1 00:00:21,203 --> 00:00:22,603 ‎クレオパトラ 2 00:00:23,323 --> 00:00:24,603 ‎アフリカの女王 3 00:00:26,243 --> 00:00:29,363 ‎あまたの国民を ‎守る母であり 4 00:00:29,363 --> 00:00:32,563 ‎肉体を持つエジプトの女神 5 00:00:33,323 --> 00:00:36,083 ‎恐れられ あがめられる存在 6 00:00:38,563 --> 00:00:40,283 ‎同時に 人間でもあり⸺ 7 00:00:41,563 --> 00:00:45,683 ‎女性だけが直面する危険を ‎経験しました 8 00:00:47,163 --> 00:00:51,003 ‎古代における出産は ‎神の領域です 9 00:00:52,883 --> 00:00:58,043 ‎女王であろうと ‎命の保証はありませんでした 10 00:01:11,323 --> 00:01:12,963 ‎生まれた男の子は 11 00:01:12,963 --> 00:01:16,523 ‎強大な国々である ‎ローマとエジプトを⸺ 12 00:01:17,283 --> 00:01:19,803 ‎統合できる存在です 13 00:01:22,163 --> 00:01:25,563 ‎クレオパトラは ‎2つの国の母となり 14 00:01:25,563 --> 00:01:29,603 ‎地位と名声は ‎確かなものとなるでしょう 15 00:01:32,723 --> 00:01:36,123 ‎しかし ‎幸運は気まぐれでした 16 00:01:45,523 --> 00:01:51,483 ‎アフリカン・クイーンズ ‎クレオパトラ 17 00:01:56,283 --> 00:01:58,723 {\an8}エジプト 紀元前46年 18 00:01:58,723 --> 00:02:01,043 {\an8}エジプト 紀元前46年 クレオパトラの 重要性は 19 00:02:01,043 --> 00:02:01,643 {\an8}歴史の転換期を 生きたところにあります 20 00:02:01,643 --> 00:02:05,643 {\an8}歴史の転換期を 生きたところにあります コリーン・ダーネル 博士 21 00:02:31,163 --> 00:02:36,323 ‎カエサルの子を産んだのは ‎恐らく22歳頃です 22 00:02:36,323 --> 00:02:37,643 {\an8}子供の名前は カエサリオン 23 00:02:37,643 --> 00:02:38,683 {\an8}子供の名前は カエサリオン イスラム・イッサ 博士 24 00:02:38,683 --> 00:02:38,763 {\an8}イスラム・イッサ 博士 25 00:02:38,763 --> 00:02:41,523 {\an8}イスラム・イッサ 博士 意味は “小さなカエサル”です 26 00:02:42,963 --> 00:02:44,923 ‎カエサリオンは 27 00:02:44,923 --> 00:02:48,683 ‎2つの偉大な文明の ‎象徴でした 28 00:02:48,683 --> 00:02:51,923 ‎そんな子供は他にはいません 29 00:02:52,523 --> 00:02:53,563 {\an8}婚外子であることは 問題になりませんでした 30 00:02:53,563 --> 00:02:57,203 {\an8}婚外子であることは 問題になりませんでした デボラ・ハード 博士号候補 31 00:02:57,763 --> 00:03:03,643 ‎両親がそれぞれの国を ‎統治しているため 子供は⸺ 32 00:03:04,203 --> 00:03:08,403 ‎ローマとエジプトを ‎1つにできる存在です 33 00:03:09,083 --> 00:03:11,963 ‎カエサリオンが ‎生まれたおかげで 34 00:03:11,963 --> 00:03:15,883 ‎クレオパトラは ‎統治を続けられました 35 00:03:17,163 --> 00:03:19,003 {\an8}多くの苦難を乗り越えて ようやく 36 00:03:19,003 --> 00:03:20,643 {\an8}多くの苦難を乗り越えて ようやく サリー=アン・ アシュトン博士 37 00:03:20,643 --> 00:03:20,723 {\an8}サリー=アン・ アシュトン博士 38 00:03:20,723 --> 00:03:22,523 {\an8}サリー=アン・ アシュトン博士 安定が訪れたのです 39 00:03:23,683 --> 00:03:27,963 ‎夫であり 弟の ‎プトレマイオスは死亡 40 00:03:30,363 --> 00:03:33,483 ‎弟妹からの脅威は ‎なくなりました 41 00:03:35,323 --> 00:03:37,603 ‎彼女の地位は盤石です 42 00:03:44,843 --> 00:03:46,083 ‎しかし... 43 00:03:47,243 --> 00:03:48,803 ‎実は問題が1つ 44 00:03:49,323 --> 00:03:53,523 ‎妹であるアルシノエが ‎火種となるのです 45 00:04:00,323 --> 00:04:03,643 ‎ローマ 46 00:04:06,683 --> 00:04:12,163 ‎カエサルはアルシノエを ‎ローマに連れ帰りました 47 00:04:12,163 --> 00:04:16,923 ‎エジプトでの勝利で得た ‎戦利品としてです 48 00:04:16,923 --> 00:04:17,443 {\an8}アルシノエを 処刑するという言質を 49 00:04:17,443 --> 00:04:20,723 {\an8}アルシノエを 処刑するという言質を シェリー・P・ ヘイリー教授 50 00:04:20,723 --> 00:04:20,803 {\an8}シェリー・P・ ヘイリー教授 51 00:04:20,803 --> 00:04:21,883 {\an8}シェリー・P・ ヘイリー教授 クレオパトラは 取っていました 52 00:04:21,883 --> 00:04:23,643 {\an8}クレオパトラは 取っていました 53 00:04:26,523 --> 00:04:29,683 ‎推定 17歳ほどの ‎アルシノエは 54 00:04:30,523 --> 00:04:33,603 ‎市内を引き回されたのです 55 00:04:37,043 --> 00:04:40,083 ‎ローマの民衆は ‎衝撃を受けました 56 00:04:41,403 --> 00:04:45,483 ‎“こんな方法で ‎子供を辱めるなんて”とね 57 00:04:50,603 --> 00:04:54,443 ‎民衆がカエサルに ‎反発したため 58 00:04:54,443 --> 00:04:57,523 ‎処刑は取りやめられました 59 00:05:10,043 --> 00:05:15,843 ‎民衆に反対されれば ‎カエサルも従わざるをえず 60 00:05:15,843 --> 00:05:18,683 ‎アルシノエを生かすことに 61 00:05:20,523 --> 00:05:24,843 ‎彼女はエフェソスに ‎追放されました 62 00:05:43,723 --> 00:05:46,763 ‎これはクレオパトラへの ‎裏切りです 63 00:05:46,763 --> 00:05:51,843 ‎妹は死んだと ‎彼女は思っていたのですから 64 00:06:19,003 --> 00:06:24,603 ‎妹が生きているのを知り ‎クレオパトラは激怒しました 65 00:06:24,603 --> 00:06:28,123 ‎妹は脅威だと ‎知っていたからです 66 00:06:28,683 --> 00:06:32,683 ‎きょうだいを ‎信用できないこともね 67 00:06:34,563 --> 00:06:40,283 ‎クレオパトラは すぐに ‎対応を考えたでしょう 68 00:06:40,283 --> 00:06:43,523 ‎策を練ってから ‎動く人物でした 69 00:06:50,763 --> 00:06:55,203 ‎ローマ 70 00:07:02,763 --> 00:07:05,323 ‎カエサリオンは1歳の頃に 71 00:07:05,323 --> 00:07:10,443 ‎ローマに連れていかれたと ‎考えられています 72 00:07:10,443 --> 00:07:13,403 ‎クレオパトラが期待したのは 73 00:07:13,403 --> 00:07:16,883 ‎実子だと ‎カエサルが公言すること 74 00:07:16,883 --> 00:07:22,523 ‎更には カエサルの後継者と ‎宣言することです 75 00:07:22,523 --> 00:07:25,363 ‎そうすれば カエサリオンと 76 00:07:25,363 --> 00:07:29,603 ‎クレオパトラの正統性が ‎認められます 77 00:07:29,603 --> 00:07:34,283 ‎特に息子のために ‎必要なことでした 78 00:07:37,243 --> 00:07:42,323 ‎カエサリオンは息子だと ‎カエサルが認めれば 79 00:07:42,323 --> 00:07:47,723 ‎アルシノエはクレオパトラの ‎脅威にはなりません 80 00:07:52,763 --> 00:07:58,083 ‎同行していたのは ‎側近のカーミオンとイラス 81 00:08:00,723 --> 00:08:05,163 ‎そして 2人目の夫で弟の ‎プトレマイオス14世 82 00:08:05,163 --> 00:08:08,563 ‎彼は 邪魔者のように ‎感じたでしょう 83 00:08:10,283 --> 00:08:13,043 ‎妻がカエサルに会うため 84 00:08:13,043 --> 00:08:17,283 ‎共同統治者として ‎仕方なく同行したのですから 85 00:08:19,563 --> 00:08:22,563 ‎ローマ式の歓迎は最低ですね 86 00:08:23,843 --> 00:08:25,843 ‎力を誇示してるのよ 87 00:08:26,603 --> 00:08:28,403 ‎同じ立場なら⸺ 88 00:08:29,243 --> 00:08:30,763 ‎私もそうする 89 00:08:35,283 --> 00:08:39,523 ‎当時のローマは ‎他国に勝る権勢を誇りました 90 00:08:40,043 --> 00:08:43,883 ‎建築や美術などの ‎あらゆる分野で 91 00:08:43,883 --> 00:08:48,963 {\an8}飛躍を遂げた 世界の中心だったのです 92 00:08:48,963 --> 00:08:52,203 {\an8}領土の拡大も進んでいき 93 00:08:52,203 --> 00:08:56,163 {\an8}西は 現在の西欧に当たる地域 94 00:08:56,163 --> 00:08:58,603 {\an8}東はアジアに及びました 95 00:08:59,163 --> 00:09:00,843 ‎まさに強大です 96 00:09:05,043 --> 00:09:10,003 ‎カエサルは世界的な大物で ‎ローマ人の英雄でした 97 00:09:10,003 --> 00:09:13,163 ‎人生経験も ‎戦いの経験もあるのは 98 00:09:13,163 --> 00:09:15,043 ‎強い男の証しです 99 00:09:16,163 --> 00:09:20,563 ‎エジプトのファラオを ‎見せましょう 100 00:09:21,243 --> 00:09:24,123 ‎ほら 準備はいい? 101 00:09:24,123 --> 00:09:25,643 ‎顔を上げて 102 00:09:25,643 --> 00:09:27,283 ‎ローマへようこそ 103 00:09:28,643 --> 00:09:30,843 ‎カエサル ほら 104 00:09:30,843 --> 00:09:33,363 ‎ああ かわいい子だ 105 00:09:34,203 --> 00:09:35,323 ‎行きましょう 106 00:09:38,043 --> 00:09:39,083 ‎ありがとう 107 00:09:51,043 --> 00:09:56,443 ‎クレオパトラたちが ‎カエサルに招かれたのは 108 00:09:56,443 --> 00:09:59,043 ‎ジャニコロの丘の邸宅でした 109 00:10:01,083 --> 00:10:06,283 ‎カエサルの正妻の存在を ‎彼女は意に介しませんでした 110 00:10:06,283 --> 00:10:08,923 ‎女たらしで有名な相手の⸺ 111 00:10:08,923 --> 00:10:12,763 ‎妻のことは ‎気にならなかったでしょう 112 00:10:13,323 --> 00:10:17,723 ‎ローマは一夫一妻制でしたが ‎統治者である⸺ 113 00:10:17,723 --> 00:10:22,483 ‎カエサルとクレオパトラに ‎関しては 話が別です 114 00:10:22,483 --> 00:10:24,123 ‎あれは誰? 115 00:10:25,723 --> 00:10:28,083 ‎この子は誰かな? 116 00:10:29,043 --> 00:10:30,643 ‎君は誰だい? 117 00:10:31,563 --> 00:10:36,683 ‎子供がいることで ‎2人は“パートナー”です 118 00:10:38,363 --> 00:10:41,363 ‎荒っぽくしないで ‎慣れてないの 119 00:10:41,363 --> 00:10:43,443 ‎父親がやらないと 120 00:10:44,603 --> 00:10:45,923 ‎あごが似てる 121 00:10:46,523 --> 00:10:47,683 ‎そうだな 122 00:10:50,923 --> 00:10:53,883 ‎がっしりした ‎ローマ人のあごだ 123 00:10:59,723 --> 00:11:00,763 ‎お乳を 124 00:11:01,883 --> 00:11:02,763 ‎早すぎる 125 00:11:04,723 --> 00:11:08,443 ‎あとで元老院に ‎連れていったら? 126 00:11:09,523 --> 00:11:10,483 ‎どうかな 127 00:11:13,683 --> 00:11:15,043 ‎会えてうれしい 128 00:11:18,603 --> 00:11:19,843 ‎約束したもの 129 00:11:20,923 --> 00:11:22,963 ‎あなたも約束をした 130 00:11:24,003 --> 00:11:25,003 ‎そうか? 131 00:11:28,123 --> 00:11:29,683 ‎なぜ妹は生きてるの? 132 00:11:30,843 --> 00:11:33,243 ‎ローマの民が望んだからだ 133 00:11:34,443 --> 00:11:36,003 ‎彼女は脅威じゃない 134 00:11:36,003 --> 00:11:37,163 ‎あなたにはね 135 00:11:37,843 --> 00:11:42,003 ‎私の命令か ‎軍隊の支援がないかぎりは 136 00:11:42,563 --> 00:11:44,163 ‎出てこられない 137 00:11:45,603 --> 00:11:47,283 ‎侮って失敗した 138 00:11:47,883 --> 00:11:49,003 ‎君は裸で⸺ 139 00:11:49,723 --> 00:11:51,083 ‎私は上の空だった 140 00:11:53,003 --> 00:11:54,083 ‎今は違う? 141 00:11:54,083 --> 00:11:55,043 ‎要点は? 142 00:11:55,043 --> 00:11:56,883 ‎約束したでしょう 143 00:11:56,883 --> 00:12:01,803 ‎君への約束より ‎ローマの民への誓いが重要だ 144 00:12:07,923 --> 00:12:09,923 {\an8}クレオパトラにとって カエサルの魅力は 145 00:12:09,923 --> 00:12:11,763 {\an8}クレオパトラにとって カエサルの魅力は ジャクリン・ ウィリアムソン 准教授 146 00:12:11,763 --> 00:12:11,843 {\an8}ジャクリン・ ウィリアムソン 准教授 147 00:12:11,843 --> 00:12:14,723 {\an8}ジャクリン・ ウィリアムソン 准教授 その政治的な手腕でした 148 00:12:14,723 --> 00:12:20,723 ‎プトレマイオス一族にとって ‎非常に重要な資質です 149 00:12:20,723 --> 00:12:26,523 ‎彼女は カエサルを ‎対等の存在と考えたでしょう 150 00:12:26,523 --> 00:12:31,883 ‎自分が教え込まれた方法で ‎権力を操る人物だからです 151 00:12:40,803 --> 00:12:42,523 ‎話したいことでも? 152 00:12:50,283 --> 00:12:52,403 ‎クレオパトラは戦略家で 153 00:12:52,403 --> 00:12:57,843 ‎利のある関係を築ける男性に ‎狙いを定めていました 154 00:13:10,243 --> 00:13:11,403 ‎会いたかった 155 00:13:19,723 --> 00:13:24,563 ‎古代エジプトの ‎性的指向は流動的でした 156 00:13:29,883 --> 00:13:32,683 ‎カエサルは クレオパトラの 157 00:13:33,203 --> 00:13:36,523 ‎初めての相手では ‎ないでしょう 158 00:13:48,283 --> 00:13:52,883 ‎権力を持ち 精神も強い ‎2人の人間が 159 00:13:52,883 --> 00:13:55,763 ‎心でつながったのです 160 00:13:57,523 --> 00:14:02,563 ‎女としての自分に自信を持ち ‎武器にする女性に 161 00:14:02,563 --> 00:14:06,443 ‎カエサルは ‎初めて会ったはずです 162 00:14:09,163 --> 00:14:11,043 ‎圧倒されたでしょうね 163 00:14:34,203 --> 00:14:38,483 ‎クレオパトラには ‎高い教養がありました 164 00:14:38,483 --> 00:14:44,003 ‎複数の言語を操り ‎各地を旅した経験もあります 165 00:14:44,003 --> 00:14:47,683 ‎更に 世界に名だたる ‎学者の指導を⸺ 166 00:14:47,683 --> 00:14:51,203 ‎洗練された学術都市で ‎受けました 167 00:14:54,843 --> 00:14:57,643 ‎一方 ローマは ‎生まれたてで⸺ 168 00:14:59,043 --> 00:15:03,723 ‎まだ成長の過程にある ‎若き国でした 169 00:15:04,923 --> 00:15:10,643 ‎ローマを支えていたのは ‎農民 かつ兵士である平民で 170 00:15:11,203 --> 00:15:15,643 ‎地に足のついた ‎屈強な人々でした 171 00:15:18,963 --> 00:15:24,123 ‎非常に男性優位な ‎ローマの権力構造の中で 172 00:15:24,123 --> 00:15:28,083 ‎クレオパトラは ‎名誉を傷つけられました 173 00:15:28,083 --> 00:15:31,363 ‎彼女が ローマ人が ‎理想とする女性に⸺ 174 00:15:31,363 --> 00:15:34,763 ‎当てはまらなかったからです 175 00:15:35,603 --> 00:15:40,483 ‎エジプトでは 女性は ‎男性と同等の権利を持ちます 176 00:15:40,483 --> 00:15:43,483 ‎結婚相手を選べ 離婚でき 177 00:15:43,483 --> 00:15:46,483 ‎事業を起こせ ‎財産を持てました 178 00:15:47,043 --> 00:15:50,723 ‎ローマの女性は ‎家にいるものでした 179 00:15:50,723 --> 00:15:52,963 ‎特に身分の高い女性はね 180 00:15:53,843 --> 00:15:58,323 ‎エジプトの女性には ‎無縁の考え方でした 181 00:15:59,283 --> 00:16:04,043 ‎ローマの男性は ‎クレオパトラを嫌悪しました 182 00:16:04,043 --> 00:16:07,683 ‎彼女が ‎異質な存在だったからです 183 00:16:11,923 --> 00:16:12,723 ‎カエサル 184 00:16:14,363 --> 00:16:18,403 ‎彼女は まさに ‎エジプトの象徴だな 185 00:16:18,403 --> 00:16:20,963 ‎熟れて 収穫を待つばかり 186 00:16:26,043 --> 00:16:29,003 ‎これが ‎ローマ式の女性の扱い? 187 00:16:30,603 --> 00:16:32,043 ‎“熟れてる”って? 188 00:16:32,963 --> 00:16:37,083 ‎でも あなたには ‎収穫する道具がないでしょ 189 00:16:41,723 --> 00:16:43,403 ‎カエサルと並び 190 00:16:43,403 --> 00:16:47,483 ‎アントニウスも ‎名の知られた将軍でした 191 00:16:48,043 --> 00:16:52,363 ‎カエサルと比べ ‎少し快楽主義の傾向が強く 192 00:16:52,363 --> 00:16:58,363 ‎興味の対象は哲学よりも ‎酒宴に参加することでした 193 00:16:59,083 --> 00:17:03,523 ‎元老院議員のキケロは ‎クレオパトラに反感を持ち 194 00:17:03,523 --> 00:17:07,763 ‎“嫌いだ”と明記した ‎手紙を残しています 195 00:17:09,283 --> 00:17:11,003 ‎侮辱する気はない 196 00:17:11,003 --> 00:17:15,003 ‎許すわ‎ ‎ローマは ‎女王を歓迎しないものね 197 00:17:15,003 --> 00:17:19,283 ‎後にも先にも ‎ローマに女王は存在しない 198 00:17:19,283 --> 00:17:22,563 ‎歴史ある文明に ‎最高の敬意は払うが 199 00:17:23,083 --> 00:17:25,883 ‎美点はそれだけだ 200 00:17:26,643 --> 00:17:27,923 ‎歴史があるだけ 201 00:17:29,283 --> 00:17:31,803 ‎ローマは未来だ 202 00:17:32,923 --> 00:17:35,363 ‎過去なくして 未来はない 203 00:17:36,123 --> 00:17:38,883 ‎エジプトなくして ‎ローマもない 204 00:17:40,563 --> 00:17:43,003 ‎本気で言ってるのか 205 00:17:43,003 --> 00:17:46,483 ‎エジプトがあるから ‎我らが存在すると? 206 00:17:48,323 --> 00:17:49,923 ‎想像にお任せするわ 207 00:17:51,563 --> 00:17:52,723 ‎やっとだ 208 00:17:53,283 --> 00:17:57,363 ‎会話のレベルを上げる ‎客人が現れた 209 00:17:58,003 --> 00:18:00,003 ‎クレオパトラに乾杯 210 00:18:00,563 --> 00:18:01,803 ‎ついに⸺ 211 00:18:02,643 --> 00:18:05,043 ‎言い負かした人物だ 212 00:18:05,563 --> 00:18:06,963 ‎キケロを 213 00:18:11,523 --> 00:18:14,163 ‎ローマは 女性の統治者を 214 00:18:14,163 --> 00:18:17,683 ‎認めていないという ‎単純な話です 215 00:18:21,803 --> 00:18:23,963 ‎ローマは共和政です 216 00:18:23,963 --> 00:18:27,443 ‎男性の集団が ‎民主主義に近い形で 217 00:18:27,443 --> 00:18:29,443 ‎国を治めていました 218 00:18:31,043 --> 00:18:35,603 ‎一方 エジプトは ‎何千年も王家が支配し 219 00:18:35,603 --> 00:18:40,523 ‎1人か2人の王による ‎統治が行われていました 220 00:18:40,523 --> 00:18:44,043 ‎統治体制が全く違ったのです 221 00:18:44,043 --> 00:18:47,563 ‎ローマは代議制の ‎最初期の例で 222 00:18:47,563 --> 00:18:51,003 ‎共和政に ‎誇りを持っていました 223 00:18:51,003 --> 00:18:55,923 ‎民主主義は ‎当時のローマの特徴でした 224 00:18:59,843 --> 00:19:04,003 ‎アレクサンドリア戦争から ‎カエサルが戻ると 225 00:19:04,003 --> 00:19:08,083 ‎元老院は ‎その功績をたたえました 226 00:19:08,083 --> 00:19:12,003 ‎そして ‎独裁官(ディクタトル)‎に任命したのです 227 00:19:12,523 --> 00:19:17,563 ‎独裁官は 権限にも ‎任期にも制限がありました 228 00:19:17,563 --> 00:19:22,283 ‎独裁者ではなく ‎数年の任期の統治者なのです 229 00:19:23,443 --> 00:19:24,563 ‎これは何? 230 00:19:25,523 --> 00:19:27,523 ‎公共図書館だ 231 00:19:28,043 --> 00:19:32,683 ‎アーチ型の入り口を ‎いくつも作ったら? 232 00:19:33,203 --> 00:19:36,283 ‎それなら ‎いろんな所から入れる 233 00:19:36,283 --> 00:19:42,163 ‎カエサルを取り巻く環境は ‎新たな様相を呈しました 234 00:19:42,163 --> 00:19:45,883 ‎クレオパトラに ‎注目が集まったためです 235 00:19:45,883 --> 00:19:47,003 ‎完璧よ 236 00:19:48,243 --> 00:19:49,363 ‎これは どうだ? 237 00:19:50,643 --> 00:19:52,123 ‎大変そうだわ 238 00:19:53,043 --> 00:19:56,483 ‎クレオパトラに影響された ‎カエサルは 239 00:19:56,483 --> 00:20:00,843 ‎ローマに図書館を ‎建設しようとします 240 00:20:00,843 --> 00:20:04,523 ‎アレクサンドリアのものに ‎似ていました 241 00:20:06,723 --> 00:20:10,123 ‎加えて カエサルは ‎暦を修正します 242 00:20:10,643 --> 00:20:13,963 ‎天文学に卓越した ‎古代エジプトでは 243 00:20:13,963 --> 00:20:17,803 ‎優れた太陽暦が ‎考案されていました 244 00:20:18,603 --> 00:20:21,963 ‎1年が12ヵ月で ‎1ヵ月が30日 245 00:20:21,963 --> 00:20:26,923 ‎1年の終わりに5日を足し ‎365日にしていました 246 00:20:26,923 --> 00:20:31,483 ‎現在の暦の原型である ‎この暦を カエサルは 247 00:20:31,483 --> 00:20:33,523 ‎採用したのです 248 00:20:36,283 --> 00:20:41,043 ‎クレオパトラの意見に ‎カエサルは耳を傾けました 249 00:20:41,043 --> 00:20:45,683 ‎暦の改定や図書館の建設が ‎その例です 250 00:20:45,683 --> 00:20:49,203 ‎そのため ‎ローマや彼を感化できると 251 00:20:49,203 --> 00:20:51,723 ‎クレオパトラは考えました 252 00:20:53,923 --> 00:20:59,323 ‎滞在中に 彼女がカエサルに ‎多くの影響を与えた結果⸺ 253 00:20:59,323 --> 00:21:02,563 ‎ローマに怒りが渦巻きます 254 00:21:03,563 --> 00:21:08,763 ‎カエサルが首都を移転する ‎という うわさが流れました 255 00:21:08,763 --> 00:21:12,643 ‎ローマから ‎アレクサンドリアにです 256 00:21:13,283 --> 00:21:17,763 ‎別のうわさでは ‎一夫多妻主義者となり 257 00:21:17,763 --> 00:21:24,083 ‎ローマ人とエジプト人の妻を ‎持つと言われていました 258 00:21:24,643 --> 00:21:26,963 ‎それに ギリシャ人の妻も 259 00:21:28,723 --> 00:21:32,323 ‎カエサルは ‎比喩としても 事実としても 260 00:21:32,323 --> 00:21:37,003 ‎ローマに従属する国の人間と ‎懇ろな関係でした 261 00:21:37,003 --> 00:21:40,123 ‎エジプトとローマの ‎力関係は逆転し 262 00:21:40,123 --> 00:21:43,323 ‎クレオパトラが ‎決断を下していました 263 00:21:44,643 --> 00:21:47,403 ‎カエサルが建てた金の像は 264 00:21:47,403 --> 00:21:52,163 ‎イシス もしくはビーナスに ‎捧げられた物です 265 00:21:54,403 --> 00:21:57,643 ‎しかし クレオパトラに ‎似ています 266 00:21:57,643 --> 00:22:03,403 ‎人を神格化することは ‎ローマ人には受け入れがたく 267 00:22:03,403 --> 00:22:06,683 ‎多くの人が ‎衝撃を受けたでしょう 268 00:22:06,683 --> 00:22:11,763 ‎カエサルは彼女の ‎言いなりだと思われました 269 00:22:13,203 --> 00:22:17,643 ‎実際は クレオパトラが ‎満足できる状況ではなく 270 00:22:17,643 --> 00:22:21,123 ‎目的を ‎果たせていませんでした 271 00:22:21,643 --> 00:22:24,443 ‎ローマを訪れたのは 272 00:22:24,443 --> 00:22:29,283 ‎息子のカエサリオンを ‎認知させるためです 273 00:22:29,283 --> 00:22:33,483 ‎それは ‎実現できていませんでした 274 00:22:35,003 --> 00:22:39,403 ‎エジプト 275 00:22:40,963 --> 00:22:45,483 ‎長く国を空けたため ‎クレオパトラは帰国します 276 00:22:48,683 --> 00:22:54,843 ‎彼女は エジプトの民衆に ‎親しみを感じていました 277 00:22:54,843 --> 00:22:59,283 ‎自分が彼らを ‎大切に思っていることを 278 00:22:59,283 --> 00:23:02,923 ‎知っていてほしかったのです 279 00:23:08,083 --> 00:23:13,083 ‎一方 ローマでは ‎緊張が高まり続けていました 280 00:23:13,923 --> 00:23:18,003 {\an8}ローマ 紀元前44年 281 00:23:18,003 --> 00:23:23,603 ‎紀元前44年に カエサルは ‎終身独裁官への任命を要求 282 00:23:24,163 --> 00:23:29,483 ‎政治的に不安定だったため ‎元老院はこれを承認します 283 00:23:29,483 --> 00:23:34,323 ‎彼は生涯 独裁官を ‎務めることになったのです 284 00:23:37,763 --> 00:23:40,723 ‎権力の絶頂にありましたが 285 00:23:40,723 --> 00:23:44,443 ‎同時に転機に ‎差し掛かっていました 286 00:23:45,883 --> 00:23:50,003 ‎カエサルは ‎ローマ初の終身独裁官でした 287 00:23:50,003 --> 00:23:53,443 ‎自身の肖像が彫られた ‎硬貨を作り 288 00:23:53,443 --> 00:23:55,283 ‎玉座に座りました 289 00:23:55,283 --> 00:23:59,323 ‎自分を神とした ‎像まで作ったのです 290 00:24:01,083 --> 00:24:05,683 ‎クレオパトラを女王とする ‎王になりたいのだと 291 00:24:05,683 --> 00:24:07,563 ‎判断される行いです 292 00:24:07,563 --> 00:24:11,363 ‎共和政のローマでは ‎許されません 293 00:24:11,363 --> 00:24:14,923 ‎政治生命を絶つ行為です 294 00:24:14,923 --> 00:24:19,443 ‎あからさまに ‎王になろうとするなんて 295 00:24:26,923 --> 00:24:30,843 ‎ルペルカリア祭は ‎カエサルにとって 296 00:24:30,843 --> 00:24:36,563 ‎王になる気がないことを示す ‎格好の機会でした 297 00:24:39,123 --> 00:24:43,083 ‎アントニウスは ‎平民から身を起こした⸺ 298 00:24:43,083 --> 00:24:45,723 ‎ローマ軍の‎雄(ゆう)‎です 299 00:24:45,723 --> 00:24:50,043 ‎カエサルの信頼も厚い ‎人物でした 300 00:24:51,923 --> 00:24:55,963 ‎アントニウスが ‎王冠を手に近づきます 301 00:25:31,683 --> 00:25:34,243 ‎暦以外も変えたいようだ 302 00:25:37,243 --> 00:25:40,483 ‎支持の声が上がりました 303 00:25:40,483 --> 00:25:43,043 ‎“彼は王にならない”とね 304 00:25:45,163 --> 00:25:50,283 ‎一方で 疑いを確信に ‎変えた者もいました 305 00:25:50,283 --> 00:25:55,243 ‎カエサルは支配を ‎始めようとしていたのです 306 00:25:56,563 --> 00:26:01,243 ‎終身独裁官への就任は ‎共和政ローマへの侮辱だと⸺ 307 00:26:01,243 --> 00:26:04,643 ‎考える元老院議員もいました 308 00:26:17,403 --> 00:26:19,163 ‎クレオパトラは 309 00:26:19,163 --> 00:26:23,043 ‎紀元前44年に ‎ローマを再訪しました 310 00:26:23,443 --> 00:26:25,803 ‎紀元前44年3月 311 00:26:28,043 --> 00:26:32,763 ‎この時 彼女は難しい立場に ‎置かれていました 312 00:26:35,523 --> 00:26:38,403 ‎カエサリオンが ‎成長することは 313 00:26:38,403 --> 00:26:41,243 ‎ローマにとって脅威でした 314 00:26:43,163 --> 00:26:46,723 ‎将来の皇帝として ‎クレオパトラが 315 00:26:46,723 --> 00:26:50,883 ‎子供を育てる可能性が ‎高まるからです 316 00:26:51,443 --> 00:26:55,963 ‎彼女の望みは カエサルが ‎カエサリオンを認知し 317 00:26:55,963 --> 00:26:59,763 ‎遺書で 後継者に ‎指名することでした 318 00:26:59,763 --> 00:27:04,763 ‎彼女にとってカエサリオンは ‎最高の手札でした 319 00:27:04,763 --> 00:27:09,363 ‎カエサルが ‎権力の座にいるかぎりはね 320 00:27:10,803 --> 00:27:15,723 ‎カエサルの人気と ‎拡大する権力が脅威となり 321 00:27:15,723 --> 00:27:20,443 ‎権力者による ‎陰謀が画策されました 322 00:27:20,443 --> 00:27:24,803 ‎政治家たちが ‎懸念していたのは 323 00:27:24,803 --> 00:27:28,483 ‎カエサルが ‎独裁者になることでした 324 00:27:29,363 --> 00:27:31,923 ‎クレオパトラの影響でね 325 00:27:31,923 --> 00:27:35,443 ‎彼女がローマを訪れたことで 326 00:27:35,443 --> 00:27:40,683 ‎陰謀を実行に移す ‎大義名分が立ちました 327 00:27:40,683 --> 00:27:43,923 ‎“あの女が戻ってきた” 328 00:27:44,603 --> 00:27:46,763 ‎“理由があるはず”とね 329 00:28:02,283 --> 00:28:05,563 ‎3月15日の朝のことです 330 00:28:05,563 --> 00:28:09,723 ‎カエサルは ‎元老院に向かいました 331 00:28:16,323 --> 00:28:18,203 ‎アントニウスも一緒です 332 00:28:28,643 --> 00:28:32,683 ‎最初に刺した人物については ‎諸説あります 333 00:28:39,003 --> 00:28:41,923 ‎こうして ‎カエサルは死にました 334 00:29:01,163 --> 00:29:02,883 ‎カーミオン 何事? 335 00:29:05,283 --> 00:29:08,043 ‎カエサルが殺されました 336 00:29:08,043 --> 00:29:10,283 ‎紀元前44年3月15日に 337 00:29:10,283 --> 00:29:13,803 ‎カエサルは ‎何度も刺されました 338 00:29:16,563 --> 00:29:17,443 ‎ウソよね? 339 00:29:18,483 --> 00:29:19,763 ‎暗殺です 340 00:29:20,443 --> 00:29:23,283 ‎元老院に殺されました 341 00:29:25,083 --> 00:29:26,363 ‎そんな... 342 00:29:27,163 --> 00:29:28,403 ‎まさか 343 00:29:29,003 --> 00:29:30,323 ‎どうして? 344 00:29:30,963 --> 00:29:31,923 ‎なぜ⸺ 345 00:29:32,683 --> 00:29:34,043 ‎そんなことが? 346 00:29:34,043 --> 00:29:36,963 ‎民に愛されてるんでしょう 347 00:29:36,963 --> 00:29:39,323 ‎なんで殺されるの? 348 00:29:40,003 --> 00:29:43,163 ‎襲われる前に帰国しないと 349 00:29:43,163 --> 00:29:45,203 ‎そんなこと起きない 350 00:29:46,123 --> 00:29:48,523 ‎襲われたりしない 351 00:29:49,403 --> 00:29:50,523 ‎ここに残る 352 00:29:51,443 --> 00:29:52,643 ‎遺書が⸺ 353 00:29:53,363 --> 00:29:55,003 ‎読まれるまでは 354 00:29:56,003 --> 00:29:59,803 ‎ここに残るわ ‎息子を公に認めてもらいたい 355 00:30:02,483 --> 00:30:03,923 ‎あの子の権利よ 356 00:30:08,803 --> 00:30:10,963 ‎私の権利でもある 357 00:30:16,243 --> 00:30:19,563 ‎クレオパトラは ‎うろたえました 358 00:30:19,563 --> 00:30:24,723 ‎誰であろうと ‎カエサルを殺した人物は 359 00:30:25,563 --> 00:30:28,523 ‎息子も殺そうとするでしょう 360 00:30:29,803 --> 00:30:32,243 ‎命の危険がありました 361 00:30:32,243 --> 00:30:38,243 ‎外国にいるため すぐに ‎身を守れる手段もありません 362 00:30:38,243 --> 00:30:40,483 ‎危うい状況だったのです 363 00:30:42,603 --> 00:30:43,763 ‎私たちがいます 364 00:30:45,283 --> 00:30:48,563 ‎遺書の内容を知りたい 365 00:30:49,323 --> 00:30:51,123 ‎ほら 下りましょ 366 00:30:52,483 --> 00:30:53,483 ‎いいわ 367 00:30:59,603 --> 00:31:00,403 ‎行って 368 00:31:05,323 --> 00:31:07,163 ‎カエサルの死で 369 00:31:07,163 --> 00:31:11,003 ‎クレオパトラの計画は ‎崩れました 370 00:31:11,003 --> 00:31:15,523 ‎自分の権力や立場を ‎維持する方法を 371 00:31:15,523 --> 00:31:18,123 ‎考え直す必要があります 372 00:31:18,123 --> 00:31:21,363 ‎子供を権力の座に ‎つけなくては 373 00:31:21,363 --> 00:31:26,843 ‎他の誰かが カエサルの ‎後継者になってしまいます 374 00:31:26,843 --> 00:31:32,003 ‎元老院とのつながりや ‎長年にわたる貢献から 375 00:31:32,003 --> 00:31:35,843 ‎アントニウスは ‎後継者に指名されると 376 00:31:35,843 --> 00:31:38,203 ‎期待していました 377 00:31:38,203 --> 00:31:41,763 ‎クレオパトラの予想では ‎自分の息子です 378 00:31:41,763 --> 00:31:44,363 {\an8}1週間後 379 00:31:44,363 --> 00:31:46,643 {\an8}1週間後 ‎彼の親類の ‎オクタヴィアヌスが⸺ 380 00:31:46,643 --> 00:31:47,203 ‎彼の親類の ‎オクタヴィアヌスが⸺ 381 00:31:48,043 --> 00:31:49,203 ‎後継者だ 382 00:31:50,203 --> 00:31:52,523 ‎なぜ そんな人が? 383 00:31:52,523 --> 00:31:54,323 ‎他に適任がいる 384 00:31:55,683 --> 00:31:56,843 ‎遺書を見た? 385 00:31:57,363 --> 00:31:58,163 ‎ああ 386 00:31:58,683 --> 00:32:00,203 ‎息子がいるのに 387 00:32:00,923 --> 00:32:02,923 ‎私が産んだ息子が 388 00:32:03,443 --> 00:32:04,723 ‎正統の後継者よ 389 00:32:06,643 --> 00:32:07,963 ‎元老院と話す 390 00:32:08,963 --> 00:32:12,083 ‎カエサルの書いた言葉が ‎全てだ 391 00:32:15,523 --> 00:32:17,083 ‎あなたは何を⸺ 392 00:32:18,563 --> 00:32:19,683 ‎受け継ぐの? 393 00:32:33,523 --> 00:32:35,363 ‎元老院の会合がある 394 00:32:36,803 --> 00:32:37,923 ‎行かないと 395 00:32:47,723 --> 00:32:48,683 ‎イラス 396 00:32:49,203 --> 00:32:53,643 ‎実の息子が 後継者に ‎指名されなかったことが 397 00:32:53,643 --> 00:32:56,443 ‎クレオパトラには衝撃でした 398 00:32:58,723 --> 00:33:02,363 ‎財産を相続する人物が ‎職務も受け継ぐと 399 00:33:02,363 --> 00:33:04,603 ‎私たちは思います 400 00:33:04,603 --> 00:33:08,243 ‎しかし 共和政ローマは ‎代議制のため 401 00:33:08,243 --> 00:33:11,403 ‎権力の闘争が起こりました 402 00:33:13,083 --> 00:33:15,683 ‎オクタヴィアヌスは⸺ 403 00:33:16,483 --> 00:33:18,923 ‎知らせを受け取りました 404 00:33:21,323 --> 00:33:24,243 ‎一方 アントニウスは⸺ 405 00:33:24,963 --> 00:33:26,843 ‎支持者を集めます 406 00:33:26,843 --> 00:33:31,603 ‎武力を誇示して ‎権力争いを行うのです 407 00:33:33,123 --> 00:33:37,403 ‎カエサルの暗殺後 ‎クレオパトラは帰国します 408 00:33:37,403 --> 00:33:42,363 ‎彼女は 打ちのめされていた ‎ことでしょう 409 00:33:42,363 --> 00:33:46,323 ‎恋人であり友人を ‎亡くしただけでなく 410 00:33:46,323 --> 00:33:50,203 ‎主要な同盟関係を ‎失ったのですから 411 00:33:50,203 --> 00:33:53,483 ‎エフェソス 412 00:33:54,043 --> 00:33:57,323 ‎カエサルの死の他にも問題が 413 00:34:00,283 --> 00:34:02,483 ‎妹のアルシノエは 414 00:34:03,443 --> 00:34:06,323 ‎幽閉されているはずでした 415 00:34:06,323 --> 00:34:10,403 ‎しかし ‎キプロスの司令官と結託し 416 00:34:11,043 --> 00:34:13,723 ‎脱走していたのです 417 00:34:14,283 --> 00:34:18,843 ‎司令官の助けで ‎アルシノエは逃亡しました 418 00:34:19,523 --> 00:34:23,123 ‎これで ‎弟のプトレマイオスと共謀し 419 00:34:23,123 --> 00:34:26,963 ‎王位を狙えるようになります 420 00:34:28,483 --> 00:34:32,723 {\an8}エジプト 1ヵ月後 421 00:34:37,923 --> 00:34:43,363 ‎妹の逃亡を あなたでなく ‎役人の妻から聞いたわ 422 00:34:46,523 --> 00:34:49,323 ‎相談役を ‎彼女に変えようかしら 423 00:34:50,323 --> 00:34:54,843 ‎そういう人は ‎秘密を全て漏らしますよ 424 00:34:56,043 --> 00:34:57,163 ‎なら どうする? 425 00:34:57,883 --> 00:35:00,323 ‎もっと情報を集めさせる 426 00:35:01,923 --> 00:35:03,763 ‎監視は怠らないで 427 00:35:05,883 --> 00:35:06,883 ‎分かりました 428 00:35:09,363 --> 00:35:12,883 ‎でもカエサルの命令か ‎軍の支援がないと 429 00:35:13,403 --> 00:35:14,763 ‎出られないはずよ 430 00:35:16,563 --> 00:35:17,763 ‎軍が支援を? 431 00:35:17,763 --> 00:35:19,883 ‎それは まだです 432 00:35:22,803 --> 00:35:24,283 ‎手を下すべき? 433 00:35:25,323 --> 00:35:27,723 ‎その時はお知らせします 434 00:35:30,123 --> 00:35:31,043 ‎待ってる 435 00:35:32,003 --> 00:35:35,563 ‎アルシノエを ‎暗殺できなかったのは 436 00:35:35,563 --> 00:35:38,963 ‎居場所が ‎エジプトでなかったからです 437 00:35:48,083 --> 00:35:52,083 ‎アルシノエが ‎手を組んだのは 438 00:35:52,083 --> 00:35:55,363 ‎弟の ‎プトレマイオス14世でした 439 00:36:03,323 --> 00:36:06,923 ‎プトレマイオス14世は ‎まだ子供でしたが 440 00:36:06,923 --> 00:36:12,403 ‎クレオパトラへの反乱の ‎旗印として最適でした 441 00:36:17,723 --> 00:36:18,403 ‎なぜ⸺ 442 00:36:20,043 --> 00:36:21,643 ‎争いを求めるの? 443 00:36:26,043 --> 00:36:30,283 ‎カエサリオンの ‎正統な地位を脅かされるのは 444 00:36:30,283 --> 00:36:35,883 ‎クレオパトラには許しがたく ‎すぐに対処しました 445 00:36:44,323 --> 00:36:47,323 ‎プトレマイオス14世は ‎体調を崩し 446 00:36:47,323 --> 00:36:50,403 ‎その後 亡くなりました 447 00:37:00,803 --> 00:37:02,083 ‎待って 448 00:37:04,523 --> 00:37:06,443 ‎神々と共にあれ 449 00:37:11,483 --> 00:37:12,523 ‎始めて 450 00:37:17,963 --> 00:37:22,163 ‎クレオパトラが ‎弟を排除したのだと思います 451 00:37:24,163 --> 00:37:27,283 ‎無視できない ‎脅威だったのです 452 00:37:28,923 --> 00:37:30,603 ‎王は1人だけです 453 00:37:30,603 --> 00:37:33,523 ‎プトレマイオスが ‎死ななくては 454 00:37:33,523 --> 00:37:38,563 ‎カエサリオンを ‎共同統治者にできません 455 00:37:39,163 --> 00:37:44,803 ‎現代人の感覚では ‎恐ろしい所業に思えますが 456 00:37:44,803 --> 00:37:49,283 ‎この一族では よくある ‎解決策だったはずです 457 00:37:49,283 --> 00:37:51,683 ‎弟でもある夫を失いましたが 458 00:37:51,683 --> 00:37:56,843 ‎エジプト女王としての立場は ‎大いに安定しました 459 00:37:56,843 --> 00:37:59,083 {\an8}ローマ 紀元前42年10月 460 00:37:59,083 --> 00:38:01,003 {\an8}ローマ 紀元前42年10月 カエサルの死後 ローマでは内戦が勃発 461 00:38:01,003 --> 00:38:02,563 {\an8}カエサルの死後 ローマでは内戦が勃発 462 00:38:02,563 --> 00:38:06,883 ‎暗殺をした勢力と ‎彼らに対抗する勢力に 463 00:38:06,883 --> 00:38:10,083 ‎有力者が二分されました 464 00:38:10,643 --> 00:38:14,243 ‎アントニウスと ‎オクタヴィアヌスは協力を 465 00:38:14,243 --> 00:38:17,763 ‎カエサル暗殺の3年後⸺ 466 00:38:17,763 --> 00:38:22,803 ‎クレオパトラに ローマとの ‎同盟の機会が訪れます 467 00:38:22,803 --> 00:38:29,003 ‎アントニウスは 彼女に対し ‎会談への参加を求めました 468 00:38:29,003 --> 00:38:31,923 ‎ローマの東の領土における 469 00:38:31,923 --> 00:38:35,803 ‎エジプトの立場について ‎話すためです 470 00:38:36,363 --> 00:38:41,483 ‎アントニウスが得た情報では ‎クレオパトラは 471 00:38:41,483 --> 00:38:47,163 ‎陰謀をたくらんだ勢力に ‎手を貸していました 472 00:38:48,563 --> 00:38:49,203 ‎それで? 473 00:38:53,603 --> 00:38:54,523 ‎何なの? 474 00:38:55,283 --> 00:38:57,763 ‎アントニウスの目的は 475 00:38:57,763 --> 00:39:02,963 ‎彼女が 暗殺をした勢力に ‎助力したか知ることでした 476 00:39:06,003 --> 00:39:07,083 ‎言ったでしょ 477 00:39:07,763 --> 00:39:11,483 ‎クレオパトラは ‎エジプトの女王です 478 00:39:11,483 --> 00:39:16,203 ‎女王は ‎アントニウスのような人間の 479 00:39:16,763 --> 00:39:19,203 ‎召喚には応えません 480 00:39:19,203 --> 00:39:23,603 ‎何週間もの間 ‎彼は召喚状を送り続けました 481 00:39:27,483 --> 00:39:29,443 ‎“タルサスに来い”とね 482 00:39:33,403 --> 00:39:36,643 ‎召喚に応じると返事して 483 00:39:41,843 --> 00:39:44,603 ‎行くと伝えなさい 484 00:39:46,283 --> 00:39:47,203 ‎本気で? 485 00:39:49,203 --> 00:39:49,963 ‎本気よ 486 00:39:49,963 --> 00:39:52,843 ‎信頼できる味方が必要でした 487 00:39:52,843 --> 00:39:55,443 ‎キプロスから攻撃された時に 488 00:39:55,443 --> 00:39:59,723 ‎アレクサンドリアを ‎守ってくれる人物です 489 00:39:59,723 --> 00:40:04,523 ‎アントニウスには ‎軍事力がありました 490 00:40:06,643 --> 00:40:10,963 {\an8}タルサスは 現在の トルコ南部の都市です 491 00:40:10,963 --> 00:40:14,443 {\an8}見たこともないような 豪勢な船に乗り 492 00:40:14,443 --> 00:40:17,803 {\an8}クレオパトラは 港に入りました 493 00:40:17,803 --> 00:40:21,483 ‎紀元前41年 494 00:40:25,643 --> 00:40:30,723 ‎怒りを抱えながら ‎アントニウスは乗船しました 495 00:40:33,803 --> 00:40:37,843 ‎クレオパトラは ‎ビーナスのような姿でした 496 00:40:39,043 --> 00:40:42,483 ‎アントニウスを ‎魅了するという戦いを 497 00:40:42,483 --> 00:40:45,643 ‎豪華な船の上で ‎繰り広げたのです 498 00:40:48,963 --> 00:40:51,923 ‎オクタヴィアヌスにも ‎召喚された 499 00:40:53,323 --> 00:40:55,643 ‎彼はカエサルを名乗ってる 500 00:40:57,363 --> 00:40:58,443 ‎大胆ね 501 00:41:02,603 --> 00:41:05,003 ‎アルシノエは 二度と⸺ 502 00:41:06,803 --> 00:41:09,043 ‎命を救われてはならない 503 00:41:11,243 --> 00:41:12,403 ‎何を望む? 504 00:41:14,243 --> 00:41:15,483 ‎同盟よ 505 00:41:17,323 --> 00:41:18,803 ‎これを使えば⸺ 506 00:41:20,363 --> 00:41:22,803 ‎ローマはあなたのもの 507 00:41:26,403 --> 00:41:27,363 ‎手を組む? 508 00:41:50,363 --> 00:41:51,163 ‎ああ 509 00:41:53,643 --> 00:41:54,883 ‎あなたのものよ 510 00:41:56,883 --> 00:41:57,883 ‎全てね 511 00:42:00,563 --> 00:42:01,563 ‎そうか 512 00:42:16,283 --> 00:42:20,563 ‎財力が必要な ‎アントニウスに対して 513 00:42:20,563 --> 00:42:23,763 ‎彼女は ‎同盟の利を示しました 514 00:42:23,763 --> 00:42:27,003 ‎“必要な資金を出せる”と 515 00:42:27,003 --> 00:42:30,283 ‎彼女は可能性を ‎感じていました 516 00:42:30,283 --> 00:42:33,123 ‎権力を持つアントニウスなら 517 00:42:33,123 --> 00:42:36,403 ‎カエサルの代わりになります 518 00:42:36,403 --> 00:42:41,283 ‎2人の関係を戦略的に利用し ‎自身の地位を高め 519 00:42:41,283 --> 00:42:45,203 ‎自分と母国を ‎守ろうとしたのです 520 00:42:45,203 --> 00:42:47,683 ‎彼女が女性であり 521 00:42:47,683 --> 00:42:51,483 ‎子供を産めるからこその ‎戦略でした 522 00:42:51,483 --> 00:42:55,083 ‎軍事面でも 外交面でも ‎恋愛面でも 523 00:42:55,083 --> 00:42:57,283 ‎固い絆を結べます 524 00:42:57,283 --> 00:43:00,803 ‎男性の王が ‎持っていない類の力を⸺ 525 00:43:00,803 --> 00:43:04,363 ‎彼女は持っていたわけです 526 00:43:21,803 --> 00:43:24,323 ‎情報は間違いでした 527 00:43:24,323 --> 00:43:28,483 ‎カエサルの暗殺に ‎助力したのは彼女ではなく 528 00:43:28,483 --> 00:43:31,083 ‎妹のアルシノエだったのです 529 00:43:45,483 --> 00:43:48,923 ‎ベッドの中で ‎クレオパトラは言います 530 00:43:48,923 --> 00:43:53,523 ‎“あなたはローマの ‎強い指導者だと示せるわ” 531 00:43:54,643 --> 00:43:58,963 ‎“アルシノエに ‎死をもたらせるならね” 532 00:44:18,403 --> 00:44:21,523 ‎クレオパトラは ‎逆境に立ち向かい 533 00:44:21,523 --> 00:44:25,043 ‎生き残るためなら ‎手段を選びません 534 00:44:26,403 --> 00:44:28,963 ‎アントニウスとの同盟により 535 00:44:29,483 --> 00:44:32,843 ‎弟妹は全員いなくなりました 536 00:44:32,843 --> 00:44:35,043 ‎アルシノエが死に 537 00:44:35,043 --> 00:44:40,523 ‎クレオパトラは王位争いに ‎完全に勝利したのです 538 00:44:45,243 --> 00:44:49,003 ‎しかし 強敵の ‎オクタヴィアヌスが 539 00:44:49,563 --> 00:44:53,363 ‎彼女の計画の前に ‎立ちはだかります 540 00:45:55,443 --> 00:45:57,443 ‎日本語字幕‎ ‎手代木 麻里