,722 ジョージ・ルーカス 517 00:34:16,013 --> 00:34:20,267 だから完璧でなければ 心の中で怒る 518 00:34:20,434 --> 00:34:22,728 それが時々 表に出る 519 00:34:25,439 --> 00:34:28,317 ジョージに対する印象は—— 520 00:34:28,734 --> 00:34:34,657 想像力が豊かだが かつ現実的ということ 521 00:34:29,276 --> 00:34:34,532 編集 ポール・ハーシュ 522 00:34:35,116 --> 00:34:38,619 大抵の人は     どちらかに偏ってる 523 00:34:39,370 --> 00:34:42,540 妥協も必要だと学んだ 524 00:34:42,706 --> 00:34:46,127 ベストを尽くし  前に進むしかない 525 00:34:46,293 --> 00:34:52,842 “モス・アイズリーの  酒場〟 526 00:34:46,710 --> 00:34:52,842 酒場のシーンのクリーチャーに ジョージは不満だった     527 00:34:53,342 --> 00:34:55,886 そこで撮り直すことに 528 00:34:57,221 --> 00:35:02,143 酒場のシーンは イギリスで撮影した 529 00:34:59,390 --> 00:35:02,143 “スター・ウォーズ〟  主要撮影  イギリス 1976年 530 00:35:02,309 --> 00:35:06,522 異星人だらけにしたいのに 数が少なかった      531 00:35:06,689 --> 00:35:09,608 予算が なかったんだろう 532 00:35:06,814 --> 00:35:09,441 フィル・ティペット 533 00:35:09,733 --> 00:35:12,736 だからイギリスでの撮影は—— 534 00:35:12,862 --> 00:35:17,867 衣装部で着ぐるみを集めて 撮ったものに見えた    535 00:35:18,951 --> 00:35:20,870 撮れるだけ撮ったが—— 536 00:35:20,995 --> 00:35:24,915 帰国したら     もっと撮る気だった 537 00:35:25,416 --> 00:35:30,504 ジョージは私とジョンや アニメーター数人を雇い 538 00:35:25,416 --> 00:35:31,547 ジョン・バーグ フィル・ティペット 539 00:35:30,671 --> 00:35:34,675 6週間で異星人を 作りまくれと命じた 540 00:35:40,598 --> 00:35:44,226 彼らのスケッチから 12体を選んだ    541 00:35:45,019 --> 00:35:50,107 ロン・コッブがデザインし 我々が形にした     542 00:35:54,028 --> 00:35:57,823 そして小さなスタジオに 繰り出した       543 00:35:59,867 --> 00:36:02,536 作ったマスクをかぶり—— 544 00:36:04,705 --> 00:36:07,750 衣装を着せてもらってね 545 00:36:05,122 --> 00:36:07,750 フィル・ティペット 546 00:36:09,084 --> 00:36:11,629 そうして撮影したんだ 547 00:36:16,383 --> 00:36:20,262 フィルとジョンを 気に入っていた  548 00:36:20,387 --> 00:36:23,515 いいチームで 友人になった 549 00:36:24,266 --> 00:36:27,686 ジョージは毎週 進捗確認に来た 550 00:36:28,020 --> 00:36:30,356 ある時 部屋を見回し—— 551 00:36:30,481 --> 00:36:36,487 私が20歳の頃に作った     コマ撮り用の人形を見つけてね 552 00:36:36,904 --> 00:36:41,951 “コマ撮りアニメーションを  作るのか〟と言ってきた 553 00:36:44,245 --> 00:36:48,165 彼にチェス盤を 見せられたが—— 554 00:36:48,624 --> 00:36:50,960 駒は載っていなかった 555 00:36:53,545 --> 00:36:56,840 当初 ジョージは チェス盤に——  556 00:36:57,299 --> 00:37:01,720 マスクをかぶった人間を 置くつもりだった    557 00:37:02,137 --> 00:37:02,805 だが… 558 00:37:03,389 --> 00:37:06,225 “未来世界〟  R・T・へフロン  1976年 559 00:37:05,057 --> 00:37:07,351 “未来世界〟が公開される 560 00:37:06,976 --> 00:37:08,686 “未来世界〟 561 00:37:09,103 --> 00:37:13,107 役者がチェス盤に 乗る描写があった 562 00:37:13,274 --> 00:37:14,400 ナイトでポーンを 563 00:37:17,444 --> 00:37:22,074 先を越されて      独自の案ではなくなった 564 00:37:22,199 --> 00:37:26,328 だがコマ撮りにすれば 独自性を出せる    565 00:37:26,996 --> 00:37:29,081 ジョージに聞かれた 566 00:37:29,206 --> 00:37:33,961 コマ撮り用の異星人を  2週間で10体 作れるかと 567 00:37:34,128 --> 00:37:35,879 答えは“イエス〟さ 568 00:37:36,046 --> 00:37:39,675 ILMの強みの1つは人材だ 569 00:37:39,842 --> 00:37:43,470 型破りだから   何だってこなせた 570 00:37:44,054 --> 00:37:47,266 締め切り間近という頃で—— 571 00:37:47,391 --> 00:37:52,604 ジョンと私は       ジョージに交渉しに行った 572 00:37:52,771 --> 00:37:56,483 大きな円卓の一端に ジョージが座り——  573 00:37:56,608 --> 00:38:00,446 ダイクストラは      銃のレプリカをいじってた 574 00:38:00,612 --> 00:38:04,491 給料の交渉をしている間 ダイクストラが…    575 00:38:06,201 --> 00:38:11,081 シリンダーを回すものだから 我々はビビってね      576 00:38:11,957 --> 00:38:15,836  要求しすぎたかと思い “タダでやる!〟と   577 00:38:17,755 --> 00:38:23,302 人形を段ボールに入れて セットに持っていった  578 00:38:23,427 --> 00:38:25,763 ジョージの指示はこうだ 579 00:38:25,929 --> 00:38:31,560 “この黄色い奴が飛びかかるも  緑の奴に投げられ——〟   580 00:38:31,685 --> 00:38:33,354 “それを皆が見てる〟 581 00:38:34,563 --> 00:38:36,607 分かった 任せろ 582 00:38:39,360 --> 00:38:42,446 撮影は夜で 3日は要した 583 00:38:45,616 --> 00:38:48,243 まるで玩具で遊ぶ子供さ 584 00:38:51,830 --> 00:38:54,416 コマ撮りはそこだけだ 585 00:38:55,125 --> 00:38:57,252 出来栄えには満足した 586 00:38:58,712 --> 00:39:00,589 気をつけろ R2 587 00:39:07,471 --> 00:39:10,182 吠えたってダメだよ 588 00:39:10,307 --> 00:39:12,935 ウーキー族を怒らせるな 589 00:39:15,229 --> 00:39:20,109 ジョージは寛大で      スタッフに自由に創作させた 590 00:39:20,275 --> 00:39:24,947 忍耐力もあり 相手が 疑問を抱いていると—— 591 00:39:20,818 --> 00:39:24,947 美術部 ジョー・ジョンストン 592 00:39:25,072 --> 00:39:28,242 意図を 説明してあげていた 593 00:39:29,076 --> 00:39:32,913 彼が来た時は   できるだけ話した 594 00:39:34,081 --> 00:39:36,083 “ドッグファイト〟 595 00:39:34,665 --> 00:39:37,793 彼は作業用の机に向かい—— 596 00:39:36,250 --> 00:39:37,793 “ベイダー〟 597 00:39:37,960 --> 00:39:39,962 “デス・スター〟 598 00:39:38,168 --> 00:39:41,422 最終盤の攻撃シーンを 描いていた      599 00:39:43,257 --> 00:39:47,803 彼は画家ではない  紙に線を引くだけだ 600 00:39:47,928 --> 00:39:53,142 でも彼には自分の考えを 伝える能力があった   601 00:39:53,350 --> 00:39:57,980 どんな攻撃に見せたいのか あの線画から伝わった   602 00:39:58,147 --> 00:40:00,816 ラストの 戦闘シーンを—— 603 00:39:58,522 --> 00:40:02,526 編集 ポール・ハーシュ 604 00:40:00,983 --> 00:40:03,902 削除しろと 映画会社は求めた 605 00:40:04,486 --> 00:40:08,115 彼らは予算が心配だったんだ 606 00:40:08,240 --> 00:40:12,494 “デス・スターに行って   姫も救出したろ〟とね 607 00:40:12,661 --> 00:40:15,539 だがジョージは譲らなかった 608 00:40:17,499 --> 00:40:20,377 映画の見せ場は“動き〟だ 609 00:40:20,544 --> 00:40:24,798 役者やストーリーは横に置き 追跡劇を見せたい      610 00:40:25,340 --> 00:40:28,135 映画が生まれた頃の表現だ 611 00:40:29,344 --> 00:40:32,848 追跡劇は盛り上げる必要がある 612 00:40:33,223 --> 00:40:37,853 冒頭 中盤 そして終盤 いくつか事件を経てね 613 00:40:38,604 --> 00:40:41,356 映画のラストに起きるのは—— 614 00:40:41,482 --> 00:40:45,777 宇宙を舞台にした     リアルなドッグファイトだ 615 00:40:45,903 --> 00:40:50,908 攻撃対象は難攻不落の要塞 デス・スターだ      616 00:40:51,033 --> 00:40:54,077 そして勇敢なパイロットの ルークが——        617 00:40:54,203 --> 00:40:57,164 この巨大兵器を破壊する 618 00:40:57,998 --> 00:41:01,502  デス・スターの表面に “塹壕〟があるのは——  619 00:41:01,627 --> 00:41:06,256 それがスピード感を出す 唯一の方法だからだ   620 00:41:09,510 --> 00:41:15,015 よく皆で砂漠の渓谷を バイクで走っていて—— 621 00:41:12,262 --> 00:41:16,350 視覚効果監修 ジョン・ダイクストラ 622 00:41:15,182 --> 00:41:16,350 気づいた 623 00:41:16,475 --> 00:41:21,897 周りに物があった方が スピードを感じるとね 624 00:41:23,232 --> 00:41:27,361 ジョージは マンハッタンの真ん中を 625 00:41:25,567 --> 00:41:31,240 バークレー実験 1973年 626 00:41:27,486 --> 00:41:31,240 高速で降下するような 映像を目指した 627 00:41:31,406 --> 00:41:34,159 60キロ移動したように 見せるには——     628 00:41:34,284 --> 00:41:36,453 12メートル必要だ 629 00:41:36,828 --> 00:41:38,413 簡単なことじゃない 630 00:41:39,122 --> 00:41:42,876 表面の作り込みが 大量に発生する  631 00:41:46,713 --> 00:41:51,718 当初 私は表面を作るために 2ヵ月 雇われた      632 00:41:51,927 --> 00:41:54,805 そして すぐに理解したよ 633 00:41:53,345 --> 00:41:56,848 モデルショップ ローン・ピーターソン 634 00:41:54,930 --> 00:41:59,601 なぜ他の模型製作者が やりたがらないのかね 635 00:41:59,893 --> 00:42:03,438 一日中 ひざをついて—— 636 00:42:03,564 --> 00:42:08,569 55平米ほどのパッドの上を はい回るんだ       637 00:42:08,986 --> 00:42:14,283 巨大なデス・スターの表面用に 型を6つ作った       638 00:42:15,117 --> 00:42:18,620 切って 配置を変えれば—— 639 00:42:16,201 --> 00:42:18,620 美術部 ジョー・ジョンストン 640 00:42:18,787 --> 00:42:21,665 気づかれずに使い回せる 641 00:42:23,792 --> 00:42:27,671 組み合わせのパターンは 無限に近い       642 00:42:29,423 --> 00:42:33,927 端は もっと続くように 見せねばならない   643 00:42:34,052 --> 00:42:39,391 そこで塹壕の一部を写真に撮り ボードに貼りつけ——      644 00:42:40,392 --> 00:42:42,352 細部を描き込んだ 645 00:42:50,652 --> 00:42:56,325 よりリアルに見せるため    何千とある小窓にテープを貼る 646 00:42:56,491 --> 00:42:59,870 “塹壕26〟 647 00:42:56,491 --> 00:43:01,371 ガラスビーズ製のテープで 光を反射するんだ 648 00:43:01,830 --> 00:43:06,585 その果てしない作業が 私の仕事だった    649 00:43:08,629 --> 00:43:13,300 ある時 ジョージの妻の マーシアが来て—— 650 00:43:10,672 --> 00:43:15,135 編集 マーシア・ルーカス 651 00:43:13,425 --> 00:43:15,802 デス・スターに目をやった 652 00:43:15,927 --> 00:43:20,432 そしてカメラのレンズ越しに 見て言った         653 00:43:21,266 --> 00:43:23,977 “窓はもっと小さくなきゃ〟 654 00:43:25,771 --> 00:43:28,690 勘弁してくれと思ったよ 655 00:43:29,191 --> 00:43:31,401 半分のサイズに直した 656 00:43:36,114 --> 00:43:40,661 接近は容易ではない  この溝に沿って飛び—— 657 00:43:40,786 --> 00:43:43,372 超低空で この標的を目指す 658 00:43:44,247 --> 00:43:46,750 標的は幅2メートル 659 00:43:47,167 --> 00:43:51,129 中央ポート真下の排熱口だ 660 00:43:52,798 --> 00:43:55,467 塹壕の撮影が始まると—— 661 00:43:56,009 --> 00:43:59,179 ジョージが手順を説明した 662 00:43:59,346 --> 00:44:03,558 自分の考えで       頭がいっぱいに見えたが—— 663 00:44:03,684 --> 00:44:08,230 完成形が分かってるのは 彼の目から伝わった   664 00:44:08,397 --> 00:44:13,110 我々はこの物語が大好きで 興奮していた       665 00:44:13,276 --> 00:44:15,779 “大事なシーンだ  やるぞ〟とね 666 00:44:17,406 --> 00:44:19,074 バカでかい 667 00:44:42,723 --> 00:44:43,598 行くぞ! 668 00:44:57,237 --> 00:44:57,904 発射! 669 00:44:59,406 --> 00:45:05,662 模型の上を時速30キロで   移動する必要があったので—— 670 00:45:06,663 --> 00:45:08,999 駐車場で撮影した 671 00:45:09,499 --> 00:45:14,755 時速30キロを出すためには 車を使うしかない     672 00:45:15,881 --> 00:45:19,426 トラックの後ろに  カメラを取りつけ—— 673 00:45:20,051 --> 00:45:23,638 模型の横を走らせ 火薬に点火した  674 00:45:32,856 --> 00:45:33,732 やった! 675 00:45:33,857 --> 00:45:34,691 失敗だ 676 00:45:34,858 --> 00:45:35,942 中まで届いてない 677 00:45:36,109 --> 00:45:38,195 入り口で爆発した 678 00:45:38,820 --> 00:45:39,863 ルールはない 679 00:45:40,238 --> 00:45:45,660 うまくいくなら何でもいい 大事なのは結果だ     680 00:45:45,827 --> 00:45:49,664 R2 また機体が ブレだしたぞ   681 00:45:51,958 --> 00:45:55,003 あり得ないスケジュールと 予算で——         682 00:45:55,128 --> 00:45:57,881 新しいことに挑戦していた 683 00:45:59,716 --> 00:46:01,259 まさに反乱軍同盟ね 684 00:46:11,645 --> 00:46:12,771 さっさと片づけて—— 685 00:46:12,938 --> 00:46:14,356 帰ろうぜ 686 00:46:26,284 --> 00:46:27,285 砲撃 用意 687 00:46:34,167 --> 00:46:36,002 皆 やり切った 688 00:46:39,089 --> 00:46:40,715 来ると思ってた 689 00:46:41,132 --> 00:46:42,592 映画が完成した 690 00:46:42,759 --> 00:46:45,011 信じられなかったよ 691 00:46:46,680 --> 00:46:50,183 最後の夜        ILMで打ち上げをした 692 00:46:50,308 --> 00:46:53,687 誰もが浮かれて騒いでたよ 693 00:46:54,312 --> 00:46:58,692 賢い連中は          20世紀フォックス株を買ってた 694 00:46:58,859 --> 00:47:00,610 手探りの状態で—— 695 00:47:00,777 --> 00:47:05,866 週に5~6日      ただひたすら働いていた 696 00:47:06,283 --> 00:47:09,870 公開されるまで   何も分からなかった 697 00:47:12,581 --> 00:47:16,668 公開当日まで       音響の編集作業をしていた 698 00:47:17,085 --> 00:47:19,337 それが終わると—— 699 00:47:19,462 --> 00:47:22,632 映画館の向かいの ハンバーガー店へ 700 00:47:23,049 --> 00:47:27,721 映画のプレミアか何かで 外が騒がしくてね    701 00:47:28,054 --> 00:47:31,933  表に出てみると     “スター・ウォーズ〟だった 702 00:47:34,394 --> 00:47:36,771 人だかりができていた 703 00:47:36,938 --> 00:47:39,858 “スター・ウォーズ〟 704 00:47:55,999 --> 00:47:56,958 行くぞ 705 00:47:57,626 --> 00:48:03,673 音楽もついた完成形を  巨大スクリーンで見て—— 706 00:48:03,798 --> 00:48:05,425 度肝を抜かれた 707 00:48:07,677 --> 00:48:12,974 携わった人たちは  誰もが喜んでいたよ 708 00:48:14,100 --> 00:48:19,230 無茶な手法も取ったが  先駆者なら許されるだろ 709 00:48:21,358 --> 00:48:25,153 プレミアに招待され 皆 こうなってた  710 00:48:26,613 --> 00:48:27,614 本当さ 711 00:48:28,198 --> 00:48:33,203 両親は楽しんでた      快活なタッチが魅力的だった 712 00:48:37,332 --> 00:48:40,293 我々を雇って正解だったね 713 00:48:40,669 --> 00:48:44,673 あの視覚効果を作れる人は 他にいない        714 00:48:48,635 --> 00:48:53,014 スタッフ全員が    すばらしい仕事をした 715 00:48:54,182 --> 00:48:58,812 皆で力を合わせてくれたことに 感謝したよ          716 00:48:59,229 --> 00:49:00,480 だが同時に—— 717 00:49:01,189 --> 00:49:04,734 製作中は常に    追い詰められていた 718 00:49:05,151 --> 00:49:08,238 スケジュール 予算 セット 719 00:49:11,825 --> 00:49:15,787 時間とお金がなく 妥協することも  720 00:49:16,955 --> 00:49:19,416 彼はいつも言ってた 721 00:49:19,541 --> 00:49:23,086 “もし魔法の杖が  使えたら——〟 722 00:49:23,211 --> 00:49:28,133 “自分の頭に電極を刺し  映画を映し出すのに〟 723 00:49:28,299 --> 00:49:34,305 “ジョージ・ルーカスの  背後にあるフォース〟 724 00:49:30,427 --> 00:49:35,932 考えていたものの25%しか 映像化できなかったらしい 725 00:49:36,349 --> 00:49:41,229 当然 それを聞いて ショックを受けたよ 726 00:49:41,354 --> 00:49:43,481 僕には100%に見えた 727 00:49:43,606 --> 00:49:47,819 でもジョージは違う 魔法を通して見てる 728 00:49:49,904 --> 00:49:54,451 細工に使ったテープや輪ゴムが 全部 見えた         729 00:49:56,077 --> 00:49:58,163 でも映画作りでは—— 730 00:49:58,329 --> 00:50:02,917 その状況下で       全力を尽くすことが大事だ 731 00:50:05,754 --> 00:50:09,632 もっといい方法が あると思った   732 00:50:10,800 --> 00:50:13,011 それを見つけたかった 733 00:52:02,162 --> 00:52:04,164 日本版字幕 上田 香子