1 00:00:08,174 --> 00:00:09,426 足を踏み入れよう 2 00:00:11,011 --> 00:00:13,179 知覚を超えた世界に 3 00:00:18,977 --> 00:00:22,272 隠された力や  超感覚を持つ—— 4 00:00:23,106 --> 00:00:26,651 驚異的な動物たちの世界 5 00:00:27,569 --> 00:00:29,863 自然界に      詳しいつもりなら—— 6 00:00:32,615 --> 00:00:33,825 まだまだだ 7 00:00:35,410 --> 00:00:39,664 超/自然 8 00:00:42,292 --> 00:00:43,918 極限を生き抜くには 9 00:00:45,920 --> 00:00:48,381 ナレーション ベネディクト・ カンバーバッチ 10 00:00:46,421 --> 00:00:48,089 限界を超えねばならない 11 00:00:52,761 --> 00:00:54,262 イタリアアルプスに—— 12 00:00:56,806 --> 00:00:58,475 そびえ立つダム 13 00:01:02,312 --> 00:01:05,023 高さはゴールデンゲート・ ブリッジに匹敵する   14 00:01:08,735 --> 00:01:10,945 ここに隠された宝がある 15 00:01:14,240 --> 00:01:15,325 塩だ 16 00:01:16,201 --> 00:01:17,952 壁から流れ出る塩 17 00:01:20,121 --> 00:01:21,623 この辺りでは珍しく 18 00:01:22,207 --> 00:01:25,001 アイベックスが    命賭けで求めるほどだ 19 00:01:33,093 --> 00:01:35,053 この垂直に近い壁を 登るには      20 00:01:35,136 --> 00:01:37,806 卓越したクライミング技術が 求められる         21 00:01:44,562 --> 00:01:49,192 天性の登山家は まるで  公園を散歩しているようだ 22 00:01:52,237 --> 00:01:54,614 だが 子供はどうだろう? 23 00:01:57,492 --> 00:01:58,743 この絶壁を—— 24 00:02:00,954 --> 00:02:02,705 初めて登るのだ 25 00:02:12,006 --> 00:02:14,843 母親についていくしかない 26 00:02:17,387 --> 00:02:19,848 落ちれば確実に死ぬ 27 00:02:27,147 --> 00:02:29,023 だが 一歩進むごとに 28 00:02:29,315 --> 00:02:32,026 彼は優れたグリップ力を 認識する        29 00:02:33,528 --> 00:02:37,407 上に登れば登るほど 斜面は垂直に近づく 30 00:02:43,371 --> 00:02:47,292 生存を左右するのは 彼の天性の超能力だ 31 00:02:52,130 --> 00:02:56,259 柔らかい足裏は どんな 小さな隆起部もつかめる 32 00:02:59,262 --> 00:03:02,182 ひづめの硬いエッジの内側に ロックするのだ       33 00:03:08,897 --> 00:03:10,273 バランスを取る 34 00:03:12,442 --> 00:03:14,652 一歩一歩が危うい 35 00:03:19,699 --> 00:03:22,493 子供には極度に疲れる仕事だ 36 00:03:40,178 --> 00:03:43,097 危機一髪で母親が気づいた 37 00:03:47,727 --> 00:03:50,104 子供に充電の機会を与える 38 00:03:53,483 --> 00:03:55,485 5分間の仮眠だ 39 00:04:11,376 --> 00:04:13,670 高さ約45メートル 40 00:04:16,214 --> 00:04:19,884 ついにゴールに到達した 41 00:04:23,304 --> 00:04:26,224 コンクリートの2割に 含まれる塩分を——   42 00:04:27,558 --> 00:04:31,604 ダムから浸透する水が 表面へと運ぶ     43 00:04:34,274 --> 00:04:36,067 そうは見えないが—— 44 00:04:36,442 --> 00:04:41,197 このミネラル補給は 子供の 丈夫な成長には欠かせない 45 00:04:45,618 --> 00:04:48,288 全身に活力を与え 46 00:04:49,372 --> 00:04:51,916 壮大な登頂は完了 47 00:04:56,212 --> 00:05:00,717 命懸けの任務は       多くの動物にとって不可欠だ 48 00:05:03,636 --> 00:05:08,766 その驚異的な成功のカギは 今も発見され続けている  49 00:05:10,977 --> 00:05:15,815 想像を絶する旅 50 00:05:28,244 --> 00:05:30,997 ブラジル北東部の砂丘 51 00:05:32,832 --> 00:05:35,501 ロサンゼルスより 広大な土地に——  52 00:05:37,795 --> 00:05:40,923 赤道直下の太陽が 猛烈に照りつける 53 00:05:49,932 --> 00:05:54,062 横断を試みる多くの者が それを成し遂げられない 54 00:05:57,982 --> 00:05:59,776 だがチャンスはある 55 00:06:00,360 --> 00:06:02,445 彼らを見つけるのだ 56 00:06:07,992 --> 00:06:10,745 彼女は5ヵ月の    冬眠状態から目覚めた 57 00:06:11,204 --> 00:06:12,830 何も口にしていない 58 00:06:15,625 --> 00:06:17,460 ブラジルスライダー 59 00:06:18,294 --> 00:06:21,714 普段は水中に生息するカメだ 60 00:06:25,343 --> 00:06:27,762 何かが彼女を   目覚めさせたのだ 61 00:06:30,723 --> 00:06:34,769 その鋭い嗅覚は    湿度の変化を感知する 62 00:06:35,978 --> 00:06:39,690 生き残るための  唯一の望みは水だ 63 00:06:43,236 --> 00:06:44,737 だが たどり着くには 64 00:06:45,613 --> 00:06:48,199 不可能に        挑戦しなくてはならない 65 00:06:51,619 --> 00:06:56,624 灼熱しゃくねつの砂丘を      何日もかけて旅するのだ 66 00:07:02,922 --> 00:07:06,926 絶えず水分が失われていく 67 00:07:10,930 --> 00:07:12,682 しかも風が吹くと 68 00:07:13,808 --> 00:07:16,018 水のニオイが消えてしまう 69 00:07:22,066 --> 00:07:25,069 さあ この先はどっちだ? 70 00:07:30,491 --> 00:07:34,662 この厳しい環境では   すぐに干上がってしまう 71 00:07:37,623 --> 00:07:42,712 だが この照りつける太陽は 彼女を導く光でもある   72 00:07:46,841 --> 00:07:48,426 位置をコンパス代わりに—— 73 00:07:50,178 --> 00:07:51,846 進路をたどるのだ 74 00:08:05,151 --> 00:08:07,028 目的地は近い 75 00:08:08,070 --> 00:08:09,864 ギリギリ間に合った 76 00:08:14,202 --> 00:08:15,703 雨が降り始めると 77 00:08:16,662 --> 00:08:19,457 魔法のような変化が始まる 78 00:08:24,170 --> 00:08:27,882 大半の砂丘では      水はすぐ砂に浸透していく 79 00:08:34,347 --> 00:08:41,020 だがここでは 地下にある  硬い岩の層が水をブロックし 80 00:08:42,438 --> 00:08:45,233 何千ものプールが作られる 81 00:08:49,153 --> 00:08:51,280 最後に難関がもう1つ 82 00:09:11,342 --> 00:09:14,595 ここからは ずっと下り坂だ 83 00:09:18,766 --> 00:09:21,811 スライダーの得意技を 披露しよう      84 00:09:43,249 --> 00:09:45,668 澄み切ったオアシス 85 00:09:52,925 --> 00:09:55,136 このプールが食料を運び 86 00:10:00,683 --> 00:10:02,768 出会いのチャンスをくれる 87 00:10:07,064 --> 00:10:11,944 水がなくなり 灼熱の砂丘に 戻る前のひと時だ     88 00:10:21,412 --> 00:10:24,457 比類なき旅は    世界中にあるのだが 89 00:10:26,417 --> 00:10:28,252 見落とされがちだ 90 00:10:32,632 --> 00:10:34,050 ロンドン市街 91 00:10:35,760 --> 00:10:38,554 入り組んだ人工の迷路だ 92 00:10:42,016 --> 00:10:44,268 だが壁の後ろに潜むのは 93 00:10:47,438 --> 00:10:51,776 都会のジャングルを   知り尽くした動物たちだ 94 00:10:54,904 --> 00:10:59,325 セイヨウオオマルハナバチが 任務に出ようとしている   95 00:11:01,702 --> 00:11:07,541 女王バチの幼虫のエサを探し コロニーの未来を守るのだ  96 00:11:14,674 --> 00:11:16,425 言うほど簡単ではない 97 00:11:18,969 --> 00:11:23,182 複雑なコンクリートの通路は 進むのが大変だ       98 00:11:26,018 --> 00:11:27,395 だが彼女は違う 99 00:11:29,897 --> 00:11:33,901 タクシー運転手のように 彼女には知識がある   100 00:11:35,736 --> 00:11:39,198 目印を熟知し       頭の中に地図を描けるのだ 101 00:11:39,990 --> 00:11:42,910 とはいえ        動いてしまうものもある 102 00:11:50,751 --> 00:11:54,588 だが こんなことで 止まるハチではない 103 00:11:56,465 --> 00:12:00,636 彼女は蜜を求め 1日最長で 約11キロの距離を旅する  104 00:12:02,847 --> 00:12:05,099 たどり着いたのは ここ 105 00:12:06,767 --> 00:12:10,563 市の4分の1を占める 300万もの庭の1つだ 106 00:12:13,107 --> 00:12:15,317 しかも花は満開 107 00:12:18,946 --> 00:12:24,827 目の中の何千ものレンズが  蜜の多い花の形や色を感知し 108 00:12:27,037 --> 00:12:32,126 紫外線視覚は 花弁の秘密の 模様を浮かび上がらせる  109 00:12:37,089 --> 00:12:39,133 だが 先客がいたようだ 110 00:12:40,843 --> 00:12:43,220 そこで手つかずの花を求め 111 00:12:44,430 --> 00:12:47,391 彼女は目に見えない力を 利用する        112 00:12:50,686 --> 00:12:54,565 ハチは飛ぶと        大気から正の電荷を帯びるが 113 00:12:58,527 --> 00:13:02,031 花は負の電荷を帯びている 114 00:13:03,949 --> 00:13:09,330 正のハチが負の花を訪れると 一時的に電場が変化し    115 00:13:12,249 --> 00:13:15,586 足の毛が        その変化を感知するのだ 116 00:13:19,423 --> 00:13:22,718 毎回 大当たり間違いなし 117 00:13:27,014 --> 00:13:29,892 だが 彼女の旅は 始まったばかりだ 118 00:13:37,775 --> 00:13:40,194 働きバチと呼ばれるのには 理由がある        119 00:13:43,614 --> 00:13:46,951 彼女が訪れる花の数は 1日に最高で5000   120 00:13:51,539 --> 00:13:54,041 道順をすべて覚えながら—— 121 00:13:55,292 --> 00:14:00,214 自分の体重ほどの粉や蜜を 巣まで持ち帰る      122 00:14:03,759 --> 00:14:07,555 女王とコロニーのための 王室デリバリーだ    123 00:14:13,018 --> 00:14:16,939 多くの動物が日々    大変な移動を続けている 124 00:14:20,484 --> 00:14:24,071 その一方で    何ヵ月もかけて—— 125 00:14:24,989 --> 00:14:27,616 大移動する動物もいるのだ 126 00:14:30,828 --> 00:14:32,580 冬が近づいている 127 00:14:34,707 --> 00:14:36,500 日は短くなり 128 00:14:38,794 --> 00:14:40,838 食べ物も残りわずか 129 00:14:50,306 --> 00:14:53,142 子供のザトウクジラには 悪いニュースだ     130 00:15:04,820 --> 00:15:07,698 彼は母親と共に  南極にやってきた 131 00:15:09,199 --> 00:15:13,662 だが今は この広大な海で 独りぼっちだ      132 00:15:17,166 --> 00:15:19,501 間もなく哺乳類の中でも—— 133 00:15:19,710 --> 00:15:23,589 特に長い移動を    始めなければならない 134 00:15:26,133 --> 00:15:31,513 1日に約130キロ泳ぎ   北の温かい海を目指すのだ 135 00:15:35,017 --> 00:15:37,728 だが 特徴のない海を 約4800キロも——   136 00:15:37,853 --> 00:15:39,647 どう進むのだろうか 137 00:15:39,772 --> 00:15:42,816 強い海流で        進路を外れる可能性もある 138 00:15:46,946 --> 00:15:48,739 そこで軌道維持のため 139 00:15:49,073 --> 00:15:52,952 神秘的な惑星の現象を 利用する       140 00:16:05,506 --> 00:16:09,593 太陽からの荷電粒子が 大気とぶつかると   141 00:16:10,636 --> 00:16:13,514 それらが南の空を照らす 142 00:16:18,143 --> 00:16:21,397 だが美しいだけではない 143 00:16:23,440 --> 00:16:28,320 南極光は地球の磁場を 可視化する      144 00:16:29,029 --> 00:16:33,200 クジラは脳の磁性粒子を使い この見えない力を——     145 00:16:33,450 --> 00:16:36,203 感知すると     考えられているのだ 146 00:16:40,916 --> 00:16:43,127 この体内コンパスが—— 147 00:16:43,502 --> 00:16:48,173 ザトウクジラの進路を  1度単位の正確さで保つ 148 00:16:52,553 --> 00:16:55,180 だが たどり着いた 外洋では     149 00:16:55,764 --> 00:16:59,518 エサとなる魚や甲殻類を 見つけにくい      150 00:17:03,355 --> 00:17:06,233 最後に食べたのは 何週間も前だ   151 00:17:12,114 --> 00:17:13,115 だが そこで… 152 00:17:15,492 --> 00:17:17,161 彼は何かを聞いた 153 00:17:22,750 --> 00:17:25,252 体が巨大なマイクとなり 154 00:17:26,211 --> 00:17:29,381 音の振動が骨格を通して—— 155 00:17:30,382 --> 00:17:31,967 頭部へと伝わる 156 00:17:34,303 --> 00:17:38,682 何百キロも先にいる  仲間たちの歓迎の声だ 157 00:17:44,646 --> 00:17:47,858 彼は大きくなる音のほうへと 進んでいく         158 00:17:51,820 --> 00:17:55,741 ついに 南極を出発して 5週間後——      159 00:17:56,158 --> 00:18:00,120 仲間たちと一緒に   ごちそうにありつける 160 00:18:06,085 --> 00:18:09,379 地球上で最大級の   ザトウクジラの集合だ 161 00:18:10,547 --> 00:18:12,299 その数 数百頭 162 00:18:19,306 --> 00:18:24,103 この年に一度の集合は  最近 発見されたばかりだ 163 00:18:31,360 --> 00:18:33,862 アフリカの沖合約5キロでは 164 00:18:34,029 --> 00:18:37,616 強い流れが        栄養分の上昇を引き起こし 165 00:18:38,075 --> 00:18:40,577 生命が爆発的に増加する 166 00:18:44,456 --> 00:18:49,628 ひと口で 何千もの    魚やエビを飲み込めるのだ 167 00:18:52,005 --> 00:18:54,466 15万キロカロリー 168 00:18:55,509 --> 00:18:59,346 チョコレートバー600個分の カロリーに相当する    169 00:19:03,142 --> 00:19:06,895 腹を満たしたら 仲間と別れ 170 00:19:07,479 --> 00:19:09,773 独りで         出発しなければならない 171 00:19:11,108 --> 00:19:14,486 北への壮大な旅を 完遂するために  172 00:19:20,492 --> 00:19:24,705 地球を旅する能力を持つ 動物は多い       173 00:19:25,581 --> 00:19:30,502 だが 最も勇敢なのは  思いもよらない生き物だ 174 00:19:36,550 --> 00:19:38,343 イギリスの田舎町 175 00:19:43,098 --> 00:19:46,476 カップボードスパイダーの 赤ちゃんの家だ      176 00:19:52,858 --> 00:19:55,569 針の頭ほどの大きさしかない 177 00:20:00,324 --> 00:20:04,369 彼女には      約200匹の兄弟がいる 178 00:20:11,251 --> 00:20:16,548 その兄弟たちは 恐ろしく テーブルマナーが悪い  179 00:20:19,176 --> 00:20:20,719 この子グモたちは 180 00:20:21,803 --> 00:20:23,180 共食いする 181 00:20:39,488 --> 00:20:43,867 こんな家族の食事に  付き合うのはゴメンだ 182 00:20:49,456 --> 00:20:50,791 逃げたほうがいい 183 00:20:51,375 --> 00:20:54,503 できるだけ早く  できるだけ遠くへ 184 00:21:03,262 --> 00:21:07,975 問題は 兄弟たちも   同じ計画だということだ 185 00:21:15,107 --> 00:21:17,985 これ以上      進むこともできない 186 00:21:21,738 --> 00:21:24,116 だが脱走となれば 187 00:21:24,616 --> 00:21:27,995 このクモには     並外れたスキルがある 188 00:21:33,000 --> 00:21:36,420 彼女は        負電荷を持つ絹糸を—— 189 00:21:37,921 --> 00:21:40,424 正電荷を持つ大気に発射する 190 00:21:44,970 --> 00:21:46,972 相反する力が引き合い 191 00:21:50,017 --> 00:21:51,351 彼女を上へ 192 00:21:53,812 --> 00:21:54,396 上へと 193 00:21:56,440 --> 00:21:57,649 引き離す 194 00:22:01,862 --> 00:22:03,030 空高く飛び 195 00:22:05,073 --> 00:22:06,616 風に乗り 196 00:22:08,327 --> 00:22:10,579 ジェット気流も乗りこなして 197 00:22:12,372 --> 00:22:15,292 何千キロも旅することが できるのだ       198 00:22:22,424 --> 00:22:24,051 このバルーニングで 199 00:22:24,509 --> 00:22:27,637 地球の隅々まで移動し コロニーを形成できる 200 00:22:32,851 --> 00:22:34,644 風の吹くままになり 201 00:22:35,437 --> 00:22:38,899 着地場所は      コントロールできない 202 00:22:45,489 --> 00:22:51,244 だが その砂粒ほどの重さは 水面を揺らすこともない  203 00:23:01,671 --> 00:23:05,050 もう一度      魔法の絹糸を発射し 204 00:23:08,387 --> 00:23:11,264 安全な場所へ      カイトサーフするだけだ 205 00:23:17,521 --> 00:23:20,982 新たな家となる場所に到着 206 00:23:31,952 --> 00:23:35,664 ある動物の旅は    タイミングがすべてだ 207 00:23:36,790 --> 00:23:39,418 惑星が一列に並ぶのを待ち 208 00:23:40,252 --> 00:23:42,838 ある世界を越えて 209 00:23:44,714 --> 00:23:45,590 別の世界へ 210 00:23:51,304 --> 00:23:53,723 体長約90センチの    マモンツキテンジクザメ 211 00:23:55,934 --> 00:23:58,520 冒険好きの旅人には見えない 212 00:24:03,108 --> 00:24:06,778 自分の居場所を     遠く離れることもマレだ 213 00:24:16,121 --> 00:24:18,457 だが ある特別な夜—— 214 00:24:21,501 --> 00:24:25,589 天体が彼の世界を一変させる 215 00:24:28,800 --> 00:24:30,177 満月になると 216 00:24:30,844 --> 00:24:35,390 大潮によって        何十億リットルもの水が引き 217 00:24:43,482 --> 00:24:48,111 迷路のような潮だまりに 生き物が取り残される  218 00:24:52,032 --> 00:24:53,408 さらに悪いことに 219 00:24:58,705 --> 00:25:03,251 砂浜に乗り上げた魚は   間もなく窒息死してしまう 220 00:25:12,802 --> 00:25:15,931 特別な魚を除いて… 221 00:25:19,309 --> 00:25:21,144 歩くサメだ 222 00:25:25,690 --> 00:25:28,068 彼は身を守るだけでなく 223 00:25:30,570 --> 00:25:32,072 獲物を探している 224 00:25:34,699 --> 00:25:37,619 彼が向かう潮だまりには 225 00:25:40,664 --> 00:25:43,792 潮に流された獲物が豊富だ 226 00:25:47,170 --> 00:25:50,632 筋肉の発達したエラから 水を噴出させ      227 00:25:51,716 --> 00:25:54,219 追い詰めた獲物を吸い込む 228 00:26:15,031 --> 00:26:17,534 だが時間との闘いだ 229 00:26:31,590 --> 00:26:35,260 潮だまりの酸素濃度は 急速に低下する    230 00:26:39,180 --> 00:26:41,725 すぐに力尽きてしまう 231 00:26:44,352 --> 00:26:48,857 潮が満ちるまでの1時間 彼は死と隣り合わせだ  232 00:26:57,157 --> 00:26:59,784 だが このような極限状態は 233 00:27:00,243 --> 00:27:03,955 非常に珍しい生理現象を 引き起こす       234 00:27:06,499 --> 00:27:07,751 呼吸を遅くし 235 00:27:09,711 --> 00:27:11,463 心拍数を下げ 236 00:27:13,131 --> 00:27:15,759 脳の一部まで停止させる 237 00:27:17,969 --> 00:27:22,015 自己誘発性の    昏睡状態になるのだ 238 00:27:27,687 --> 00:27:32,942 最後の一呼吸で 1時間 生き延びることができる 239 00:27:39,491 --> 00:27:42,911 だが それ以降は時間切れだ 240 00:27:47,415 --> 00:27:50,377 ようやく潮流が変わり 241 00:27:52,504 --> 00:27:55,715 彼は酸素の豊富な海の中へ 242 00:28:01,971 --> 00:28:04,265 奇跡の復活だ 243 00:28:12,565 --> 00:28:15,527 恐らく最も不可能な旅は 244 00:28:16,277 --> 00:28:18,863 動くことのできない者の 旅だろう        245 00:28:24,202 --> 00:28:26,746 植物が広がっていく秘密 246 00:28:28,832 --> 00:28:30,250 それは種だ 247 00:28:34,421 --> 00:28:36,798 新生活用の材料を詰め込み 248 00:28:37,882 --> 00:28:39,592 準備は万全だ 249 00:28:41,720 --> 00:28:44,556 爆発のメカニズムを 進化させた植物や  250 00:28:46,391 --> 00:28:48,810 風を利用する植物 251 00:28:53,606 --> 00:28:55,525 だが ずる賢い植物は 252 00:28:56,359 --> 00:28:59,028 大変な仕事を人任せにする 253 00:29:04,117 --> 00:29:08,037 アフリカの平原に生息する メスのフンコロガシ    254 00:29:11,624 --> 00:29:15,336 彼女が苦労を       惜しまないものが1つある 255 00:29:21,968 --> 00:29:25,764 アンテロープのフンの 甘い香り       256 00:29:27,599 --> 00:29:29,684 子供たちの完璧な食事だ 257 00:29:32,687 --> 00:29:34,272 触覚を使い 258 00:29:36,775 --> 00:29:39,444 一番ジューシーな ごちそうを選ぶ  259 00:29:42,030 --> 00:29:43,490 香りもいい 260 00:29:48,203 --> 00:29:49,579 見た目もいい 261 00:29:55,460 --> 00:29:57,337 転がり方もいい 262 00:30:00,924 --> 00:30:03,718 だが このフンは偽物だ 263 00:30:06,930 --> 00:30:11,726 本物だと信じた彼女は    そのために戦う覚悟を決めた 264 00:30:31,579 --> 00:30:36,960 勝利を収め         ライバルから賞品を遠ざける 265 00:30:41,381 --> 00:30:43,800 ダマされているとも知らず 266 00:30:46,135 --> 00:30:48,221 隠しているつもりだが 267 00:30:49,889 --> 00:30:52,684 実は 植えているのだ 268 00:30:56,688 --> 00:30:58,606 彼女は乗り物に過ぎない 269 00:30:59,649 --> 00:31:04,571 狡猾こうかつなエレファントリードは それに乗って旅をする    270 00:31:15,081 --> 00:31:19,002 ある動物が      生涯の旅に出る目的は 271 00:31:20,420 --> 00:31:23,006 始まりの場所に戻ることだ 272 00:31:29,137 --> 00:31:33,975 この幼虫は長い間    ハンガリーの川床にいる 273 00:31:36,978 --> 00:31:39,063 この3年間—— 274 00:31:39,772 --> 00:31:44,235 驚くべき旅に備え   体力をつけているのだ 275 00:31:47,155 --> 00:31:49,866 ちょうどいい水温になると 276 00:31:56,122 --> 00:31:58,374 彼女は ある世界から 277 00:31:59,709 --> 00:32:02,503 別の世界へと旅立つ 278 00:32:07,175 --> 00:32:09,761 魔法のような変態 279 00:32:14,307 --> 00:32:16,267 カゲロウの誕生だ 280 00:32:17,852 --> 00:32:19,687 1匹だけではない 281 00:32:21,856 --> 00:32:24,192 毎分 何千匹もが姿を現す 282 00:32:40,541 --> 00:32:42,669 多くは捕食されてしまうが 283 00:32:45,213 --> 00:32:47,465 これだけいれば安心だ 284 00:32:51,594 --> 00:32:55,598 だが その数が     彼女の最大の課題となる 285 00:32:57,475 --> 00:33:00,269 彼女を求婚者の大群が囲む 286 00:33:06,693 --> 00:33:10,405 8000個もの受精卵で体が重い 287 00:33:11,030 --> 00:33:12,782 早く産まなければ 288 00:33:16,327 --> 00:33:19,330 ここは子供の成長には最適だ 289 00:33:20,999 --> 00:33:24,919 だが ここで産むと 卵が流されてしまう 290 00:33:28,548 --> 00:33:31,342 さらに上流に   行かねばならない 291 00:33:42,228 --> 00:33:45,857 その偏光視覚は    川に反射した光を拾う 292 00:33:47,066 --> 00:33:51,070 最終目的地へと続く キラキラ輝く道だ  293 00:33:54,157 --> 00:33:57,702 わずか数時間で   彼女は約10キロ進む 294 00:34:01,372 --> 00:34:02,665 死が迫る中—— 295 00:34:03,249 --> 00:34:07,086 自分の命が始まった場所に たどり着いた       296 00:34:09,714 --> 00:34:12,258 産卵には最適な場所だ 297 00:34:13,134 --> 00:34:15,553 ここなら卵は下流へ流され 298 00:34:16,054 --> 00:34:20,475 彼女が育った       まさにその場所で孵化ふかする 299 00:34:24,645 --> 00:34:28,733 彼女の命が終わり 新たな命が始まる 300 00:34:32,862 --> 00:34:35,615 次は子供たちが旅を経て 301 00:34:37,241 --> 00:34:40,703 始まりの場所へと 戻ってくるのだ  302 00:34:52,423 --> 00:34:54,425 新たな旅立ちは 303 00:34:55,968 --> 00:34:58,137 時に最初の一歩になる 304 00:35:00,056 --> 00:35:02,683 何よりも恐ろしいものだ 305 00:35:06,771 --> 00:35:09,315 20時間かけて外へ出るひな鳥 306 00:35:19,617 --> 00:35:22,453 ウミバトの子供が 最初に見る世界は… 307 00:35:23,329 --> 00:35:24,455 これだ 308 00:35:33,631 --> 00:35:36,884 高さ約300メートル 309 00:35:39,428 --> 00:35:42,598 まるでエンパイアステート ビルの最上階からの眺めだ 310 00:35:46,727 --> 00:35:49,939 なぜ このような     危険な場所で産まれるのか 311 00:35:53,151 --> 00:35:57,446 このアイスランドの崖は 捕食者が近づきにくい  312 00:35:58,364 --> 00:36:00,533 安心して成長できる場だ 313 00:36:01,367 --> 00:36:05,371 だが 3週間後には 巣立ちの時を迎え 314 00:36:06,664 --> 00:36:09,792 ひな鳥は          生死を分ける決断を迫られる 315 00:36:14,505 --> 00:36:17,341 両親との絆はすでに強い 316 00:36:19,510 --> 00:36:22,471 孵化する前から    はぐくまれているのだ 317 00:36:24,056 --> 00:36:27,185 初めての優しい鳴き声に こたえて——       318 00:36:28,561 --> 00:36:32,607 両親は卵の中の子供に 話しかける      319 00:36:38,905 --> 00:36:40,990 この初期の会話により 320 00:36:41,991 --> 00:36:46,787 ひな鳥はすでに両親を認識し 信頼することができるのだ  321 00:36:55,713 --> 00:37:01,177 両親は この先の旅に備え 子供に食事を与え続ける 322 00:37:06,057 --> 00:37:07,767 だが時がたつにつれ 323 00:37:08,059 --> 00:37:11,354 食欲を満たすのが 難しくなっていく 324 00:37:23,115 --> 00:37:26,202 しかも崖の上の我が家が—— 325 00:37:26,953 --> 00:37:28,663 見つかってしまった 326 00:37:31,123 --> 00:37:32,500 カラスだ 327 00:37:35,544 --> 00:37:38,381 捕食者は         最高で7割のひな鳥を殺す 328 00:37:39,882 --> 00:37:43,511 両親は脅威に対して なす術すべもない    329 00:37:46,138 --> 00:37:49,016 今回はひな鳥の運がよかった 330 00:37:52,144 --> 00:37:55,439 だが カラスが戻る前に 巣を出なければ    331 00:38:01,195 --> 00:38:02,363 問題は 332 00:38:03,322 --> 00:38:07,076 大人の羽根がないと 飛べないことだ   333 00:38:15,835 --> 00:38:19,839 父親がジャンプするよう 彼女を励ます      334 00:38:23,384 --> 00:38:27,096 100階の高さを超える 垂直降下だ     335 00:38:37,857 --> 00:38:40,276 父親を信じ切り 336 00:38:40,818 --> 00:38:43,904 ひな鳥が思い切ってジャンプ 337 00:39:06,385 --> 00:39:09,096 ひな鳥の羽ばたきは 無駄に見える    338 00:39:15,644 --> 00:39:19,065 だが降下の速度を落とし 339 00:39:20,232 --> 00:39:23,444 とがった岩を避けるには 十分だ         340 00:39:49,345 --> 00:39:52,390 柔らかい羽が     着水の衝撃を和らげる 341 00:39:55,142 --> 00:39:59,397 この一見 不可能な旅は 彼女の生存には不可欠だ 342 00:40:01,273 --> 00:40:05,820 これで父親は        彼女を食べ物へと誘導できる 343 00:40:11,409 --> 00:40:13,786 今後 多くの障害に 直面しても——   344 00:40:14,995 --> 00:40:19,333 彼女の並外れた勇気で  乗り越えていけるだろう 345 00:40:36,142 --> 00:40:38,936 その優れた感覚や 346 00:40:41,188 --> 00:40:42,857 超自然的なスキルで 347 00:40:47,027 --> 00:40:48,529 地球を横断し 348 00:40:50,739 --> 00:40:52,950 水中から空中へ移動して 349 00:40:54,410 --> 00:40:55,453 配偶者や 350 00:40:57,413 --> 00:41:00,458 安全な場所や  食料を探す時—— 351 00:41:01,167 --> 00:41:04,503 動物たちは       まさに無敵の存在となる 352 00:41:06,046 --> 00:41:07,840 自然界に      詳しいつもりなら—— 353 00:41:09,842 --> 00:41:10,885 まだまだだ 354 00:41:35,034 --> 00:41:37,036 日本版字幕 中村 留美