1
00:00:17,603 --> 00:00:22,003
‎NETFLIX
‎ドキュメンタリーシリーズ

2
00:00:27,043 --> 00:00:29,043
‎地球の北端には

3
00:00:29,563 --> 00:00:32,843
‎極限の地が広がっている

4
00:00:37,923 --> 00:00:39,483
‎冬が来ると

5
00:00:43,203 --> 00:00:46,203
‎北極の風が
‎急激に気温を下げる

6
00:00:49,843 --> 00:00:54,123
‎寒さに強いアラスカヒグマも
‎避難が必要だ

7
00:01:02,563 --> 00:01:05,203
‎耐え難い極寒に迫られ

8
00:01:07,083 --> 00:01:10,323
‎彼らは
‎壮大な旅をすることになる

9
00:01:15,083 --> 00:01:18,843
‎北極が 暗く寒い冬へ
‎その軸を傾けると

10
00:01:24,043 --> 00:01:28,723
‎クマたちは
‎山の高いところへと登り…

11
00:01:33,003 --> 00:01:35,443
‎急斜面を掘り進み

12
00:01:36,643 --> 00:01:38,523
‎ほら穴などに身を隠す

13
00:01:41,683 --> 00:01:43,203
‎標高の高い場所で

14
00:02:12,723 --> 00:02:14,923
‎地球の最果てに住むクマは

15
00:02:16,803 --> 00:02:20,923
‎それぞれの季節特有の
‎困難を乗り越えねばならない

16
00:02:23,963 --> 00:02:24,843
‎そのため

17
00:02:26,363 --> 00:02:30,283
‎宇宙との特別なつながりを
‎頼るのだ

18
00:02:31,283 --> 00:02:34,723
‎クマという生命体に
‎刻まれているのは

19
00:02:34,803 --> 00:02:36,883
‎45億年にわたる⸺

20
00:02:38,443 --> 00:02:42,003
‎地球史における
‎重要な出来事の数々

21
00:02:45,083 --> 00:02:49,803
‎想像の域をはるかに超えた
‎力と破壊の歴史が

22
00:02:51,523 --> 00:02:56,443
‎宇宙でも類を見ない
‎特異な世界を創ったのだ

23
00:03:10,203 --> 00:03:16,883
‎宇宙：
‎その始まりはどこからなのか

24
00:03:21,723 --> 00:03:26,483
‎季節の変化

25
00:03:33,363 --> 00:03:36,523
‎これはルナ ６歳のメスだ

26
00:03:41,523 --> 00:03:43,923
‎この安全な ほら穴が⸺

27
00:03:46,843 --> 00:03:50,043
‎これから半年間の家となる

28
00:03:58,003 --> 00:03:59,163
‎冬眠中も⸺

29
00:04:00,603 --> 00:04:04,443
‎冬を見届けられる
‎心地よいスポットだ

30
00:04:06,523 --> 00:04:09,643
冬眠 １日目

31
00:04:22,683 --> 00:04:24,563
‎日が短くなるにつれ

32
00:04:27,243 --> 00:04:29,923
‎地球のリズムと
‎体が同期していく

33
00:04:36,403 --> 00:04:38,523
‎１分間に８回まで…

34
00:04:48,323 --> 00:04:50,323
‎心拍数が落ちる

35
00:05:04,923 --> 00:05:06,563
‎寝る体勢を取ると

36
00:05:08,643 --> 00:05:10,643
‎体温も下がっていく

37
00:05:30,843 --> 00:05:35,923
‎こうして 夢の世界へと
‎彼女は深く落ちていく

38
00:05:52,323 --> 00:05:56,803
‎クマと宇宙の間の
‎強い結びつきが…

39
00:05:59,923 --> 00:06:03,563
‎地中で 過酷な冬を
‎乗り切るよう促すのだ

40
00:06:08,003 --> 00:06:12,123
‎この先に待つ長い旅を
‎知る由もなく

41
00:06:17,203 --> 00:06:19,163
‎ほら穴の外では

42
00:06:22,523 --> 00:06:24,283
‎地球が動いている

43
00:06:33,403 --> 00:06:34,243
１日目

44
00:06:34,323 --> 00:06:38,443
毎日 地球は
地軸を中心に１回転する

45
00:06:39,843 --> 00:06:44,323
２日目

46
00:06:44,403 --> 00:06:47,723
３日目

47
00:06:47,803 --> 00:06:51,083
４日目

48
00:06:51,163 --> 00:06:54,483
５日目

49
00:06:55,363 --> 00:07:00,123
‎毎月 月は
‎地球の周りを１周する

50
00:07:07,083 --> 00:07:08,883
‎何ヶ月もかけて

51
00:07:09,443 --> 00:07:13,363
‎地球と月は
‎太陽の周りを回っていく

52
00:07:18,883 --> 00:07:19,243
11月

53
00:07:19,243 --> 00:07:20,643
11月
ルナは 眠っている間に

54
00:07:20,643 --> 00:07:20,723
ルナは 眠っている間に

55
00:07:20,723 --> 00:07:22,283
ルナは 眠っている間に
12月

56
00:07:22,283 --> 00:07:22,363
12月

57
00:07:22,363 --> 00:07:23,043
12月
４億７０００万キロもの
長距離を移動するのだ

58
00:07:23,043 --> 00:07:23,123
４億７０００万キロもの
長距離を移動するのだ

59
00:07:23,123 --> 00:07:25,523
４億７０００万キロもの
長距離を移動するのだ
１月

60
00:07:25,523 --> 00:07:25,603
４億７０００万キロもの
長距離を移動するのだ

61
00:07:25,603 --> 00:07:26,563
４億７０００万キロもの
長距離を移動するのだ
２月

62
00:07:26,563 --> 00:07:27,883
２月

63
00:07:27,963 --> 00:07:30,323
３月

64
00:07:33,003 --> 00:07:34,963
‎太陽の周りを半周し

65
00:07:36,683 --> 00:07:38,683
‎壮大な宇宙の旅をする

66
00:07:47,603 --> 00:07:48,723
‎そして今年は

67
00:07:49,603 --> 00:07:51,883
‎新しい旅の仲間がいる

68
00:07:51,963 --> 00:07:55,523
冬眠 １２２日目

69
00:07:55,603 --> 00:07:58,243
眠っては起きを
繰り返す中で

70
00:07:59,563 --> 00:08:01,683
‎ルナは出産していた

71
00:08:04,083 --> 00:08:05,923
‎２匹の子グマを

72
00:08:12,363 --> 00:08:16,523
‎この子たちは 春まで
‎ほら穴の中で生活する

73
00:08:19,643 --> 00:08:21,443
‎だが ２匹分の食事は

74
00:08:23,363 --> 00:08:26,043
‎ルナの体にとっては負担だ

75
00:08:33,163 --> 00:08:35,843
‎母乳を作ることにより

76
00:08:37,483 --> 00:08:40,843
‎皮下の脂肪細胞が縮んでいく

77
00:08:46,203 --> 00:08:48,883
冬眠 １５４日目

78
00:08:48,963 --> 00:08:51,003
冬眠開始から５ヶ月

79
00:08:51,883 --> 00:08:55,443
‎ルナは元の体重の
‎４分の１を失っていた

80
00:09:01,163 --> 00:09:04,483
‎外の気温は
‎氷点下のままだが

81
00:09:06,603 --> 00:09:09,843
‎こうして
‎子グマを養っていくには

82
00:09:10,683 --> 00:09:14,043
‎一刻も早い
‎春の到着が望まれる

83
00:09:22,123 --> 00:09:23,003
‎幸運にも

84
00:09:24,923 --> 00:09:26,403
‎地球には季節がある

85
00:09:29,843 --> 00:09:31,523
‎傾きがあるからだ

86
00:09:31,603 --> 00:09:35,883
‎地軸の傾き
‎23度

87
00:09:35,963 --> 00:09:38,843
‎つまり
‎宇宙を移動する過程で

88
00:09:39,763 --> 00:09:42,283
‎それぞれの時期に

89
00:09:42,363 --> 00:09:45,443
‎異なる場所が
‎太陽の方へ傾き

90
00:09:47,323 --> 00:09:49,683
‎季節の変化をもたらすのだ

91
00:10:00,403 --> 00:10:02,043
‎アラスカでも

92
00:10:03,243 --> 00:10:05,243
‎その恩恵が現れはじめた

93
00:10:12,923 --> 00:10:14,803
‎日が過ぎるごとに

94
00:10:14,883 --> 00:10:17,043
‎太陽の位置が高くなり

95
00:10:20,883 --> 00:10:23,723
‎暖かな陽光が
‎景色を変えていく

96
00:10:34,123 --> 00:10:37,963
‎ルナと子グマたちが
‎切望していた景色だ

97
00:10:42,563 --> 00:10:46,123
‎皮膚の神経の末端が
‎暖かさを感知する

98
00:10:53,923 --> 00:10:55,603
‎日が長くなるにつれ

99
00:11:01,163 --> 00:11:04,043
‎彼女の目の裏にある
‎特別な細胞も

100
00:11:05,523 --> 00:11:09,043
‎光の強さの
‎わずかな増加を感知する

101
00:11:14,723 --> 00:11:17,003
‎地球に最も近い恒星からの

102
00:11:17,083 --> 00:11:19,243
‎秘密のメッセージが

103
00:11:22,443 --> 00:11:26,323
‎ルナを冬眠から目覚めさせた

104
00:11:40,763 --> 00:11:45,203
‎地球の季節の変化を
‎知らせると同時に

105
00:11:54,363 --> 00:11:56,043
‎だが 太陽系外では

106
00:11:58,243 --> 00:12:00,083
‎“季節”というものは

107
00:12:01,923 --> 00:12:03,243
‎ほぼ見られない

108
00:12:09,683 --> 00:12:12,203
‎地球のお隣の金星は

109
00:12:14,963 --> 00:12:16,723
より太陽に近いので

110
00:12:16,803 --> 00:12:17,603
金星

111
00:12:17,683 --> 00:12:20,403
地球よりも
はるかに暑い

112
00:12:25,203 --> 00:12:28,163
‎さらに
‎自転軸の傾きがないので

113
00:12:29,003 --> 00:12:31,123
‎季節も存在しないのだ

114
00:12:35,523 --> 00:12:39,443
１年を通した気温も
非常に高い

115
00:12:39,523 --> 00:12:40,763
摂氏４７１度

116
00:12:44,443 --> 00:12:45,443
‎太陽から遠い方の

117
00:12:46,123 --> 00:12:47,243
‎地球の隣人

118
00:12:49,643 --> 00:12:50,963
それが火星だ

119
00:12:51,043 --> 00:12:52,843
火星

120
00:12:52,923 --> 00:12:56,163
公転軌道により
太陽からの距離が

121
00:12:56,243 --> 00:12:58,483
１年を通し
大きく異なる

122
00:13:00,203 --> 00:13:02,003
‎つまり火星の季節は

123
00:13:03,643 --> 00:13:06,483
‎地球のものより過酷なのだ

124
00:13:06,563 --> 00:13:09,163
摂氏マイナス１２５度

125
00:13:09,243 --> 00:13:13,923
‎冬季は惑星の
‎４分の１以上が凍りつく

126
00:13:15,923 --> 00:13:17,083
‎一方 夏季は

127
00:13:18,163 --> 00:13:20,483
‎太陽付近を通過するため

128
00:13:21,283 --> 00:13:24,323
‎気温が上がり
‎砂嵐が発生する

129
00:13:24,403 --> 00:13:29,323
‎惑星全体を覆うような
‎大規模で強力な砂嵐だ

130
00:13:33,283 --> 00:13:34,843
‎だが火星を過ぎ

131
00:13:35,483 --> 00:13:36,443
‎木星

132
00:13:36,523 --> 00:13:37,683
‎木星を過ぎ

133
00:13:39,723 --> 00:13:41,043
‎土星

134
00:13:41,123 --> 00:13:42,043
‎土星を過ぎ

135
00:13:48,123 --> 00:13:51,043
‎太陽から
‎30億キロの場所にある

136
00:13:52,243 --> 00:13:52,643
天王星

137
00:13:52,643 --> 00:13:57,243
天王星
この天王星の季節こそ
太陽系で最も過酷だ

138
00:13:59,883 --> 00:14:03,283
‎この星の自転軸は
‎横を向いている

139
00:14:03,363 --> 00:14:04,243
地軸の傾き 98度

140
00:14:04,323 --> 00:14:06,283
‎つまり公転する際に

141
00:14:06,363 --> 00:14:08,523
‎太陽に向かう夏側の半球と

142
00:14:12,083 --> 00:14:17,123
‎42年間も日の目を見ない
‎冬側の半球に分かれる

143
00:14:29,443 --> 00:14:32,843
‎最も過酷な季節でさえ

144
00:14:34,483 --> 00:14:37,483
‎生命に
‎チャンスをくれる惑星は

145
00:14:38,243 --> 00:14:40,483
‎地球しかないのだ

146
00:14:54,563 --> 00:14:56,163
‎春が訪れ

147
00:14:57,323 --> 00:14:59,643
‎ルナ一家も外の世界へ

148
00:15:06,323 --> 00:15:11,043
‎子グマたちは 人生で初めて
‎太陽の下で遊んでいる

149
00:15:35,923 --> 00:15:40,403
‎しかし季節の変わり目は
‎また新たな旅を意味する

150
00:15:48,323 --> 00:15:49,803
‎食料を探しに

151
00:15:50,883 --> 00:15:53,523
‎山の反対側の低地へと

152
00:15:54,803 --> 00:15:56,803
‎移動しなければならない

153
00:16:13,763 --> 00:16:16,043
‎子グマには厳しい登山だ

154
00:16:23,883 --> 00:16:27,363
‎延々と続く
‎氷と岩を乗り越えていく

155
00:17:21,083 --> 00:17:25,323
‎山頂を越えれば
‎最難関部分は終了だ

156
00:17:36,803 --> 00:17:39,963
‎しかし生存が
‎保証されたわけではない

157
00:17:43,603 --> 00:17:45,963
‎これから生き残るには

158
00:17:47,283 --> 00:17:52,043
‎この先の季節に関する
‎ルナの本能的な知識に⸺

159
00:17:53,243 --> 00:17:54,683
‎頼るしかない

160
00:17:58,963 --> 00:18:00,323
‎それぞれが…

161
00:18:02,683 --> 00:18:05,523
‎地球が重ねてきた
‎宇宙の旅の結果だ

162
00:18:12,483 --> 00:18:13,883
‎この旅は…

163
00:18:16,163 --> 00:18:19,003
‎地球の誕生以前から
‎始まっていた

164
00:18:24,643 --> 00:18:30,763
太陽系
46億年前

165
00:18:33,683 --> 00:18:39,643
‎私たちの太陽系が
‎ちり同然だったころ

166
00:18:43,163 --> 00:18:47,643
‎太陽も 惑星も 月もなく

167
00:18:50,403 --> 00:18:53,963
‎大量の雲とガス
‎ちりだけがあった

168
00:19:07,363 --> 00:19:11,003
‎その頃 また別の
‎遠くの太陽系で

169
00:19:13,443 --> 00:19:14,963
‎恒星が爆発した

170
00:19:16,963 --> 00:19:21,843
‎この超新星が銀河系全体に
‎衝撃波を送ったのだ

171
00:19:41,323 --> 00:19:46,323
‎その衝撃波を受け
‎崩れたガス雲は

172
00:19:51,923 --> 00:19:53,483
‎回転を始めた

173
00:20:00,483 --> 00:20:02,683
‎回転が速さを増していくと

174
00:20:04,083 --> 00:20:08,123
‎その雲は
‎円盤状の形になった

175
00:20:10,243 --> 00:20:13,243
‎ガスと石の大渦巻きだ

176
00:20:16,643 --> 00:20:19,443
‎その中心で
‎ものすごい圧力を受け

177
00:20:23,083 --> 00:20:24,523
‎太陽が生まれた

178
00:20:28,123 --> 00:20:31,883
‎その遠くの方では
‎石同士が衝突し

179
00:20:34,123 --> 00:20:36,243
‎地球が成長を始めた

180
00:20:41,123 --> 00:20:43,523
‎完全に形成されるまでに

181
00:20:44,923 --> 00:20:46,803
‎2000万年かかった

182
00:20:49,403 --> 00:20:52,763
‎太陽の周りの雲と
‎共に回りながら

183
00:20:58,963 --> 00:21:02,323
‎365日で１周の
‎公転を繰り返した

184
00:21:05,563 --> 00:21:07,483
‎これが地球の１年だ

185
00:21:14,283 --> 00:21:16,643
‎しかし この時点の地球には

186
00:21:17,803 --> 00:21:19,563
‎まだ季節がなかった

187
00:21:24,123 --> 00:21:26,763
‎地球を形成したカオスは

188
00:21:29,243 --> 00:21:31,123
‎まだ続いたからだ

189
00:21:41,603 --> 00:21:45,403
‎アラスカでは
‎活気に満ちた春が

190
00:21:46,643 --> 00:21:49,323
‎怠惰な夏へとバトンタッチ

191
00:22:01,523 --> 00:22:03,923
‎子グマたちは５ヶ月に

192
00:22:06,643 --> 00:22:08,163
‎立派なクマを目指し…

193
00:22:10,443 --> 00:22:11,603
‎勉強中だ

194
00:22:25,043 --> 00:22:27,123
‎成長が早い分

195
00:22:28,083 --> 00:22:30,003
‎子グマは常に空腹だ

196
00:22:36,563 --> 00:22:38,843
‎一見 のどかな夏でも

197
00:22:41,083 --> 00:22:44,523
‎アラスカの夏は
‎試練の時でもある

198
00:22:54,723 --> 00:22:57,563
‎草原には
‎ろくな食料がないので

199
00:22:58,083 --> 00:23:00,243
‎草で我慢するほかない

200
00:23:11,283 --> 00:23:16,283
‎いまだに食事の大半を
‎母グマの母乳に頼っている

201
00:23:16,363 --> 00:23:17,963
‎そんな状態なのだ

202
00:23:35,563 --> 00:23:39,843
‎一方ルナは 冬眠前から
‎まともな食を摂っていない

203
00:23:41,603 --> 00:23:44,083
‎胃は空っぽだ

204
00:23:53,123 --> 00:23:56,083
‎だが 地球の近くには

205
00:23:57,563 --> 00:23:59,203
‎助っ人が来ていた

206
00:24:05,923 --> 00:24:10,443
‎現在の地球には
‎永遠の伴侶がいる

207
00:24:13,043 --> 00:24:14,083
‎月だ

208
00:24:16,363 --> 00:24:18,323
‎地球の周りを周回する

209
00:24:19,763 --> 00:24:22,363
‎最も近いところにある天体だ

210
00:24:23,963 --> 00:24:28,003
‎夜空で 最も大きく
‎最も明るい天体

211
00:24:32,163 --> 00:24:35,563
‎月の大きさと
‎距離の近さのおかげで

212
00:24:37,803 --> 00:24:40,523
‎地球に対し
‎強い引力を発揮する

213
00:24:47,923 --> 00:24:51,523
‎私たちの世界に
‎影響を及ぼすほど強い引力だ

214
00:24:56,123 --> 00:24:59,203
‎惑星の表面から
‎海を持ち上げ⸺

215
00:25:07,563 --> 00:25:09,723
‎潮の満ち引きを作る

216
00:25:16,003 --> 00:25:18,723
‎満月と新月の周辺の数日で

217
00:25:20,843 --> 00:25:25,443
‎夏の干潮が起き
‎景色も一変する

218
00:25:29,803 --> 00:25:32,843
‎海岸には
‎数百メートルの干潟が広がり

219
00:25:39,163 --> 00:25:42,843
‎空腹のクマに
‎宝探しの機会が到来する

220
00:25:50,603 --> 00:25:54,523
‎ルナと子グマたちにも
‎絶好の機会だ

221
00:26:02,523 --> 00:26:08,243
‎しかし 潮干狩りは
‎大人に任せるのが一番

222
00:26:17,123 --> 00:26:21,723
‎ルナの嗅覚は
‎人間の2000倍優れている

223
00:26:24,523 --> 00:26:26,923
‎海の珍味探しには最適

224
00:26:31,243 --> 00:26:32,723
‎オオノガイだ

225
00:26:53,723 --> 00:26:56,243
‎貝を開けるのが上手なので

226
00:26:57,443 --> 00:27:00,243
‎１分につき１個は食べられる

227
00:27:20,483 --> 00:27:24,043
‎食料が貴重な夏には
‎嬉しい補給だ

228
00:27:31,763 --> 00:27:34,643
‎子グマにも
‎分け与えることができる

229
00:27:39,843 --> 00:27:43,403
‎月によって与えられた
‎贈り物のおかげで

230
00:27:43,923 --> 00:27:46,803
‎ルナ一家は夏を越せるのだ

231
00:27:49,923 --> 00:27:52,603
‎しかし クマと月の関係は…

232
00:27:55,483 --> 00:27:58,483
‎それよりも
‎もっと深遠なもの

233
00:28:03,283 --> 00:28:08,323
‎地球が季節を得たのは
‎月の形成中だったからである

234
00:28:11,243 --> 00:28:13,843
太陽系
44億年前

235
00:28:13,923 --> 00:28:16,083
形成直後の地球には

236
00:28:17,003 --> 00:28:18,803
仲間がいた

237
00:28:31,043 --> 00:28:32,843
‎だがそれは月ではなく

238
00:28:34,963 --> 00:28:39,123
‎地球の軌道上で形成された
‎他の惑星だったのだ

239
00:28:44,563 --> 00:28:46,923
‎テイアという兄弟星だ

240
00:28:47,003 --> 00:28:48,643
‎テイア

241
00:28:48,723 --> 00:28:50,843
‎火星ほどの大きさで

242
00:28:53,523 --> 00:28:56,723
‎石と溶岩で
‎できていたと考えられる

243
00:28:59,483 --> 00:29:01,243
‎幼年期には

244
00:29:03,083 --> 00:29:05,163
‎仲良く過ごしていたが

245
00:29:11,363 --> 00:29:16,323
‎若かった太陽系の
‎重力の乱れにより

246
00:29:19,723 --> 00:29:23,443
‎２つの惑星は
‎衝突進路をとることに

247
00:29:28,923 --> 00:29:30,083
‎この瞬間に

248
00:29:32,083 --> 00:29:35,083
‎地球の未来が懸かっていた

249
00:29:54,043 --> 00:29:56,083
‎この衝撃により

250
00:29:59,523 --> 00:30:02,443
‎テイアは粉砕され
‎星は溶け合った

251
00:30:29,163 --> 00:30:31,443
‎宇宙では 一瞬の間

252
00:30:34,603 --> 00:30:36,523
‎地球の月は２つあった

253
00:30:46,403 --> 00:30:47,483
‎しかし

254
00:30:47,563 --> 00:30:53,203
‎重力により
‎１つは地球に吸収され…

255
00:31:06,763 --> 00:31:09,923
‎現在 私たちの知る
‎唯一の月が残った

256
00:31:17,083 --> 00:31:21,203
‎この衝突で 地球は
‎永遠に姿を変えたのだ

257
00:31:27,123 --> 00:31:28,243
‎地軸の傾き
‎23度

258
00:31:28,323 --> 00:31:30,643
‎衝突による衝撃で

259
00:31:31,643 --> 00:31:35,083
‎地球は23度に傾いたまま
‎回っている

260
00:31:41,003 --> 00:31:43,803
‎だから 公転の軌道上で

261
00:31:45,643 --> 00:31:49,003
‎半球が片方づつ

262
00:31:49,883 --> 00:31:52,203
‎太陽の方に
‎傾くというわけだ

263
00:31:55,043 --> 00:31:57,923
‎これが地球に与えられた季節

264
00:32:19,643 --> 00:32:21,963
‎長くなってきた夜が

265
00:32:22,723 --> 00:32:25,243
‎夏の終わりと

266
00:32:25,323 --> 00:32:28,323
‎アラスカの厳冬が
‎近いことを告げる

267
00:32:32,603 --> 00:32:35,243
‎子グマの年齢は７ヶ月

268
00:32:41,163 --> 00:32:45,683
‎子グマたちが
‎長い冬眠を乗り切るには

269
00:32:46,403 --> 00:32:49,443
‎脂肪を蓄える必要がある

270
00:33:06,043 --> 00:33:08,283
‎そんな時にも 月は…

271
00:33:12,963 --> 00:33:14,443
‎手を差し伸べる

272
00:33:19,843 --> 00:33:23,003
‎アラスカの海岸から
‎遠く離れた場所にも

273
00:33:25,003 --> 00:33:28,523
‎地球の季節のリズムに
‎従う生物がいる

274
00:33:32,243 --> 00:33:34,003
‎ベニザケだ

275
00:33:36,803 --> 00:33:39,723
‎２年間にわたる
‎太平洋の旅を経て

276
00:33:42,803 --> 00:33:44,763
‎ようやく成熟した

277
00:33:46,123 --> 00:33:48,443
‎変わりゆく日の長さが

278
00:33:49,643 --> 00:33:52,723
‎血中への
‎ホルモン分泌を促し

279
00:33:55,763 --> 00:33:59,123
‎化学信号が
‎彼らの行動を変える

280
00:34:08,123 --> 00:34:13,843
‎繁殖するために
‎生まれた川へと呼び戻すのだ

281
00:34:34,323 --> 00:34:36,123
‎疲れ切り 空腹のルナ

282
00:34:37,163 --> 00:34:41,643
‎それでも 子グマたちを
‎川辺へ連れて行く

283
00:34:54,123 --> 00:34:59,043
‎奇跡が起きるのを
‎察知しているからだ

284
00:35:04,123 --> 00:35:09,003
‎今日は 季節という
‎独特なリズムが

285
00:35:09,083 --> 00:35:12,443
‎クマに不可欠な栄養を
‎恵んでくれる日だ

286
00:35:33,563 --> 00:35:37,723
‎地球は 公転軌道上の
‎重要な位置に達し

287
00:35:41,763 --> 00:35:44,283
‎月が潮位を上げる

288
00:35:50,043 --> 00:35:55,323
‎サケが川へ戻るための
‎最後の一押しだ

289
00:36:40,523 --> 00:36:45,723
‎ついに 子グマたちは
‎サケの味を知ることができた

290
00:36:51,203 --> 00:36:55,003
‎冬季は魚と無縁だが
‎子グマたちにとっては⸺

291
00:36:55,963 --> 00:37:01,443
‎８ヶ月生きてきた中で
‎初めての まともな食事だ

292
00:37:18,083 --> 00:37:21,923
‎サケの‎遡上(そじょう)‎が始まり
‎ルナも一安心

293
00:37:24,763 --> 00:37:26,643
‎上流では

294
00:37:27,763 --> 00:37:31,243
‎もっと豊富な収穫が
‎期待できるだろう

295
00:37:50,763 --> 00:37:52,763
‎日が短くなっていくと

296
00:37:54,443 --> 00:37:58,323
‎川に向かわせたものと
‎同じホルモンが

297
00:37:59,003 --> 00:38:01,443
‎サケの体を変身させる

298
00:38:09,003 --> 00:38:10,603
‎頭の形が変わり

299
00:38:13,043 --> 00:38:15,723
‎体の色も強い赤へと変わる

300
00:38:19,083 --> 00:38:21,003
‎何百万匹ものサケが

301
00:38:21,523 --> 00:38:25,963
‎産卵場所を目指して
‎川を上っていく

302
00:38:36,163 --> 00:38:40,443
‎そしてクマの１年の物語も
‎終わりを迎える

303
00:38:49,163 --> 00:38:52,563
‎それは 地球と
‎同じくらい古い物語

304
00:39:02,723 --> 00:39:04,323
‎地球の形成や…

305
00:39:09,803 --> 00:39:12,083
‎月を生んだ衝突

306
00:39:15,043 --> 00:39:18,883
‎そして 現在の地球と月の
‎唯一無二の関係性が

307
00:39:25,443 --> 00:39:31,563
‎宇宙に二つとない世界を
‎作り出しているのだ

308
00:39:33,963 --> 00:39:35,643
‎生命が生存可能な惑星を

309
00:39:38,643 --> 00:39:42,723
‎生命に最適な場所だと
‎私たちが よく知る惑星を

310
00:40:04,363 --> 00:40:05,403
‎ルナにとっては

311
00:40:06,043 --> 00:40:09,043
‎45億年の宇宙の歴史が

312
00:40:10,963 --> 00:40:14,043
‎今 集約されようとしている

313
00:40:21,803 --> 00:40:27,243
‎年に一度 クマとサケが
‎対峙する瞬間だ

314
00:40:38,203 --> 00:40:40,443
‎子グマたちを養う⸺

315
00:40:42,203 --> 00:40:43,483
‎貴重な機会

316
00:40:51,163 --> 00:40:55,123
‎ルナ一家は
‎冬眠に必要な栄養を確保した

317
00:40:57,443 --> 00:41:02,003
‎変化を続ける地球の未来は
‎未知ではあるものの

318
00:41:03,363 --> 00:41:06,523
‎今年は サケのおかげで
‎生き残れる

319
00:41:10,443 --> 00:41:16,763
‎太陽の周りの旅を
‎地球が続けていく間も

320
00:41:26,683 --> 00:41:29,763
‎次回のエピソードは…

321
00:41:31,203 --> 00:41:34,763
‎宇宙の形成の鍵を握る⸺

322
00:41:35,443 --> 00:41:39,363
‎特異なライフサイクルを持つ
‎海の旅人のお話

323
00:41:41,163 --> 00:41:46,723
‎カメの卵の中には
‎ビッグバンで生まれ⸺

324
00:41:49,043 --> 00:41:52,603
‎星の死を経て
‎構築された原子がある

325
00:41:56,203 --> 00:41:59,043
‎しかし 星々は
‎どのように創られ

326
00:42:00,883 --> 00:42:07,123
‎それと同じ素材が 生命体を
‎どう変身させたのだろうか

327
00:42:58,683 --> 00:43:00,683
‎日本語字幕　松澤 奈月