1 00:00:16,599 --> 00:00:18,852 何十億年もの間 2 00:00:19,352 --> 00:00:23,148 地球の大部分は 荒廃した状態でした 3 00:00:25,442 --> 00:00:29,738 自然の脅威に さらされていたのです 4 00:00:34,701 --> 00:00:36,036 しかし 今回は― 5 00:00:36,703 --> 00:00:40,248 波の下を舞台にした物語です 6 00:00:44,294 --> 00:00:47,130 嵐の被害を受けない海で 7 00:00:47,630 --> 00:00:49,758 生命が育っていました 8 00:00:52,510 --> 00:00:55,013 地球に決定的な変化が― 9 00:00:56,097 --> 00:00:57,223 訪れます 10 00:02:13,591 --> 00:02:18,304 私たちの地球の生命 11 00:02:24,060 --> 00:02:27,063 第2章: 12 00:02:27,147 --> 00:02:32,485 原初の未知へ 13 00:02:34,237 --> 00:02:38,074 24億年前 14 00:02:38,074 --> 00:02:39,909 24億年前 はるか遠い時代のこと 15 00:02:39,909 --> 00:02:40,535 はるか遠い時代のこと 16 00:02:41,035 --> 00:02:45,165 地球の環境は まったく異なっていました 17 00:02:50,044 --> 00:02:53,548 地表は ほぼ9割が水でしたが― 18 00:02:54,299 --> 00:02:57,093 青い星とは呼べません 19 00:03:00,096 --> 00:03:03,141 大気は高濃度のメタンで 20 00:03:03,224 --> 00:03:06,186 黄色に染まってました 21 00:03:12,275 --> 00:03:15,403 陸はさらにひどい状況です 22 00:03:25,330 --> 00:03:30,793 何百万年も火山の噴火が 続いていたのです 23 00:03:34,923 --> 00:03:36,591 火山の爆発音が 24 00:03:36,674 --> 00:03:41,012 静かな世界に 響き渡っていました 25 00:03:51,356 --> 00:03:56,694 存在するのは有毒な大気と 溶岩が流れる川のみ 26 00:03:59,072 --> 00:04:00,740 生命は― 27 00:04:01,783 --> 00:04:03,284 生存できません 28 00:04:13,294 --> 00:04:15,964 しかし太古の海で― 29 00:04:16,506 --> 00:04:19,342 何かが うごめきました 30 00:04:25,598 --> 00:04:30,853 大量のプランクトンが 水面下を漂っています 31 00:04:37,026 --> 00:04:42,615 この微小な細胞が 新たな進化を遂げたのです 32 00:04:43,950 --> 00:04:45,535 光合成です 33 00:04:50,415 --> 00:04:54,002 太陽エネルギーを利用して 成長できます 34 00:04:55,044 --> 00:04:57,088 この飛躍的な進歩が 35 00:04:58,006 --> 00:05:03,094 あらゆる植物の誕生に つながるのです 36 00:05:08,474 --> 00:05:10,268 それだけではなく 37 00:05:11,352 --> 00:05:15,982 光合成の結果 ある気体が放出されます 38 00:05:17,442 --> 00:05:19,027 この気体なしに 39 00:05:19,527 --> 00:05:21,863 動物は生存できません 40 00:05:24,574 --> 00:05:25,783 酸素です 41 00:05:30,371 --> 00:05:35,626 約20億年間 プランクトンは 大量の酸素を作り 42 00:05:36,127 --> 00:05:38,671 地球を一変させました 43 00:05:44,886 --> 00:05:49,557 地球は危険な惑星では なくなったのです 44 00:05:51,225 --> 00:05:54,979 ようやく生命が増え始めます 45 00:06:03,446 --> 00:06:08,951 次にどんな生命の波が 打ち寄せてきたか 46 00:06:09,035 --> 00:06:12,580 現代でも うかがい知ることができます 47 00:06:18,836 --> 00:06:22,048 浅瀬の生命の一部は… 48 00:06:24,425 --> 00:06:28,262 はるか昔の生命と よく似ています 49 00:06:37,146 --> 00:06:38,481 こう見えても… 50 00:06:40,858 --> 00:06:43,027 みんな動物です 51 00:06:47,115 --> 00:06:50,576 最初に複雑化した生物に 似ています 52 00:06:55,248 --> 00:06:59,710 多くは軟体で 海底に根ざしています 53 00:07:03,714 --> 00:07:05,174 感覚器官を持ち 54 00:07:06,092 --> 00:07:09,929 周囲を見渡せる種もいます 55 00:07:14,934 --> 00:07:18,479 多くの種は濾過(ろか)摂食をします 56 00:07:19,814 --> 00:07:21,357 プランクトンだけを 57 00:07:21,899 --> 00:07:25,611 興味深い方法で食べるのです 58 00:07:33,870 --> 00:07:37,707 同じ場所にとどまるとは 限りません 59 00:07:42,503 --> 00:07:43,963 移動する種もいます 60 00:07:44,964 --> 00:07:47,049 海底を探索するのは 61 00:07:47,133 --> 00:07:51,220 数百年前の祖先と似ています 62 00:07:58,603 --> 00:08:03,191 浅瀬は 楽園に見えるかもしれません 63 00:08:04,484 --> 00:08:06,444 生命の安住の地に 64 00:08:07,904 --> 00:08:10,865 しかし 楽園ではありません 65 00:08:17,747 --> 00:08:20,541 現代のカリフォルニア 66 00:08:24,170 --> 00:08:27,340 スギノハウミウシがいます 67 00:08:31,135 --> 00:08:34,847 動きは緩慢ですが残忍です 68 00:08:39,310 --> 00:08:42,063 祖先と同じように 69 00:08:42,647 --> 00:08:44,565 狩りに来ました 70 00:08:50,655 --> 00:08:53,407 捕食する生命体なのです 71 00:08:54,659 --> 00:08:56,619 その獲物は… 72 00:08:57,745 --> 00:08:59,455 イソギンチャク 73 00:09:05,336 --> 00:09:08,089 最初の捕食者と同じく 74 00:09:08,172 --> 00:09:12,009 また完璧なハンターとは 呼べません 75 00:09:18,182 --> 00:09:19,684 足りないのは― 76 00:09:20,351 --> 00:09:21,435 タイミング 77 00:09:25,064 --> 00:09:26,440 それがすべて 78 00:09:30,736 --> 00:09:35,491 捕食者にとって幸いなことに 獲物は移動しません 79 00:09:36,033 --> 00:09:38,035 隠れるだけでは… 80 00:09:52,633 --> 00:09:54,385 体の内側から― 81 00:09:55,011 --> 00:09:58,306 食べられてしまいます 82 00:10:07,315 --> 00:10:12,236 5億3000万年前 83 00:10:13,154 --> 00:10:18,367 捕食者の登場は 太古の海を揺るがせました 84 00:10:21,871 --> 00:10:23,706 被食者は適応しないと 85 00:10:24,290 --> 00:10:26,083 滅びかねません 86 00:10:30,254 --> 00:10:34,383 ある種はかつてない方法で 適応しました 87 00:10:38,888 --> 00:10:41,891 単体であるにも関わらず 88 00:10:42,725 --> 00:10:47,146 何層もの個体に 分離したのです 89 00:10:47,730 --> 00:10:51,025 そのまま海底から 解放されたのが… 90 00:10:53,819 --> 00:10:55,071 クラゲです 91 00:10:55,696 --> 00:10:58,616 5億3000年前のことです 92 00:10:58,699 --> 00:11:02,953 クラゲは初めて 海底から離れて― 93 00:11:03,496 --> 00:11:04,872 泳いだ動物です 94 00:11:12,380 --> 00:11:17,134 しかし既に捕食者は どこにでもいました 95 00:11:34,026 --> 00:11:36,070 毒を持つ触手で 96 00:11:36,570 --> 00:11:39,865 イソギンチャクは 素早くクラゲを捕らえます 97 00:11:56,132 --> 00:11:57,675 捕食者は数多く 98 00:11:58,926 --> 00:12:01,470 逃げるのは至難の業です 99 00:12:21,115 --> 00:12:22,158 油断は禁物 100 00:12:25,035 --> 00:12:26,454 しかし逃れ… 101 00:12:41,135 --> 00:12:43,554 ようやく自由の身に 102 00:12:51,771 --> 00:12:53,773 泳ぐ能力を得て 103 00:12:54,899 --> 00:12:58,277 クラゲは 浅瀬を飛び出しました 104 00:12:59,820 --> 00:13:01,864 初めて遠洋へ出たのです 105 00:13:23,344 --> 00:13:26,680 まだ魚が存在しない時代です 106 00:13:27,515 --> 00:13:32,353 クラゲは捕食から 完全に解放されました 107 00:13:36,273 --> 00:13:39,193 やがて他の生物も あとに続きます 108 00:13:39,860 --> 00:13:42,488 しかし5億年以上前は 109 00:13:43,072 --> 00:13:46,283 クラゲが 大海原の支配者でした 110 00:13:53,165 --> 00:13:57,211 5億800万年前 111 00:14:01,966 --> 00:14:04,218 海底に残る生物は― 112 00:14:04,885 --> 00:14:08,848 他の方法で捕食から逃れます 113 00:14:21,318 --> 00:14:23,237 この奇妙な生物は― 114 00:14:24,196 --> 00:14:25,739 三葉虫です 115 00:14:27,992 --> 00:14:30,411 その画期的な進化は― 116 00:14:30,911 --> 00:14:32,037 硬い殻です 117 00:14:34,248 --> 00:14:38,961 三葉虫は 次の時代を築く生命の一つ 118 00:14:40,254 --> 00:14:42,256 節足動物です 119 00:14:47,803 --> 00:14:51,098 盾のように進化した外骨格が 120 00:14:51,640 --> 00:14:56,437 柔らかい内部の組織を 守っています 121 00:15:00,941 --> 00:15:02,776 生き残るために 122 00:15:03,319 --> 00:15:04,570 必要でした 123 00:15:11,160 --> 00:15:13,662 アノマロカリスです 124 00:15:15,039 --> 00:15:16,999 この奇妙な外見から 125 00:15:17,082 --> 00:15:21,337 “奇妙なエビ”と 名付けられたのです 126 00:15:25,382 --> 00:15:30,054 5億800年前 熱帯の浅瀬に誕生し― 127 00:15:31,764 --> 00:15:35,309 初めて 捕食者の頂点に君臨しました 128 00:15:47,488 --> 00:15:52,201 硬い殻があっても 三葉虫は身を隠します 129 00:16:00,334 --> 00:16:02,211 海底谷の外では 130 00:16:02,711 --> 00:16:04,380 命が脅かされます 131 00:16:06,507 --> 00:16:09,426 なぜなら この捕食者の武器は― 132 00:16:11,679 --> 00:16:13,764 スピードだからです 133 00:16:19,728 --> 00:16:21,230 アノマロカリスは 134 00:16:21,313 --> 00:16:24,316 クラゲと違い 望む方向に泳げます 135 00:16:24,817 --> 00:16:26,276 ペースも自在です 136 00:16:28,320 --> 00:16:30,531 しかし油断はできません 137 00:16:35,494 --> 00:16:37,705 追い詰められると 138 00:16:37,788 --> 00:16:41,583 三葉虫のよろいが 本領を発揮します 139 00:16:47,131 --> 00:16:52,511 体をボールのように丸めて 侵入を許しません 140 00:16:55,723 --> 00:16:58,684 “奇妙なエビ”も お手上げです 141 00:17:07,067 --> 00:17:08,527 敵が去ると― 142 00:17:09,028 --> 00:17:13,073 三葉虫は また 目的地を目指します 143 00:17:17,244 --> 00:17:21,999 太古の海にある名所を 探しているのです 144 00:17:29,840 --> 00:17:32,217 何千匹もの三葉虫が 145 00:17:32,718 --> 00:17:36,305 繁殖のために集まる場所を 146 00:17:38,724 --> 00:17:43,145 三葉虫は 生き残りに成功しました 147 00:17:43,228 --> 00:17:48,609 現存する動物の8割近く 昆虫 クモ カニなどの生物は 148 00:17:48,692 --> 00:17:54,073 古代の節足動物と 近縁関係にあるのです 149 00:17:57,493 --> 00:18:01,538 しかし硬い殻も 万能ではありません 150 00:18:08,003 --> 00:18:13,592 4億6800万年前 151 00:18:18,222 --> 00:18:20,057 それから4000万年後 152 00:18:20,557 --> 00:18:23,227 新しい生命が台頭します 153 00:18:24,686 --> 00:18:28,148 かつてないほど 多様な生命です 154 00:18:32,361 --> 00:18:35,531 三葉虫の全盛期は続いており 155 00:18:36,156 --> 00:18:39,034 殻の頑丈さも増していました 156 00:18:42,830 --> 00:18:44,832 このサンゴ礁には 157 00:18:45,332 --> 00:18:48,710 新たな捕食者がいるからです 158 00:19:00,931 --> 00:19:04,351 現代のタコとイカの祖先 159 00:19:05,769 --> 00:19:11,733 この触手を持つ生物は 頭足類と呼ばれます 160 00:19:21,160 --> 00:19:22,327 最大の種は― 161 00:19:22,828 --> 00:19:25,664 殻の長さ8メートル 162 00:19:26,498 --> 00:19:28,333 カメロケラスです 163 00:19:36,133 --> 00:19:39,803 三葉虫は大きさでは 比較にもなりません 164 00:19:42,431 --> 00:19:45,392 しかし 脅威は 大きさではなく… 165 00:19:50,814 --> 00:19:55,694 進化が可能にした 狩りの方法です 166 00:19:57,821 --> 00:19:59,948 隠れても無駄です 167 00:20:08,957 --> 00:20:14,129 カメロケラスが使うのは 視覚だけでなく― 168 00:20:15,422 --> 00:20:16,882 触覚も使います 169 00:20:28,018 --> 00:20:30,062 狙われた三葉虫は 170 00:20:30,562 --> 00:20:32,898 逃げるしかありません 171 00:20:52,417 --> 00:20:54,253 ハサミに似たくちばしは 172 00:20:55,212 --> 00:20:57,881 硬い殻も切り裂きます 173 00:20:59,341 --> 00:21:02,803 カメロケラスは この海の覇者です 174 00:21:05,138 --> 00:21:08,642 他にも注目すべき強者が 登場します 175 00:21:14,106 --> 00:21:17,150 常に驚いた表情を している生物 176 00:21:18,610 --> 00:21:21,280 アランダスピスです 177 00:21:23,782 --> 00:21:25,951 最古の魚と呼ばれています 178 00:21:30,706 --> 00:21:33,000 あごは 発達しておらず 179 00:21:33,959 --> 00:21:36,336 くずを吸い上げています 180 00:21:40,632 --> 00:21:42,718 しかし この種の進化が 181 00:21:43,343 --> 00:21:46,096 歴史の流れを変えるのです 182 00:21:52,561 --> 00:21:58,150 それはスピードと敏捷性を 併せ持てる内部の骨格 183 00:22:00,110 --> 00:22:01,653 背骨です 184 00:22:03,196 --> 00:22:05,574 魚らしくありませんが 185 00:22:06,158 --> 00:22:10,829 アランダスピスから 脊柱(せきちゅう)動物が生み出されます 186 00:22:11,788 --> 00:22:16,668 両生類 爬虫(はちゅう)類 哺乳類 鳥類 187 00:22:20,714 --> 00:22:22,090 当時はまだ― 188 00:22:22,591 --> 00:22:25,719 脊椎(せきつい)動物は生まれたばかり 189 00:22:26,219 --> 00:22:29,723 長い旅が始まったところです 190 00:22:39,733 --> 00:22:44,946 4億4500万年前 191 00:22:47,616 --> 00:22:52,704 2000万年後 生命は 最大の試練に直面します 192 00:22:59,252 --> 00:23:02,881 突然 気候が 寒冷化したのです 193 00:23:08,512 --> 00:23:12,307 これが悲惨な結果を もたらします 194 00:23:32,035 --> 00:23:36,706 徐々に海は 凍りついていきました 195 00:23:52,722 --> 00:23:56,518 水温の高い海に 生息していた生物には 196 00:23:57,436 --> 00:24:00,313 大惨事でしかありません 197 00:24:19,040 --> 00:24:22,794 浅瀬は 凍った墓場と化しました 198 00:24:26,673 --> 00:24:30,135 地球史上初の大量絶滅です 199 00:24:41,188 --> 00:24:46,693 二酸化炭素の6割減少が 氷結の原因でした 200 00:24:49,946 --> 00:24:52,574 温暖化を促すガスが減り 201 00:24:52,657 --> 00:24:55,744 地球は氷河期に突入しました 202 00:25:01,917 --> 00:25:06,004 氷河期は20万年も続きました 203 00:25:15,847 --> 00:25:20,393 ピーク時は地球の半分近くが 氷に覆われ 204 00:25:21,019 --> 00:25:26,816 すべての生命のうち 85パーセントが死滅しました 205 00:25:27,651 --> 00:25:30,153 数多くの進化が― 206 00:25:30,654 --> 00:25:31,780 途絶えました 207 00:25:38,662 --> 00:25:40,664 浅瀬に住めなくなり 208 00:25:40,747 --> 00:25:44,793 深海へ向かえる種が 生き残りました 209 00:25:52,133 --> 00:25:53,843 オウムガイなど― 210 00:25:54,344 --> 00:25:57,764 カメロケラスの近種たちです 211 00:26:04,688 --> 00:26:08,149 数億年前に進化した オウムガイは 212 00:26:08,692 --> 00:26:11,069 今もなお存在しています 213 00:26:14,322 --> 00:26:19,452 変化が少ない深海のおかげで 生き残りました 214 00:26:21,371 --> 00:26:26,251 水深600メートルを超えると 水温は あまり変化せず 215 00:26:26,334 --> 00:26:29,212 安住の地と呼べるのです 216 00:26:32,007 --> 00:26:33,925 氷河期になると 217 00:26:35,010 --> 00:26:38,555 様々な動物が 深淵へ向かいました 218 00:26:40,807 --> 00:26:44,477 そこで繁栄したのは 頭足類です 219 00:26:52,193 --> 00:26:55,655 今なお深海に生息しています 220 00:26:58,783 --> 00:27:01,953 中にはイカやタコもいます 221 00:27:08,251 --> 00:27:10,170 ゼリー状の体は 222 00:27:10,253 --> 00:27:13,340 深海の高圧を苦にしません 223 00:27:17,260 --> 00:27:18,720 感覚が鋭く 224 00:27:19,346 --> 00:27:23,016 暗闇でも問題なく 活動できます 225 00:27:27,145 --> 00:27:29,397 硬い殻から解放され 226 00:27:29,939 --> 00:27:34,569 多様な大きさや姿に 進化しました 227 00:27:42,535 --> 00:27:46,122 しかし他にも 暗黒の世界に住む者がいます 228 00:27:51,211 --> 00:27:55,048 クモガニなどの節足動物が… 229 00:27:58,093 --> 00:28:00,970 海底をはい回っています 230 00:28:04,474 --> 00:28:07,227 脊椎動物もいますが… 231 00:28:09,854 --> 00:28:14,484 食料が乏しい深海では 珍しい存在です 232 00:28:18,113 --> 00:28:23,076 深海に生息する魚は 魚類の1割程度に過ぎません 233 00:28:26,788 --> 00:28:29,457 しかし勝ち目がありません 234 00:28:31,626 --> 00:28:33,753 頭足類は深海で 235 00:28:33,837 --> 00:28:37,966 生態系の頂点に近い存在と なっていたのです 236 00:28:45,515 --> 00:28:49,102 エビが何かに気付きました 237 00:29:01,823 --> 00:29:06,745 周囲でプランクトンが発光し 水がきらめいています 238 00:29:09,330 --> 00:29:14,544 わずかでも動くと プランクトンが光るのです 239 00:29:20,800 --> 00:29:22,635 光のショーです 240 00:29:27,515 --> 00:29:29,809 その様を半透明のイカも― 241 00:29:30,435 --> 00:29:32,270 見ていました 242 00:29:34,939 --> 00:29:39,778 その大きな目は 暗闇でもよく見えます 243 00:29:49,871 --> 00:29:51,831 かすかな光を捉え 244 00:29:52,540 --> 00:29:55,335 エビの動きを見逃しません 245 00:29:57,837 --> 00:29:59,506 今 必要なのは 246 00:30:00,006 --> 00:30:01,549 タイミング 247 00:30:22,320 --> 00:30:25,031 エビは不意を突かれました 248 00:30:34,499 --> 00:30:36,876 その驚異的な感覚で 249 00:30:37,377 --> 00:30:43,424 イカが深海を制覇しても 不思議はありません 250 00:30:45,969 --> 00:30:48,972 しかし氷河期の生命はまた 251 00:30:49,514 --> 00:30:52,016 変化の時を迎えます 252 00:30:58,940 --> 00:31:03,194 4億4400万年前 253 00:31:05,154 --> 00:31:08,408 全球凍結から20万年後 254 00:31:10,451 --> 00:31:14,080 氷の中に 青い裂け目が現れます 255 00:31:19,127 --> 00:31:19,961 水です 256 00:31:22,589 --> 00:31:26,217 二酸化炭素濃度が 回復したので 257 00:31:27,719 --> 00:31:30,889 地球の気温が上昇しました 258 00:31:31,764 --> 00:31:34,309 大規模な融解です 259 00:31:36,519 --> 00:31:37,729 その速度は 260 00:31:38,229 --> 00:31:40,648 徐々に増しました 261 00:31:50,658 --> 00:31:55,538 やがて数百メートルの氷河が 262 00:31:55,622 --> 00:31:58,249 海に流れ込みます 263 00:32:07,884 --> 00:32:09,344 数千年が経ち 264 00:32:10,011 --> 00:32:14,307 地球の氷全体のうち 半分が溶けました 265 00:32:15,600 --> 00:32:17,018 しばらく経つと 266 00:32:18,102 --> 00:32:20,063 氷は完全に消滅します 267 00:32:26,277 --> 00:32:29,072 深海に逃れた者には朗報です 268 00:32:29,155 --> 00:32:31,824 浮上するチャンスが来ました 269 00:32:39,624 --> 00:32:42,502 現代のオーストラリア近海 270 00:32:43,586 --> 00:32:47,256 若く大きなコウイカがいます 271 00:32:48,758 --> 00:32:51,427 氷河期の祖先もしたように 272 00:32:51,511 --> 00:32:54,555 繁殖のために 浅瀬にやってきました 273 00:33:00,395 --> 00:33:02,689 しかし遅かったようです 274 00:33:07,402 --> 00:33:10,029 アルファオスが 先に来ており 275 00:33:13,199 --> 00:33:16,160 メスを守っています 276 00:33:20,081 --> 00:33:23,584 共有という選択肢は ありません 277 00:33:30,508 --> 00:33:34,012 若いオスも諦めません 278 00:33:35,888 --> 00:33:36,723 静かに 279 00:33:37,223 --> 00:33:39,142 機会を待ちます 280 00:33:40,393 --> 00:33:41,519 すると… 281 00:33:43,479 --> 00:33:46,816 別のオスがやってきます 282 00:33:48,735 --> 00:33:51,029 アルファオスに― 283 00:33:53,197 --> 00:33:54,907 挑みました 284 00:34:02,165 --> 00:34:06,919 双方一歩も引かず 戦いは避けられません 285 00:34:14,510 --> 00:34:16,387 若いオスが― 286 00:34:16,888 --> 00:34:18,806 待っていた好機です 287 00:34:26,397 --> 00:34:30,026 近づきながら 触手を持ち上げて 288 00:34:30,985 --> 00:34:32,695 その色を変えます 289 00:34:34,906 --> 00:34:36,657 これは擬態です 290 00:34:38,034 --> 00:34:39,368 メスを装いました 291 00:34:42,622 --> 00:34:44,999 力ではなく 頭を使い 292 00:34:45,541 --> 00:34:47,919 争いに紛れ込みます 293 00:34:56,886 --> 00:35:01,474 アルファオスは メスを守っています 294 00:35:04,477 --> 00:35:05,478 2匹も 295 00:35:10,316 --> 00:35:13,945 ずる賢いオスにメスを盗まれ 296 00:35:14,487 --> 00:35:18,282 交尾されたとは気付きません 297 00:35:32,630 --> 00:35:36,759 卓越した知性と 驚くべき感覚で 298 00:35:36,843 --> 00:35:41,430 頭足類は 地球の海を支配しました 299 00:35:50,982 --> 00:35:52,692 現代の浅瀬は 300 00:35:52,775 --> 00:35:57,613 頭足類が 支配する場所ではありません 301 00:36:01,159 --> 00:36:03,911 なぜなら はるか昔に― 302 00:36:04,912 --> 00:36:08,499 君臨する者が 交代したからです 303 00:36:15,673 --> 00:36:21,512 3億7400万年前 304 00:36:22,430 --> 00:36:25,391 大規模な融解から7000万年後 305 00:36:25,474 --> 00:36:28,561 デボン紀と呼ばれる時代に 306 00:36:28,644 --> 00:36:31,480 脊椎動物が躍進します 307 00:36:37,737 --> 00:36:40,489 ダンクレオステウスです 308 00:36:43,284 --> 00:36:47,079 アランダスピスの子孫ですが 309 00:36:49,582 --> 00:36:54,837 全長9メートルもあり 非捕食者でもありません 310 00:36:59,592 --> 00:37:04,972 成魚の半分もない幼魚ですら 凶暴な捕食者です 311 00:37:09,435 --> 00:37:14,106 この若者は 何かを発見しました 312 00:37:17,360 --> 00:37:18,903 アンモノイドです 313 00:37:19,820 --> 00:37:24,242 現代の深海に住む オウムガイの近縁種 314 00:37:33,042 --> 00:37:34,627 ダンクレオステウスは 315 00:37:34,710 --> 00:37:38,923 脊椎動物なので 速さでは負けません 316 00:37:45,763 --> 00:37:49,475 しかしアンモノイドには 秘密兵器があります 317 00:37:51,936 --> 00:37:53,813 ジェット推進力です 318 00:37:55,106 --> 00:37:58,276 若い魚を 出し抜くための力です 319 00:38:06,242 --> 00:38:08,327 魚が周回を始めると 320 00:38:10,288 --> 00:38:12,415 アンモノイドも同じ行動を 321 00:38:16,002 --> 00:38:18,212 硬い殻で身を守ります 322 00:38:25,678 --> 00:38:29,432 魚の祖先には 通用した防御法ですが 323 00:38:29,932 --> 00:38:34,270 この魚は 新たな武器を持っています 324 00:38:38,065 --> 00:38:39,400 あごです 325 00:38:40,568 --> 00:38:44,113 獲物をかみ砕くことが できます 326 00:38:49,952 --> 00:38:52,663 重要なのは かむ角度 327 00:39:10,222 --> 00:39:12,099 幼魚のあごは 328 00:39:12,183 --> 00:39:16,062 アンモノイドの殻を砕く力は ありません 329 00:39:19,482 --> 00:39:20,941 しかし― 330 00:39:21,442 --> 00:39:22,443 成魚は… 331 00:39:37,541 --> 00:39:40,419 背骨とあごの力は 332 00:39:40,920 --> 00:39:43,172 最強の組み合わせです 333 00:39:44,090 --> 00:39:47,635 それを証明するかのように 334 00:39:48,135 --> 00:39:52,139 脊椎動物の栄華は 続いています 335 00:40:02,525 --> 00:40:05,986 現在 魚類は 3万種を超えています 336 00:40:11,033 --> 00:40:14,578 頭足類の40倍ほどです 337 00:40:22,545 --> 00:40:24,880 多様さを誇る魚類ですが 338 00:40:27,258 --> 00:40:30,136 皆 背骨とあごを 兼ね備えています 339 00:40:33,055 --> 00:40:35,391 背骨は速さと力の源です 340 00:40:38,060 --> 00:40:39,645 大きさは問いません 341 00:40:43,315 --> 00:40:44,650 あごの力は 342 00:40:45,484 --> 00:40:47,236 “かむ”を可能にしました 343 00:40:50,698 --> 00:40:53,284 それだけではありません 344 00:40:55,411 --> 00:40:58,330 あごで卵を守る魚もいます 345 00:41:02,751 --> 00:41:05,087 異性へのアピールに使う魚も 346 00:41:12,720 --> 00:41:15,890 サーカスティック フリンジヘッド 347 00:41:21,437 --> 00:41:24,148 あごでカニを 捕まえるだけではなく… 348 00:41:33,157 --> 00:41:38,370 自然界で最も恐ろしい威圧に 使います 349 00:41:41,916 --> 00:41:45,044 敵の排除に効果的です 350 00:41:53,260 --> 00:41:57,306 大きさが何より重要なのです 351 00:42:21,539 --> 00:42:25,876 大きなあごで 一帯を支配しています 352 00:42:26,752 --> 00:42:30,631 一方 ある悪名高い一族も あごの力で― 353 00:42:31,757 --> 00:42:33,592 海を支配しています 354 00:42:40,641 --> 00:42:44,770 4億年以上前に 姿を現してから― 355 00:42:45,729 --> 00:42:48,607 常に恐怖をもたらす存在 356 00:42:54,905 --> 00:42:55,823 それは… 357 00:42:57,449 --> 00:42:58,617 サメです 358 00:43:03,038 --> 00:43:06,458 背骨とあごの力だけでなく 359 00:43:07,501 --> 00:43:10,087 鋭い感覚も備えています 360 00:43:10,170 --> 00:43:13,632 数百メートル先の獲物も 探知できるのです 361 00:43:16,760 --> 00:43:20,347 大きさや強さは様々です 362 00:43:21,390 --> 00:43:23,517 海の捕食者として― 363 00:43:24,518 --> 00:43:27,438 完璧に近い存在です 364 00:43:41,160 --> 00:43:43,704 西オーストラリア沖 365 00:43:44,204 --> 00:43:47,249 魚は群れを作り 防御していますが― 366 00:43:50,336 --> 00:43:52,713 サメは逃がしません 367 00:43:54,757 --> 00:43:58,344 特別な攻撃方法が あるからです 368 00:44:05,726 --> 00:44:07,728 チームワークです 369 00:44:08,270 --> 00:44:13,233 何匹かが下から 魚を水面へ押し上げます 370 00:44:16,820 --> 00:44:18,822 他のサメは横から 371 00:44:20,324 --> 00:44:23,285 群れを外洋から浅瀬に 372 00:44:23,786 --> 00:44:25,579 追い込みます 373 00:44:33,629 --> 00:44:35,839 数百匹のサメは― 374 00:44:36,423 --> 00:44:38,342 時間を稼ぎます 375 00:44:42,012 --> 00:44:45,057 獲物を疲れさせるためです 376 00:44:58,278 --> 00:45:02,366 何百万年もかけ 磨かれた狩りの技は 377 00:45:04,952 --> 00:45:08,831 一瞬で大量虐殺が始まります 378 00:45:51,123 --> 00:45:54,418 誕生から ほとんど姿を変えないまま 379 00:45:55,669 --> 00:45:59,757 サメは生態系の頂点に 君臨しています 380 00:46:03,927 --> 00:46:05,763 その一因は― 381 00:46:06,263 --> 00:46:09,016 ライバルが消えたこと 382 00:46:17,274 --> 00:46:21,195 3億6000万年年前 383 00:46:26,742 --> 00:46:29,036 古代の海では― 384 00:46:29,119 --> 00:46:33,749 ダンクレオステウスが 2000万年も君臨していました 385 00:46:37,586 --> 00:46:41,924 初期のサメが かなわなかった捕食者です 386 00:46:47,554 --> 00:46:51,850 しかし運命のいたずらに 苦しめられます 387 00:46:57,648 --> 00:46:59,900 原因はプランクトン 388 00:47:02,820 --> 00:47:04,822 数十億年前 389 00:47:04,905 --> 00:47:07,699 プランクトンは 生命を育む触媒でした 390 00:47:11,078 --> 00:47:11,870 しかし 391 00:47:12,371 --> 00:47:15,040 生命を危機にさらします 392 00:47:20,003 --> 00:47:22,673 栄養成分が急増して 393 00:47:23,257 --> 00:47:27,386 プランクトンが 増加したのです 394 00:47:30,472 --> 00:47:32,474 かつてない規模で… 395 00:47:40,732 --> 00:47:46,697 太陽が差し込む浅瀬では プランクトンが死滅し 396 00:47:49,575 --> 00:47:52,786 海の酸素が急減しました 397 00:48:02,421 --> 00:48:05,215 生命に不可欠な要素を欠き 398 00:48:05,299 --> 00:48:08,468 動物は窒息していきます 399 00:48:18,312 --> 00:48:24,067 逃げようのない動物たちの 末路は一つだけ 400 00:48:26,612 --> 00:48:27,988 絶滅です 401 00:48:31,033 --> 00:48:32,534 絶滅した種に 402 00:48:32,618 --> 00:48:35,621 ダンクレオステウスも 含まれていました 403 00:48:47,090 --> 00:48:51,094 世界中の海岸線が 死者で埋まりました 404 00:49:03,774 --> 00:49:08,028 生き残った者は 初期のサメを含めて 405 00:49:08,111 --> 00:49:09,863 ごくわずかでした 406 00:49:21,917 --> 00:49:27,005 海洋生物全体の8割が 死滅しました 407 00:49:27,089 --> 00:49:30,550 地球2回目の大量絶滅です 408 00:49:35,097 --> 00:49:36,139 これはまだ 409 00:49:36,640 --> 00:49:39,309 物語の半分に過ぎません 410 00:49:43,480 --> 00:49:46,650 プランクトンを 急増させた栄養成分は 411 00:49:48,068 --> 00:49:50,529 海のものではありません 412 00:49:53,991 --> 00:49:57,035 陸から運ばれたのです 413 00:50:01,623 --> 00:50:03,375 植物から放出されました 414 00:50:03,458 --> 00:50:08,130 これは歴史上有数の 驚くべき出来事です 415 00:50:15,554 --> 00:50:18,724 地球の緑化です 416 00:50:24,396 --> 00:50:27,357 かつて火山が荒廃させた地に 417 00:50:28,316 --> 00:50:32,279 生命が満ちあふれています 418 00:50:36,450 --> 00:50:40,495 可能性が広がる 新しい世界です 419 00:50:42,622 --> 00:50:45,250 植物が道を切り開くと 420 00:50:45,876 --> 00:50:48,503 動物があとを追います 421 00:50:51,965 --> 00:50:53,550 まもなく― 422 00:50:54,051 --> 00:50:58,346 陸の王座を懸けた争いが 始まります 423 00:52:51,001 --> 00:52:53,545 日本語字幕 末永 由美子