1 00:00:09,052 --> 00:00:12,764 現在の視覚効果は ハイレベルで—— 2 00:00:11,804 --> 00:00:16,225 ジェームズ・キャメロン 3 00:00:12,889 --> 00:00:17,018 資金と想像力の限界が あるだけだ 4 00:00:17,185 --> 00:00:21,606 一周回ってストーリーと キャラクターが重要で—— 5 00:00:21,731 --> 00:00:23,649 視覚効果はあって当然だ 6 00:00:23,816 --> 00:00:25,318 今や視覚的に—— 7 00:00:25,485 --> 00:00:29,572 魅了しただけでは 観客は満足しない 8 00:00:25,735 --> 00:00:29,572 ロン・ハワード 9 00:00:29,739 --> 00:00:33,534 視覚効果はストーリーを 支えるもので—— 10 00:00:30,323 --> 00:00:33,534 スティーヴン・ スピルバーグ 11 00:00:33,701 --> 00:00:38,539 視覚効果が目的になったら 本末転倒だ        12 00:00:38,706 --> 00:00:41,876 ストーリーは ストーリーでしかない 13 00:00:39,207 --> 00:00:41,876 ジョージ・ルーカス 14 00:00:42,043 --> 00:00:45,213 鉛筆で書こうが   インクで書こうが—— 15 00:00:45,338 --> 00:00:46,756 同じ物語だ 16 00:01:24,252 --> 00:01:27,213 ライト&マジック 17 00:01:35,263 --> 00:01:40,518 物事が起きる経緯や 要因は特定できない 18 00:01:36,639 --> 00:01:40,393 製作 キャスリーン・ケネディ 19 00:01:40,643 --> 00:01:44,188 その時の状況や運が 影響するからよ 20 00:01:44,313 --> 00:01:49,777 不測の事態が発生し    針路変更をすることもある 21 00:01:49,902 --> 00:01:53,156 このケースでは 私たちは—— 22 00:01:54,073 --> 00:01:57,493 “ジュラシック・パーク〟に  ついて検討し始めた   23 00:01:57,660 --> 00:02:03,040 スタン・ウィンストンと ILMに協力を仰いだ 24 00:02:05,918 --> 00:02:08,004 スピルバーグの右腕には—— 25 00:02:08,129 --> 00:02:12,008 それぞれの分野の  第一人者が4人いた 26 00:02:12,341 --> 00:02:17,805 スタン・ウィンストンは    卓越したクリーチャー製作者だ 27 00:02:17,972 --> 00:02:22,143 アニメーターの    フィル・ティペットは—— 28 00:02:22,310 --> 00:02:24,103 コマ撮りの名手だ 29 00:02:24,270 --> 00:02:27,648 実写エフェクトなら  マイケル・ランティエリ 30 00:02:27,815 --> 00:02:29,150 デニス・ミューレンは—— 31 00:02:29,317 --> 00:02:33,821 それらをリアルに見せる 視覚効果の魔術師だ   32 00:02:33,988 --> 00:02:36,449 クリーチャー& コマ撮り フィル・ティペット 33 00:02:33,988 --> 00:02:39,869 スティーヴンが恐竜を 作れる人を探していて 34 00:02:39,994 --> 00:02:43,247 ジョージが     私を推薦したらしい 35 00:02:43,748 --> 00:02:47,335 フィルに 任せるつもりだった 36 00:02:46,167 --> 00:02:49,128 “ジュラシック・パーク〟  監督  スティーヴン・  スピルバーグ 37 00:02:47,460 --> 00:02:50,546 ワイドショット用の 恐竜は—— 38 00:02:50,671 --> 00:02:55,009 スタンのところで    作っていなかったからね 39 00:02:55,551 --> 00:02:59,555 当時の技術を駆使して コマ撮り用の人形と—— 40 00:02:59,722 --> 00:03:03,100 ハイスピード・ミニチュアで 撮る予定だった      41 00:03:03,267 --> 00:03:08,940 コマ撮りなら 編集時に 手を加えられるから—— 42 00:03:03,267 --> 00:03:08,940 アニメーションテスト 43 00:03:09,106 --> 00:03:11,484 見栄えをよくできる 44 00:03:09,106 --> 00:03:11,484 視覚効果監修 デニス・ミューレン 45 00:03:11,817 --> 00:03:13,986 デニスに こう頼まれた 46 00:03:14,111 --> 00:03:17,782 “一昔前のコマ撮りに  見えないよう——〟 47 00:03:17,031 --> 00:03:20,201 CG マーク・ディッペ 48 00:03:17,907 --> 00:03:20,076 “ブレを加えてくれ〟 49 00:03:20,201 --> 00:03:23,829 それは可能だが 納得できなかった 50 00:03:23,955 --> 00:03:28,209 技術は進歩したのに なぜ そんなことを? 51 00:03:28,376 --> 00:03:30,419 恐竜はCGで作れる 52 00:03:31,462 --> 00:03:37,426 この作品でCGを使うことに 当初は抵抗があった     53 00:03:37,718 --> 00:03:42,932 “ターミネーター2〟以上の  大作は まだ早いと感じた 54 00:03:43,516 --> 00:03:46,602 デニスは現実的だからね 55 00:03:47,228 --> 00:03:53,234 “アビス〟や“T2〟のCGは   エイリアンの無機質なものだ 56 00:03:54,485 --> 00:03:57,863 息をして血を流す 生き物じゃない  57 00:03:58,030 --> 00:04:01,534 だから自信がないと 言っていた     58 00:04:01,951 --> 00:04:05,997 しかも すでに       多くの時間と予算を費やし—— 59 00:04:06,122 --> 00:04:08,124 模型を作っていた 60 00:04:08,249 --> 00:04:11,961 でも私はスパズに 試そうと言い——  61 00:04:12,753 --> 00:04:17,091 ティラノサウルスを 終業後に作り始めた 62 00:04:20,845 --> 00:04:21,971 まず骨格だ 63 00:04:22,096 --> 00:04:27,727 完全な標本をスキャンし   コンピューターに取り込んだ 64 00:04:28,769 --> 00:04:32,023 骨格を組み立てて3D化し—— 65 00:04:32,189 --> 00:04:33,858 ポーズを取らせた 66 00:04:32,189 --> 00:04:37,320 CG スティーヴ・“スパズ〟・ ウィリアムズ 67 00:04:33,983 --> 00:04:37,320 そして関節の動きを 設定して—— 68 00:04:37,528 --> 00:04:40,072 その骨格を歩かせた 69 00:04:40,197 --> 00:04:43,534 歩く骨格をデニスに見せると 70 00:04:43,701 --> 00:04:49,248 “見事だが 骨のままでは  使えない〟と言われた 71 00:04:49,415 --> 00:04:51,208 フィルの作業は進み—— 72 00:04:51,375 --> 00:04:59,342 アニメーションテスト 73 00:04:52,001 --> 00:04:55,629 見事なコマ撮りが 上がってきた 74 00:04:55,963 --> 00:04:59,091 フィルは せっせと働いてた 75 00:04:59,508 --> 00:05:02,094 それはスタンも同じ 76 00:05:02,219 --> 00:05:07,808 私たちはツールを総動員して 撮り方を考えていた     77 00:05:07,975 --> 00:05:11,937 物事が動き始めた時 ケネディが来た   78 00:05:14,023 --> 00:05:19,528 1991年11月14日に彼女と  フランク・マーシャルが来て 79 00:05:19,695 --> 00:05:23,574 会社をあちこち 見て回っていた 80 00:05:23,741 --> 00:05:25,785 このC棟もね 81 00:05:25,951 --> 00:05:27,828 いい機会なのに—— 82 00:05:27,995 --> 00:05:32,416 このCG案を       誰も伝えようとしなかった 83 00:05:32,750 --> 00:05:37,838 だから私はモニターに  歩く骨格を映しておき—— 84 00:05:37,963 --> 00:05:41,175 部屋に来た2人に見せたんだ 85 00:05:41,342 --> 00:05:46,263 我々の部屋で あの映像を ループ再生してたら——  86 00:05:46,430 --> 00:05:50,184 皆は見てくれたが 彼女は他を見てた 87 00:05:50,726 --> 00:05:54,438 部屋に入ると若者がいてね 88 00:05:54,605 --> 00:05:56,941 全てを操っていて—— 89 00:05:57,066 --> 00:06:00,361 デニスと私は    モニターに見入った 90 00:06:00,486 --> 00:06:04,031  彼女は言った    “これをどうするの?〟 91 00:06:04,198 --> 00:06:07,743 “映画に出てくる恐竜の  骨よね?〟     92 00:06:08,035 --> 00:06:10,746 遊んでるだけだと答えると—— 93 00:06:10,913 --> 00:06:16,127  彼女は私の背中をたたき “将来有望ね〟と言ったんだ 94 00:06:16,293 --> 00:06:20,881 まずデニスに     どういうことか聞いた 95 00:06:21,048 --> 00:06:24,844 CGで撮ることが 可能なのかもね  96 00:06:25,261 --> 00:06:29,056  すると彼は      “監督に見せるためだ〟と 97 00:06:29,390 --> 00:06:32,435 彼らは         どんどんテストを進め—— 98 00:06:32,560 --> 00:06:36,814 全ての工程で      機能する結果を出してね 99 00:06:36,939 --> 00:06:39,775 考慮せざるを得なくなった 100 00:06:39,900 --> 00:06:45,072 でもフィルはコマ撮りの準備を 本格的に進めていた      101 00:06:45,239 --> 00:06:48,033 デニスは難しい立場にあった 102 00:06:48,159 --> 00:06:51,704 我々が水面下で   作業を進める一方—— 103 00:06:51,829 --> 00:06:55,749 彼の親友は      何も知らず頑張ってる 104 00:06:55,916 --> 00:06:58,794 我々はこっそりやってたんだ 105 00:07:02,298 --> 00:07:08,095 マークとスティーヴは    CGで恐竜を作れると信じ—— 106 00:07:08,220 --> 00:07:11,140 実際 見事に作り上げた 107 00:07:11,265 --> 00:07:15,352 でも そこには    敵意も少し感じられた 108 00:07:15,478 --> 00:07:19,231 早撃ち名人対決を 挑まれた気分さ  109 00:07:19,356 --> 00:07:22,818 彼らは最新の銃を持ってる 110 00:07:22,943 --> 00:07:28,616 競争してる気分だったが 理由が分からなかった  111 00:07:29,492 --> 00:07:34,497 CGで生き物は作れないと フィルは信じていた    112 00:07:34,622 --> 00:07:40,961 彼にとってコンピューターは 直線性や完全性 数学的側面を 113 00:07:41,086 --> 00:07:44,381 備えたものを作る手段だ 114 00:07:44,590 --> 00:07:46,592 液体金属とかね 115 00:07:46,717 --> 00:07:47,843 消えろ 116 00:07:47,968 --> 00:07:51,096 でも生き物の動きは 予測不能だし——   117 00:07:51,222 --> 00:07:54,266 転べば脚を折ったりする 118 00:07:54,433 --> 00:07:59,396 彼は哲学的に       そのやり方に反対していた 119 00:07:59,522 --> 00:08:05,027  彼にとってコンピューターは “ヴォルデモート卿〟だ    120 00:08:05,194 --> 00:08:09,365 彼らがコンピューターを 操作する姿はまるで…  121 00:08:11,450 --> 00:08:14,995 こう言ってる自分を 思い浮かべた    122 00:08:15,162 --> 00:08:17,915 “カウボーイなら  銃はあるな?〟 123 00:08:18,040 --> 00:08:21,669 “30メートル先の缶を  撃ってみろ〟   124 00:08:21,794 --> 00:08:23,254 すると彼らは… 125 00:08:26,715 --> 00:08:30,344 弾がなくて銃を振り回すだけ 126 00:08:30,844 --> 00:08:32,596 でも うまく回す 127 00:08:38,394 --> 00:08:39,728 その後—— 128 00:08:39,895 --> 00:08:44,483 ILMの実験として    プロジェクトが公認された 129 00:08:44,650 --> 00:08:47,111 デニスが監督に話したんだ 130 00:08:47,236 --> 00:08:50,864 予算がひそかに 増えていたし—— 131 00:08:51,031 --> 00:08:54,076 皮膚まで作らせる気だった 132 00:08:54,243 --> 00:08:56,412 デニスが言ってた 133 00:08:56,537 --> 00:08:59,582 3Dテクスチャーを 作る技術が—— 134 00:08:56,537 --> 00:09:00,833 デジタルアーティスト ジーン・ボルト 135 00:08:59,707 --> 00:09:02,585 “ジュラシック・パーク〟  を変えたと 136 00:09:02,751 --> 00:09:06,714 恐竜1頭を塗るのに 半年かかった    137 00:09:11,635 --> 00:09:13,887 当初 私たちは—— 138 00:09:14,263 --> 00:09:19,810 恐竜の皮膚を従来の手順で 描くつもりだった 139 00:09:14,555 --> 00:09:18,976 デジタルアーティスト キャロリン・レンデュ 140 00:09:19,935 --> 00:09:23,063 模様の繰り返しをのせていく 141 00:09:23,188 --> 00:09:28,402 でも繰り返しが多いと    機械的になるのが問題だった 142 00:09:28,569 --> 00:09:32,656 自由度が必要だと思い バンプマップや—— 143 00:09:29,153 --> 00:09:36,535 CG監修 シュテフェン・ ファンクマイアー 144 00:09:32,781 --> 00:09:36,535 カラーマップを 設計し直したんだ 145 00:09:36,702 --> 00:09:40,289 アーティストの裁量で ペイントできる    146 00:09:41,081 --> 00:09:43,334 ティラノサウルスの ワイヤフレーム   147 00:09:43,459 --> 00:09:48,005 ペイント前の     3Dモデルのデザイン 148 00:09:48,505 --> 00:09:51,967 それができたら次は皮膚 149 00:09:53,385 --> 00:09:55,721 その後 モデルに色を載せる 150 00:09:55,888 --> 00:09:57,973 これが色を塗る工程よ 151 00:09:58,098 --> 00:10:04,313 色を選び 全身にくまなく 3回 ペイントしたら——  152 00:10:04,438 --> 00:10:08,025 タッチアップ作業をする 153 00:10:08,317 --> 00:10:11,195 説得力を持たせるため—— 154 00:10:11,320 --> 00:10:15,324 恐竜にウロコや模様 色をつけた     155 00:10:15,574 --> 00:10:19,453 それが作品の       飛躍的な進化につながった 156 00:10:21,789 --> 00:10:25,834 スタンが作った   6分の1の模型を—— 157 00:10:25,959 --> 00:10:31,048 そういう作業の得意な連中が 慎重に分解した       158 00:10:31,173 --> 00:10:36,095 レーザースキャナーに 取り込めるようにね  159 00:10:36,470 --> 00:10:41,475 サイバーウェア社にだけ 3Dスキャナーがあり—— 160 00:10:42,810 --> 00:10:45,437 ポリゴンデータを抽出できる 161 00:10:45,771 --> 00:10:50,567 データは90度の十字線で 描かれているが——    162 00:10:50,693 --> 00:10:54,071 輪郭がなく     ちゃんと動かせない 163 00:10:54,196 --> 00:10:58,158 そこで輪郭を持つデータに 作り直した        164 00:11:01,537 --> 00:11:05,374 そして皮膚のデータを適用した 165 00:11:07,334 --> 00:11:12,756 こうして恐竜が太陽の下を 歩くショットが完成した  166 00:11:12,923 --> 00:11:14,883 4ヵ月かかったよ 167 00:11:15,926 --> 00:11:19,847 デニスは背景を撮影しに行った 168 00:11:20,222 --> 00:11:22,808 難しいデザインを選んだ 169 00:11:22,933 --> 00:11:27,062 広い空の下に       ティラノサウルスがいて—— 170 00:11:27,229 --> 00:11:30,858 その巨体が       観客の方へ向かってくる 171 00:11:31,024 --> 00:11:34,945 動きをつけ       ライティングを調整した 172 00:11:35,112 --> 00:11:40,743 少しでも変な部分があれば このテストで明らかになる 173 00:11:46,623 --> 00:11:48,333 スティーヴに誘われ—— 174 00:11:48,459 --> 00:11:53,672 ティラノサウルスの      初期のテスト映像を見に行った 175 00:11:54,673 --> 00:11:59,261 試写室には        デニスの他に何人かいたわ 176 00:11:59,928 --> 00:12:05,267 参加できて幸運だったし  何が起きるかワクワクした 177 00:12:05,392 --> 00:12:09,480 小さな画面で見るのとは 違うからね       178 00:12:17,529 --> 00:12:20,991 スクリーンを   横切った恐竜は—— 179 00:12:21,116 --> 00:12:25,871 完全にペイントされ  シーンに溶け込んでた 180 00:12:26,371 --> 00:12:28,999 その姿を見た瞬間—— 181 00:12:31,794 --> 00:12:34,129 私はこう確信した 182 00:12:34,254 --> 00:12:38,884 もう昔の視覚効果に 戻ることはないと  183 00:12:39,384 --> 00:12:43,514 うまくいったよ   全てが機能していた 184 00:12:43,639 --> 00:12:47,935 アニメーションにデザイン ライティング 画像の合成 185 00:12:48,060 --> 00:12:50,854 恐竜が地面に立つ感覚や—— 186 00:12:50,979 --> 00:12:55,275 動きのブレも含め   皆が最高の仕事をした 187 00:12:55,442 --> 00:12:58,320 まさに その時まで—— 188 00:12:58,445 --> 00:13:02,324 モデルショップでは 恐竜を作っていた  189 00:13:02,449 --> 00:13:06,620 フィルのコマ撮りや  スタンの模型は見事よ 190 00:13:09,456 --> 00:13:12,084 でも重力の制限があり—— 191 00:13:12,251 --> 00:13:17,256 ワイヤや柱で支えるか  手で動かす必要があった 192 00:13:17,464 --> 00:13:23,053 一方 CGの恐竜は      どこでも行けて 何でもできる 193 00:13:23,220 --> 00:13:28,475 私は その瞬間を     試写室で何人かと目撃した 194 00:13:28,642 --> 00:13:34,773 全身の力が抜けそうになった あまりの衝撃でね      195 00:13:35,023 --> 00:13:37,234 一生 忘れられない 196 00:13:41,488 --> 00:13:45,909 “ヤング・シャーロック〟の   ステンドグラスの騎士に—— 197 00:13:46,076 --> 00:13:50,289 “アビス〟の水ヘビに “ターミネーター2〟 198 00:13:50,414 --> 00:13:55,002 コンピューターは      超自然的なものには強いが—— 199 00:13:55,127 --> 00:13:57,629 生き物は無理だと思っていた 200 00:13:57,796 --> 00:14:02,050 でも監督向けの     テスト映像を見た時は—— 201 00:14:02,175 --> 00:14:04,595 言葉を失ったね 202 00:14:05,637 --> 00:14:06,847 そうか 203 00:14:09,391 --> 00:14:13,979  確かフィルはこう言った “なかなかいいね〟    204 00:14:14,354 --> 00:14:18,066 “でも恐竜が       数歩 動いただけだ〟 205 00:14:18,483 --> 00:14:20,569 不服そうだったが—— 206 00:14:21,028 --> 00:14:25,908 皆の前でけなせば   総スカンだっただろう 207 00:14:26,033 --> 00:14:29,077 すばらしい出来だったんだ 208 00:14:30,621 --> 00:14:34,833 デニスは監督に     フィルムを見せに行った 209 00:14:34,958 --> 00:14:37,461 そこでケネディの登場だ 210 00:14:37,628 --> 00:14:42,591 それほど長さはなく   あっという間に終わった 211 00:14:42,758 --> 00:14:47,471 歩くティラノサウルスを見て 皆 興奮した        212 00:14:47,638 --> 00:14:49,765 全員が跳び上がった 213 00:14:49,890 --> 00:14:53,018 文字どおり 跳び上がったの 214 00:14:53,185 --> 00:14:54,603 ある意味—— 215 00:14:55,520 --> 00:14:58,148 宗教的な体験だった 216 00:14:58,649 --> 00:15:02,778 映画作りという    私の世界の中で得た—— 217 00:15:02,903 --> 00:15:06,114 最高のひらめきだったよ 218 00:15:06,281 --> 00:15:07,616 あの瞬間—— 219 00:15:08,158 --> 00:15:11,203 突然 理解したんだ 220 00:15:11,954 --> 00:15:13,664 全てが変わると 221 00:15:13,956 --> 00:15:17,042 私の映画が      進化するだけでなく—— 222 00:15:17,167 --> 00:15:19,544 世界中が後に続くだろう 223 00:15:19,670 --> 00:15:25,592 “ジュラシック・パーク〟に    ILMがもたらした功績が—— 224 00:15:25,717 --> 00:15:31,264 映画製作の全てと     全世界の観客を変えるんだ 225 00:15:31,390 --> 00:15:33,433 もう昔には戻れない 226 00:15:33,684 --> 00:15:37,562 クリーチャー& コマ撮り フィル・ティペット 227 00:15:34,059 --> 00:15:36,687 監督は“CGでやる〟と 228 00:15:37,020 --> 00:15:40,607 彼はとても 思いやりのある人だ 229 00:15:40,774 --> 00:15:43,610 私は平静を装っていたが—— 230 00:15:44,152 --> 00:15:49,282 彼は その決断が       私に与える影響を分かっていた 231 00:15:49,408 --> 00:15:51,451 大丈夫か聞かれたよ 232 00:15:51,576 --> 00:15:55,372 私が“絶滅する気分だ〟と 答えると——       233 00:15:55,872 --> 00:15:59,042 彼は“そのセリフを頂く〟と 234 00:16:03,338 --> 00:16:05,507 ショックだったろう 235 00:16:05,674 --> 00:16:07,718 おしまいだと思った 236 00:16:08,093 --> 00:16:12,264 私は肺炎にかかり 2週間 寝込んだ 237 00:16:12,389 --> 00:16:18,854 自分が懸命にやってきたことや 築き上げてきたものは——    238 00:16:19,730 --> 00:16:21,523 ゴミ箱行きだ 239 00:16:23,400 --> 00:16:28,155 特殊効果で こんな瞬間は 他に考えられない    240 00:16:28,739 --> 00:16:35,203 それまでのやり方が一晩で ほぼ一変してしまった   241 00:16:35,370 --> 00:16:39,958 フィルが不満を感じるのは 仕方ない         242 00:16:40,083 --> 00:16:43,128 当初の想定では  コマ撮りで作り—— 243 00:16:43,253 --> 00:16:47,257 彼の芸術作品に   なるはずだったんだ 244 00:16:47,424 --> 00:16:52,512 最悪の気分だったし   当時の記憶はあやふやだ 245 00:16:53,930 --> 00:16:58,477  でも監督から言われた “作品に関わってくれ〟 246 00:16:58,643 --> 00:17:03,315 “君の知識は貴重だ     失業するわけじゃない〟 247 00:17:03,482 --> 00:17:04,983 “君を昇進させる〟 248 00:17:05,108 --> 00:17:09,279 “アニメーターたちの  監督を頼む〟   249 00:17:09,863 --> 00:17:13,158 フィルの立ち位置が変わった 250 00:17:13,283 --> 00:17:18,038 骨組みの位置を      手作業で変える職人から—— 251 00:17:18,205 --> 00:17:22,292 アニメーターに   指示を出す監督にね 252 00:17:23,794 --> 00:17:29,341 フィルと彼のスタッフは 動物の動きに詳しい   253 00:17:29,466 --> 00:17:32,511 彼らが恐竜を動かすには—— 254 00:17:32,636 --> 00:17:38,225 まずコンピューターに   動きを取り込む必要がある 255 00:17:38,391 --> 00:17:41,645 そこで恐竜入力装置DIDを作った 256 00:17:41,770 --> 00:17:46,858 ベースはコマ撮り用の骨格か ティラノサウルスの骨格   257 00:17:54,032 --> 00:17:57,536 それをエンコーダーに接続した 258 00:17:57,661 --> 00:18:02,916 恐竜が頭を動かせば  モニターの画像も動く 259 00:18:05,418 --> 00:18:09,506 装置は簡単に 作れると思った 260 00:18:08,505 --> 00:18:12,134 視覚効果監修 デニス・ミューレン 261 00:18:09,631 --> 00:18:12,134 そういう経験はある 262 00:18:12,300 --> 00:18:16,680 “スター・ウォーズ〟で      ダイクストラは全てを造った 263 00:18:16,847 --> 00:18:19,975 だから今回もやれるはずだ 264 00:18:20,142 --> 00:18:24,729 フィルをILMから    追い出すわけにはいかない 265 00:18:24,855 --> 00:18:30,694 彼は作品に必要な存在だったし 私の親友でもあった      266 00:18:30,819 --> 00:18:34,197 彼がいた方がいい作品になる 267 00:18:34,573 --> 00:18:38,243 そこでうなり    骨格模型に投げ込む 268 00:18:38,952 --> 00:18:40,704 この方向だと—— 269 00:18:40,829 --> 00:18:43,415 こっち側から回り込まないと 270 00:18:43,540 --> 00:18:49,963 コマ撮り用の模型を使い    セットで動きを確認することで 271 00:18:50,130 --> 00:18:53,967 彼は別の形で     恐竜に命を吹き込んだ 272 00:18:54,342 --> 00:18:56,928 カメラをかすめるように 273 00:18:57,053 --> 00:19:00,265 私はアニメーターたちに—— 274 00:19:00,432 --> 00:19:05,645 自分を恐竜だと     想像するように要求した 275 00:19:05,770 --> 00:19:11,985 恐竜になりきれるように 自己催眠をかける感じだ 276 00:19:12,402 --> 00:19:13,904 動きを学んだ 277 00:19:14,029 --> 00:19:17,115 集中して 低く構えて 278 00:19:18,074 --> 00:19:18,992 始め 279 00:19:28,126 --> 00:19:33,215  フィルの教えは     “動物の動きは体で覚えろ〟 280 00:19:33,882 --> 00:19:36,259 確かにそのとおりだ 281 00:19:36,426 --> 00:19:41,681 皆で恐竜になりきり  恐竜の全てを学んだよ 282 00:19:46,853 --> 00:19:48,688 そして熟考した 283 00:19:48,813 --> 00:19:52,859 恐竜の見栄えを  よくする方法をね 284 00:19:54,319 --> 00:19:57,906 そこで恐竜を演じる姿を撮り—— 285 00:19:59,574 --> 00:20:04,621 自分たちが考える恐竜像を 見てみることにした    286 00:20:04,788 --> 00:20:07,207 実際の映像に近いはずだ 287 00:20:07,666 --> 00:20:09,251 早速 試したよ 288 00:20:10,460 --> 00:20:15,340 逃げるガリミムスが     倒木を飛び越えるシーンを—— 289 00:20:15,465 --> 00:20:17,050 皆で演じた 290 00:20:17,217 --> 00:20:21,638 タイ・エリンソンが    おびえたガリミムス役で—— 291 00:20:21,805 --> 00:20:24,349 木の上で振り返る役だ 292 00:20:24,516 --> 00:20:26,685 皆が走り去る中—— 293 00:20:26,810 --> 00:20:31,606 彼は木を飛び越え損ねて 絵を描く方の腕を折った 294 00:20:32,107 --> 00:20:37,529 それ以降 ILMでは  恐竜のマネは禁止された 295 00:20:38,113 --> 00:20:40,949 だが成果は得られた 296 00:20:41,116 --> 00:20:47,747 “ジュラシック・パーク〟  スティーヴン・  スピルバーグ  1993年 297 00:20:45,328 --> 00:20:47,289 ティム あいつは? 298 00:20:47,414 --> 00:20:49,040 ヴェロキラプトルだ 299 00:20:51,334 --> 00:20:52,585 入って来たわ 300 00:20:52,711 --> 00:20:56,214 当初 厨房ちゅうぼうのシーンは—— 301 00:20:56,381 --> 00:20:59,843 コマ撮りテスト 302 00:20:56,381 --> 00:21:00,969 ゴム製の恐竜で撮ったが うまくいってた 303 00:21:01,136 --> 00:21:08,018 “ジュラシック・パーク〟  1993年 304 00:21:01,136 --> 00:21:08,018 コマ撮りテスト 305 00:21:08,184 --> 00:21:12,355 恐竜の気持ちが 見事に表現されてる 306 00:21:17,110 --> 00:21:19,904 多くの作業が 順調に進んでた 307 00:21:20,071 --> 00:21:22,949 そこでテスト映像の スタッフに——    308 00:21:23,074 --> 00:21:28,747 本番用にDIDの恐竜を 動かす作業も任せた   309 00:21:28,913 --> 00:21:37,630 “ジュラシック・パーク〟  1993年 310 00:21:28,913 --> 00:21:37,630 コマ撮りテスト 311 00:21:37,797 --> 00:21:41,426 あの場面には 彼らの魂がこもってる 312 00:21:41,551 --> 00:21:45,889 テストでも本番でも 監督したのはフィルだ 313 00:21:50,852 --> 00:21:54,147 道路の場面の     ティラノサウルスは—— 314 00:21:54,314 --> 00:21:56,149 彼のスタッフが作った 315 00:21:56,483 --> 00:22:00,653 力強いアニメーションが 求められた       316 00:22:02,906 --> 00:22:05,116 言わんこっちゃない 317 00:22:06,076 --> 00:22:09,662 その工程が始まる頃 監督が言った 318 00:22:07,952 --> 00:22:12,999 製作 キャスリーン・ケネディ 319 00:22:11,164 --> 00:22:12,999 “恐竜を走らせたい〟 320 00:22:13,166 --> 00:22:17,337 簡単なことのようにね でも絶対 難しい   321 00:22:17,504 --> 00:22:20,215 完成に4ヵ月かかった 322 00:22:25,178 --> 00:22:29,766 9トンの恐竜を      時速65キロで走らせると—— 323 00:22:29,891 --> 00:22:33,353 人の目には不自然に映る 324 00:22:33,520 --> 00:22:36,189 そもそも おかしいんだ 325 00:22:36,314 --> 00:22:40,735 頭が1トンもある巨大生物が 2本脚で——         326 00:22:40,902 --> 00:22:42,862 高速で走るなんてね 327 00:22:42,987 --> 00:22:45,115 かなり奇妙だ 328 00:22:45,281 --> 00:22:49,160 ティラノサウルスが   走らないのは皆 知ってる 329 00:22:49,327 --> 00:22:54,290 だが監督が走らせたいなら 走らせるしかない     330 00:22:54,457 --> 00:22:56,418 ジープ追跡 背景プレート 331 00:22:56,584 --> 00:22:58,753 ジープ追跡 カメラ・トラッキング 332 00:23:03,550 --> 00:23:05,969 ラフ動画 テイク1 333 00:23:03,716 --> 00:23:05,969 走らせるのは 大変だった 334 00:23:06,386 --> 00:23:09,681 フィルも監督も納得しない 335 00:23:10,098 --> 00:23:14,352 何週間もダメ出しが続き スパズは参ってた    336 00:23:16,855 --> 00:23:20,150  来る日も来る日も “それじゃダメだ〟 337 00:23:20,275 --> 00:23:22,777 無理だと言うフィルに—— 338 00:23:23,403 --> 00:23:28,324 私が“できる〟と反論し いつも口論になった  339 00:23:28,491 --> 00:23:29,951 最後の会議で—— 340 00:23:30,702 --> 00:23:34,914 ラフ動画 テイク4 341 00:23:30,869 --> 00:23:34,914 ダメ出しするフィルに 監督が言った 342 00:23:35,081 --> 00:23:37,625 “でも いいと思うよ〟 343 00:23:37,792 --> 00:23:40,879 データには     150のカーブがあった 344 00:23:41,004 --> 00:23:44,549 20%ほど調整しようと思い—— 345 00:23:44,674 --> 00:23:48,261 そのための      アルゴリズムを書いた 346 00:23:48,511 --> 00:23:53,224 すると恐竜の動きが鈍り 違和感が消えた     347 00:24:02,317 --> 00:24:05,778 ジェフ・ゴールドブラムを 追うシーンは…      348 00:24:07,280 --> 00:24:11,618 最後に作ったんだが  5~6日で作り上げた 349 00:24:15,955 --> 00:24:18,249 トイレで殺される男は—— 350 00:24:18,374 --> 00:24:21,544 T-1000のデータに服を着せた 351 00:24:22,962 --> 00:24:24,756 再利用したんだ 352 00:24:28,635 --> 00:24:31,596 コンピューターで 作った恐竜を—— 353 00:24:30,011 --> 00:24:33,890 視覚効果プロデューサー ローズ・ドゥイニャン 354 00:24:31,721 --> 00:24:34,724 皆で見た時は 泣いちゃった 355 00:24:34,849 --> 00:24:38,728 嫌な予感が当たったからね 356 00:24:39,312 --> 00:24:43,358 モデルショップは消え CGに切り替わる   357 00:24:43,483 --> 00:24:45,777 ジョージの構想どおり—— 358 00:24:45,944 --> 00:24:50,573 デジタルに移行すれば   モデルショップはお払い箱 359 00:24:50,782 --> 00:24:53,952 実写から CGへの移行は—— 360 00:24:50,782 --> 00:24:54,661 モデルショップ ローン・ピーターソン 361 00:24:54,077 --> 00:24:56,704 もう少し後だと 思っていた 362 00:24:56,829 --> 00:25:00,875 ある時 ジム・モリスが来て 皆に話した        363 00:25:01,000 --> 00:25:05,004 “世界は変化しており  いずれ起きる〟  364 00:25:05,129 --> 00:25:08,633 だが4ヵ月後の会議では—— 365 00:25:08,841 --> 00:25:13,054 “予想の1000倍の速さで  変化してる〟と   366 00:25:13,221 --> 00:25:15,098 つらい時期だった 367 00:25:15,265 --> 00:25:18,142 一緒に頑張ってきた 仲間だ 368 00:25:16,391 --> 00:25:20,478 ILM社長 1994~2005年 ジム・モリス 369 00:25:18,268 --> 00:25:20,103 撮影クルーや 模型製作者 370 00:25:20,228 --> 00:25:21,854 照明スタッフに—— 371 00:25:21,980 --> 00:25:24,274 実写エフェクトの スタッフ 372 00:25:24,399 --> 00:25:26,276 どれも大好きだった 373 00:25:26,859 --> 00:25:32,282 そういった仕事が消え始めて 本当に胸が痛んだ      374 00:25:36,077 --> 00:25:38,121 モデルショップの仕事は減り 375 00:25:38,246 --> 00:25:42,000 CGもやらないと フルタイムで働けない 376 00:25:40,039 --> 00:25:42,000 モデルショップ ジョン・グッドソン 377 00:25:42,166 --> 00:25:47,338 異動してみたけど 合わずに戻った人もいれば 378 00:25:42,500 --> 00:25:46,296 モデルショップ キム・スミス 379 00:25:47,505 --> 00:25:49,549 異動を拒んだ人も 380 00:25:52,510 --> 00:25:55,805 CGをやるつもりはなかった 381 00:25:55,972 --> 00:25:58,558 好きになれなかったし—— 382 00:25:58,725 --> 00:26:01,686 座ってやる仕事は無理だ 383 00:26:02,061 --> 00:26:07,567 CGスタッフを募集していて 興味があるか聞かれ——    384 00:26:08,610 --> 00:26:10,361 “ある〟と答えた 385 00:26:10,778 --> 00:26:15,408 転向したキムを見て 1ヵ月後 私も続いた 386 00:26:16,868 --> 00:26:20,747 ものすごく大変で 疲れ果てた    387 00:26:21,080 --> 00:26:23,499 半年間は仕事漬けだ 388 00:26:24,417 --> 00:26:27,462 仕事について聞かれるたび—— 389 00:26:27,587 --> 00:26:31,007 製材所を例に挙げて説明した 390 00:26:31,174 --> 00:26:34,469 チェーンソーで   木を切り始めると—— 391 00:26:34,636 --> 00:26:36,804 製材所が消える 392 00:26:36,929 --> 00:26:39,849 行方が分からず 困っていると—— 393 00:26:39,974 --> 00:26:42,810 再び現れ 木は切れてる 394 00:26:42,977 --> 00:26:45,104 それがCGだ 395 00:26:45,229 --> 00:26:47,940 何事も変わっていく 396 00:26:48,107 --> 00:26:51,527 ずっと同じままでは いられない     397 00:26:51,653 --> 00:26:54,447 世界も会社も変化する 398 00:26:55,281 --> 00:26:57,241 でもILMのままよ 399 00:27:04,040 --> 00:27:08,920 長い年月をかけて 積み上げてきた技術が 400 00:27:05,541 --> 00:27:08,920 CG エド・キャットマル 401 00:27:09,295 --> 00:27:11,339 ついに実を結んだ 402 00:27:11,464 --> 00:27:16,469  それが1993年公開の   “ジュラシック・パーク〟だ 403 00:27:16,844 --> 00:27:19,305 世界に変化をもたらした 404 00:27:19,430 --> 00:27:24,519 それまでは日の当たらない 裏方の仕事だったのに——  405 00:27:24,644 --> 00:27:25,895 ある日 突然… 406 00:27:27,146 --> 00:27:29,440 全てが短期間で変わった 407 00:27:33,027 --> 00:27:36,155  ILMでの初仕事は “キャスパー〟だ   408 00:27:38,199 --> 00:27:41,160 映画業界で働くため渡米した 409 00:27:41,285 --> 00:27:44,080 ILMで 働くのが夢でね 410 00:27:43,663 --> 00:27:47,750 視覚効果監修 ロジャー・ガイエット 411 00:27:44,205 --> 00:27:47,750 他とは一線を画す 夢のような会社だ 412 00:27:49,127 --> 00:27:53,673 当時はデジタルの世界に 変革が起きていた    413 00:27:53,840 --> 00:27:54,549 やあ 414 00:27:54,716 --> 00:27:57,009 キャスパーのお出迎えだ 415 00:27:55,049 --> 00:27:57,552 “キャスパー〟  ブラッド・シルバーリング  1995年 416 00:27:57,135 --> 00:27:58,553 “キャスパー〟には—— 417 00:27:58,720 --> 00:28:02,306 CGキャラクターのシーンが 45分あった         418 00:28:03,349 --> 00:28:08,646 ショット数は500~600で 当時としては すごい量だ 419 00:28:08,771 --> 00:28:12,233 “ジュラシック・パーク〟は  80前後だった      420 00:28:12,400 --> 00:28:16,320 CG部門の大幅な拡大が 求められた       421 00:28:16,446 --> 00:28:20,742 その時は         105人まで増員したんだが—— 422 00:28:20,867 --> 00:28:26,998 数はすごいものの 全員がCGを 扱えるかは分からなかった   423 00:28:27,790 --> 00:28:31,919 ILMはずっと     比較的 小さな会社だった 424 00:28:32,044 --> 00:28:34,922 だから大幅な増員を行い—— 425 00:28:35,047 --> 00:28:38,301 大きなマシンに形を変えた 426 00:28:38,426 --> 00:28:42,054 社員数は       1200~1500人に増えた 427 00:28:44,515 --> 00:28:47,977 デジタル技術を発展させてきた 428 00:28:48,478 --> 00:28:52,190 目指してたのは 他にない制作会社だ 429 00:28:49,479 --> 00:28:52,190 ジョージ・ルーカス 430 00:28:52,356 --> 00:28:54,984 映画作りに参加させたい 431 00:28:55,109 --> 00:28:59,363 大抵の人は       不可能だと思っていたね 432 00:28:59,739 --> 00:29:03,117 “ジュマンジ〟  ジョー・ジョンストン  1995年 433 00:29:00,823 --> 00:29:02,617 そこで我々は—— 434 00:29:02,742 --> 00:29:07,789 様々な形の視覚効果や 映画の作り方を学んだ 435 00:29:04,118 --> 00:29:06,370 “マスク〟  チャック・ラッセル  1994年 436 00:29:06,704 --> 00:29:11,209 “フォレスト・ガンプ/  一期一会〟  ロバート・ゼメキス  1994年 437 00:29:07,914 --> 00:29:09,499 おめでとう 気分は? 438 00:29:10,249 --> 00:29:11,793 小便したい 439 00:29:11,959 --> 00:29:17,673 ジョージは短期間に     多くのプロジェクトを始めた 440 00:29:17,799 --> 00:29:18,883 ビデオ編集に… 441 00:29:19,050 --> 00:29:22,804 ノンリニア編集で画像をつなぐ 442 00:29:23,805 --> 00:29:25,306 デジタルオーディオ 443 00:29:28,476 --> 00:29:30,228 CG 444 00:29:33,648 --> 00:29:38,361 それらがそろえば    3~4年で業界は変わる 445 00:29:38,528 --> 00:29:40,905 これで新3部作を撮れる 446 00:29:42,740 --> 00:29:45,952 “スター・ウォーズ〟 447 00:29:46,118 --> 00:29:48,955 戻るのが楽しみだった 448 00:29:49,080 --> 00:29:52,792 アナログ映画のストレスは 消えたからね       449 00:29:52,959 --> 00:29:56,379 作業手順を 変える方法は? 450 00:29:53,251 --> 00:29:56,379 “スター・ウォーズ/  ファントム・メナス〟  予算会議 451 00:29:56,587 --> 00:30:00,633 映画作りに革命を起こせる 452 00:30:00,800 --> 00:30:04,512 “エピソード1〟の監修に  誘われた       453 00:30:04,679 --> 00:30:07,306 断れるわけがない 454 00:30:04,679 --> 00:30:07,306 視覚効果監修 ジョン・ノール 455 00:30:07,473 --> 00:30:11,602 不安だったが      自分にこう言い聞かせた 456 00:30:11,769 --> 00:30:15,064 “1作目の時の         ジョン・ダイクストラも——〟 457 00:30:15,189 --> 00:30:17,859 “同じ反応だったに違いない〟 458 00:30:19,193 --> 00:30:20,903 ILMに来たのは—— 459 00:30:19,944 --> 00:30:24,156 美術部 ダグ・チャン 460 00:30:21,028 --> 00:30:24,156 “スター・ウォーズ〟を  やるためだ 461 00:30:24,574 --> 00:30:26,784 でも技術不足を感じ—— 462 00:30:26,951 --> 00:30:29,829 毎日 自分に課題を出した 463 00:30:29,996 --> 00:30:33,457 概要図を描けるように なりたくてね     464 00:30:33,624 --> 00:30:36,252 それを1年 続けたよ 465 00:30:36,627 --> 00:30:38,546 しかも私は無意識に—— 466 00:30:38,671 --> 00:30:44,552 “スター・ウォーズ〟の時の     ジョージと同じことをしていた 467 00:30:44,677 --> 00:30:48,598 物事を混ぜ合わせ 調和させることだ 468 00:30:48,723 --> 00:30:54,437 彼は私の作品を見て      新3部作の美術を任せてくれた 469 00:30:55,646 --> 00:30:59,859 “スター・ウォーズ/  ファントム・メナス〟  製作準備会議 470 00:31:02,069 --> 00:31:06,240 ダグ・チャンの絵を 誘われて見に行った 471 00:31:03,237 --> 00:31:05,448 デジタル・アーティスト ジーン・ボルト 472 00:31:06,365 --> 00:31:08,743 そこに並ぶ絵コンテは—— 473 00:31:08,910 --> 00:31:14,040 美しいコンセプトアートで 埋め尽くされていた    474 00:31:14,165 --> 00:31:16,208 それもすごい量よ 475 00:31:16,375 --> 00:31:19,754 絵コンテは       ボードに貼られていて—— 476 00:31:19,921 --> 00:31:24,634 縦に10枚 横に10枚で それが36ボードあった 477 00:31:24,759 --> 00:31:28,304 だから絵コンテは 全部で3600枚だ  478 00:31:28,429 --> 00:31:33,601 しかも そのほとんどが 初めて見るものだった 479 00:31:33,726 --> 00:31:36,395 メモを取り続けたよ 480 00:31:36,562 --> 00:31:38,856 “このシーンでは——〟 481 00:31:38,981 --> 00:31:43,194 “群衆が何百人も    必要になる〟とかね 482 00:31:43,361 --> 00:31:44,737 初の試みだ 483 00:31:44,904 --> 00:31:49,575 CGキャラクターに   服を着せる必要もあった 484 00:31:49,742 --> 00:31:53,996 斬られたドロイドのパーツが 落ちるから——        485 00:31:54,121 --> 00:31:56,290 そのシステムも要る 486 00:31:56,457 --> 00:31:59,585 限界への挑戦もあるが 大丈夫だ       487 00:31:59,752 --> 00:32:05,424 草の惑星の戦いに出てくる  すごい数のクリーチャーを—— 488 00:32:05,967 --> 00:32:09,387 一体 どう作ればいい? 489 00:32:09,720 --> 00:32:15,601 初めてやることの連続で  少し圧倒されてしまったね 490 00:32:15,768 --> 00:32:18,980 大量の視覚効果だけでなく—— 491 00:32:19,146 --> 00:32:23,526 いくつもの世界を   丸ごと作ることになる 492 00:32:23,985 --> 00:32:27,488 その場を去って  横になりたかった 493 00:32:27,613 --> 00:32:31,867 だって一度に理解するのは 無理だもの        494 00:32:32,910 --> 00:32:36,455 “エピソード1〟の  製作中のことだ 495 00:32:36,622 --> 00:32:40,876 ジョージに       よく発破をかけられてね 496 00:32:41,002 --> 00:32:44,547 無謀に思えることを やれと言われた   497 00:32:46,924 --> 00:32:50,511 ハイパー・ドライブ破損 船がも●ち●ま●せ●ん●     498 00:32:50,636 --> 00:32:53,305 どこかで燃料補給と修理を 499 00:32:53,556 --> 00:32:55,683 デジタル化が進み—— 500 00:32:55,933 --> 00:32:59,645 編集 ベン・バート 501 00:32:55,933 --> 00:33:00,354 編集作業は 製造工程に近くなった 502 00:33:00,521 --> 00:33:03,149 “フィルムの組み換え〟だ 503 00:33:03,315 --> 00:33:05,735 私がやりたいのは… 504 00:33:05,901 --> 00:33:09,321 他のショットを試して 成功したら——     505 00:33:09,447 --> 00:33:13,826 こっちに戻り      パナカが動かないよう—— 506 00:33:13,951 --> 00:33:16,579 立たせておく 507 00:33:16,746 --> 00:33:21,292 例えばAがBに      後ろから話すシーンなら—— 508 00:33:21,417 --> 00:33:27,757 2人の間でカットして    話してない別のテイクを使う 509 00:33:27,882 --> 00:33:33,763 別の人物からの反応や手振り まばたきが欲しい場合はね  510 00:33:33,929 --> 00:33:36,015 編集で合成していた 511 00:33:36,140 --> 00:33:41,062 あるシーンの役者を   別のシーンに移したり—— 512 00:33:41,187 --> 00:33:45,649 あるセリフをカットして まとめたりね      513 00:33:45,775 --> 00:33:50,529 ジョン・ノールは     有能な視覚効果スタッフだ 514 00:33:50,654 --> 00:33:56,327 私の横に座り        ラップトップで作業していた 515 00:33:56,452 --> 00:33:59,413 何度も頭を悩ませたと思う 516 00:34:01,248 --> 00:34:02,750 私のせいでね 517 00:34:02,875 --> 00:34:07,421  彼はよくこう言った  “私なら そうはしない〟 518 00:34:07,546 --> 00:34:12,593 私があれこれ提案すると 彼は頭を抱えてた    519 00:34:12,760 --> 00:34:14,386 やってみないと 520 00:34:14,512 --> 00:34:18,891 照明や遠近感        焦点距離の問題を指摘しても… 521 00:34:19,016 --> 00:34:20,476 “やってみて〟 522 00:34:20,768 --> 00:34:24,563 “君の苦労は      理解しているし——〟 523 00:34:24,939 --> 00:34:27,817 “感謝してるけど  やってみて〟 524 00:34:27,983 --> 00:34:31,862 できる限りのことをやったよ 525 00:34:32,655 --> 00:34:38,702 歩くホログラム発生器が CGに加わる      526 00:34:38,869 --> 00:34:41,997 首都シードの   マットペイントも 527 00:34:42,123 --> 00:34:46,919 廊下の照明器具は    ジョージが不服なんで—— 528 00:34:47,044 --> 00:34:49,171 他のに換えないと 529 00:34:49,505 --> 00:34:52,341 簡●単●な●ショットだ 530 00:34:52,508 --> 00:34:54,552 想像以上の出来だ 531 00:34:54,718 --> 00:35:00,099 “スター・ウォーズ/  ファントム・メナス〟  ジョージ・ルーカス  1999年 532 00:34:55,344 --> 00:35:00,099 もっと普通の制作現場にいたら こう言うね          533 00:35:00,266 --> 00:35:05,146 “あの場面から男を消して  分割すればいい〟   534 00:35:05,271 --> 00:35:07,898 可能なのか聞かれたら—— 535 00:35:08,023 --> 00:35:11,902 “もっと大変なことをやった〟  と答える         536 00:35:14,113 --> 00:35:16,824 私が入社した頃 ジョージは—— 537 00:35:15,447 --> 00:35:18,701 ルーカスフィルム ゼネラルマネジャー リンウェン・ブレナン 538 00:35:16,949 --> 00:35:21,370 自分の映画を製作中で 私たちに改革を迫った 539 00:35:21,537 --> 00:35:25,541 新3部作で        デジタル映画を認めさせる 540 00:35:25,708 --> 00:35:28,794 ジョージは常に 強い好奇心で—— 541 00:35:28,919 --> 00:35:33,507 映画作りの技術や制作手法を 革新してきた        542 00:35:33,632 --> 00:35:37,344 映画業界は変化を拒んでいた 543 00:35:37,511 --> 00:35:39,889 改革は容易じゃない 544 00:35:42,892 --> 00:35:48,397 高解像度のテレビカメラを 作っていたソニーに行き—— 545 00:35:48,564 --> 00:35:53,319 1秒30コマでなく    24コマにするよう頼んだ 546 00:35:53,569 --> 00:35:55,779 向こうは渋っていたが—— 547 00:35:55,905 --> 00:35:59,116 説得を重ねた結果 実現した 548 00:36:02,995 --> 00:36:06,123 私は映画業界で疎まれてね 549 00:36:06,248 --> 00:36:09,418 カメラ組合は    私を蹴落とそうと—— 550 00:36:09,585 --> 00:36:11,795 “アメリカ映画協会誌〟 551 00:36:09,793 --> 00:36:12,504 私の中傷記事を書いた 552 00:36:12,171 --> 00:36:15,633 “ジョージ・ルーカス  HD24Pビデオカメラ〟 553 00:36:12,838 --> 00:36:18,135 仕事がなくなる不安や保身から 反対する者もいた       554 00:36:15,758 --> 00:36:16,759 “魅了されない〟 555 00:36:18,302 --> 00:36:23,098 カメラは完成したが  合うレンズがなかった 556 00:36:23,474 --> 00:36:27,061 カバーする領域が かなり違うからね 557 00:36:27,603 --> 00:36:31,482 そこでパナビジョン社に 協力を仰ぎ——      558 00:36:31,982 --> 00:36:36,111 「クローンの攻撃」は   全編 デジタルで撮れた 559 00:36:36,237 --> 00:36:37,488 OK カット 560 00:36:38,656 --> 00:36:40,032 見事だ 561 00:36:40,658 --> 00:36:41,784 美しい 562 00:36:42,993 --> 00:36:48,207 デジタルプロジェクターを 開発中の会社も訪ねた   563 00:36:48,332 --> 00:36:51,043 映写機は      画像を電子的に記録 564 00:36:51,168 --> 00:36:55,214 微小な鏡を敷き詰めた 特製チップが——   565 00:36:55,381 --> 00:36:59,176 光を反射し 映像を投影する 566 00:36:59,301 --> 00:37:02,638 でも劇場に     買ってもらうには—— 567 00:37:02,763 --> 00:37:05,140 1台10万ドルと高額だ 568 00:37:05,266 --> 00:37:09,103 だから慣れるまで  しばらく貸し出した 569 00:37:09,270 --> 00:37:12,439 高額になると   説得力が必要です 570 00:37:11,313 --> 00:37:13,315 “テキサス・  インスツルメンツ〟 571 00:37:12,564 --> 00:37:16,026 当初は かなり反発があった 572 00:37:14,733 --> 00:37:17,820 美術部 ダグ・チャン 573 00:37:16,151 --> 00:37:18,237 “あり得ない〟と 574 00:37:18,362 --> 00:37:23,784 傷のない 以前より    鮮明な画像を見た後でもね 575 00:37:19,905 --> 00:37:21,573 “ルーカスの革命〟 576 00:37:21,699 --> 00:37:24,076 “デジタル化の波が  劇場主を直撃〟 577 00:37:24,201 --> 00:37:27,204 “誰がデジタル化に  金を出す?〟 578 00:37:24,827 --> 00:37:28,497 劇場所有者協会は  我々を売人に例え—— 579 00:37:27,329 --> 00:37:31,417 “ハリウッド対  劇場主〟 580 00:37:28,622 --> 00:37:31,417 “一度 ハマれば終わり〟と 581 00:37:31,583 --> 00:37:32,793 つらかったよ 582 00:37:36,046 --> 00:37:40,467 「ファントム・メナス」では    4館だったデジタルシアターが 583 00:37:40,634 --> 00:37:44,221 次の作品では200館に増えた 584 00:37:45,597 --> 00:37:49,101 結局 アメリカの劇場の 約半分が——      585 00:37:49,226 --> 00:37:52,104 デジタル上映に切り替えた 586 00:37:50,436 --> 00:37:52,104 “クリスティ・デジタル・  システムズ〟 587 00:37:54,773 --> 00:37:58,027 AMCの映画館で 働いていた時——  588 00:37:58,193 --> 00:38:00,988 新3部作が公開された 589 00:37:58,193 --> 00:38:00,988 バリー・ジェンキンズ 590 00:38:01,155 --> 00:38:06,160 “スター・ウォーズ/  ファントム・メナス〟  ジョージ・ルーカス  1999年 591 00:38:05,117 --> 00:38:09,330 映画監督になりたいと 思う前のことだ    592 00:38:09,496 --> 00:38:12,708 “スター・ウォーズ/  クローンの攻撃〟  ジョージ・ルーカス  2002年 593 00:38:16,128 --> 00:38:19,798 観客席での仕事の時は毎回—— 594 00:38:19,923 --> 00:38:23,594 手を止めて ただ見入っていた 595 00:38:23,761 --> 00:38:26,221 戦闘シーンが見事でね 596 00:38:26,347 --> 00:38:27,556 何より… 597 00:38:31,810 --> 00:38:35,898 ヨーダがライトセーバーで 戦うシーンは圧巻だ    598 00:38:36,565 --> 00:38:40,444 壮大なスケール感で 目を見張った    599 00:38:38,525 --> 00:38:41,070 “スター・ウォーズ/  シスの復讐〟  ジョージ・ルーカス  2005年 600 00:38:46,033 --> 00:38:48,702 とにかく最高だった 601 00:38:50,079 --> 00:38:54,333 新3部作は          デジタルなくして作れなかった 602 00:38:54,500 --> 00:38:55,542 超大作だ 603 00:38:55,709 --> 00:38:58,170 その結果 ILMは変わった 604 00:38:58,295 --> 00:39:02,549 その変化は会社の枠を はるかに超え——    605 00:39:02,674 --> 00:39:06,178 映画製作に     広く影響を及ぼした 606 00:39:06,345 --> 00:39:09,973 皆さん アメリカ大統領です 607 00:39:11,642 --> 00:39:14,353 ジョージと ILMの天才たちが—— 608 00:39:12,559 --> 00:39:14,353 監督 ジョン・ファヴロー 609 00:39:14,520 --> 00:39:17,898 成し遂げた革新から 全てが始まった   610 00:39:18,023 --> 00:39:19,900 エディットドロイドに—— 611 00:39:20,067 --> 00:39:22,903 CGIキャラクターや CGI全般      612 00:39:23,028 --> 00:39:25,906 デジタルカメラに デジタル合成   613 00:39:26,073 --> 00:39:28,575 いろいろありすぎて—— 614 00:39:28,700 --> 00:39:31,578 エジソンの研究所みたいだ 615 00:39:31,829 --> 00:39:34,081 ホワイトハウスへ ようこそ 616 00:39:34,748 --> 00:39:40,379 天才の宝庫を お迎えできて光栄です 617 00:39:40,504 --> 00:39:44,049 彼は映画産業を 一変させた 618 00:39:40,963 --> 00:39:44,049 ILM社長 2006~2010年 クリッシー・イングランド 619 00:39:44,216 --> 00:39:48,178 2004年 アメリカ 国家技術賞に輝いたのは 620 00:39:48,303 --> 00:39:51,348 ILMのクリッシー・ イングランドと 621 00:39:51,473 --> 00:39:53,767 ジョージ・ルーカス 622 00:39:53,892 --> 00:39:57,563 30年間 視覚効果の 発展に寄与し—— 623 00:39:57,688 --> 00:39:59,648 映画産業に貢献 624 00:39:59,898 --> 00:40:05,028 国家技術賞は高い次元で 認められた証しよ 625 00:40:05,154 --> 00:40:06,864 ジョージは大喜び 626 00:40:06,989 --> 00:40:10,200 自分の会社が    表彰されたんだもの 627 00:40:10,701 --> 00:40:15,873 とても価値ある達成感を スタッフに与えた 628 00:40:18,709 --> 00:40:20,419 彼は多くを変えた 629 00:40:21,420 --> 00:40:24,465 1970~1980年代に 私は育った    630 00:40:24,631 --> 00:40:28,427 スピルバーグやルーカスの 映画に登場する——     631 00:40:28,594 --> 00:40:31,889 実写エフェクトを見ながらね 632 00:40:36,852 --> 00:40:39,605 つまり私の世代は—— 633 00:40:39,771 --> 00:40:44,401 そうした映画に      影響を受けた最初の世代だ 634 00:40:44,776 --> 00:40:47,362 そのせいかCGは嫌いでね 635 00:40:48,071 --> 00:40:50,741 スカイウォーカーランチ 2008年 636 00:40:50,365 --> 00:40:55,162 だが“アイアンマン〟で ILMと組んで思った 637 00:40:55,287 --> 00:40:56,497 CGIは—— 638 00:40:56,622 --> 00:41:01,001 “ジュラシック・パーク〟で    示された約束を叶えられると 639 00:41:02,711 --> 00:41:07,466 ジョンはCGへの疑念を 隠そうともしなかった  640 00:41:07,591 --> 00:41:11,970 それは構わない いい刺激になったしね 641 00:41:08,509 --> 00:41:11,720 “アイアンマン〟  アニメーション監修  ハル・ヒッケル 642 00:41:12,429 --> 00:41:16,975 実物のスーツだけでなく CGスーツも使った   643 00:41:17,142 --> 00:41:18,644 実物は制限がある 644 00:41:19,144 --> 00:41:24,441 撮影中は役者も含め   皆が実物を使いたがった 645 00:41:24,608 --> 00:41:27,528 見事な出来だったから当然だ 646 00:41:28,779 --> 00:41:32,115 だが動きが制限されるので—— 647 00:41:32,282 --> 00:41:38,539 ロバートはマーカー付きの スーツを選ぶようになった 648 00:41:38,664 --> 00:41:42,793 そっちを着た方が   見栄えがよくなると—— 649 00:41:43,335 --> 00:41:44,711 気づいたんだ 650 00:41:46,672 --> 00:41:52,302 実写とCGを使い分ける  タイミングが分かってきた 651 00:41:52,427 --> 00:41:56,139 “アイアンマン〟  ジョン・ファヴロー  2008年 652 00:41:53,887 --> 00:41:58,141 組み合わせることで  観客を惑わせたかった 653 00:42:00,769 --> 00:42:02,563 “本当に着てる?〟 654 00:42:02,688 --> 00:42:07,568 “まさか メカが入ってるし  きっとCGだよ〟    655 00:42:08,277 --> 00:42:11,863 “でも あの素材は触れそうだ〟 656 00:42:11,989 --> 00:42:17,744 もし観客が何かを見て    すぐに手触りを想像したら—— 657 00:42:17,869 --> 00:42:19,204 半分は成功だ 658 00:42:19,329 --> 00:42:22,958 照明 アクション 659 00:42:23,250 --> 00:42:26,712 ある時 映像を確認していたら 660 00:42:26,837 --> 00:42:30,507 実物のスーツについて ジョンが何か言った  661 00:42:30,632 --> 00:42:35,345 だが そのシーンのスーツは 全部CGだった      662 00:42:35,512 --> 00:42:37,848 実物だと思った 663 00:42:37,973 --> 00:42:40,976 見分けが つかなかったんだ 664 00:42:39,391 --> 00:42:44,688 実物のスーツ CGスーツ 665 00:42:41,101 --> 00:42:44,021 CGスーツと 実物のスーツのね 666 00:42:44,146 --> 00:42:47,941 彼は“分からなかった 見事な出来だ〟と 667 00:42:48,567 --> 00:42:50,944 いいね 他には? 668 00:42:51,236 --> 00:42:54,448 それ以来 CGIを信用してる 669 00:42:54,573 --> 00:43:00,037 あのクオリティーなら 話の流れを邪魔しない 670 00:43:03,415 --> 00:43:06,793 “フォレスト・ガンプ/  一期一会〟  ロバート・ゼメキス  1994年 671 00:43:04,791 --> 00:43:08,879 デジタルは         新しいタイプの映画も生んだ 672 00:43:09,046 --> 00:43:12,758 気づかない視覚効果を 使ったのが—— 673 00:43:09,338 --> 00:43:13,717 視覚効果監修 ケン・ラルストン 674 00:43:12,883 --> 00:43:14,259 “フォレスト・ガンプ〟だ 675 00:43:16,303 --> 00:43:19,640 実写に溶け込ませることで—— 676 00:43:19,806 --> 00:43:23,435 観客を楽しませることが 可能になった      677 00:43:23,602 --> 00:43:28,065 デジタル技術が開花し 2つの道が生まれた 678 00:43:27,522 --> 00:43:31,610 ILM社長 1994~2005年 ジム・モリス 679 00:43:28,190 --> 00:43:30,817 大がかりな視覚効果と 680 00:43:30,942 --> 00:43:35,906 使われていることに 気づかない視覚効果だ 681 00:43:38,075 --> 00:43:41,662 “地下鉄道 ~自由への旅路~〟  バリー・ジェンキンズ  2021年 682 00:43:45,374 --> 00:43:47,751 列車やトンネルが—— 683 00:43:47,709 --> 00:43:50,754 監督 バリー・ジェンキンズ 684 00:43:47,876 --> 00:43:50,754 CGIだと 分かるのは困る 685 00:43:54,591 --> 00:43:58,428 そんなのを見せられるのは 悲劇だし——        686 00:43:58,553 --> 00:44:03,183 最も目につくのが   作り物だなんて最悪だ 687 00:44:03,350 --> 00:44:08,188 だから ある程度の   リアリズムが欲しかった 688 00:44:08,980 --> 00:44:12,484 ILMの優秀な    アーティストたちは—— 689 00:44:12,609 --> 00:44:16,071 見事にイメージを 形にしてくれた  690 00:44:16,238 --> 00:44:19,449 作り物っぽさがなくリアルだ 691 00:44:20,575 --> 00:44:25,872 最高なのは 最後まで見て こう言う人がいることだ 692 00:44:25,997 --> 00:44:29,126 “視覚効果を      ほぼ使ってないね〟 693 00:44:31,002 --> 00:44:35,090 “ありがとう          ILMにそう伝えておくが〟 694 00:44:35,215 --> 00:44:38,552 “視覚効果は大量に使ってる〟 695 00:44:38,719 --> 00:44:41,805 派手にやりたい時もあれば—— 696 00:44:41,930 --> 00:44:46,059 さりげなくすごいことを やりたい時もある    697 00:44:46,226 --> 00:44:48,603 でも結局は手品だ 698 00:44:48,729 --> 00:44:52,274 タネが何であれ  大事なのは物語だ 699 00:44:53,442 --> 00:44:57,404 昔は見た人を    驚かせればよかった 700 00:44:57,779 --> 00:45:00,532 でも今は物語の流れや—— 701 00:45:00,657 --> 00:45:04,786 大事な要素との 結びつきが欠かせない 702 00:45:01,533 --> 00:45:06,037 ILM チーフ・クリエイティブ・ オフィサー ロブ・ブレドウ 703 00:45:04,911 --> 00:45:10,333 魔法をかけただけだと 仕掛けに注目が集まる 704 00:45:10,500 --> 00:45:16,131 デジタルや視覚効果は   気に入ってるし 面白いが—— 705 00:45:16,256 --> 00:45:19,301 観客が見たいのは“人間〟だ 706 00:45:19,551 --> 00:45:22,763 そのためには     リアルな演技ができ—— 707 00:45:22,929 --> 00:45:25,599 それを撮れる環境が必要だ 708 00:45:26,641 --> 00:45:31,104 “マンダロリアン〟  2019年 709 00:45:28,310 --> 00:45:33,315 “マンダロリアン〟で   そのアイデアを試した 710 00:45:36,318 --> 00:45:38,779 最大級のスケールでね 711 00:45:38,945 --> 00:45:42,157 新しいハードウェアを使った 712 00:45:42,324 --> 00:45:45,577 高速ビデオカードに 高画質のスクリーン 713 00:45:45,744 --> 00:45:49,539 カメラに位置情報を送る   モーションキャプチャー技術 714 00:45:49,664 --> 00:45:51,124 “ボリューム〟だ 715 00:45:53,543 --> 00:45:58,840 モーションキャプチャー・  ボリュームから取った名前さ 716 00:45:59,090 --> 00:46:02,052 完璧なスクリーンだ 717 00:46:02,177 --> 00:46:05,806 演者の頭上と周りを ぐるりと囲み——   718 00:46:05,931 --> 00:46:10,727 あらゆるデジタル環境を その壁に作り出せる   719 00:46:11,228 --> 00:46:15,857 大量の小さなスクリーンを 継ぎ目なく並べた     720 00:46:15,982 --> 00:46:21,571 人の目やカメラには   表面がつながって見える 721 00:46:23,532 --> 00:46:27,786 グリーンスクリーンで 合成する必要はなく—— 722 00:46:27,953 --> 00:46:32,249 撮影時に映したものが そのまま使える    723 00:46:34,543 --> 00:46:38,004 世界中のどこへでも行ける 724 00:46:38,463 --> 00:46:42,843 アイスランドから砂漠へ 一瞬で移動可能だ    725 00:46:43,009 --> 00:46:46,596 ボタンを押すだけで 場所が変わる    726 00:46:47,055 --> 00:46:48,723 すごいのは—— 727 00:46:48,890 --> 00:46:52,227 ボリュームの中で カメラが動くと—— 728 00:46:49,516 --> 00:46:52,227 研究開発 レイチェル・ローズ 729 00:46:52,394 --> 00:46:58,358 周囲の小型カメラが      その動きにフォーカスする点ね 730 00:46:58,525 --> 00:47:01,319 だからスクリーンの映像が—— 731 00:47:01,444 --> 00:47:06,825 カメラの視点で見る背景に 正しく補正されるわけ   732 00:47:06,992 --> 00:47:11,162 視差を利用して    脳に本物だと思わせる 733 00:47:11,454 --> 00:47:15,834 セットの半分に    実際に小道具を置き—— 734 00:47:16,001 --> 00:47:22,048 デジタルで拡張すれば     カメラ越しにはリアルに見える 735 00:47:22,215 --> 00:47:28,013 撮影監督は自分でショットを 決められるから喜んでた   736 00:47:28,179 --> 00:47:32,726  映画会社の人は     “なぜセットがあるんだ?〟 737 00:47:32,851 --> 00:47:36,813 “あのスクリーンに     大金を費やしたのに〟と 738 00:47:36,980 --> 00:47:41,192 ただの机と箱を見て そう言ったんだ   739 00:47:41,359 --> 00:47:45,488 ボリュームの中にいることに 気づいてなかった      740 00:47:50,160 --> 00:47:53,830 “マンダロリアン〟の面接に  行った時は——      741 00:47:53,997 --> 00:47:56,416 何も知らされて なかった 742 00:47:53,997 --> 00:47:56,416 “マンダロリアン〟  監督  デボラ・チョウ 743 00:47:57,167 --> 00:48:00,545 するとジョンが現れて驚いた 744 00:48:01,046 --> 00:48:02,589 聞いてない 745 00:48:02,714 --> 00:48:05,842 5分後には         VRのヘッドセットをつけ—— 746 00:48:05,967 --> 00:48:09,429 “マンダロリアン〟の  セットを飛んでた 747 00:48:09,554 --> 00:48:12,390 ジョンに後から聞いたけど—— 748 00:48:12,515 --> 00:48:16,102 私が技術に強いか 確かめてたそうよ 749 00:48:16,269 --> 00:48:19,898 プレイステーションで よく遊んでたから——  750 00:48:20,023 --> 00:48:23,151 コントローラーには すぐなじめた    751 00:48:26,863 --> 00:48:28,281 “マンダロリアン〟は—— 752 00:48:28,406 --> 00:48:32,869 他のテレビドラマとは 工程がまるで違った  753 00:48:34,412 --> 00:48:38,166 ILMと最初から 密に協力して——  754 00:48:38,333 --> 00:48:41,211 セットを作っていった 755 00:48:41,336 --> 00:48:45,590 今までにないやり方で 全員が力を合わせた  756 00:48:45,715 --> 00:48:50,470 技術の性質上 お互いの 仕事を知る必要があった 757 00:48:50,595 --> 00:48:53,139 例えば何か作ったら—— 758 00:48:53,264 --> 00:48:58,770 それをボリュームでも使うし 実物としても使うからよ   759 00:49:01,064 --> 00:49:04,776 ボリュームを導入することで—— 760 00:49:04,943 --> 00:49:08,154 後工程がなくなるの 761 00:49:08,279 --> 00:49:10,824 加工した画像を 見るのは—— 762 00:49:08,780 --> 00:49:12,075 ルーカスフィルム 社長 キャスリーン・ケネディ 763 00:49:10,949 --> 00:49:14,661 通常は撮影の 数ヵ月後だった 764 00:49:14,828 --> 00:49:17,998 その工程を最初に行うの 765 00:49:18,164 --> 00:49:22,127 静かに プレイバック 766 00:49:22,711 --> 00:49:25,672 監督が役者に出す指示は—— 767 00:49:25,839 --> 00:49:30,677 実際に見て 体験したものに 基づいている       768 00:49:30,844 --> 00:49:33,138 リアルな映画作りよ 769 00:49:33,304 --> 00:49:38,476 その日の撮影に全ての部署が 総出で取り組む       770 00:49:38,643 --> 00:49:41,229 専門知識が集まることで—— 771 00:49:41,688 --> 00:49:44,232 すばらしい偶然が 生まれる 772 00:49:41,688 --> 00:49:45,525 ILM チーフ・クリエイティブ・ オフィサー ロブ・ブレドウ 773 00:49:44,357 --> 00:49:47,902 全てがそろうから 起きることだよ 774 00:49:48,069 --> 00:49:50,280 事前に 決める必要がある 775 00:49:48,069 --> 00:49:50,280 ルーカスフィルム ゼネラルマネジャー リンウェン・ブレナン 776 00:49:50,447 --> 00:49:55,577 視覚効果の技術とツールを 主要撮影に使うとなると—— 777 00:49:55,702 --> 00:50:01,291 工程が変わるから    慎重な決断が求められる 778 00:50:01,458 --> 00:50:05,253 私はそれが      いい結果を生むと思う 779 00:50:06,504 --> 00:50:08,548 従来の模型製作には 780 00:50:06,713 --> 00:50:10,008 美術部 ダグ・チャン 781 00:50:08,673 --> 00:50:12,719 意図的には起こせない うれしい偶然がある 782 00:50:12,886 --> 00:50:15,722 今は両方の長所を生かせる 783 00:50:19,017 --> 00:50:20,977 いつも聞くんだ 784 00:50:21,144 --> 00:50:25,523 “従来のやり方で      模型を作って撮れる?〟 785 00:50:25,690 --> 00:50:27,192 そして却下される 786 00:50:28,026 --> 00:50:30,779 でも“マンダロリアン〟では 違った          787 00:50:30,945 --> 00:50:34,449 ジョンは       模型を作りたがってた 788 00:50:34,574 --> 00:50:37,744 年に1回 電話で 盛り上がるが—— 789 00:50:35,533 --> 00:50:39,496 モデルショップ ジョン・グッドソン 790 00:50:37,869 --> 00:50:40,455 決して実現はしない 791 00:50:41,623 --> 00:50:43,833 でも今回は実現した 792 00:50:44,209 --> 00:50:49,005 3Dプリントした     50個のピースを組み合わせ 793 00:50:49,464 --> 00:50:53,635 60センチの模型を作ったが 最高だった        794 00:50:53,760 --> 00:50:56,096 モーションコントロール システムも作った    795 00:50:56,930 --> 00:51:01,226 ジョン・ノールが    装置を作ってると知った 796 00:51:01,392 --> 00:51:06,106 “これは撮れる?〟と  聞いただけなのに—— 797 00:51:06,272 --> 00:51:11,528 彼はILMの地下で  この装置を作り上げた 798 00:51:11,653 --> 00:51:14,364 皆 何事かと見に来てた 799 00:51:14,489 --> 00:51:17,117 ペンキを塗るトム・ソーヤをね 800 00:51:17,909 --> 00:51:24,165 “スター・ウォーズ〟の遺産と  エネルギーを受け継いでる 801 00:51:27,252 --> 00:51:29,629 最高の映像が撮れた 802 00:51:34,175 --> 00:51:38,847 それがジョージ・ルーカスに 最も感謝してることだ   803 00:51:38,972 --> 00:51:42,016 この年代の映画製作者は—— 804 00:51:42,142 --> 00:51:47,772 過去と未来に目を向け 革新を目指していた  805 00:51:49,732 --> 00:51:53,319 私はジョン・ファヴローや デイヴ・フィローニと——  806 00:51:53,486 --> 00:51:59,367 ボリュームの話が出た時から  ジョージのことばかり話してた 807 00:51:59,951 --> 00:52:03,705 2018年10月18日 808 00:52:01,536 --> 00:52:06,124 どれも彼がすでに 予期してたことだった 809 00:52:06,249 --> 00:52:07,667 やあ 810 00:52:07,834 --> 00:52:09,711 来てくれたのね 811 00:52:09,836 --> 00:52:14,424 あなたの要望を全部 形にしたの 812 00:52:14,549 --> 00:52:18,469 このステージを25年間 作ろうとしたが… 813 00:52:18,595 --> 00:52:19,637 今 目の前に 814 00:52:19,762 --> 00:52:21,472 叶わなかった 815 00:52:21,639 --> 00:52:23,349 彼の第一声は—— 816 00:52:23,474 --> 00:52:27,228 “これをやろうと      ずっと皆に言ってきた〟 817 00:52:28,104 --> 00:52:28,855 彼らしい 818 00:52:30,023 --> 00:52:32,483 でも興奮したはずよ 819 00:52:32,650 --> 00:52:37,405 彼が思い描いていたとおりの セットだもの        820 00:52:37,530 --> 00:52:41,201 デジタル化を      推進するものは何でも—— 821 00:52:41,367 --> 00:52:43,786 彼にとって重要なの 822 00:52:43,912 --> 00:52:48,291 “エピソード1〟が  こんなセットだった 823 00:52:48,416 --> 00:52:51,502 彼が新3部作で   成し遂げたことを—— 824 00:52:51,669 --> 00:52:54,464 テレビの日程と予算でやれた 825 00:52:54,631 --> 00:52:59,594 新3部作で         技術革新が起きたおかげだよ 826 00:52:59,761 --> 00:53:04,599 セットの長さは 1・2キロあった 827 00:53:04,724 --> 00:53:08,353 いろいろ飛ばすのに 必要だった 828 00:53:08,478 --> 00:53:10,688 彼が来た時は感無量さ 829 00:53:10,813 --> 00:53:14,484 彼の長年の構想を ついに形にできた 830 00:53:15,318 --> 00:53:18,488 ILM サンフランシスコ キャンパス 831 00:53:20,740 --> 00:53:25,370 この業界の魅力は     常に新しいことに挑む点ね 832 00:53:25,536 --> 00:53:31,793 だから危険に親近感を持ち リスクを取る必要がある  833 00:53:31,960 --> 00:53:36,422 怖がるのではなく 活力にしていかなきゃ 834 00:53:32,126 --> 00:53:36,047 ルーカスフィルム ゼネラルマネジャー リンウェン・ブレナン 835 00:53:37,048 --> 00:53:41,302 自分たちが業界を     動かしているんだという—— 836 00:53:41,427 --> 00:53:44,472 独特な情熱が今も存在する 837 00:53:44,597 --> 00:53:48,142 そんなILMには 驚かされてばかり 838 00:53:48,268 --> 00:53:50,687 常に考えてる脳みたい 839 00:53:51,688 --> 00:53:54,065 ILMという社名には—— 840 00:53:55,400 --> 00:53:58,987 3つの重要な要素が 含まれてる     841 00:54:00,154 --> 00:54:02,865 映画を成功させる要素よ 842 00:54:02,991 --> 00:54:07,412 ジョージが3つの言葉に それを込めたの     843 00:54:07,578 --> 00:54:12,959 “インダストリー〟は     納期と予算を守る実用主義 844 00:54:13,126 --> 00:54:17,213 “ライト〟はもちろん  我々が照らす光だ 845 00:54:17,380 --> 00:54:21,843 スクリーンだけでなく 我々の人生をね    846 00:54:21,968 --> 00:54:26,180 “マジック〟は      会社で行う革新のこと 847 00:54:26,347 --> 00:54:28,933 芸術と科学の両方でね 848 00:54:29,100 --> 00:54:33,438 それが文化に根を張り 永続していく     849 00:54:41,946 --> 00:54:46,242 ここまで続く       視覚効果の会社は他にない 850 00:54:46,367 --> 00:54:50,788 75年にヴァン・ナイズに 作った倉庫に——    851 00:54:50,913 --> 00:54:53,416 常につながっている 852 00:54:54,375 --> 00:54:57,795 まるで様々な要素が 絡み合い——     853 00:54:57,962 --> 00:55:01,841 二度とない状況に 置かれた感じだ  854 00:55:02,884 --> 00:55:05,136 多くの偶然が重なったが—— 855 00:55:05,303 --> 00:55:09,599 ジョージの          変化を求める気持ちが強かった 856 00:55:10,141 --> 00:55:12,727 自分で解決できなくても—— 857 00:55:12,894 --> 00:55:18,649 誰と誰を組ませれば     答えが見つかるか分かってた 858 00:55:18,816 --> 00:55:23,529 どのプロセスも      まるでサーカスのようでね 859 00:55:23,863 --> 00:55:26,032 そういう仕事を望んでた 860 00:55:26,783 --> 00:55:31,954 あの場にいられるなら 汚れ仕事だってやる  861 00:55:33,039 --> 00:55:36,834 ここの人々と精神は 何かが違った    862 00:55:37,001 --> 00:55:40,671 ここへ来た経緯や理由も 才能も様々で——     863 00:55:40,797 --> 00:55:43,966 芸術と技術の融合があった 864 00:55:44,634 --> 00:55:47,053 優秀な人に囲まれ—— 865 00:55:47,470 --> 00:55:51,140 多くをもらい    自分も返そうとした 866 00:55:51,974 --> 00:55:54,644 創設メンバーは—— 867 00:55:54,811 --> 00:55:57,897 ジョージが集めた 反逆者の集団よ  868 00:55:58,481 --> 00:56:01,275 彼らには信じる勇気があった 869 00:56:01,442 --> 00:56:05,488 ジョージのビジョンは 実現可能だとね    870 00:56:05,655 --> 00:56:09,534 前例がないから   不可能とは限らない 871 00:56:11,327 --> 00:56:15,873 それがILMの精神よ 皆 そう感じてるはず 872 00:56:17,375 --> 00:56:19,168 不可能はないと—— 873 00:56:19,335 --> 00:56:25,174 自信を持って断言できる集団を 他に知らない         874 00:56:25,591 --> 00:56:28,928 初期のマーロン・ ブランドと—— 875 00:56:28,136 --> 00:56:30,888 J・J・エイブラムス 876 00:56:29,429 --> 00:56:30,888 働くようなものさ 877 00:56:31,264 --> 00:56:34,559 ベストを尽くして協力するが 878 00:56:34,684 --> 00:56:36,477 彼らは型破りだ 879 00:56:39,397 --> 00:56:43,609 ILMには      天才がそろっていて—— 880 00:56:43,776 --> 00:56:47,905 常に限界を      突き破ろうとしている 881 00:56:48,489 --> 00:56:51,242 ここで働く魅力の1つは—— 882 00:56:51,409 --> 00:56:56,497 才能や知性 豊かな経験を 持つ仲間がいることだ  883 00:56:56,622 --> 00:56:59,250 頼りになるし刺激も受けた 884 00:56:59,417 --> 00:57:03,671 セットにいたり     絵を描いたりしていて—— 885 00:57:03,796 --> 00:57:06,841 学びのない日はなかった 886 00:57:07,008 --> 00:57:10,553 ILMは職場というより学校だ 887 00:57:11,012 --> 00:57:15,641 卒業することも     学び舎を去ることもない 888 00:57:15,766 --> 00:57:18,895 私に自信をくれた場所だ 889 00:57:19,061 --> 00:57:23,774 毎日 仕事に行くのが 楽しみだった    890 00:57:24,108 --> 00:57:28,779 最先端の場所で働くのは 最高の気分よ      891 00:57:28,946 --> 00:57:31,699 自分を高めてくれる仲間と働く 892 00:57:31,866 --> 00:57:34,869 それがILMの精神だ 893 00:57:35,536 --> 00:57:38,372 ここの皆に受け継がれてる 894 00:57:38,539 --> 00:57:40,208 いつも熱心に—— 895 00:57:40,374 --> 00:57:44,253 お互いの意見を  交換し合っていた 896 00:57:47,173 --> 00:57:52,929 その原点は 天才だが     気取らない創設メンバーにある 897 00:57:53,804 --> 00:57:57,850 生涯を通じて     多くの映画に携わり—— 898 00:57:57,975 --> 00:58:04,232 そのうちの2~3本が    大成功すれば幸運だと言える 899 00:58:04,398 --> 00:58:08,986 でも一番の宝物は  そこで築いた家族だ 900 00:58:10,530 --> 00:58:13,574 ILMの魔法は“人〟だ 901 00:58:13,741 --> 00:58:17,703 あの友情は     二度と体験できない 902 00:58:18,746 --> 00:58:21,123 何度 生まれ変わってもね 903 00:58:21,290 --> 00:58:22,750 真の喜びだった 904 00:58:23,626 --> 00:58:25,795 あの頃に戻って—— 905 00:58:25,962 --> 00:58:29,840 やり直したいとは思わないよ 906 00:58:30,424 --> 00:58:33,803 今も不思議な夢を 見てる気分だ   907 00:58:34,136 --> 00:58:38,558 当時を振り返ると   完璧すぎてあり得ない 908 00:58:39,183 --> 00:58:43,896 今も語り継がれる映画に 関われたなんてね    909 00:58:48,317 --> 00:58:53,656 あんなにうまくいったことが いまだに信じられない    910 00:58:53,823 --> 00:58:57,243 あそこで出会った仲間とは—— 911 00:58:57,410 --> 00:59:00,162 40年が経った今も友達だ 912 00:59:01,747 --> 00:59:03,207 すごいよね 913 00:59:05,668 --> 00:59:08,045 娘が私のところへ来て—— 914 00:59:08,379 --> 00:59:11,674 悩みを相談したいと言うんだ 915 00:59:11,841 --> 00:59:16,929 娘は毎晩 夕食の後    部屋に閉じこもっていてね 916 00:59:17,054 --> 00:59:21,267 おもちゃの動物で 遊んでいたんだ  917 00:59:22,101 --> 00:59:25,146 私が兵隊や恐竜で 遊んだようにね  918 00:59:25,271 --> 00:59:30,776 娘はおもちゃで遊ぶには  大きくなりすぎたことを—— 919 00:59:31,152 --> 00:59:32,820 悲しんでいた 920 00:59:33,404 --> 00:59:38,451 そこで私は伝えた      映画製作者に年は関係ないと 921 00:59:38,659 --> 00:59:41,162 そしてカメラを持って—— 922 00:59:41,287 --> 00:59:45,833 2人で裏庭へ行き   その瞬間を撮り始めた 923 01:01:44,201 --> 01:01:46,203 日本版字幕 上田 香子