1 00:00:08,258 --> 00:00:09,467 足を踏み入れよう 2 00:00:11,011 --> 00:00:13,221 知覚を超えた世界に 3 00:00:19,019 --> 00:00:22,230 隠された力や  超感覚を持つ—— 4 00:00:23,106 --> 00:00:26,568 驚異的な動物たちの世界 5 00:00:27,527 --> 00:00:29,863 自然界に      詳しいつもりなら—— 6 00:00:32,657 --> 00:00:33,700 まだまだだ 7 00:00:35,285 --> 00:00:39,664 超/自然 8 00:00:45,962 --> 00:00:48,298 この予測不可能な世界で—— 9 00:00:48,548 --> 00:00:51,301 ナレーション ベネディクト・ カンバーバッチ 10 00:00:50,717 --> 00:00:54,888 家族の安全のためなら 動物は何でもする   11 00:00:57,432 --> 00:01:02,270 だが 大勢の子を育てるには 大きな責任が伴う     12 00:01:12,947 --> 00:01:15,575 このオスの     アフリカレンカクは 13 00:01:15,950 --> 00:01:18,787 ひな鳥たちを抱いたままだ 14 00:01:21,873 --> 00:01:25,293 4週間 独りで卵の世話をし 15 00:01:26,628 --> 00:01:31,758 2日前の孵化ふか以来     羽の下に ひなを抱えている 16 00:01:36,805 --> 00:01:38,223 産まれたひなは 17 00:01:38,348 --> 00:01:41,518 マッチ箱サイズで 親鳥のミニ版だ  18 00:01:47,899 --> 00:01:50,360 そして驚くほど自立している 19 00:01:52,570 --> 00:01:54,072 父親と同様—— 20 00:01:54,405 --> 00:01:59,536 大きく広がったつま先により 体重が広範囲に分散される  21 00:02:01,579 --> 00:02:04,165 水の上を歩けるほどだ 22 00:02:06,793 --> 00:02:09,170 スイレン池の  奥深くまで進み 23 00:02:10,880 --> 00:02:12,423 ハエを捕食する 24 00:02:17,178 --> 00:02:22,892 父親は 成長に必要な自由を 子供に与えつつ      25 00:02:24,102 --> 00:02:25,687 安全も守っている 26 00:02:31,276 --> 00:02:36,030 ひな鳥は自立していても 危険には慣れていない  27 00:02:46,374 --> 00:02:50,044 大人になれるのは わずか4分の1だ 28 00:02:56,176 --> 00:02:58,094 偏光視力によって—— 29 00:02:58,344 --> 00:03:02,682 サンショクウミワシは 水に反射する光を捉え 30 00:03:03,016 --> 00:03:05,351 動きに焦点を絞る 31 00:03:17,238 --> 00:03:22,160 レンカクは危険を察知すると 子供をすくい上げて守る   32 00:03:26,080 --> 00:03:29,250 だが 子供たちが   遠くに散らばりすぎた 33 00:03:30,376 --> 00:03:33,087 そこで彼は秘密の警報を発し 34 00:03:33,296 --> 00:03:36,466 捕食者対策本能を発動させる 35 00:03:41,930 --> 00:03:43,765 動きを止める ひな鳥 36 00:04:03,660 --> 00:04:07,830 父親には 動かないよう 願うことしかできない 37 00:04:34,899 --> 00:04:39,028 危険が去ると        父親は子供たちを迎えに行く 38 00:04:57,005 --> 00:04:59,674 だが 1羽の行方が 分からない    39 00:05:02,635 --> 00:05:04,470 動きを止めたままだ 40 00:05:09,475 --> 00:05:13,021 嘴くちばしの穴が          シュノーケルのように機能し 41 00:05:13,187 --> 00:05:14,814 呼吸を助けている 42 00:05:15,189 --> 00:05:19,861 だが 水中にいるため   父親の呼ぶ声は聞こえない 43 00:05:27,994 --> 00:05:31,956 ひなを捜せば捜すほど 注目を集めてしまう  44 00:05:38,046 --> 00:05:43,885 ワニは非常に敏感な皮膚で 振動を感知する      45 00:05:47,930 --> 00:05:52,226 この大きな足は     かなりの犠牲を伴うのだ 46 00:06:00,693 --> 00:06:03,946 ようやく聞こえるまで 呼び声が近づいた   47 00:06:07,909 --> 00:06:10,036 声のほうへ向かうひな鳥 48 00:06:46,280 --> 00:06:47,407 ようやく 49 00:06:48,282 --> 00:06:49,951 全員がそろって 50 00:06:51,285 --> 00:06:52,912 父親の羽の中へ 51 00:06:57,166 --> 00:07:00,169 動物たちが      子育てに挑戦する時—— 52 00:07:01,254 --> 00:07:06,175 子供を強く成長させるには 並外れたスキルが必要だ  53 00:07:15,268 --> 00:07:19,397 家族のつながり 54 00:07:27,238 --> 00:07:30,241 母親は子供のために 労をいとわず——   55 00:07:30,324 --> 00:07:33,369 人生の最高のスタートを 用意するものだ     56 00:07:36,831 --> 00:07:39,625 この巨大なヨコクビガメは 57 00:07:40,001 --> 00:07:42,712 産卵に最適なビーチを 探している      58 00:07:47,717 --> 00:07:53,639 だが 彼らは乾季の終わりの 2ヵ月間しか現れない   59 00:07:56,851 --> 00:08:00,104 しかも 川は迷路のように 複雑だ         60 00:08:06,527 --> 00:08:09,947 水が濁っているため 先も見えない    61 00:08:12,283 --> 00:08:14,952 だが この母親に迷いはない 62 00:08:17,246 --> 00:08:21,334 すばらしいネットワークを 利用しているのだ     63 00:08:27,840 --> 00:08:32,803 彼女は他のカメの      かすかな鳴き声のほうへ進む 64 00:08:38,768 --> 00:08:40,186 音は大きくなり 65 00:08:41,771 --> 00:08:43,272 数も増えていく 66 00:08:46,651 --> 00:08:50,446 約4000平方キロメートルの 範囲にいる——       67 00:08:51,405 --> 00:08:54,367 カメの母親たちが 集まってくるのだ 68 00:09:04,001 --> 00:09:06,170 その数 4万匹 69 00:09:21,310 --> 00:09:23,354 他のメスたちと共に—— 70 00:09:23,771 --> 00:09:27,942 雨季の始まりに合わせて  卵を孵化させねばならない 71 00:09:31,904 --> 00:09:33,364 早すぎると—— 72 00:09:33,948 --> 00:09:37,910 子供たちが熱く乾いた砂から 抜け出せない        73 00:09:42,540 --> 00:09:44,250 遅すぎると—— 74 00:09:44,792 --> 00:09:48,087 増水で         卵が水につかってしまう 75 00:09:51,090 --> 00:09:52,216 最近の発見で—— 76 00:09:52,675 --> 00:09:56,929 このカメの優れた予知能力が 明らかになった       77 00:09:57,638 --> 00:10:02,435 集合知により 産卵の    最適な時期を判断できるのだ 78 00:10:03,894 --> 00:10:09,609 8種類の鳴き声を使って  湿度 気温 水位を話し合い 79 00:10:12,320 --> 00:10:14,697 1つの答えを導き出す 80 00:10:16,407 --> 00:10:18,868 今こそ その時だ 81 00:10:30,713 --> 00:10:33,674 彼女が仲間の誘導で 選んだ場所は    82 00:10:35,426 --> 00:10:38,387 ここ ビーチの真ん中だ 83 00:10:40,139 --> 00:10:45,227 一緒に巣を作ることで  400万匹の子ガメたちに—— 84 00:10:45,436 --> 00:10:49,315 2ヵ月後に生き残る     最善のチャンスを与えられる 85 00:10:54,945 --> 00:10:57,531 砂の中で卵が孵化する頃—— 86 00:10:59,659 --> 00:11:03,621 地上では       ついに雨季が到来した 87 00:11:10,044 --> 00:11:11,671 母親と同じように—— 88 00:11:12,463 --> 00:11:15,883 生まれたてのカメが 話している     89 00:11:19,303 --> 00:11:20,721 独りじゃない 90 00:11:23,224 --> 00:11:27,353 ビーチに広がる何千もの巣が 会話に参加する       91 00:11:30,064 --> 00:11:35,361 地上に出る最高の      タイミングを決めているのだ 92 00:11:44,829 --> 00:11:47,123 湿った砂は掘りやすい 93 00:11:52,545 --> 00:11:55,423 だが 待ち受けるのは 危険な世界だ    94 00:12:06,058 --> 00:12:08,227 川にたどり着けない カメもいる     95 00:12:11,689 --> 00:12:14,358 だが 母親たちの    見事なチームワークで—— 96 00:12:15,484 --> 00:12:20,156 数の多さによる安全性は 保たれる        97 00:12:25,411 --> 00:12:26,954 群れに紛れ 98 00:12:28,664 --> 00:12:30,082 会話しながら 99 00:12:32,418 --> 00:12:35,629 先頭が後ろのカメを励まし 進んでいく        100 00:12:51,562 --> 00:12:56,275 先に行った母親のように グループの誘導で——   101 00:12:59,361 --> 00:13:00,613 無事 到着 102 00:13:10,414 --> 00:13:13,501 ここから安全な場所へ 行かねばならない   103 00:13:16,879 --> 00:13:21,175 驚くことに 彼には     道を示してくれる味方がいる 104 00:13:25,054 --> 00:13:27,598 そこには母親の姿が 105 00:13:30,392 --> 00:13:34,438 母親たちは皆     子供を待っていたのだ 106 00:13:37,525 --> 00:13:40,778 子供の声が聞こえると 彼らに呼びかけ    107 00:13:41,070 --> 00:13:43,364 深い場所へと誘導する 108 00:13:45,658 --> 00:13:49,703 これは最近発見された カメの親が——     109 00:13:49,787 --> 00:13:53,040 孵化後の子供を助ける 初めての例だ     110 00:14:00,548 --> 00:14:02,174 多くの動物にとって 111 00:14:03,884 --> 00:14:08,806 特殊能力による子育ては 産む前から始まっている 112 00:14:17,773 --> 00:14:22,152 子宮内で誕生した 類まれな生命   113 00:14:27,241 --> 00:14:31,203 4ヵ月で          体重は30グラムにも満たない 114 00:14:33,873 --> 00:14:36,792 産まれるまでに   このアフリカゾウは 115 00:14:36,959 --> 00:14:40,671 体重を6000倍まで     増加させなければならない 116 00:14:41,839 --> 00:14:44,967 幸い 重い荷物は  誰かが運んでくれる 117 00:14:50,681 --> 00:14:54,810 ゾウの母親は哺乳類の中で 最も妊娠期間が長い    118 00:14:58,772 --> 00:15:02,568 2年近く子供を身ごもり 119 00:15:04,361 --> 00:15:05,863 成長させる 120 00:15:09,325 --> 00:15:11,201 厳しい季節を乗り越え 121 00:15:15,664 --> 00:15:18,292 凶暴な敵から  子供を守るのだ 122 00:15:21,837 --> 00:15:24,089 だが 独りではない 123 00:15:29,595 --> 00:15:32,306 彼女にとって群れは生命線だ 124 00:15:37,811 --> 00:15:39,229 彼にとっても 125 00:15:41,106 --> 00:15:46,445 12ヵ月目では      まだ耳や聴覚は発達中だ 126 00:15:49,698 --> 00:15:51,575 だが すでに彼は 127 00:15:54,244 --> 00:15:55,829 足で聞いている 128 00:15:59,333 --> 00:16:02,544 つま先とかかとの 特殊な細胞が——  129 00:16:02,670 --> 00:16:05,005 群れの会話の振動を拾うのだ 130 00:16:08,384 --> 00:16:10,260 こうして 母親や—— 131 00:16:11,971 --> 00:16:14,765 大家族を       認識できるようになる 132 00:16:18,185 --> 00:16:20,896 会話や協力を通じて 築かれる——     133 00:16:21,563 --> 00:16:25,401 強力な関係性や      社会的なネットワークが—— 134 00:16:25,484 --> 00:16:28,070 子供の生存には欠かせない 135 00:16:36,704 --> 00:16:39,331 だが 群れでの生活を 理解するには    136 00:16:39,707 --> 00:16:42,209 驚異的な知性が必要だ 137 00:16:44,586 --> 00:16:48,215 20ヵ月目でも     陸生動物で最大の脳は 138 00:16:48,382 --> 00:16:52,052 さらに発達に時間がかかる 139 00:16:54,888 --> 00:17:00,227 そこで 母親は妊娠期間を 2ヵ月間 引き延ばす   140 00:17:00,561 --> 00:17:03,814 子宮へのホルモンの流れを 維持するのだ       141 00:17:13,282 --> 00:17:15,075 そうして ようやく 142 00:17:17,369 --> 00:17:19,788 外の世界へ出る準備が整う 143 00:17:26,837 --> 00:17:30,049 新生児の目は       まだ完全に機能していない 144 00:17:34,386 --> 00:17:39,349 だが 母親の低周波の  鳴き声は聞き覚えがある 145 00:17:43,145 --> 00:17:46,273 群れのメスは       優しく鳴いて彼を安心させ 146 00:17:52,446 --> 00:17:56,909 側頭腺からフェロモンを 分泌して喜びを示す   147 00:18:07,002 --> 00:18:09,171 だが 祝う時間は ほとんどない  148 00:18:11,340 --> 00:18:15,677 出産の香りは朝の空気に乗り 瞬く間に広がっていく    149 00:18:22,768 --> 00:18:27,606 メスが胎盤などを取り除き 泥で香りを消している間—— 150 00:18:33,529 --> 00:18:38,117 母親は立ってミルクを 飲むよう子供を励ます 151 00:18:54,091 --> 00:18:57,302 だが ミルクより移動が先だ 152 00:19:03,308 --> 00:19:07,813 ここには無防備なゾウを狩る ライオンの群れがいる    153 00:19:11,066 --> 00:19:13,694 だが 温暖化が進む世界では 154 00:19:14,027 --> 00:19:18,157 新生児の最大の脅威は脱水だ 155 00:19:28,333 --> 00:19:30,085 今年は雨が降っていない 156 00:19:36,633 --> 00:19:41,180 干ばつ時に水を見つけるには 家族の結束が必要だ     157 00:19:44,224 --> 00:19:47,728 子供の生存は 親の     子育てスキルに懸かっている 158 00:19:50,856 --> 00:19:55,402 すべての親が 子供を   そばで見守るわけではない 159 00:19:57,446 --> 00:20:03,076 代わりに 離れた場所から 超自然的な力で守るのだ 160 00:20:06,246 --> 00:20:08,290 エクアドルの雲霧林では 161 00:20:08,790 --> 00:20:11,585 親指の爪サイズの 悪魔のカエルが—— 162 00:20:11,919 --> 00:20:15,714 5匹のオタマジャクシの  プール探しに奔走している 163 00:20:18,467 --> 00:20:20,344 あと1つだ 164 00:20:23,597 --> 00:20:28,185 彼女は特殊な液体を分泌して 背中で子供を泳がせられる  165 00:20:33,941 --> 00:20:38,153 そして 見事な嗅覚で 貯留水を見つけ出す 166 00:20:41,865 --> 00:20:43,408 だが その場所は… 167 00:20:45,160 --> 00:20:46,203 はるか上だ 168 00:20:50,249 --> 00:20:53,460 ブロメリアは林冠の枝に 着生する        169 00:20:57,589 --> 00:21:00,175 水を吸収する土がないため 170 00:21:01,426 --> 00:21:03,095 自ら水をため込む 171 00:21:04,179 --> 00:21:06,098 完璧な保育プールだ 172 00:21:11,186 --> 00:21:13,814 だが 小さなカエルには 大変な木登りだ    173 00:21:23,949 --> 00:21:26,994 オタマジャクシを 新しい家へと送る 174 00:21:28,120 --> 00:21:29,913 だが ここに食べ物はない 175 00:21:31,164 --> 00:21:34,376 林床に戻らなければならない 176 00:21:35,669 --> 00:21:37,546 自分の子供を—— 177 00:21:38,922 --> 00:21:42,384 周囲に捕食者がいる プールに残したまま… 178 00:21:50,559 --> 00:21:52,352 だが 母親には策がある 179 00:21:56,982 --> 00:21:58,275 落ち葉の上に戻り 180 00:22:00,235 --> 00:22:03,947 小さな毒アリを むさぼり食べる 181 00:22:05,782 --> 00:22:07,826 栄養はほとんどない 182 00:22:11,330 --> 00:22:17,127 だが彼女はアリの毒を  強力な化合物に同化させ 183 00:22:20,213 --> 00:22:23,675 皮膚を殺傷兵器に変える 184 00:22:29,389 --> 00:22:31,975 化学シールドをまとったのだ 185 00:22:34,644 --> 00:22:37,981 この毒の力を        子供に渡さなければならない 186 00:22:43,820 --> 00:22:44,696 各プールに—— 187 00:22:47,199 --> 00:22:49,534 未受精卵を1つ 産む 188 00:22:52,996 --> 00:22:55,248 神経毒を含んだ卵だ 189 00:22:58,210 --> 00:23:00,212 オタマジャクシが食べると 190 00:23:02,130 --> 00:23:04,591 卵から毒が放出され 191 00:23:06,635 --> 00:23:08,470 保育プールに広がる 192 00:23:20,273 --> 00:23:25,529 シボグモは         足で味を確かめて獲物を探す 193 00:23:28,907 --> 00:23:32,702 だが この水は     毒性が強すぎて入れない 194 00:23:39,668 --> 00:23:41,711 2ヵ月間      この過保護な母親は 195 00:23:41,878 --> 00:23:44,965 毒入りの卵を    プールに産み続ける 196 00:23:48,802 --> 00:23:53,473 確実に彼らを有毒な悪魔へと 成長させるのだ       197 00:23:57,561 --> 00:23:58,937 母親のように 198 00:24:06,611 --> 00:24:09,698 子育てが より長期的な 投資になると——    199 00:24:11,116 --> 00:24:14,035 さらに卓越したスキルが 必要になる       200 00:24:18,707 --> 00:24:23,795 6匹の子育ては       特に初めての母親には大変だ 201 00:24:30,218 --> 00:24:33,638 だが このチーターが 受け継いだのは   202 00:24:34,973 --> 00:24:37,434 子だくさんで有名な  スーパーママの能力だ 203 00:24:42,481 --> 00:24:45,567 アフリカのサバンナで 大家族を養うには   204 00:24:45,734 --> 00:24:47,986 かなり特殊なスキルが必要だ 205 00:24:52,657 --> 00:24:55,619 ほぼ毎日         狩りをしなければならない 206 00:25:02,250 --> 00:25:07,088 十分な獲物を見つけるため  彼女は感覚をフルに活用する 207 00:25:13,345 --> 00:25:14,471 インパラ 208 00:25:14,846 --> 00:25:19,226 彼らは群れをまとめるため ひづめでニオイの跡を残す 209 00:25:21,019 --> 00:25:24,731 つまり 彼女も鋭い嗅覚で 彼らを追跡できるのだ  210 00:25:29,861 --> 00:25:33,365 だが 同じように     彼女の家族を追う者もいる 211 00:25:34,866 --> 00:25:38,703 より大きな捕食者は  チーターの子供を狙う 212 00:25:41,831 --> 00:25:46,545 そこで 母親は驚きの方法で 彼らの追跡を阻止する   213 00:25:49,881 --> 00:25:52,968 食事に含まれる    硫黄化合物を中和させ 214 00:25:53,301 --> 00:25:55,845 尿からニオイを取り除き 215 00:25:58,390 --> 00:26:01,268 追跡をほぼ不可能にするのだ 216 00:26:05,438 --> 00:26:08,984 ステルス型の捕食者にとって 6匹の子供は不利だ     217 00:26:12,028 --> 00:26:16,074 だが彼女は 日中の    暑い時間帯に狩りができる 218 00:26:20,203 --> 00:26:22,330 大半の捕食者は休憩中だ 219 00:26:25,250 --> 00:26:27,794 今なら安心して子供から離れ 220 00:26:29,754 --> 00:26:31,172 狩りに出られる 221 00:26:44,853 --> 00:26:49,649 深い茂みでは斑点模様の毛が 木漏れ日に溶け込むため   222 00:26:51,026 --> 00:26:53,653 ターゲットに近づきやすい 223 00:26:59,784 --> 00:27:01,202 だが最後の詰めは… 224 00:27:04,080 --> 00:27:05,957 開けた場所だ 225 00:27:10,170 --> 00:27:13,840 ここでも彼女は  熱を味方につける 226 00:27:16,092 --> 00:27:19,471 インパラの目は横向きで 視野が広い       227 00:27:25,894 --> 00:27:28,563 だが奥行き知覚は弱い 228 00:27:33,109 --> 00:27:37,364 透明マントのように  かげろうが前方を覆い 229 00:27:42,452 --> 00:27:45,830 開けた場所でも  距離を詰められる 230 00:27:52,962 --> 00:27:54,673 一歩 231 00:27:56,174 --> 00:27:57,258 また一歩 232 00:27:59,010 --> 00:28:01,096 射程圏内に入ると… 233 00:28:09,270 --> 00:28:12,065 3秒足らずで    時速約96キロに到達 234 00:28:36,381 --> 00:28:39,384 ようやく家族全員 食事にありつける 235 00:28:41,678 --> 00:28:44,472 だが ゆっくり   食べてはいられない 236 00:28:45,473 --> 00:28:47,475 時間がないのだ 237 00:28:52,188 --> 00:28:56,317 肉が露出すると     血液が酸素と混ざり合い 238 00:28:56,901 --> 00:29:00,697 そのニオイが風に乗って 遠くまで運ばれる    239 00:29:08,621 --> 00:29:11,791 だが 彼女は神秘的な能力で 危険を察知し       240 00:29:15,503 --> 00:29:17,338 常に一歩先を行く 241 00:29:24,429 --> 00:29:27,515 腹は膨れ 家族も全員無事 242 00:29:27,891 --> 00:29:31,311 そろそろ母親も  休んだほうがいい 243 00:29:32,729 --> 00:29:34,147 だが ほどほどに 244 00:29:35,690 --> 00:29:39,861 1年あまりで 子供たちを 自立させなければならない 245 00:29:44,115 --> 00:29:49,329 親には子供を巣立たせる 重大な仕事がある    246 00:29:55,376 --> 00:29:57,295 シカゴの都会のジャングルは 247 00:29:57,587 --> 00:30:00,632 子育て向きでは  ないかもしれない 248 00:30:02,550 --> 00:30:05,094 だが 特殊能力を持つ 親がいれば別だ   249 00:30:09,808 --> 00:30:14,354 ハヤブサにとって   “風の街〟は利点が多い 250 00:30:16,523 --> 00:30:21,027 ダウンタウン周辺を流れる 目に見えない気流を——   251 00:30:21,444 --> 00:30:24,531 この母親は       うまく利用しているのだ 252 00:30:29,077 --> 00:30:31,538 太陽光で地面が熱せられると 253 00:30:32,413 --> 00:30:34,457 強力な上昇気流が発生する 254 00:30:36,459 --> 00:30:40,922 それに乗りスカイライン上空 約800メートルまで上昇   255 00:30:46,511 --> 00:30:49,180 そして 急降下 256 00:30:59,732 --> 00:31:02,151 時速は約400キロ 257 00:31:03,570 --> 00:31:05,655 獲物がビルに隠れると 258 00:31:07,115 --> 00:31:11,327 ビルの間を流れる   高速の気流を利用して 259 00:31:13,037 --> 00:31:15,331 水平方向の速度を上げ 260 00:31:17,333 --> 00:31:19,460 奇襲攻撃を仕掛ける 261 00:31:26,759 --> 00:31:28,928 都会で大活躍の彼女は 262 00:31:29,512 --> 00:31:33,016 田舎に住む仲間より   多くの子供を育てている 263 00:31:40,189 --> 00:31:44,319 この5週間で      3匹のひなを丈夫に育て 264 00:31:51,659 --> 00:31:54,454 生き抜く術すべをすべて教えた 265 00:31:56,289 --> 00:31:59,042 スーパーパパとの協力体制だ 266 00:32:06,090 --> 00:32:09,260 彼らは子守と狩りを 分担して行う    267 00:32:12,180 --> 00:32:14,182 そろそろ巣立ちの時だ 268 00:32:15,892 --> 00:32:17,685 わずか8週間後には 269 00:32:17,936 --> 00:32:20,855 自力で都会を      生きていかねばならない 270 00:32:24,233 --> 00:32:28,321 子供に教え込むのは  子育ての最大の課題だ 271 00:32:32,742 --> 00:32:35,495 父親が昼食を調達しに出ると 272 00:32:40,124 --> 00:32:44,629 母親は子供たちに      過激な都市飛行を教え始める 273 00:32:50,134 --> 00:32:53,972 都会の狩りには    特有のスキルが必要だ 274 00:32:56,849 --> 00:32:58,059 複雑な熱気流を—— 275 00:32:58,184 --> 00:33:02,438 空中高速道路として利用する 方法を示さねばならない   276 00:33:08,486 --> 00:33:10,154 そこで 実演だ 277 00:33:12,156 --> 00:33:13,074 何度も 278 00:33:15,118 --> 00:33:16,160 何度も 279 00:33:18,329 --> 00:33:19,372 繰り返す 280 00:33:22,125 --> 00:33:25,628 気流の上で        バランスを取る練習を始め… 281 00:33:31,968 --> 00:33:33,511 ついに 282 00:33:35,638 --> 00:33:36,514 彼らは 283 00:33:40,226 --> 00:33:41,686 大空へ飛び立つ 284 00:33:52,447 --> 00:33:54,282 飛べるようになると 285 00:33:56,117 --> 00:33:59,495 次は より高度な曲芸飛行だ 286 00:34:14,761 --> 00:34:19,223 父親が次のレッスンのための 賞品を持って帰宅した    287 00:34:24,312 --> 00:34:28,274 獲物を落として      重力の使い方を教えるのだ 288 00:34:29,776 --> 00:34:33,112 空中を切り裂くよう 体形を変化させ   289 00:34:34,947 --> 00:34:36,407 加速する術も学ぶ 290 00:34:40,203 --> 00:34:43,289 母親は獲物パスで 難易度をアップ  291 00:34:49,712 --> 00:34:54,050 高速の獲物に対抗する   機敏性を養うには不可欠だ 292 00:35:00,973 --> 00:35:04,977 これほど教育に      時間を割く鳥は他にいない 293 00:35:08,523 --> 00:35:10,316 だが 大きな投資には 294 00:35:11,234 --> 00:35:12,819 大きな見返りがある 295 00:35:19,992 --> 00:35:23,079 1ヵ月後には 新世代の スーパーハンターが—— 296 00:35:23,204 --> 00:35:26,249 この大都市の空に舞うのだ 297 00:35:33,506 --> 00:35:35,049 このサンゴ礁には 298 00:35:35,925 --> 00:35:39,929 子供を決して離さない 小さな動物がいる   299 00:35:42,431 --> 00:35:47,562 海綿はテッポウエビの 女王が住む生きた城だ 300 00:35:49,313 --> 00:35:52,150 300匹のコロニーも一緒だ 301 00:35:53,359 --> 00:35:56,696 1匹は          米粒ほどの大きさしかない 302 00:36:00,950 --> 00:36:05,163 彼女は強い力で      彼らを支配下に置いている 303 00:36:07,290 --> 00:36:09,458 化学物質の混合物を放出し 304 00:36:10,918 --> 00:36:13,671 娘たちの繁殖能力を抑制して 305 00:36:16,048 --> 00:36:18,509 従順な労働者に変えるのだ 306 00:36:20,219 --> 00:36:22,180 彼らは休みなく働き 307 00:36:23,347 --> 00:36:26,350 海綿を掃除し  通路を整備する 308 00:36:30,104 --> 00:36:32,648 だが 臣下が皆   平等なわけではない 309 00:36:34,025 --> 00:36:36,444 兵士へと成長するエビには 310 00:36:37,195 --> 00:36:40,990 特大のはさみと     防衛本能が備わっている 311 00:36:48,831 --> 00:36:51,667 ヒトデは海綿の捕食者だ 312 00:36:53,252 --> 00:36:56,672 常に 城の中のエビを 食べようとする   313 00:36:59,508 --> 00:37:01,969 約1000倍の大きさの敵に—— 314 00:37:03,095 --> 00:37:05,806 エビたちは     団結して立ち向かう 315 00:37:20,571 --> 00:37:23,407 だが 兵士が      正面を守っている隙に—— 316 00:37:24,533 --> 00:37:26,994 後ろから       より手ごわい敵が侵入 317 00:37:30,039 --> 00:37:31,582 多毛類 318 00:37:33,167 --> 00:37:36,379 コロニーの中心に  侵入しやすい形状だ 319 00:37:39,382 --> 00:37:41,300 だが 海綿は食べない 320 00:37:43,427 --> 00:37:47,974 この顎あごは エビを     スライスするためのものだ 321 00:37:49,350 --> 00:37:52,311 労働者たちに   反撃する力はない 322 00:37:55,231 --> 00:37:58,109 だが 警報を発し応援を呼ぶ 323 00:38:07,201 --> 00:38:08,286 兵士が到着し 324 00:38:10,204 --> 00:38:12,540 最終兵器を配備する 325 00:38:15,751 --> 00:38:18,296 彼らは超高速で   はさみをかち合わせ 326 00:38:18,796 --> 00:38:23,217 水を気化して   泡を作り出すのだ 327 00:38:23,968 --> 00:38:27,138 海の圧力で泡が破裂すると 328 00:38:28,681 --> 00:38:33,227 中の水の温度は   約4000度にまで達し 329 00:38:34,979 --> 00:38:37,773 強力な衝撃波を押し出す 330 00:38:40,151 --> 00:38:41,777 それにより多毛類は 331 00:38:43,404 --> 00:38:45,072 撤退に追い込まれる 332 00:38:50,578 --> 00:38:52,997 だが 時すでに遅し 333 00:38:57,126 --> 00:38:59,628 女王は死んでしまった 334 00:39:04,008 --> 00:39:09,305 彼女の影響力がなくなると すぐに権力争いが起こる  335 00:39:12,767 --> 00:39:17,438 支配から解放された労働者は 変態を始める        336 00:39:19,273 --> 00:39:22,735 そして勝者が最初に成長し 337 00:39:23,486 --> 00:39:27,406 姉妹たちに       影響を及ぼし始めるのだ 338 00:39:35,164 --> 00:39:37,541 血統は受け継がれていく 339 00:39:39,627 --> 00:39:43,047 家族は団結した時 最も力を発揮する 340 00:39:44,715 --> 00:39:47,718 だが 常に        それができるとは限らない 341 00:39:53,724 --> 00:39:57,353 なかなか水場にたどり着けず 342 00:39:58,104 --> 00:40:00,564 この家族は分裂の危機だ 343 00:40:03,692 --> 00:40:06,362 ゾウは1日に約32キロ 移動できるが     344 00:40:08,781 --> 00:40:11,409 ついていくのに  必死なゾウもいる 345 00:40:16,705 --> 00:40:18,999 大人が1歩進むと 346 00:40:20,126 --> 00:40:23,003 子供は6歩      進まなければならない 347 00:40:25,089 --> 00:40:27,299 群れが進み続けても 348 00:40:29,051 --> 00:40:31,846 母親が          子供を見捨てることはない 349 00:40:33,514 --> 00:40:35,516 約38度の炎天下で 350 00:40:37,184 --> 00:40:38,519 彼らは疲れ果て 351 00:40:42,481 --> 00:40:44,275 脱水寸前だ 352 00:40:47,403 --> 00:40:49,071 死も近い 353 00:40:52,199 --> 00:40:56,787 冷たい土に触れさせ  子供の苦痛を和らげる 354 00:40:58,456 --> 00:41:00,166 こうして時間を稼ぎ 355 00:41:02,042 --> 00:41:05,254 彼女は最大の能力を 呼び覚ます     356 00:41:11,969 --> 00:41:16,765 前傾になり体重を移動して 頭と足の位置を合わせ   357 00:41:18,767 --> 00:41:22,354 前足を広げて      地面に完全に密着させる 358 00:41:24,356 --> 00:41:27,776 ここから彼女は    驚くべき能力を見せる 359 00:41:32,114 --> 00:41:34,283 家族を感じるのだ 360 00:41:37,745 --> 00:41:39,497 約5キロ先では 361 00:41:43,542 --> 00:41:46,712 鼻を使って       鳴き声の周波数を低くし 362 00:41:48,088 --> 00:41:51,342 群れが地面を通して 振動を送っている  363 00:41:55,179 --> 00:41:59,016 母親の足にある感受性細胞が 音を拾い          364 00:41:59,225 --> 00:42:02,603 骨格を通して耳へと導く 365 00:42:07,775 --> 00:42:12,363 位置を変えることで    メッセージの方向や意味を 366 00:42:13,322 --> 00:42:14,865 読み解くのだ 367 00:42:18,202 --> 00:42:20,579 家族が2頭を急せかしている 368 00:42:24,333 --> 00:42:26,460 子供は もう限界だ 369 00:42:36,053 --> 00:42:37,888 だが母親は諦めない 370 00:42:39,265 --> 00:42:42,226 家族の催促には 理由があるのだ 371 00:42:49,358 --> 00:42:52,194 同じように遠くの振動を 感知する能力で     372 00:42:53,320 --> 00:42:55,406 彼らは自然の音を聞いていた 373 00:42:57,283 --> 00:43:01,787 雷雨もまた       超低周波音を発生させる 374 00:43:05,082 --> 00:43:09,086 ゾウは約160キロ以上先から その音を感知できる    375 00:43:10,921 --> 00:43:13,173 地面から音を聞きながら—— 376 00:43:18,012 --> 00:43:20,764 群れは その源へと 向かっていく   377 00:43:26,687 --> 00:43:28,981 空腹で 体も弱っている 378 00:43:30,983 --> 00:43:35,696 だが 命をつなぐ水に呼ばれ 歩みを進めていく     379 00:43:44,622 --> 00:43:45,873 そして ついに… 380 00:43:51,754 --> 00:43:53,297 目の前に水場が 381 00:44:00,512 --> 00:44:03,641 希望のメッセージが 遠くまで伝わり   382 00:44:04,975 --> 00:44:06,810 他のゾウも集まってきた 383 00:44:09,688 --> 00:44:13,651 親戚一同が     再会を果たしたのだ 384 00:44:15,819 --> 00:44:16,904 2頭以外は 385 00:44:22,159 --> 00:44:24,536 赤ちゃんゾウは まだ苦戦中だ  386 00:44:26,664 --> 00:44:29,166 だが母親は決して離れない 387 00:44:32,002 --> 00:44:33,629 水場は すぐそこだ 388 00:44:34,546 --> 00:44:36,131 ニオイも感じる 389 00:45:06,787 --> 00:45:08,872 家族が集まり 390 00:45:10,541 --> 00:45:14,753 会話や協力を通して ひとつになれば   391 00:45:18,757 --> 00:45:21,176 どんなに小さくても 全員に——      392 00:45:23,053 --> 00:45:25,681 生き残るチャンスが生まれる 393 00:45:39,194 --> 00:45:43,824 血統を継いでいくことは 人生の究極の使命だ   394 00:45:49,621 --> 00:45:55,586 あらゆる特殊能力を駆使して 家族を養い         395 00:45:58,756 --> 00:46:00,132 未来を守る 396 00:46:01,800 --> 00:46:03,427 新世代の—— 397 00:46:04,845 --> 00:46:06,847 すばらしい動物たちのために 398 00:46:12,936 --> 00:46:15,105 自然界に      詳しいつもりなら—— 399 00:46:17,316 --> 00:46:18,525 まだまだだ 400 00:46:41,423 --> 00:46:43,425 日本版字幕 中村 留美