1 00:00:02,000 --> 00:00:07,000 Downloaded from YTS.MX 2 00:00:08,000 --> 00:00:13,000 Official YIFY movies site: YTS.MX 3 00:00:15,390 --> 00:00:17,892 後悔はあるかって? 当然ある 4 00:00:17,976 --> 00:00:21,062 だが それが 原動力にもなっている 5 00:00:22,439 --> 00:00:25,817 悔しさを乗り越え 取り除こうと 6 00:00:25,900 --> 00:00:28,862 絵をかいたり 脚本を書いたりする 7 00:00:28,945 --> 00:00:30,655 やり直せはしない 8 00:00:30,739 --> 00:00:31,573 戻せない 9 00:00:31,656 --> 00:00:34,451 時間っていう奴だけは 10 00:00:34,534 --> 00:00:36,661 瞬く間に過ぎていく 11 00:00:36,745 --> 00:00:39,539 まるで電車からの 景色のように 12 00:00:39,622 --> 00:00:42,917 時間はビュンビュンと 過ぎていく 13 00:00:43,001 --> 00:00:44,627 まるで写真だ 14 00:00:44,711 --> 00:00:46,379 二度と戻らない 15 00:00:46,463 --> 00:00:48,006 それが人生だ 16 00:00:48,089 --> 00:00:50,967 一瞬で目の前を過ぎて 17 00:00:51,051 --> 00:00:52,469 遠ざかってく 18 00:02:03,456 --> 00:02:06,084 “ロッキー” 19 00:02:20,557 --> 00:02:23,768 スライ: スタローンの物語 20 00:02:33,486 --> 00:02:36,072 現状に満足できれば楽だ 21 00:02:37,699 --> 00:02:40,243 何か刺激が欲しかった 22 00:02:40,326 --> 00:02:42,912 同じ日々の繰り返しに 23 00:02:42,996 --> 00:02:46,332 自分が枯れていくのを感じた 24 00:02:46,416 --> 00:02:49,460 枯れて落ちる イチジクのように 25 00:02:49,544 --> 00:02:52,046 今後20年も同じ生活なんて 26 00:02:52,130 --> 00:02:53,923 我慢できない 27 00:02:54,007 --> 00:02:57,552 自分を奮い立たせるためには どうするか? 28 00:02:58,052 --> 00:02:58,970 移動だ 29 00:02:59,804 --> 00:03:02,765 だから東海岸に移った 30 00:03:03,433 --> 00:03:08,771 より刺激を求めるために 今まで自分が得たものを 31 00:03:09,522 --> 00:03:10,732 丸めて捨てた 32 00:03:16,738 --> 00:03:18,990 スタローンとは何者か? 33 00:03:19,073 --> 00:03:21,284 芸術家 脚本家 詩人 役者 34 00:03:21,367 --> 00:03:22,994 大物セレブ 35 00:03:23,661 --> 00:03:25,121 どうしてか? 36 00:03:25,747 --> 00:03:28,499 スライは常に我が道を行く 37 00:03:28,583 --> 00:03:31,878 道がなければ 自分で道を作りだす 38 00:03:32,712 --> 00:03:34,380 彼は自己演出者だ 39 00:03:34,964 --> 00:03:37,884 すばらしい役者でもなく 40 00:03:37,967 --> 00:03:40,511 特別目立つわけではない 41 00:03:40,595 --> 00:03:42,597 だから自分で作り出す 42 00:03:42,680 --> 00:03:46,726 役者なのに脚本を書き 自分で監督もする 43 00:03:46,809 --> 00:03:48,686 彼が初めてではないが 44 00:03:48,770 --> 00:03:52,565 それでスターになったのは 彼が初めてだ 45 00:03:52,649 --> 00:03:57,737 彼は世間が求めてる 自分というものを理解してた 46 00:03:57,820 --> 00:04:00,490 スタローンの成功物語を 47 00:04:00,573 --> 00:04:02,533 自分の人生と重ねた 48 00:04:02,617 --> 00:04:06,913 彼のように成功するのが 僕の夢だった 49 00:04:06,996 --> 00:04:12,293 シリーズ作品を3つも 手がけたのは彼しかいない 50 00:04:12,377 --> 00:04:14,212 非凡な才能だ 51 00:04:16,005 --> 00:04:18,049 偶然の産物ではない 52 00:04:21,844 --> 00:04:25,223 音声カセットを 見せてもらっても? 53 00:04:25,306 --> 00:04:26,432 ああ いいよ 54 00:04:27,725 --> 00:04:28,810 どれどれ 55 00:04:29,686 --> 00:04:31,646 これは 「ニューヨーク・タイムズ」 56 00:04:39,570 --> 00:04:41,322 お願いがあるの 57 00:04:41,406 --> 00:04:44,033 プレスリリースを読むから 58 00:04:44,117 --> 00:04:47,078 私が止まったら続きを話して 59 00:04:47,161 --> 00:04:51,332 あなたはニューヨークの ヘルズ・キッチンで 60 00:04:51,416 --> 00:04:54,168 1946年の夏に生まれた 61 00:05:02,135 --> 00:05:03,344 驚きだよ 62 00:05:05,013 --> 00:05:07,056 まさか またここに 63 00:05:07,557 --> 00:05:09,726 戻ってくるなんて 64 00:05:10,435 --> 00:05:14,022 このヘルズ・キッチンで 俺は生まれ育った 65 00:05:15,648 --> 00:05:18,401 来たのは65年ぶりだ 66 00:05:19,694 --> 00:05:21,029 ここ在住? 67 00:05:21,112 --> 00:05:22,780 いいや 45ストリート 68 00:05:22,864 --> 00:05:24,240 そうか 69 00:05:25,116 --> 00:05:26,159 昔 住んでた 70 00:05:26,242 --> 00:05:27,577 このエリアに? 71 00:05:27,660 --> 00:05:28,536 そうさ 72 00:05:28,619 --> 00:05:30,371 当時はどうだった? 73 00:05:30,455 --> 00:05:31,622 ひどかったよ 74 00:05:31,706 --> 00:05:34,250 本当に ヘルズ(地獄)・キッチンだった 75 00:05:35,126 --> 00:05:37,795 窓はいつも開いていた 76 00:05:38,504 --> 00:05:40,882 そこから観察してたんだ 77 00:05:40,965 --> 00:05:43,092 人間の本質と生きざまを 78 00:05:43,176 --> 00:05:44,552 映画みたいに 79 00:05:44,635 --> 00:05:45,845 “いつ来るんだ?” 80 00:05:45,928 --> 00:05:47,305 “明日行くよ” 81 00:05:47,388 --> 00:05:48,848 “窓を閉めろ” 82 00:05:48,931 --> 00:05:50,641 会話が行き交う 83 00:05:53,436 --> 00:05:57,190 親父はいつもイタリアの Tシャツを着てた 84 00:05:57,273 --> 00:06:01,652 まるでアーサー・ミラーの 芝居のような生活さ 85 00:06:01,736 --> 00:06:04,489 まさに「橋からの眺め」だ 86 00:06:06,407 --> 00:06:09,243 親父は母とこの街で出会い 87 00:06:09,327 --> 00:06:12,163 床屋から美容師に転身した 88 00:06:12,246 --> 00:06:14,832 その方が稼げたからだ 89 00:06:14,916 --> 00:06:17,418 父は自意識過剰だった 90 00:06:17,502 --> 00:06:19,837 学がなかったからだと思う 91 00:06:19,921 --> 00:06:20,296 少しでも侮辱(ぶじょく)されると 92 00:06:20,296 --> 00:06:22,715 弟 フランク・ スタローン・JR 少しでも侮辱(ぶじょく)されると 93 00:06:22,715 --> 00:06:22,799 弟 フランク・ スタローン・JR 94 00:06:22,799 --> 00:06:23,049 弟 フランク・ スタローン・JR 怒り出した 95 00:06:23,049 --> 00:06:24,008 怒り出した 96 00:06:24,092 --> 00:06:25,802 母もひどかった 97 00:06:25,885 --> 00:06:29,472 古いヘアブラシや ボディブラシで叩かれ 98 00:06:29,555 --> 00:06:33,142 硬くて鋭い爪で 俺たちのことをつかんだ 99 00:06:33,226 --> 00:06:38,689 母は人気ナイトクラブで タバコを売ってた 100 00:06:39,399 --> 00:06:42,235 それが主な収入源だった 101 00:06:43,277 --> 00:06:45,446 親父は言ってた 102 00:06:45,530 --> 00:06:49,200 母は子どもを持つことが 不安だったと 103 00:06:50,034 --> 00:06:51,327 出産間近でも 104 00:06:51,911 --> 00:06:54,789 バスに乗って働きに出た 105 00:06:54,872 --> 00:06:57,041 バスの中で産気づいた 106 00:06:57,125 --> 00:06:59,669 親切な人が母を降ろし 107 00:06:59,752 --> 00:07:01,963 慈善病院に運んでくれた 108 00:07:02,922 --> 00:07:07,552 そこで俺は生まれたが 医療ミスのせいで 109 00:07:07,635 --> 00:07:11,764 口の横の神経が 麻痺してしまった 110 00:07:11,848 --> 00:07:13,641 この声もそのせいだ 111 00:07:18,354 --> 00:07:20,940 母はかなり奇抜で派手で 112 00:07:21,023 --> 00:07:24,944 自己主張が強く 予測不可能な人だった 113 00:07:26,737 --> 00:07:28,781 俺の荒っぽさは… 114 00:07:32,326 --> 00:07:34,078 親父から受け継いだ 115 00:07:34,162 --> 00:07:35,371 間違いなく 116 00:07:37,457 --> 00:07:40,209 両親は毎日ケンカしてた 117 00:07:40,293 --> 00:07:44,630 目が覚めると2人の 怒鳴り声が聞こえた 118 00:07:44,714 --> 00:07:45,715 父が… 119 00:07:46,674 --> 00:07:49,010 俺は硬直してた 120 00:07:49,093 --> 00:07:51,137 家の振動を感じながら 121 00:07:54,348 --> 00:07:58,561 2人とも自分のことで 精一杯だったんだろう 122 00:07:58,644 --> 00:08:00,229 息子を排除した 123 00:08:00,313 --> 00:08:04,692 俺は大半の時間を 寮で過ごしてた 124 00:08:04,775 --> 00:08:06,694 1年中ね 125 00:08:06,777 --> 00:08:10,781 家に帰っても両親は 仕事で忙しかった 126 00:08:10,865 --> 00:08:15,995 周りは俺が親に愛されず 育てられてないと同情する 127 00:08:16,078 --> 00:08:17,747 それは同感だ 128 00:08:18,789 --> 00:08:22,251 俺を育ててくれたのは 129 00:08:22,335 --> 00:08:25,213 他人からの愛とリスペクトだ 130 00:08:25,296 --> 00:08:30,343 誰かに受け入れられ 愛を感じたいという 131 00:08:30,426 --> 00:08:31,886 欲望だ 132 00:08:33,137 --> 00:08:36,599 それを求めずには いられないんだ 133 00:08:42,647 --> 00:08:45,816 俺と兄にとって 映画は逃げ場だった 134 00:08:48,611 --> 00:08:51,239 劇場で何時間も過ごした 135 00:08:51,322 --> 00:08:54,784 どの映画も 何度も繰り返し見た 136 00:08:54,867 --> 00:08:57,620 そうして家に夕方帰る 137 00:08:58,955 --> 00:09:01,415 そこに理想の人生があった 138 00:09:01,499 --> 00:09:03,125 壮大なドラマ 139 00:09:03,793 --> 00:09:06,796 努力して悪に打ち勝つ 140 00:09:08,464 --> 00:09:10,007 ヒーローに憧れた 141 00:09:10,091 --> 00:09:13,970 バスに乗った 子どもたちを助けたり 142 00:09:14,053 --> 00:09:17,431 多くの人の命を 救うヒーローに― 143 00:09:18,474 --> 00:09:19,559 なりたかった 144 00:09:24,021 --> 00:09:26,691 俺は両親の部屋で1人 145 00:09:26,774 --> 00:09:31,195 デパートで買った 3ドルの鏡を手にした 146 00:09:31,988 --> 00:09:35,116 鏡に自分を映し 1日中何かしてた 147 00:09:35,199 --> 00:09:36,951 誰かを模倣(もほう)したり 148 00:09:37,034 --> 00:09:39,704 歌声が聞こえると口パクした 149 00:09:39,787 --> 00:09:41,872 「ヘラクレス」を見た後は 150 00:09:41,956 --> 00:09:44,917 スティーヴ・リーヴスの 模倣をした 151 00:09:49,547 --> 00:09:51,424 「ヘラクレスの逆襲」で 152 00:09:51,507 --> 00:09:54,885 彼が神殿を倒すシーンがある 153 00:09:54,969 --> 00:09:56,137 そして彼は― 154 00:09:56,846 --> 00:10:02,727 美しい顔と体を持つ 完璧な男の象徴だった 155 00:10:02,810 --> 00:10:03,894 それを見て― 156 00:10:04,604 --> 00:10:06,814 目指すべき道を決めた 157 00:10:06,897 --> 00:10:10,318 自分の理想とする男を ついに見つけた 158 00:10:10,401 --> 00:10:12,820 これが俺の運命だ 159 00:10:13,821 --> 00:10:17,283 親父はニューヨークで稼げず 160 00:10:17,366 --> 00:10:19,827 メリーランドに移った 161 00:10:22,371 --> 00:10:24,040 夫婦は破綻してた 162 00:10:24,123 --> 00:10:27,001 学校から帰ると 誰もいなかった 163 00:10:27,084 --> 00:10:28,711 母は出て行った 164 00:10:29,545 --> 00:10:31,922 裁判になって ひどかったよ 165 00:10:32,757 --> 00:10:34,508 俺と母は フィラデルフィア 166 00:10:34,592 --> 00:10:37,094 兄は父と メリーランドに残った 167 00:10:37,178 --> 00:10:40,556 何もない孤立した田舎だった 168 00:10:41,182 --> 00:10:43,184 いるのは馬だけ 169 00:10:54,403 --> 00:10:57,239 なぜか馬は好きだった 170 00:10:57,323 --> 00:10:59,158 5 6歳の時から 171 00:10:59,241 --> 00:11:02,078 父が買える程度の馬さ 172 00:11:02,161 --> 00:11:03,704 20ドルや25ドルで 173 00:11:03,788 --> 00:11:06,832 親父はそんなに 稼いでなかったが 174 00:11:06,916 --> 00:11:09,335 ポロのチームに入ってた 175 00:11:11,379 --> 00:11:15,549 チームの仲間は 美しい馬や牧場を持ってるが 176 00:11:15,633 --> 00:11:17,635 うちのはクズだった 177 00:11:18,219 --> 00:11:20,262 多くの馬は病気持ちで 178 00:11:20,346 --> 00:11:22,973 引きすぎると失明した 179 00:11:24,558 --> 00:11:26,060 俺もポロを 180 00:11:26,143 --> 00:11:28,813 とても低いレベルから始めた 181 00:11:28,896 --> 00:11:32,400 だが続けていくと 上達していき 182 00:11:32,483 --> 00:11:35,069 13歳の時にランク入りした 183 00:11:35,152 --> 00:11:37,029 全国入りも目前だった 184 00:11:38,155 --> 00:11:41,701 親父はそれが 気にいらなかった 185 00:11:41,784 --> 00:11:46,080 ある試合で俺はニアサイド バックハンドを狙った 186 00:11:46,914 --> 00:11:49,625 俺は何もしてないのに 187 00:11:49,709 --> 00:11:52,169 親父が“馬を強く 引きすぎだ”と 188 00:11:52,253 --> 00:11:54,588 “俺を信じろ”と言っても 189 00:11:54,672 --> 00:11:57,258 スタンドから怒鳴り続けた 190 00:11:57,341 --> 00:12:00,886 俺が試合を進めようと 馬を引くと 191 00:12:00,970 --> 00:12:03,013 親父がこっちに来た 192 00:12:03,097 --> 00:12:06,434 俺の首をつかみ 地面に叩きつけて 193 00:12:07,476 --> 00:12:09,979 馬を連れて出て行った 194 00:12:10,604 --> 00:12:12,857 俺は倒されたまま思った 195 00:12:12,940 --> 00:12:15,484 “一生馬を見たくない”って 196 00:12:19,947 --> 00:12:21,991 俺は親父から厳しく― 197 00:12:23,367 --> 00:12:24,618 育てられた 198 00:12:24,702 --> 00:12:25,870 分かるだろ? 199 00:12:27,246 --> 00:12:30,332 だからどんな痛みにも 強かった 200 00:12:30,875 --> 00:12:34,044 誰にも壊されない 自信があった 201 00:12:34,128 --> 00:12:37,965 親父から何をされても 耐えられた 202 00:12:38,758 --> 00:12:40,926 父は兄に嫉妬(しっと)してたんだ 203 00:12:41,010 --> 00:12:43,262 兄は問題児だった 204 00:12:43,345 --> 00:12:45,055 不登校にケンカ 205 00:12:45,139 --> 00:12:48,726 問題ばかりで 多くの学校で退学になった 206 00:12:49,894 --> 00:12:52,855 12年間で13の学校に行った 207 00:12:52,938 --> 00:12:56,108 軍隊学校には 1か月もいなかった 208 00:12:56,192 --> 00:12:59,028 手に負えない状態だった 209 00:12:59,111 --> 00:13:00,571 兄の高校は 210 00:13:00,654 --> 00:13:03,574 問題児が行く学校だったよ 211 00:13:03,657 --> 00:13:08,078 そこで兄は演技に 興味を持ち始めた 212 00:13:08,162 --> 00:13:09,580 大学に行くと 213 00:13:09,663 --> 00:13:12,708 真剣に役者を 目指すようになった 214 00:13:12,792 --> 00:13:15,211 「セールスマンの死」の 215 00:13:15,294 --> 00:13:19,590 オーディションを なんとなく受けたんだ 216 00:13:19,673 --> 00:13:21,342 そして役を得た 217 00:13:21,425 --> 00:13:26,096 ステージの上に立っても まったく緊張しなかった 218 00:13:26,180 --> 00:13:30,059 演じることは 俺にはとても自然で 219 00:13:30,142 --> 00:13:32,394 居心地がよかった 220 00:13:32,478 --> 00:13:36,273 舞台を見てた ハーバード大学の教授が 221 00:13:36,357 --> 00:13:40,069 “役者になればいい”と 俺に言った 222 00:13:40,152 --> 00:13:42,530 俺は冗談だと思ったが 223 00:13:42,613 --> 00:13:46,700 “演技を学べ 君には才能がある”って 224 00:13:46,784 --> 00:13:48,702 その瞬間に― 225 00:13:49,912 --> 00:13:51,789 俺の人生が変わった 226 00:13:59,630 --> 00:14:03,717 ウッドストックの時期に ニューヨークに着いた 227 00:14:03,801 --> 00:14:08,222 俺は自分を売り込もうと 意気込んでた 228 00:14:13,352 --> 00:14:16,897 どんな街かも分からず 迷子のようだった 229 00:14:18,315 --> 00:14:22,987 孤独な中 自分の進む道を懸命に探した 230 00:14:23,946 --> 00:14:27,491 日銭を稼ぎながら 何とか生きていた 231 00:14:27,575 --> 00:14:32,121 バス停や駅 図書館で 夜を過ごしながらね 232 00:14:32,204 --> 00:14:34,915 凍えるほど寒い夜もだ 233 00:14:35,958 --> 00:14:38,627 役者の事務所を渡り歩き 234 00:14:38,711 --> 00:14:42,131 “登録したい”と 売り込み回った 235 00:14:42,214 --> 00:14:46,468 “受け付けてない”と写真を 返されても押し返した 236 00:14:47,428 --> 00:14:50,890 彼らは“君は滑舌が悪いし たれ目だ”とか 237 00:14:50,973 --> 00:14:52,391 色々言われたよ 238 00:14:53,058 --> 00:14:57,771 ようやく手に入れたのが 小劇場の半裸の役だった 239 00:14:57,855 --> 00:15:00,816 そんなひどい 仕事しかなかった 240 00:15:00,900 --> 00:15:04,570 周りがエキストラ役を 勧めてきたから 241 00:15:04,653 --> 00:15:07,990 やってみたが不満はあった 242 00:15:08,073 --> 00:15:10,284 いつも回ってくるのは 243 00:15:10,367 --> 00:15:11,952 チンピラ役だった 244 00:15:12,536 --> 00:15:14,246 すまん よそ見してた 245 00:15:14,330 --> 00:15:16,040 役は与えられず 246 00:15:16,123 --> 00:15:18,834 裏方や小道具係を させられていた 247 00:15:18,834 --> 00:15:20,127 映画監督 ジョン・ハーツフェルド 裏方や小道具係を させられていた 248 00:15:20,127 --> 00:15:20,210 映画監督 ジョン・ハーツフェルド 249 00:15:20,210 --> 00:15:22,212 映画監督 ジョン・ハーツフェルド ひどい扱いだったよ 250 00:15:22,296 --> 00:15:26,050 俺は心身ともすり減り 孤独だった 251 00:15:26,926 --> 00:15:29,553 それはジョンも同じだった 252 00:15:31,889 --> 00:15:35,184 役のなかった彼は 脚本を書いた 253 00:15:35,267 --> 00:15:37,019 自分のやりたい役を 254 00:15:39,021 --> 00:15:40,731 深い考えはなく 255 00:15:41,315 --> 00:15:44,151 ただ衝動的に書いてた 256 00:15:45,736 --> 00:15:48,447 これがダメなら 役者をやめよう 257 00:15:48,530 --> 00:15:53,285 すべての不満を 脚本に書きなぐった 258 00:15:54,620 --> 00:15:59,291 映画館で働いてたから 1日中映画を見られた 259 00:16:00,250 --> 00:16:05,381 安いテープレコーダーで セリフや音声を録音し 260 00:16:05,464 --> 00:16:07,883 家でセリフを変えたりした 261 00:16:07,967 --> 00:16:10,928 それから数年 ずっと書き続けて 262 00:16:11,011 --> 00:16:13,681 15本ほどの脚本ができた 263 00:16:18,352 --> 00:16:21,146 ジョンの考え方とは違った 264 00:16:21,230 --> 00:16:24,441 彼は作りたがったが 俺は書きたかった 265 00:16:24,525 --> 00:16:26,735 俺は週末のすべてを 266 00:16:26,819 --> 00:16:29,571 安いワインを片手に過ごした 267 00:16:29,655 --> 00:16:33,075 バーやレストラン クラブにも行かず 268 00:16:33,158 --> 00:16:34,868 必死に書いた 269 00:16:37,496 --> 00:16:41,959 将来の夢や映画のことを 俺たちは語り明かした 270 00:16:42,626 --> 00:16:44,753 いつも忍び込んでたよ 271 00:16:44,837 --> 00:16:48,382 ニューヨークの 映画館を片っ端に 272 00:16:48,465 --> 00:16:51,051 チケット代は払ったことない 273 00:16:56,265 --> 00:17:00,394 失敗することなんて 考えてなかったし 274 00:17:00,477 --> 00:17:04,189 誰もそんなこと 口にしなかった 275 00:17:04,273 --> 00:17:08,777 それほど俺たちは 強く信じたかった 276 00:17:08,861 --> 00:17:12,448 “普通じゃない俺たちに 居場所はある”って 277 00:17:12,531 --> 00:17:13,907 “どこかに必ず” 278 00:17:13,991 --> 00:17:16,410 運命を切り開くのは自分だ 279 00:17:17,494 --> 00:17:20,831 だから「ホース(馬)」という 映画を作った 280 00:17:22,332 --> 00:17:25,753 墓から死後100年経った カウボーイと 281 00:17:25,836 --> 00:17:27,546 先住民が復活する 282 00:17:27,629 --> 00:17:31,091 車でメリーランドへ行き 銃を借りた 283 00:17:31,175 --> 00:17:34,011 車を本物の弾丸で撃った 284 00:17:34,094 --> 00:17:36,263 俺はクレイジーだった 285 00:17:36,346 --> 00:17:41,852 彼の父親が蘇(よみが)った保安官で 俺たちを追いかけた 286 00:17:42,603 --> 00:17:45,064 父は兄たちを銃で撃った 287 00:17:45,147 --> 00:17:50,110 俺たちを殺すシーンの時は かなり興奮しながら 288 00:17:50,194 --> 00:17:53,363 “何度でもお前らを 撃ち殺してやる”と 289 00:17:53,447 --> 00:17:57,201 “本当にこれは 演技か?”と思った 290 00:17:59,495 --> 00:18:00,913 無声映画だった 291 00:18:00,996 --> 00:18:03,957 理由を聞けば 予算がなかったって 292 00:18:04,041 --> 00:18:07,252 1971年に誰が 無声映画を見る? 293 00:18:08,879 --> 00:18:11,715 素人の映画だろうと構わない 294 00:18:11,799 --> 00:18:15,928 彼はただ自分の思いを 誰かに伝えたかったんだ 295 00:18:16,845 --> 00:18:21,850 高校時代 俺の書く文章は 悪い例の見本になってた 296 00:18:21,934 --> 00:18:24,853 前に出て読むのを断っても 297 00:18:24,937 --> 00:18:27,272 聞いてはもらえなかった 298 00:18:28,232 --> 00:18:31,401 否定されることが 原動力になった 299 00:18:31,485 --> 00:18:32,528 挑戦する 300 00:18:32,611 --> 00:18:35,489 他人の評価を受け入れるか 301 00:18:35,572 --> 00:18:37,366 自分で向上するかだ 302 00:18:38,659 --> 00:18:42,579 スライはずっと 役者になりたかった 303 00:18:43,330 --> 00:18:46,333 そのために 自分で脚本を書いた 304 00:18:46,416 --> 00:18:50,504 役者になるためには 演じる役が必要だ 305 00:18:50,587 --> 00:18:51,255 彼の役はなかった 306 00:18:51,255 --> 00:18:53,132 映画評論家 ウェスリー・モリス 彼の役はなかった 307 00:18:53,132 --> 00:18:53,215 映画評論家 ウェスリー・モリス 308 00:18:53,215 --> 00:18:55,008 映画評論家 ウェスリー・モリス 誰も与えてくれないから 自分で役を作り出した 309 00:18:55,008 --> 00:18:58,846 誰も与えてくれないから 自分で役を作り出した 310 00:18:58,929 --> 00:19:01,640 役者になるのをあきらめてた 311 00:19:01,723 --> 00:19:05,310 ある時 ジョンの オーディションを手伝った 312 00:19:05,394 --> 00:19:08,981 それを見ていたのが 「ブルックリンの青春」の 313 00:19:09,064 --> 00:19:11,275 監督と脚本を 担当する男だった 314 00:19:11,275 --> 00:19:12,568 〝ブルックリンの青春〞 監督と脚本を 担当する男だった 315 00:19:12,568 --> 00:19:13,360 〝ブルックリンの青春〞 316 00:19:13,360 --> 00:19:13,861 〝ブルックリンの青春〞 それが始まりだった 317 00:19:13,861 --> 00:19:15,320 それが始まりだった 318 00:19:15,404 --> 00:19:18,365 あるべき場所に チャンスはある 319 00:19:19,366 --> 00:19:20,784 彼との初対面は 320 00:19:20,868 --> 00:19:22,744 ヘンリー・ウィンクラー 「ブルックリンの 青春」だ 321 00:19:22,744 --> 00:19:22,786 「ブルックリンの 青春」だ 322 00:19:23,537 --> 00:19:27,332 俺らは変わった相棒だった 323 00:19:27,416 --> 00:19:30,335 彼はユダヤ系のインテリで 324 00:19:30,419 --> 00:19:32,546 俺は何もない男だった 325 00:19:33,130 --> 00:19:38,594 俺たちの育った環境は 本当に正反対だった 326 00:19:38,677 --> 00:19:43,557 彼はレキシントン アベニューのアパートに 327 00:19:43,640 --> 00:19:45,934 巨大な犬と住んでた 328 00:19:46,018 --> 00:19:51,064 そして脚本を書くために 窓を黒く塗りつぶしてた 329 00:19:53,233 --> 00:19:57,029 もらった脚本は とてもシンプルだった 330 00:19:57,112 --> 00:20:00,866 だから俺は 素の俺を演じることにした 331 00:20:00,949 --> 00:20:03,660 例えば女子の後ろに座ると 332 00:20:03,744 --> 00:20:05,954 教師が “何してるの?”と言う 333 00:20:06,038 --> 00:20:07,664 俺は“座ってるだけ” 334 00:20:07,748 --> 00:20:10,209 “太陽がまぶしいから 移動した” 335 00:20:10,292 --> 00:20:12,002 “前が見えないから” 336 00:20:12,085 --> 00:20:16,131 教師が前を向くと 女子の席にさらに近づく 337 00:20:16,215 --> 00:20:18,550 教師がまた注意するから 338 00:20:18,634 --> 00:20:21,094 “太陽が俺を追い回すんだ” 339 00:20:21,178 --> 00:20:25,140 無意味なセリフを 適当に言いまくった 340 00:20:25,682 --> 00:20:30,562 これはチャンスだと 俺は気がついた 341 00:20:30,646 --> 00:20:33,565 この映画では 好き勝手やれるって 342 00:20:33,649 --> 00:20:37,861 スライはいつも 脚本を書き換えてた 343 00:20:37,945 --> 00:20:40,489 自分のシーンを深めるために 344 00:20:40,572 --> 00:20:43,450 クエンティン・ タランティーノ あの映画が スタローンの声を 345 00:20:43,450 --> 00:20:43,533 クエンティン・ タランティーノ 346 00:20:43,533 --> 00:20:44,451 クエンティン・ タランティーノ 世間が知る きっかけになった 347 00:20:44,451 --> 00:20:45,869 世間が知る きっかけになった 348 00:20:45,953 --> 00:20:50,207 映画は最高傑作ではないけど いいシーンがある 349 00:20:50,290 --> 00:20:52,834 彼が婚約者のフラニーに 350 00:20:52,918 --> 00:20:56,588 高すぎる婚約指輪を ねだられるシーンだ 351 00:20:56,672 --> 00:21:01,969 さっきのあの子に1600ドルの 指輪をまた見せたら 352 00:21:02,052 --> 00:21:06,390 お前の墓石になんて 刻まれると思う? 353 00:21:07,266 --> 00:21:12,104 “俺はフラニーに1600ドルの 指輪を見せたバカだ” 354 00:21:12,187 --> 00:21:14,773 興味深いキャラだったが 355 00:21:14,856 --> 00:21:16,566 好感は持たれない 356 00:21:16,650 --> 00:21:19,111 彼の役はクズだった 357 00:21:19,194 --> 00:21:21,571 だがあのシーンで 358 00:21:21,655 --> 00:21:26,034 婚約者を愛する彼の姿に 観客は恋に落ちる 359 00:21:26,118 --> 00:21:29,705 スタローンの言葉がもつ 独特の音色が 360 00:21:29,788 --> 00:21:31,581 垣間見えた瞬間だ 361 00:21:31,665 --> 00:21:32,666 クソッ 362 00:21:32,749 --> 00:21:38,213 俺は自分の運命は書くことに かかってることに気づいた 363 00:21:38,297 --> 00:21:41,174 俺に適した役はなかった 364 00:21:41,258 --> 00:21:43,385 チンピラ役ばかり 365 00:21:43,468 --> 00:21:45,804 それは理解できたが 366 00:21:45,887 --> 00:21:49,433 俺には優しい面もあった 367 00:21:49,516 --> 00:21:51,059 組み合わせれば 368 00:21:51,143 --> 00:21:53,103 味のある役になる 369 00:21:53,186 --> 00:21:56,315 ロッキーで初めて 実行できたが 370 00:21:56,398 --> 00:22:00,902 スタンリー役が その先駆けだった 371 00:22:00,986 --> 00:22:03,322 皮ジャンにリーゼント 372 00:22:03,405 --> 00:22:07,451 タバコを吸う乱暴者なのに 嫌いになれない 373 00:22:21,173 --> 00:22:22,924 何かが次につながる 374 00:22:24,885 --> 00:22:27,721 映画の評判はイマイチでも 375 00:22:27,804 --> 00:22:29,639 1300ドル稼いだ 376 00:22:29,723 --> 00:22:32,351 40ドルの車を買い 11日かけて― 377 00:22:33,226 --> 00:22:35,312 ハリウッドへ行った 378 00:22:35,395 --> 00:22:37,064 〝サンセット通り〞 379 00:22:37,731 --> 00:22:41,526 LAの知り合いは ヘンリーだけだった 380 00:22:42,069 --> 00:22:44,237 彼はスターだった 381 00:22:47,908 --> 00:22:53,497 まるで運命のように ハリウッドで車が壊れた 382 00:22:54,373 --> 00:22:57,000 ヘンリーに電話した 383 00:22:59,836 --> 00:23:01,713 “迎えに来てくれ” 384 00:23:02,506 --> 00:23:04,049 “車が壊れた” 385 00:23:04,132 --> 00:23:06,968 “サンセット通りの 真ん中で” 386 00:23:07,052 --> 00:23:08,553 “すぐ行く”と言った 387 00:23:08,637 --> 00:23:12,015 迎えに行くと 車には巨大な犬と 388 00:23:12,099 --> 00:23:16,895 服の山が上に乗った スーツケースがあった 389 00:23:16,978 --> 00:23:20,440 妻もいたし ヘンリーの家には行けず 390 00:23:20,524 --> 00:23:22,526 モーテルに泊まった 391 00:23:22,609 --> 00:23:25,695 そしてそこで3泊した後 392 00:23:25,779 --> 00:23:29,199 サンフェルナンド・ バレーに住み始めた 393 00:23:29,282 --> 00:23:31,868 バルボア・ブールバードの 近くだ 394 00:23:31,952 --> 00:23:33,829 “ハリウッド” 395 00:23:33,912 --> 00:23:35,288 よし 396 00:23:37,416 --> 00:23:41,545 プロデューサーの ジーン・カークウッドに 397 00:23:41,628 --> 00:23:45,257 ロッキーのアイディアを 売り込んだ 398 00:23:45,340 --> 00:23:48,176 交渉の結果 話がまとまった 399 00:23:48,260 --> 00:23:53,265 これはかなり異例の 決断だったと思う 400 00:23:53,348 --> 00:23:56,351 俺は実績もほぼなかったし 401 00:23:56,435 --> 00:23:58,019 まったくない 402 00:23:58,103 --> 00:24:01,356 運よく状況は うまく進んだんだ 403 00:24:01,440 --> 00:24:04,109 簡単だったみたいに言ってる 404 00:24:10,365 --> 00:24:13,243 あるオーディションで 405 00:24:13,326 --> 00:24:15,912 あまりうまくいかなかった 406 00:24:16,872 --> 00:24:19,666 退出してドアが閉まる直前 407 00:24:19,749 --> 00:24:21,501 引き返して言った 408 00:24:21,585 --> 00:24:23,378 “脚本も書ける”って 409 00:24:23,462 --> 00:24:25,839 そして呼び戻された 410 00:24:27,299 --> 00:24:28,717 脚本を書いた 411 00:24:30,302 --> 00:24:33,763 「ミーン・ストリート」を 参考にした 412 00:24:33,847 --> 00:24:37,642 取り立て屋の役が やりたかったから 413 00:24:37,726 --> 00:24:39,352 とにかく書いた 414 00:24:39,436 --> 00:24:41,021 犬が横にいて 415 00:24:41,104 --> 00:24:45,025 タバコを吸い コーヒーを流し込んで 416 00:24:45,817 --> 00:24:47,569 それが形になり 417 00:24:47,652 --> 00:24:49,571 完成間近だった 418 00:24:50,155 --> 00:24:52,032 だがロッキーには― 419 00:24:53,200 --> 00:24:56,453 暴力的すぎる部分があった 420 00:24:57,037 --> 00:25:01,249 脚本を打ち込んでくれてた 女友達が泣きだした 421 00:25:01,333 --> 00:25:05,045 “ロッキーは 残酷すぎて嫌い”って 422 00:25:05,879 --> 00:25:08,256 “彼は人を痛めつける” 423 00:25:08,340 --> 00:25:11,301 俺は“彼がそれを しなかったら?” 424 00:25:11,384 --> 00:25:14,054 “それが仕事でも殴らない” 425 00:25:14,137 --> 00:25:15,347 “それならいい” 426 00:25:15,430 --> 00:25:17,849 “彼に恋人がいれば?” 427 00:25:17,933 --> 00:25:19,559 “素敵だわ” 428 00:25:19,643 --> 00:25:20,644 ふりだしさ 429 00:25:21,436 --> 00:25:23,271 恋人を加える 430 00:25:23,355 --> 00:25:28,151 だが戦わなければ 面白みのないただの男だ 431 00:25:28,235 --> 00:25:30,487 ただのクズ野郎で 432 00:25:30,570 --> 00:25:34,366 役立たずの落ちこぼれだ 433 00:25:35,075 --> 00:25:36,201 ごろつきだ 434 00:25:36,284 --> 00:25:40,205 「波止場」のテリー・ マロイをイメージする 435 00:25:41,248 --> 00:25:44,209 「ミーン・ストリート」を 加える 436 00:25:46,378 --> 00:25:49,464 作品を混ぜ合わせ 手を加える 437 00:25:50,048 --> 00:25:53,343 彼が格闘家になれば すべてうまくいく 438 00:25:57,222 --> 00:25:59,766 手元に106ドル 家賃は300ドル 439 00:25:59,849 --> 00:26:02,102 ジレンマはあった 440 00:26:02,185 --> 00:26:03,645 生活はギリギリだ 441 00:26:05,105 --> 00:26:07,482 3日で書き上げた 442 00:26:08,942 --> 00:26:12,153 もちろん何度も書き直した 443 00:26:12,904 --> 00:26:14,864 書いてる時は 444 00:26:14,948 --> 00:26:17,659 欠点は気にしなかった 445 00:26:17,742 --> 00:26:20,328 9割は無意味だったと思う 446 00:26:20,412 --> 00:26:23,999 だが初めと中盤 終わりのアイディアが 447 00:26:24,082 --> 00:26:25,500 重要なんだ 448 00:26:25,584 --> 00:26:29,462 “ロッキー役は ライアン・オニールか” 449 00:26:29,546 --> 00:26:31,339 “バート・レイノルズ”と 450 00:26:31,423 --> 00:26:33,633 俺は自分の役だと言った 451 00:26:36,970 --> 00:26:40,307 脚本は気に入っても 君は必要ない 452 00:26:40,390 --> 00:26:43,685 そのために 大金を提示された? 453 00:26:43,768 --> 00:26:47,063 26万5000ドルまで つり上がった 454 00:26:47,147 --> 00:26:49,316 俺を出演させないために 455 00:26:49,399 --> 00:26:53,028 たとえ50万ドルで 売れたとしても 456 00:26:53,111 --> 00:26:57,198 すべて使い切った後に 後悔すると思った 457 00:26:57,282 --> 00:26:58,700 どちらが健全か? 458 00:26:59,743 --> 00:27:05,040 偉大になれたはずだと 幻想を抱き続けるか 459 00:27:05,540 --> 00:27:11,129 実際にそのチャンスをつかみ その上で失敗するか 460 00:27:12,172 --> 00:27:16,551 幻想を抱き続けながら こう言うのが楽な道だ 461 00:27:16,635 --> 00:27:20,597 “チャンスがあれば 俺は勝てたんだ”って 462 00:27:22,307 --> 00:27:27,270 フィラデルフィアの寒い道で トレーラーに乗った時 463 00:27:28,229 --> 00:27:30,482 ここが正念場だと思った 464 00:27:32,651 --> 00:27:34,903 “準備はいい?”と聞かれ 465 00:27:35,487 --> 00:27:38,406 “ロッキーはな”と答えた 466 00:27:39,199 --> 00:27:41,534 タリア・シャイア 何か特別なことが 467 00:27:41,618 --> 00:27:45,246 起ころうとしてるのに みんな気づいてた 468 00:27:47,832 --> 00:27:50,752 希望した役者からは 断られたが 469 00:27:50,835 --> 00:27:54,255 代わりに 完璧な役者が集まった 470 00:27:55,382 --> 00:27:58,385 アポロ・クリードを 演じれる男は1人だ 471 00:27:58,468 --> 00:28:00,887 声も体格も傲慢(ごうまん)さも完璧 472 00:28:00,970 --> 00:28:04,099 当初のケン・ノートンが 降板した時は 473 00:28:04,182 --> 00:28:05,975 落胆したが 474 00:28:08,019 --> 00:28:10,271 神の導きだと思ってる 475 00:28:12,482 --> 00:28:18,238 いい女優が見つからず タリアに決まったのも最後だ 476 00:28:20,573 --> 00:28:24,202 タリアが部屋に入ってくると 477 00:28:24,285 --> 00:28:26,955 彼女に光が当たって見えた 478 00:28:27,872 --> 00:28:29,708 俺が近づくと 479 00:28:29,791 --> 00:28:33,753 黒髪の彼女は こういう目で見てた 480 00:28:34,546 --> 00:28:36,047 すぐ気にいった 481 00:28:36,631 --> 00:28:41,302 彼女のキャラが好きだった 何かを感じた 482 00:28:41,386 --> 00:28:44,222 “何も聞かないし 読まなくていい” 483 00:28:44,806 --> 00:28:46,599 “君に決まりだ” 484 00:28:46,683 --> 00:28:49,686 他の役でも 同じことが起こった 485 00:28:50,729 --> 00:28:54,274 「ロッキー」は 格闘映画じゃない 486 00:28:54,816 --> 00:28:56,943 単純な性格描写だ… 487 00:28:57,026 --> 00:28:58,027 ラブストーリーだ 488 00:28:58,111 --> 00:28:59,279 ひねくれた男の 489 00:28:59,362 --> 00:29:00,155 愛の物語 490 00:29:00,238 --> 00:29:01,740 それができずに… 491 00:29:02,490 --> 00:29:04,242 受け入れてる 492 00:29:05,869 --> 00:29:09,330 それが自分の人生なんだと 493 00:29:10,415 --> 00:29:14,586 彼の望みは誰かと 人生を歩むことだ 494 00:29:14,669 --> 00:29:15,712 言えよ 495 00:29:16,796 --> 00:29:20,133 若い彼には愛を語れなかった 496 00:29:20,216 --> 00:29:21,926 大きな声では 497 00:29:22,010 --> 00:29:22,594 ああ 498 00:29:22,677 --> 00:29:23,928 言えてるよ 499 00:29:24,512 --> 00:29:26,723 当時は言えなかった 500 00:29:33,354 --> 00:29:36,983 スケートシーンの撮影日 501 00:29:38,902 --> 00:29:41,404 “エキストラは なしになった” 502 00:29:41,488 --> 00:29:42,697 “1人も?” 503 00:29:42,781 --> 00:29:43,948 “そうだ” 504 00:29:44,032 --> 00:29:45,992 “撮影時間は?” 505 00:29:46,075 --> 00:29:47,327 “2時間だ” 506 00:29:49,120 --> 00:29:50,497 俺は思った 507 00:29:51,331 --> 00:29:52,957 “いいシーンになる” 508 00:29:55,335 --> 00:30:00,048 ロッキーはよく観察し 彼女の隠れた魅力を 509 00:30:00,131 --> 00:30:01,299 引き出した 510 00:30:01,382 --> 00:30:05,970 彼が引き出したのは 彼女の弱さや生い立ち 511 00:30:06,054 --> 00:30:07,972 そして変化よ 512 00:30:08,056 --> 00:30:11,100 私たちは最初から役を演じ 513 00:30:11,184 --> 00:30:12,560 先に進んだ 514 00:30:12,644 --> 00:30:14,437 格闘を始めた理由は? 515 00:30:14,521 --> 00:30:15,063 いいえ 516 00:30:15,146 --> 00:30:17,565 賢くなかった親父に 517 00:30:17,649 --> 00:30:20,151 “お前は頭が悪い” 518 00:30:20,235 --> 00:30:23,571 “だから体を使え”って 言われたからだ 519 00:30:23,655 --> 00:30:25,573 意味分かるか? 520 00:30:25,657 --> 00:30:27,492 なぜ笑うんだ? 521 00:30:28,868 --> 00:30:31,704 私の母は反対のことを 522 00:30:31,788 --> 00:30:33,915 何て言ったんだ? 523 00:30:34,707 --> 00:30:37,085 “あなたは体が弱いから” 524 00:30:37,168 --> 00:30:38,837 “頭を使え”って 525 00:30:38,920 --> 00:30:40,129 本当に? 526 00:30:43,299 --> 00:30:44,843 エイドリアンは 527 00:30:44,926 --> 00:30:49,514 抑圧され見捨てられた 女性として描かれてた 528 00:30:50,974 --> 00:30:56,062 でも彼が彼女に導いたのは 自由と美しさと― 529 00:30:56,896 --> 00:30:57,772 愛よ 530 00:30:59,107 --> 00:31:01,276 タリアのおかげで 531 00:31:01,359 --> 00:31:05,697 ボクシング映画に 愛の物語が生まれたんだ 532 00:31:05,780 --> 00:31:08,992 ロッキーがボクサーを 目指すのは 533 00:31:09,075 --> 00:31:12,328 戦う理由を 手に入れたからだ 534 00:31:12,412 --> 00:31:15,164 カネではなく誇りのため 535 00:31:15,748 --> 00:31:18,376 彼女に誇りを持ってほしい 536 00:31:19,335 --> 00:31:23,006 “あの人が私の恋人よ”って 言ってほしい 537 00:31:23,089 --> 00:31:27,260 最後にロッキーは言う “俺はごろつきじゃない” 538 00:31:27,343 --> 00:31:31,055 “ボコボコにされてもいい 誇りに思ってほしい” 539 00:31:33,057 --> 00:31:35,393 最後まで戦いたいだけだ 540 00:31:39,689 --> 00:31:44,569 ロッキーは自分の気持ちを 内に秘めているところがいい 541 00:31:44,652 --> 00:31:48,323 彼は自分の悲しみや 失望を隠し 542 00:31:48,406 --> 00:31:49,782 誰にも見せない 543 00:31:49,866 --> 00:31:54,704 表に出したのはミッキーが アパートを出ていく時だけだ 544 00:31:57,165 --> 00:31:59,667 脚本には“トイレから出て” 545 00:31:59,751 --> 00:32:01,878 “追いかける”とだけあった 546 00:32:01,961 --> 00:32:06,215 ジョンにカメラと 音声を止めないように言った 547 00:32:06,299 --> 00:32:10,470 “2分間で彼がどう人生を まとめるか見てくれ”と 548 00:32:10,970 --> 00:32:13,389 最初はうまくいった 549 00:32:13,473 --> 00:32:16,726 監督は “今のはテイクか?”って 550 00:32:16,809 --> 00:32:17,977 俺は“今のか?” 551 00:32:19,520 --> 00:32:20,355 “今のは…” 552 00:32:21,689 --> 00:32:23,691 “アドリブだ” 553 00:32:24,609 --> 00:32:26,986 “だから2度はできない” 554 00:32:27,070 --> 00:32:30,073 同じ熱量を 出すことはできない 555 00:32:30,156 --> 00:32:33,326 “俺はどうやった? ドアは叩いたか?” 556 00:32:33,409 --> 00:32:36,329 “もう1度やるには どうすればいい?” 557 00:32:36,871 --> 00:32:39,415 親父のことを思い出した 558 00:32:39,499 --> 00:32:41,542 マネージャーになるよ 559 00:32:41,626 --> 00:32:45,713 最高のテイクを 捨てるしかなかった 560 00:32:45,797 --> 00:32:48,091 俺に任せればうまくいく 561 00:32:48,174 --> 00:32:50,551 痛みも経験もある 562 00:32:50,635 --> 00:32:52,762 それは俺も同じだ 563 00:32:52,845 --> 00:32:54,722 代わりに使ったのが 564 00:32:54,806 --> 00:32:57,767 親父みたいな 荒っぽいやり取り 565 00:32:57,850 --> 00:33:00,895 10年前は助けてくれなかった 566 00:33:00,979 --> 00:33:02,814 俺を見捨てただろ 567 00:33:02,897 --> 00:33:04,440 助けがいるなら… 568 00:33:05,191 --> 00:33:07,610 なぜ そう言わなかった? 569 00:33:07,694 --> 00:33:09,404 何も言わなかった 570 00:33:09,487 --> 00:33:11,614 聞いてなかっただけだ 571 00:33:12,156 --> 00:33:14,867 脚本は1行しかなかった 572 00:33:14,951 --> 00:33:18,538 だが俺の気持ちを 言いたくなったんだ 573 00:33:19,205 --> 00:33:20,081 俺のことを 574 00:33:20,164 --> 00:33:22,250 ロッキーを通して 575 00:33:22,333 --> 00:33:25,003 30歳になったばかりの俺が 576 00:33:25,086 --> 00:33:29,716 “全盛期が過ぎてから 助けようって言うのか?” 577 00:33:29,799 --> 00:33:33,094 “チャンスを得ても 無残に失敗する” 578 00:33:33,177 --> 00:33:35,847 映画の中で爆発した 579 00:33:35,930 --> 00:33:38,808 “なぜ必要な時に 助けてくれない?” 580 00:33:39,851 --> 00:33:42,770 俺の不満を あのシーンにすべて― 581 00:33:43,688 --> 00:33:44,731 ぶちまけた 582 00:33:45,398 --> 00:33:49,986 すると同じような不満を 大勢の人が抱え 583 00:33:50,611 --> 00:33:56,034 見過ごされてきたんだと 不思議にそう思えた 584 00:33:56,117 --> 00:33:57,201 手に入れる! 585 00:33:58,953 --> 00:34:00,872 お前も見たいか? 586 00:34:00,955 --> 00:34:02,832 俺を助けるのか? 587 00:34:02,915 --> 00:34:04,625 見たいのかよ… 588 00:34:04,709 --> 00:34:07,462 面と向かっては 絶対に言えない 589 00:34:07,545 --> 00:34:10,798 彼に対しとても 失礼だと感じるし 590 00:34:10,882 --> 00:34:13,801 対話も望んでないからだ 591 00:34:17,930 --> 00:34:22,643 誰もがミッキーは もう戻らないと感じた 592 00:34:22,727 --> 00:34:24,228 ところがだ 593 00:34:24,812 --> 00:34:28,316 ドアが開き 音楽が流れる 594 00:34:28,399 --> 00:34:30,443 そこには希望が映る 595 00:34:31,319 --> 00:34:35,156 それは拒否され続けた誰もが 596 00:34:35,239 --> 00:34:38,284 望んでいたシーンだった 597 00:34:38,826 --> 00:34:40,787 “一緒にやろう” 598 00:34:49,253 --> 00:34:50,213 ウソだろ 599 00:34:50,296 --> 00:34:53,299 ここで「ロッキー」が 初上映された 600 00:34:54,217 --> 00:34:56,177 昔 働いてた 601 00:34:56,260 --> 00:35:00,181 最初の批評は ひどいものだったから 602 00:35:00,264 --> 00:35:02,225 期待してなかった 603 00:35:04,310 --> 00:35:07,438 公開5日前に試写会をした 604 00:35:07,522 --> 00:35:09,649 昼間に上映された 605 00:35:09,732 --> 00:35:13,027 隣にいた兄が “クソっ”とつぶやいた 606 00:35:14,779 --> 00:35:18,032 上映20分で客の 4分の3が退席した 607 00:35:19,826 --> 00:35:21,536 スタジオの上層部は… 608 00:35:22,870 --> 00:35:25,456 俺は頭を低くして嘆いた 609 00:35:25,540 --> 00:35:28,167 最悪だと落胆してた 610 00:35:28,251 --> 00:35:30,837 自信を打ち砕かれてた 611 00:35:33,297 --> 00:35:37,135 だから公開当初 俺は期待してなかった 612 00:35:38,094 --> 00:35:41,514 ここで「ロッキー」を 初めて上映した 613 00:35:41,597 --> 00:35:44,725 コートを着て あそこに立ってた 614 00:35:44,809 --> 00:35:46,185 弟が俺に 615 00:35:46,269 --> 00:35:49,522 “今日は最高の日か 最悪の日になる” 616 00:35:49,605 --> 00:35:51,149 同感だった 617 00:35:51,232 --> 00:35:54,610 “これが失敗したら 次はない” 618 00:35:59,448 --> 00:36:03,494 上映中 俺は会場の 後ろに立ってた 619 00:36:04,537 --> 00:36:07,290 まるで静止画のようだった 620 00:36:08,624 --> 00:36:12,461 誰も動かずに セリフを聞いていた 621 00:36:15,339 --> 00:36:17,175 釘づけになってた 622 00:36:28,561 --> 00:36:30,313 アポロを倒した瞬間― 623 00:36:31,981 --> 00:36:33,524 全員 立ち上がった 624 00:36:33,608 --> 00:36:36,903 プロデューサーが それを見て驚いた 625 00:36:37,612 --> 00:36:41,449 客はまるで本物の試合を 見てるかのように 626 00:36:41,532 --> 00:36:43,326 興奮してた 627 00:36:44,535 --> 00:36:46,162 歓声が会場の中だけでなく 〝ワールドプレミア 「ロッキー」〞 628 00:36:46,162 --> 00:36:47,330 歓声が会場の中だけでなく 629 00:36:47,413 --> 00:36:49,332 外まで聞こえた 630 00:36:49,415 --> 00:36:54,921 ロッキーがクリードと 戦うなんて冗談だと思った 631 00:36:55,755 --> 00:36:58,507 だが第1ラウンドで倒した時 632 00:36:58,591 --> 00:37:02,595 その興奮は今までにないほど 強いものだった 633 00:37:05,765 --> 00:37:08,267 ロッキーは負けたのに 634 00:37:08,351 --> 00:37:12,605 誰もが彼は勝利したと 感じる結末だった 635 00:37:12,688 --> 00:37:18,653 観客が物語に感情移入した 輝かしい瞬間だった 636 00:37:18,736 --> 00:37:22,198 映画は大ヒットし みんなが話題にした 637 00:37:22,281 --> 00:37:23,574 “心を揺さぶる” 638 00:37:23,658 --> 00:37:26,369 “感動的で泣いたよ” 639 00:37:26,452 --> 00:37:28,246 “刺激を受けた” 640 00:37:29,705 --> 00:37:33,709 現実になったおとぎ話に みんなが熱くなった 641 00:37:35,378 --> 00:37:37,505 まるで魔法だった 642 00:37:38,172 --> 00:37:40,633 無名の彼の最後の写真だ 643 00:37:41,342 --> 00:37:44,720 それ以降 プライベートはなかった 644 00:37:45,388 --> 00:37:48,516 ロッキー役の スタローンです! 645 00:37:49,892 --> 00:37:53,771 まさに人生が ひっくり返った瞬間だ 646 00:37:53,854 --> 00:37:55,940 元には戻らない 647 00:37:57,608 --> 00:37:59,151 最優秀作品は… 648 00:38:00,236 --> 00:38:01,404 「ロッキー」 649 00:38:08,160 --> 00:38:10,705 ロッキーのスタローンです 650 00:38:11,372 --> 00:38:13,457 シルヴェスター・スタローン 651 00:38:28,347 --> 00:38:31,183 彼は役者 脚本家として称賛され 652 00:38:31,267 --> 00:38:34,854 彼の革新的な発想を 誰もが褒めたたえた 653 00:38:34,937 --> 00:38:36,314 彼は頂点に立ち 654 00:38:36,397 --> 00:38:39,400 彼を否定する人は いなくなった 655 00:38:44,822 --> 00:38:50,202 本当にこれでよかったのか 時々 不安になるんだ 656 00:38:50,286 --> 00:38:53,831 自分をだましてるような 暗い気持ちになる 657 00:38:53,914 --> 00:38:56,876 考えながら鏡を見るんだ 658 00:38:56,959 --> 00:39:01,881 ロッキーに起きたことを 俺も現実に体現してる 659 00:39:02,381 --> 00:39:04,050 1週間のうちに 660 00:39:04,133 --> 00:39:07,303 世間は俺に関して 勝手なことを言い始める 661 00:39:07,386 --> 00:39:10,639 身に覚えのないことばかり 662 00:39:11,807 --> 00:39:12,767 それに… 663 00:39:13,768 --> 00:39:14,810 腹が立った 664 00:39:16,479 --> 00:39:19,982 ラジオCMで 「ロッキー」のことを知った 665 00:39:20,066 --> 00:39:24,278 “時にすばらしい俳優が 我々の世界に登場し” 666 00:39:24,362 --> 00:39:27,865 “映画業界に 旋風を巻き起こす” 667 00:39:28,574 --> 00:39:30,242 “マーロン・ブランド” 668 00:39:30,326 --> 00:39:33,079 “アル・パチーノ ロバート・デ・ニーロ” 669 00:39:33,162 --> 00:39:36,624 “そして今年最も 話題の俳優は” 670 00:39:36,707 --> 00:39:38,501 “スタローンだ” 671 00:39:38,584 --> 00:39:40,336 誰だそいつは? 672 00:39:40,419 --> 00:39:42,296 ロッキー役スタローン テレビで見ると 673 00:39:42,380 --> 00:39:46,425 「ブルックリンの青春」の スタンリーじゃないか 674 00:39:47,009 --> 00:39:51,013 彼がデ・ニーロたちに 並ぶ俳優だって? 675 00:39:51,097 --> 00:39:52,431 本当かよ 676 00:39:52,515 --> 00:39:55,434 スターに仲間入りするには 677 00:39:55,518 --> 00:39:58,229 今までは端役ばかりだね? 678 00:39:58,312 --> 00:40:01,148 端役なんてもんじゃない 679 00:40:01,232 --> 00:40:04,610 失敗してもいいと 思ってたんだ 680 00:40:04,693 --> 00:40:07,154 無名なままでもいい 681 00:40:07,238 --> 00:40:10,908 だが1つだけでも 誇れるものを残したいと 682 00:40:10,991 --> 00:40:13,369 ホームムビーでもいい 683 00:40:13,452 --> 00:40:15,204 両親は喜ぶだろう 684 00:40:17,832 --> 00:40:19,458 「ロッキー」公開後 685 00:40:19,542 --> 00:40:22,169 スライの父親から電話が 686 00:40:22,253 --> 00:40:24,046 “会ってほしい” 687 00:40:24,130 --> 00:40:25,423 “脚本を見せたい” 688 00:40:26,173 --> 00:40:27,591 “「ロッキー」の” 689 00:40:28,426 --> 00:40:29,093 “何?” 690 00:40:29,176 --> 00:40:31,137 “こっちが本物だ” 691 00:40:32,721 --> 00:40:34,306 “あなたが執筆を?” 692 00:40:34,390 --> 00:40:35,433 “息子には?” 693 00:40:35,516 --> 00:40:36,809 “君が読め” 694 00:40:36,892 --> 00:40:39,061 “君に制作してほしい” 695 00:40:39,145 --> 00:40:42,648 “スライに 読んでもらってくれ” 696 00:40:43,232 --> 00:40:44,859 “無理だと思うが” 697 00:40:46,861 --> 00:40:49,238 彼はまだ息子を敵視してた 698 00:40:50,573 --> 00:40:53,033 父は「ソニー」という 脚本を書いた 699 00:40:53,117 --> 00:40:55,911 ロッキーの息子の話だと 700 00:40:55,995 --> 00:40:58,747 自分の作品だと兄は却下した 701 00:41:00,249 --> 00:41:03,335 なぜか父は兄に嫉妬してた 702 00:41:04,086 --> 00:41:07,089 努力したのは兄で 父は何もしてない 703 00:41:09,675 --> 00:41:13,846 彼の成功は家族を 大混乱に陥れた 704 00:41:13,929 --> 00:41:17,766 俺の人生も「ロッキー」の 公開後に決まってしまう 705 00:41:17,850 --> 00:41:19,894 “ロッキーの弟”だ 706 00:41:19,977 --> 00:41:23,063 才能豊かだった弟は傷つき 707 00:41:23,147 --> 00:41:26,525 俺の成功でたくさん苦しめた 708 00:41:27,109 --> 00:41:30,779 誰も彼がスターになるとは 思ってなかった 709 00:41:32,656 --> 00:41:34,658 たどり着いた夢は― 710 00:41:35,367 --> 00:41:37,328 俺の夢と違った 711 00:41:37,411 --> 00:41:39,246 俺の想像とは 712 00:41:39,330 --> 00:41:41,290 違った形だった 713 00:41:41,373 --> 00:41:43,375 それはまるで… 714 00:41:44,460 --> 00:41:45,836 嵐の前線だ 715 00:41:47,046 --> 00:41:50,591 失望するたびに戦い続ける 716 00:41:50,674 --> 00:41:51,717 思うだろ? 717 00:41:51,800 --> 00:41:56,597 “山の頂上は青空が 広がってるはずだ”って 718 00:41:56,680 --> 00:41:58,140 だが違う 719 00:41:58,224 --> 00:42:01,519 空気は薄いし天気は不安定だ 720 00:42:02,269 --> 00:42:05,272 人も少ないから孤独を感じる 721 00:42:05,356 --> 00:42:09,068 山登りは 楽しいことばかりじゃない 722 00:42:09,151 --> 00:42:13,239 スタローンが「ロッキー」で 有名になった時 723 00:42:14,365 --> 00:42:19,161 スターになることの 苦悩など考えてなかった 724 00:42:19,245 --> 00:42:21,080 〝「フィスト」 プレミア会場より 〞 725 00:42:21,080 --> 00:42:24,041 〝「フィスト」 プレミア会場より 〞 ダイナ・ショーへ ようこそ 726 00:42:24,041 --> 00:42:24,124 〝「フィスト」 プレミア会場より 〞 727 00:42:24,124 --> 00:42:25,042 〝「フィスト」 プレミア会場より 〞 彼は想像してなかった 728 00:42:25,042 --> 00:42:26,293 彼は想像してなかった 729 00:42:26,377 --> 00:42:28,963 周囲が次を求めることを 730 00:42:29,046 --> 00:42:32,716 ゲストはロッキーの スタローンです 731 00:42:32,800 --> 00:42:35,886 これがあなたの2作目ですね 732 00:42:35,970 --> 00:42:39,890 世界中があなたに 期待しています 733 00:42:39,974 --> 00:42:40,558 ああ 734 00:42:40,641 --> 00:42:42,601 一発屋ではないって 735 00:42:42,685 --> 00:42:44,186 ロッキー 736 00:42:44,270 --> 00:42:45,312 その次は? 737 00:42:45,312 --> 00:42:46,897 その次は? 「ロッキー」の成功後 738 00:42:46,897 --> 00:42:47,773 「ロッキー」の成功後 739 00:42:47,856 --> 00:42:50,734 周囲の期待が膨らみすぎた 740 00:42:52,027 --> 00:42:55,322 俺の実力を 疑問視するようになった 741 00:42:55,406 --> 00:42:59,243 多くの脚本の中から 「フィスト」を見つけた 742 00:42:59,326 --> 00:43:01,662 次にふさわしい作品だった 743 00:43:01,745 --> 00:43:04,582 トラック輸送組合を舞台に 744 00:43:04,665 --> 00:43:07,668 アメリカの労働運動を 描いてる 745 00:43:07,751 --> 00:43:11,005 すばらしい 映画になったと思う 746 00:43:11,088 --> 00:43:16,969 どうすれば「ロッキー」の イメージから脱却しつつ 747 00:43:17,052 --> 00:43:21,390 同じような成功を 収められるか悩んでいた 748 00:43:21,473 --> 00:43:23,058 当時のスタローンは 大スターだ 749 00:43:23,058 --> 00:43:25,269 声 ノーマン・ジュイソン 当時のスタローンは 大スターだ 750 00:43:25,352 --> 00:43:28,814 彼がまず望んだのは 脚本の書き直しだ 751 00:43:28,897 --> 00:43:32,610 彼の映画の多くで 問題だったのは 752 00:43:32,693 --> 00:43:38,324 彼が自分が面白いと 思うやり方に固執したからだ 753 00:43:38,407 --> 00:43:43,120 それはスタジオの 制作陣とは相いれなかった 754 00:43:43,203 --> 00:43:45,289 声 ジョー・エスターハス スライの大きな問題は 755 00:43:45,289 --> 00:43:45,372 声 ジョー・エスターハス 756 00:43:45,372 --> 00:43:46,415 声 ジョー・エスターハス 彼は映画で 死にたくなった 757 00:43:46,415 --> 00:43:47,958 彼は映画で 死にたくなった 758 00:43:48,042 --> 00:43:49,710 彼は間違ってる 759 00:43:49,793 --> 00:43:52,129 主役を最後に死なせて 760 00:43:52,212 --> 00:43:54,590 悪を勝たせるんだ 761 00:43:54,673 --> 00:43:56,008 ありえない 762 00:43:56,091 --> 00:43:59,720 現実ではそうだが 客がカネを払うのは 763 00:43:59,803 --> 00:44:03,307 正義が勝つところを 見たいからだ 764 00:44:03,390 --> 00:44:05,893 「フィスト」の インタビューで 765 00:44:05,976 --> 00:44:09,897 彼は自分が失敗するとは 考えていなかった 766 00:44:09,980 --> 00:44:11,815 絶対ありえない 767 00:44:11,899 --> 00:44:14,526 失敗するわけがないって 768 00:44:14,610 --> 00:44:16,987 「フィスト」はいい映画だが 769 00:44:17,071 --> 00:44:19,365 多くの批評家は否定する 770 00:44:19,448 --> 00:44:22,618 〝クズ映画〞 それはスタローンを 侮辱するものだ 771 00:44:22,701 --> 00:44:25,621 酷評は個人的に受け取った 772 00:44:25,704 --> 00:44:28,957 あの映画には ベストを尽くしたし 773 00:44:29,041 --> 00:44:30,292 力を注いだ 774 00:44:30,376 --> 00:44:35,047 たった500字の批評で その努力を否定された 775 00:44:35,130 --> 00:44:39,051 そいつらに会ったら 果し合いを申しこむよ 776 00:44:39,134 --> 00:44:41,595 「フィスト」の失敗から 777 00:44:41,679 --> 00:44:45,057 彼は自分で 制作することにした 778 00:44:45,140 --> 00:44:47,768 脚本 監督 出演すべて 779 00:44:48,352 --> 00:44:51,063 「パラダイス・アレイ」は 「ロッキー」の前身だ 780 00:44:51,146 --> 00:44:53,565 1972年に脚本を書いた 781 00:44:53,649 --> 00:44:57,319 変わった作品だから 売れなくて 782 00:44:57,403 --> 00:44:59,238 「ロッキー」を書いた 783 00:44:59,321 --> 00:45:02,324 今ならこの作品を 作れると思って 784 00:45:02,408 --> 00:45:04,535 また格闘映画に戻った 785 00:45:04,618 --> 00:45:07,496 「ロッキー」ほど シリアスでなく 786 00:45:07,579 --> 00:45:10,082 祭りのような映画だ 787 00:45:10,165 --> 00:45:13,210 雨に色に 奇抜なキャラクター 788 00:45:13,293 --> 00:45:16,839 普通のレスリングより 派手な感じさ 789 00:45:16,922 --> 00:45:21,760 若かった俺は巧みで 奇抜なものを求めた 790 00:45:21,844 --> 00:45:24,054 何も考えてなかった 791 00:45:24,138 --> 00:45:27,433 自分の映画が とてもニッチだと 792 00:45:27,516 --> 00:45:30,477 奇抜すぎて一般受けしない 793 00:45:31,019 --> 00:45:34,356 1946年という時代も 音楽もすべて 794 00:45:34,940 --> 00:45:37,401 自分で失敗する道へと 795 00:45:37,484 --> 00:45:38,861 進んでた 796 00:45:38,944 --> 00:45:40,279 そして失敗した 797 00:45:41,029 --> 00:45:43,157 「フィスト」だけでなく 798 00:45:43,240 --> 00:45:48,787 「パラダイス・アレイ」も 彼の予想に反して酷評だった 799 00:45:48,871 --> 00:45:51,707 納得できない彼は強がって 800 00:45:52,332 --> 00:45:54,126 批評家に反論した 801 00:45:55,961 --> 00:45:59,506 朝起きると 自信がある日もあれば 802 00:45:59,590 --> 00:46:01,550 不安な日もあった 803 00:46:01,633 --> 00:46:03,761 何も感じないまま 804 00:46:03,844 --> 00:46:08,182 ただがむしゃらに 戦いを挑んでた 805 00:46:09,433 --> 00:46:12,936 ただ時が過ぎるのを 待てばよかったのに 806 00:46:13,020 --> 00:46:14,730 落ち着け 807 00:46:14,813 --> 00:46:19,234 心配するな その恐れも成功の一部だ 808 00:46:19,318 --> 00:46:22,946 その恐怖が 自分を向上させるんだと 809 00:46:23,030 --> 00:46:25,616 ロッキーの成功物語は 810 00:46:25,699 --> 00:46:29,661 まさにスタローンの 人生そのものです 811 00:46:29,745 --> 00:46:34,041 現在は「ロッキー2」の 脚本 監督 主演として 812 00:46:34,124 --> 00:46:36,084 制作にあたってます 813 00:46:36,168 --> 00:46:40,547 続編は失敗しやすいという 恐れは彼にはなく 814 00:46:40,631 --> 00:46:44,593 いつものように 自信を持ってます 815 00:46:44,676 --> 00:46:50,224 ジョンは女や酒におぼれた ロッキーを描きたがった 816 00:46:50,307 --> 00:46:53,227 成功からの転落を 817 00:46:53,310 --> 00:46:55,187 そんな男じゃない 818 00:46:55,270 --> 00:46:59,233 ロッキーは ひたすら自分を追い込んで 819 00:46:59,316 --> 00:47:00,651 期待に応える 820 00:47:00,734 --> 00:47:02,820 本当の理想主義者だ 821 00:47:03,529 --> 00:47:06,573 ジョンは脚本が気に入らず 822 00:47:06,657 --> 00:47:07,991 俺が監督になった 823 00:47:08,075 --> 00:47:08,992 知らん 824 00:47:09,076 --> 00:47:10,410 感想は? 825 00:47:10,494 --> 00:47:12,871 言葉が見つからない 826 00:47:13,539 --> 00:47:15,123 どくんだ! 827 00:47:16,250 --> 00:47:19,294 「ロッキー」と 「ロッキー2」がすごいのは 828 00:47:19,378 --> 00:47:22,881 スタローンの人生が 反映されてることだ 829 00:47:22,965 --> 00:47:27,636 ロッキーとアポロ両方の 生きざまに落とし込んでる 830 00:47:28,220 --> 00:47:32,182 アポロは批判の手紙を読み 妻に当たり散らす 831 00:47:32,266 --> 00:47:35,561 スタローンも 同じことをしたんだろう 832 00:47:35,644 --> 00:47:37,896 映画の批評を読みながら 833 00:47:37,980 --> 00:47:42,276 彼はスターというものを 自分の身で学んだ 834 00:47:43,861 --> 00:47:47,406 物語自体は 1作目よりよかった 835 00:47:47,489 --> 00:47:50,701 より明確なテーマがあった 836 00:47:50,784 --> 00:47:54,830 孤独だったロッキーが 家族として責任を背負う 837 00:47:54,913 --> 00:47:58,375 既婚者や結婚を考えている 観客の誰もが 838 00:47:58,458 --> 00:48:02,212 彼に共感を持つことができた 839 00:48:02,796 --> 00:48:05,716 意外だが「ロッキー」は 家族ドラマだ 840 00:48:05,799 --> 00:48:10,596 中心はロッキーと エイドリアンの物語なんだ 841 00:48:10,679 --> 00:48:15,058 家族のために生きるか 自分の望む道を進むか 842 00:48:15,142 --> 00:48:18,437 苦悩する2人の 関係を描いてる 843 00:48:20,689 --> 00:48:23,483 いつ帰って来たの? 仕事は? 844 00:48:23,567 --> 00:48:26,028 もう仕事には行かない 845 00:48:26,111 --> 00:48:27,571 実は今日… 846 00:48:28,238 --> 00:48:29,323 クビになった 847 00:48:32,576 --> 00:48:33,619 どうして? 848 00:48:33,702 --> 00:48:36,121 運命を放棄できるか 849 00:48:37,122 --> 00:48:39,833 自分がした“約束”のために 850 00:48:40,417 --> 00:48:41,501 どうするの? 851 00:48:41,585 --> 00:48:45,839 分からない でも戦おうと思ってる 852 00:48:48,008 --> 00:48:50,302 戦わなくてもいいのに 853 00:48:50,385 --> 00:48:53,013 俺は格闘家だ 854 00:48:53,096 --> 00:48:55,933 強くないが それが俺だ 855 00:48:57,017 --> 00:48:59,519 もう戦わないと約束して 856 00:49:02,272 --> 00:49:04,024 彼はどん底にいる 857 00:49:04,107 --> 00:49:07,194 汚い地下室にただ立ってる 858 00:49:07,277 --> 00:49:08,904 小さな明かりの下に 859 00:49:08,987 --> 00:49:11,531 この男にはまだ何か 860 00:49:11,615 --> 00:49:14,409 運命を変えるものがある 861 00:49:14,493 --> 00:49:18,538 だがそれを望まない理由で 妨(さまた)げられてる 862 00:49:18,622 --> 00:49:21,625 彼は言う“君に女を 辞めろとは言わない” 863 00:49:21,708 --> 00:49:23,961 “俺も男を辞めらない” 864 00:49:24,044 --> 00:49:26,713 “彼女を愛してる” 865 00:49:26,797 --> 00:49:29,299 “だが俺が努力しなければ” 866 00:49:29,383 --> 00:49:31,969 “彼女は俺の夢を愛さない” 867 00:49:36,848 --> 00:49:39,351 「ロッキー2」は大ヒットし 868 00:49:39,434 --> 00:49:43,814 売り上げは「ロッキー」の 倍を記録した 869 00:49:43,897 --> 00:49:47,025 世界中で センセーショナルになった 870 00:49:47,109 --> 00:49:49,820 周囲は彼に取り入った 871 00:49:51,363 --> 00:49:54,658 スライは駆け足で はしごを上り 872 00:49:54,741 --> 00:49:58,078 映画業界の トップにおどりでた 873 00:49:59,246 --> 00:50:04,793 プロデュースや 監督までやる俳優は多くない 874 00:50:04,876 --> 00:50:08,880 年中無休で 映画に関わることになる 875 00:50:12,175 --> 00:50:16,805 映画制作がどういうものかは 理解している 876 00:50:18,306 --> 00:50:20,934 だが犠牲も大きい 877 00:50:21,018 --> 00:50:25,105 映画作りに没頭するほど やりたいことが増え 878 00:50:25,188 --> 00:50:28,108 脚本も演出も自分でやる 879 00:50:29,067 --> 00:50:30,485 休む暇もない 880 00:50:30,569 --> 00:50:32,821 家族と過ごす時間も 881 00:50:32,904 --> 00:50:34,823 会話もない 882 00:50:34,906 --> 00:50:37,951 家庭が非現実になる 883 00:50:38,035 --> 00:50:40,495 これがひどく難問だ 884 00:50:45,542 --> 00:50:49,046 家をアートと子どもで 満たそうと思ってた 885 00:50:49,129 --> 00:50:52,007 それは実現した 886 00:50:52,090 --> 00:50:53,759 子どもは成長し 887 00:50:53,842 --> 00:50:56,803 大きな空間に取り残された 888 00:51:04,269 --> 00:51:08,023 現状のままでは インスピレーションが 889 00:51:08,106 --> 00:51:10,942 湧き上がらない 890 00:51:11,026 --> 00:51:15,155 景色を変えるために 引っ越すわけではない 891 00:51:15,238 --> 00:51:18,992 慣れ親しんだ価値観を変える 892 00:51:19,076 --> 00:51:20,160 文字どおり― 893 00:51:21,119 --> 00:51:24,831 ふりだしに戻って やり直すんだ 894 00:51:26,833 --> 00:51:29,169 続編を作るのは難しい 895 00:51:29,252 --> 00:51:30,879 作れば作るほど 896 00:51:30,962 --> 00:51:34,633 周囲がうるさくなり 疲れていく 897 00:51:34,716 --> 00:51:38,053 批判を受けるたびに思うんだ 898 00:51:38,136 --> 00:51:41,056 “成功はこの苦痛に 値するのか?” 899 00:51:41,139 --> 00:51:43,642 映画を作るほど難しくなった 900 00:51:43,725 --> 00:51:48,355 ハングリーなストーリーに 新鮮さがもうないからだ 901 00:51:50,273 --> 00:51:53,318 「ロッキー3」を 作るのは怖かった 902 00:51:54,027 --> 00:51:57,322 昔の俺とは違い 何かが欠如してた 903 00:51:57,405 --> 00:51:58,949 熱意ではなく 904 00:51:59,032 --> 00:52:01,118 いい稼ぎになるからだ 905 00:52:01,201 --> 00:52:02,494 守ってもらえる 906 00:52:02,577 --> 00:52:05,413 周りが色々やってくれるから 907 00:52:05,497 --> 00:52:07,791 何もしなくても安心だ 908 00:52:07,874 --> 00:52:09,793 そして気づく 909 00:52:09,876 --> 00:52:13,922 周りに任せて 自分は何もやってないと 910 00:52:14,005 --> 00:52:17,050 何年も経ってから 負けだと気づく 911 00:52:17,134 --> 00:52:19,886 「ロッキー3」はその一例だ 912 00:52:19,970 --> 00:52:22,430 車もあるしお金もある 913 00:52:22,514 --> 00:52:24,474 でも真実はないわ 914 00:52:24,558 --> 00:52:26,143 どうしたのよ? 915 00:52:26,226 --> 00:52:28,061 怖いんだよ! 916 00:52:28,728 --> 00:52:31,481 これで満足か? 俺は怖いんだ 917 00:52:31,565 --> 00:52:32,858 ウソだろ? 918 00:52:32,941 --> 00:52:37,195 格闘家が恐れを口にし 臆病になってる 919 00:52:37,279 --> 00:52:40,240 そして彼女は振り向いて 920 00:52:40,323 --> 00:52:42,492 “私もよ 恐れていいの” 921 00:52:43,577 --> 00:52:46,955 そこから勇気が生まれる 922 00:52:47,038 --> 00:52:50,709 マネージャーや 周囲が言うことに 923 00:52:50,792 --> 00:52:55,714 惑わされない勇気を 持てるかもしれない 924 00:52:55,797 --> 00:52:57,382 別の勇気かも 925 00:52:57,465 --> 00:52:59,843 遠くに旅に出るとか 926 00:53:00,886 --> 00:53:04,264 “スライ 自分の 心の声を聞け” 927 00:53:04,347 --> 00:53:06,057 “本能を信じろ” 928 00:53:06,141 --> 00:53:10,645 すべて俺が決めた ミスター・Tの起用 929 00:53:11,479 --> 00:53:14,482 サバイバーが歌った主題歌 930 00:53:14,566 --> 00:53:16,443 ハルク・ホーガン 931 00:53:16,526 --> 00:53:20,405 周囲は言ったさ “バカげてる”と 932 00:53:20,488 --> 00:53:22,741 それは分かってた 933 00:53:22,824 --> 00:53:26,703 だがそれが面白かったし 他とは違った 934 00:53:37,631 --> 00:53:40,717 グラインダーで 自分を研磨しまくる 935 00:53:40,800 --> 00:53:45,013 自分を磨き上げ 不安を取り除くんだ 936 00:53:45,096 --> 00:53:48,350 すると失敗の脅威に 無関心になる 937 00:53:48,433 --> 00:53:50,602 なぜなら知ってるからだ 938 00:53:50,685 --> 00:53:52,896 真の成功でなくても 939 00:53:52,979 --> 00:53:56,149 努力し続けることが正しいと 940 00:53:56,942 --> 00:53:59,819 そのほとんどが 汚いし つらいが 941 00:53:59,903 --> 00:54:02,405 たどり着く先に価値がある 942 00:54:02,489 --> 00:54:04,032 到達しなくても 943 00:54:04,115 --> 00:54:06,368 何もしないよりましだ 944 00:54:09,663 --> 00:54:12,999 彼は創造することをやめない 945 00:54:13,500 --> 00:54:14,918 手を抜かない 946 00:54:15,001 --> 00:54:18,588 後悔したくないんだ “やればよかった”とか 947 00:54:19,089 --> 00:54:20,257 “もししてたら”と 948 00:54:23,009 --> 00:54:25,762 彼は自分の居場所を 分かってる 949 00:54:26,304 --> 00:54:28,098 必然だった 950 00:54:28,181 --> 00:54:30,600 アクション俳優に なったことも 951 00:54:32,519 --> 00:54:36,231 原作のランボーは 殺人狂だった 952 00:54:36,314 --> 00:54:40,902 ベトナム帰還兵の彼は 悲惨なトラウマがあった 953 00:54:40,986 --> 00:54:42,862 彼は壊れてた 954 00:54:42,946 --> 00:54:47,826 彼が国のためにできることは 何もなかった 955 00:54:47,909 --> 00:54:49,953 だから“俺が関わるなら” 956 00:54:50,036 --> 00:54:54,207 “脚本を書き直して 彼を追い詰める”と言った 957 00:54:56,835 --> 00:55:00,463 彼の野獣のようなどう猛さに 958 00:55:01,131 --> 00:55:02,424 俺も驚いた 959 00:55:02,507 --> 00:55:07,137 彼が顔をゆがませ 怒りが表面化した時だ 960 00:55:09,556 --> 00:55:12,851 その表情が どこからきたかは明白だ 961 00:55:14,686 --> 00:55:17,939 俺の親父は まさにランボーだった 962 00:55:18,023 --> 00:55:20,984 口頭ですますことはなく 963 00:55:21,067 --> 00:55:23,945 いつも肉体的な対話だった 964 00:55:24,904 --> 00:55:26,614 フォークをこう使う 965 00:55:26,698 --> 00:55:28,533 親父はこう食べる 966 00:55:31,161 --> 00:55:32,620 どうなると思う? 967 00:55:34,289 --> 00:55:36,541 逆らうことは許されない 968 00:55:37,625 --> 00:55:38,877 見てくれ 969 00:55:38,960 --> 00:55:40,712 これは遺伝さ 970 00:55:44,132 --> 00:55:46,718 この時初めて経験した 971 00:55:46,801 --> 00:55:50,055 純粋なアクション映画を 972 00:55:50,138 --> 00:55:54,142 完全にアクションが中心の 映画だった 973 00:55:54,225 --> 00:55:56,102 動きが多すぎて 974 00:55:56,186 --> 00:55:58,772 セリフに対応できない 975 00:55:58,855 --> 00:56:01,149 トラウトマンたちに任せた 976 00:56:01,232 --> 00:56:04,903 孤独で社会に 見捨てられた一匹狼に 977 00:56:04,986 --> 00:56:08,573 誰もが強く惹(ひ)きつけられた 978 00:56:08,656 --> 00:56:11,409 彼が演じたのは台本にない 979 00:56:11,493 --> 00:56:14,412 ランボーの心の奥底だった 980 00:56:15,080 --> 00:56:18,708 彼はリズムよく ウィットなセリフも書くが 981 00:56:18,792 --> 00:56:22,087 アドリブのような 雰囲気もあった 982 00:56:22,712 --> 00:56:26,049 スライの書く文章は独特だ 983 00:56:26,132 --> 00:56:28,927 シンプルだが生々しい 984 00:56:29,010 --> 00:56:32,514 彼の言葉の裏には 隠れた意図がある 985 00:56:33,098 --> 00:56:37,852 ベトナム帰還兵について たくさん調べた 986 00:56:38,436 --> 00:56:41,272 彼らの言葉や体験 トラウマ 987 00:56:42,148 --> 00:56:47,570 そういった20人分の帰還兵の 経験や人生の一部を 988 00:56:47,654 --> 00:56:51,825 組み合わせたら どうかと考えたんだ 989 00:56:52,575 --> 00:56:55,870 ランボーは 何年も話してないから 990 00:56:55,954 --> 00:56:58,748 言葉がすぐ出てこない 991 00:56:58,832 --> 00:57:02,710 荒々しく 吐き捨てるようにしか 992 00:57:02,794 --> 00:57:06,464 そこである男の話を 思い出した 993 00:57:07,757 --> 00:57:11,970 靴磨きの箱を持って サイゴンに行くという 994 00:57:12,053 --> 00:57:13,805 “靴磨きはいかが?” 995 00:57:13,888 --> 00:57:16,724 俺は断ったが ジョーイは頼んだ 996 00:57:16,808 --> 00:57:19,561 俺はビールを取りに行った 997 00:57:19,644 --> 00:57:21,688 箱には爆弾が 998 00:57:21,771 --> 00:57:23,314 “俺が離れた時に” 999 00:57:23,398 --> 00:57:25,900 “爆弾つきの箱を 少年が開けた” 1000 00:57:25,984 --> 00:57:29,112 “ジョーイの体が バラバラに吹き飛んだ” 1001 00:57:29,195 --> 00:57:31,489 “ヤツは俺の足は どこだって” 1002 00:57:31,573 --> 00:57:33,575 俺の体に飛び散ってる 1003 00:57:33,658 --> 00:57:36,578 血も飛び散り 俺は元に戻そうと 1004 00:57:36,661 --> 00:57:39,372 だが内臓がどんどん出てくる 1005 00:57:40,081 --> 00:57:41,708 誰も助けてくれない 1006 00:57:42,375 --> 00:57:45,170 奴は“うちに帰りたい”って 1007 00:57:45,253 --> 00:57:47,964 “俺の足はどこだ”なんて― 1008 00:57:49,632 --> 00:57:52,510 作り出せるセリフじゃない 1009 00:57:53,011 --> 00:57:57,724 こういう話を受け入れるのに 時間がかかった 1010 00:57:57,807 --> 00:58:01,978 そしてそれを 映画の中に取り込んだ 1011 00:58:02,562 --> 00:58:04,606 あの悲痛な独白を 1012 00:58:04,689 --> 00:58:06,900 脚本にはなかった 1013 00:58:06,983 --> 00:58:08,943 原作本を読んだ 1014 00:58:09,027 --> 00:58:13,781 戦争で作り出された 最強の殺人マシーンが 1015 00:58:13,865 --> 00:58:18,828 戦争が終わっても 殺人を繰り返すという話だ 1016 00:58:18,912 --> 00:58:22,457 映画ではそのコンセプトが 排除された 1017 00:58:22,540 --> 00:58:25,835 警察を殺さないで ケガにとどめたのは 1018 00:58:25,919 --> 00:58:27,962 スタローンの考えだ 1019 00:58:28,046 --> 00:58:31,382 当初の脚本に書かれた結末は 1020 00:58:31,466 --> 00:58:36,763 ランボーはトラウトマンに 射殺されるんだ 1021 00:58:37,263 --> 00:58:39,516 “それはダメだ”と 監督に言った 1022 00:58:39,599 --> 00:58:43,937 ベトナム帰還兵の誰にも 見せたくなかった 1023 00:58:44,020 --> 00:58:46,731 ランボーが死んでしまうと 1024 00:58:46,814 --> 00:58:51,528 彼らに希望がないんだと 絶望させてしまう 1025 00:58:52,153 --> 00:58:56,324 俺が降りると それは契約違反だと 1026 00:58:56,449 --> 00:58:58,159 スタジオは騒いだ 1027 00:58:58,243 --> 00:58:59,202 “保安官” 1028 00:58:59,619 --> 00:59:03,790 ラスベガスで試写し 結果は散々だった 1029 00:59:03,873 --> 00:59:06,584 結末は当初のままだ 1030 00:59:06,668 --> 00:59:12,173 当時2万人の帰還兵が 毎月自殺してたんだぞ 1031 00:59:12,257 --> 00:59:14,801 彼らを傷つけたくなかった 1032 00:59:14,884 --> 00:59:16,553 絶対にね 1033 00:59:22,976 --> 00:59:25,562 80年代半ばから ランボーを演じ 1034 00:59:25,645 --> 00:59:28,648 キャラが独り歩きしだした 1035 00:59:32,193 --> 00:59:35,905 まず思い浮かぶのは 強じんな肉体だ 1036 00:59:36,948 --> 00:59:41,327 スタローンが80年代に スターになれたのは 1037 00:59:41,411 --> 00:59:45,456 当時は世間が過剰さを 求めていたからだ 1038 00:59:50,503 --> 00:59:54,632 強い肉体で困難や 大惨事に立ち向かう 1039 00:59:54,716 --> 00:59:58,428 そんな彼に 人々は魅力を感じた 1040 01:00:00,430 --> 01:00:02,682 自己風刺的な映画でも 1041 01:00:02,765 --> 01:00:07,520 超人的な彼の活躍を 世間は求めたんだ 1042 01:00:09,522 --> 01:00:12,859 ライバルはアーノルド・ シュワルツェネッガー 1043 01:00:15,403 --> 01:00:20,033 ランボーは俺のテリトリーに 進出してきた 1044 01:00:20,116 --> 01:00:23,369 みんな 彼の鍛えられた 体の話をした 1045 01:00:25,288 --> 01:00:27,957 俺たちは競争した 1046 01:00:28,625 --> 01:00:31,169 小さな子どもと同じだ 1047 01:00:31,252 --> 01:00:32,920 ナイフが大きいのは? 1048 01:00:33,004 --> 01:00:36,591 どちらが より大きな銃で撃てるか 1049 01:00:37,383 --> 01:00:38,926 片手でね 1050 01:00:39,010 --> 01:00:43,723 どっちが筋肉が多い? 体脂肪が少ないのは? 1051 01:00:43,806 --> 01:00:47,185 そんなバカなことで 争ってた 1052 01:00:47,769 --> 01:00:50,229 今となれば笑いごとだ 1053 01:00:50,938 --> 01:00:54,233 筋肉の効果を 身をもって知った 1054 01:00:54,317 --> 01:00:58,363 肉体を鍛えるほど 集客が増えていった 1055 01:00:58,446 --> 01:01:01,991 これはアクション映画に 新たな力を与え 1056 01:01:02,075 --> 01:01:05,453 流行を後押ししたんだ 1057 01:01:07,872 --> 01:01:11,793 アクション映画は ビジネスになると思い 1058 01:01:11,876 --> 01:01:15,088 世界に広めようと 全力を注いだ 1059 01:01:15,171 --> 01:01:17,799 スタローンの魅力は… 1060 01:01:17,882 --> 01:01:19,509 底辺からスターに… 1061 01:01:19,592 --> 01:01:24,222 スタローンは 世界的な名声と富を得た 1062 01:01:24,305 --> 01:01:29,394 彼はヒットを次々生み出し 今の地位を築きました 1063 01:01:29,477 --> 01:01:31,521 “ロッキー” 1064 01:01:33,189 --> 01:01:34,816 彼を追いかけた 1065 01:01:34,899 --> 01:01:36,234 俺は1歩後ろで 1066 01:01:36,317 --> 01:01:37,985 彼はより稼いでた 1067 01:01:38,069 --> 01:01:40,321 次の年に追いついても 1068 01:01:40,405 --> 01:01:43,574 彼はそのさらに上にいるんだ 1069 01:01:43,658 --> 01:01:45,618 どんどん上がっていき 1070 01:01:45,702 --> 01:01:48,830 スライは止止まれなくなった 1071 01:01:48,913 --> 01:01:52,417 ハリウッドの スターでいるために 1072 01:01:53,751 --> 01:01:55,878 ファンは対立しています 1073 01:01:55,962 --> 01:01:59,006 ロッキー派かランボー派で 1074 01:01:59,090 --> 01:02:01,467 それに不満はありますか? 1075 01:02:01,551 --> 01:02:02,552 複雑さ 1076 01:02:02,635 --> 01:02:07,223 不満はあるが 複数のキャラクターが 1077 01:02:07,306 --> 01:02:11,102 俺の象徴となり親しまれてる 1078 01:02:11,185 --> 01:02:15,273 すごいことを 成し遂げてると実感する 1079 01:02:15,356 --> 01:02:17,233 続編はいい 1080 01:02:17,316 --> 01:02:20,903 物語は2時間では 収まり切れない 1081 01:02:20,987 --> 01:02:23,614 客が求めてるならやるべきだ 1082 01:02:25,825 --> 01:02:28,494 続編は簡単ではない 1083 01:02:28,578 --> 01:02:32,039 前作の持つ面白さと 熱狂を保ち 1084 01:02:32,123 --> 01:02:36,169 持続させるのは 10倍難しいからだ 1085 01:02:38,629 --> 01:02:41,215 ロッキーの3と4作目では 1086 01:02:41,299 --> 01:02:46,304 ロッキーはスタローンとは かけ離れていた 1087 01:02:46,387 --> 01:02:48,639 漫画のキャラクターだ 1088 01:02:48,723 --> 01:02:50,850 漫画の主人公が 1089 01:02:50,933 --> 01:02:53,186 漫画の悪役と戦ってる 1090 01:02:53,269 --> 01:02:56,272 マーベルコミックのように 1091 01:02:56,355 --> 01:03:01,110 この映画が求めているものの 不条理さに支配されてた 1092 01:03:01,194 --> 01:03:04,572 最強のスタローンを 観客に見せたい 1093 01:03:04,655 --> 01:03:08,868 ロッキーという ブランドの枠組みの中で 1094 01:03:12,455 --> 01:03:15,708 彼は戦いながら 演出し脚本も書いた 1095 01:03:16,292 --> 01:03:17,627 すべてやった 1096 01:03:17,710 --> 01:03:21,172 アクション映画では とても大変なことだ 1097 01:03:22,131 --> 01:03:25,218 ドルフにリングで ひどくやられた 1098 01:03:26,886 --> 01:03:29,180 その夜中に心臓が腫れた 1099 01:03:31,098 --> 01:03:34,018 胸を強く殴られた影響で 1100 01:03:35,436 --> 01:03:38,189 血圧が260を超え 1101 01:03:38,773 --> 01:03:42,985 周囲は俺が 死ぬんじゃないかと思った 1102 01:03:51,744 --> 01:03:55,206 気がつくとICUで 修道女に囲まれてて 1103 01:03:55,289 --> 01:03:57,333 俺は死ぬんだと思った 1104 01:03:58,584 --> 01:04:01,045 9日間も入院した 1105 01:04:01,128 --> 01:04:05,675 「ロッキー4」で描いたが 殴り倒された後 1106 01:04:05,758 --> 01:04:10,012 苦痛を終わらせるために とどめをさせと祈る 1107 01:04:10,096 --> 01:04:13,474 だが心はささやく “もう1ラウンドだ”と 1108 01:04:16,602 --> 01:04:19,355 やりすぎて5回手術した 1109 01:04:20,022 --> 01:04:23,317 最初の腰の手術で 懲りたはずなのに 1110 01:04:25,152 --> 01:04:27,864 また手術するだだろう 1111 01:04:27,947 --> 01:04:30,199 やらないと言い切れない 1112 01:04:30,283 --> 01:04:32,451 なぜか確信してる 1113 01:04:34,579 --> 01:04:39,208 俺は常常に波乱の多い 世界に放り込まれてた 1114 01:04:39,292 --> 01:04:42,211 身体的にもつらかった 1115 01:04:42,295 --> 01:04:43,921 暴力を受けてた 1116 01:05:06,068 --> 01:05:09,864 親父は軍隊の 騎兵隊に入ってた 1117 01:05:09,947 --> 01:05:14,493 第2次世界大戦で メキシコの国境にいたらしい 1118 01:05:14,577 --> 01:05:16,662 そこでポロを覚えた 1119 01:05:16,746 --> 01:05:21,125 それで俺もポロを始めて しばらくやってたが 1120 01:05:21,208 --> 01:05:23,210 ひどい試合をしてた 1121 01:05:23,294 --> 01:05:25,713 兄は優秀な選手だった 1122 01:05:25,796 --> 01:05:28,049 プロになれただろう 1123 01:05:28,132 --> 01:05:30,426 父が邪魔しなければ 1124 01:05:30,509 --> 01:05:31,928 やめてなかった 1125 01:05:33,971 --> 01:05:37,475 40歳頃になって またポロを始めた 1126 01:05:38,392 --> 01:05:42,104 “今度は俺のやり方で やるぞ”と親父に言った 1127 01:05:42,688 --> 01:05:47,276 親父に対抗するため トップチームを結成し 1128 01:05:47,360 --> 01:05:51,405 世界最大のクラブ ウェリントンで対戦した 1129 01:05:57,995 --> 01:06:02,041 スタローンは 見事なポロの腕前を披露し 1130 01:06:02,124 --> 01:06:04,418 トップ選手を圧倒させた 1131 01:06:08,506 --> 01:06:10,967 俺はいい試合をした 1132 01:06:11,884 --> 01:06:14,303 親父との勝負は接戦だった 1133 01:06:17,932 --> 01:06:20,351 ニアサイドを狙った 1134 01:06:23,020 --> 01:06:26,524 親父は俺の背中を突いた 1135 01:06:28,067 --> 01:06:29,944 強く突かれて― 1136 01:06:31,821 --> 01:06:33,155 俺は落馬した 1137 01:06:33,239 --> 01:06:34,657 記者が記録してた 1138 01:06:34,740 --> 01:06:37,535 もう少しで馬に踏まれてた 1139 01:06:37,618 --> 01:06:40,538 俺が立ち上がった時… 1140 01:06:44,125 --> 01:06:46,460 親父が馬に乗って 1141 01:06:47,503 --> 01:06:51,090 今日は人生で 最高のスリルを味わった 1142 01:06:51,173 --> 01:06:57,054 最高のポロの試合で やっと息子と対戦できた 1143 01:06:57,138 --> 01:07:01,392 今日の試合で 唯一の卑劣(ひれつ)なプレーは 1144 01:07:01,475 --> 01:07:04,729 父から息子への 攻撃だった 1145 01:07:07,815 --> 01:07:09,025 それきりだ 1146 01:07:09,108 --> 01:07:11,527 あれからポロはしてない 1147 01:07:11,610 --> 01:07:12,987 全部売った 1148 01:07:13,070 --> 01:07:15,531 馬も牧場もすべて 1149 01:07:15,614 --> 01:07:17,116 あれで終わった 1150 01:07:28,586 --> 01:07:32,339 生まれたばかりの 赤ん坊は柔らかい粘土だ 1151 01:07:33,340 --> 01:07:37,720 強引な工芸家が こねてへこませて 1152 01:07:37,803 --> 01:07:40,431 形を決めていくんだ 1153 01:07:40,514 --> 01:07:44,060 その歪みを 矯正することはできない 1154 01:07:44,685 --> 01:07:46,520 それが人格形成だ 1155 01:07:46,604 --> 01:07:49,565 自分で変えるのは 容易ではない 1156 01:08:03,287 --> 01:08:05,664 「ロッキー5」の 制作では 1157 01:08:05,748 --> 01:08:10,419 彼は自分が何者かを 見失わないようにした 1158 01:08:10,503 --> 01:08:13,589 生い立ちやルーツを 振り返った 1159 01:08:13,672 --> 01:08:16,884 だが理想的な形ではなかった 1160 01:08:21,305 --> 01:08:23,766 映画を作る時に考えた 1161 01:08:24,517 --> 01:08:26,102 もし全部失ったら 1162 01:08:26,602 --> 01:08:30,898 もう一度ふりだしに戻り やり直せるかって 1163 01:08:31,816 --> 01:08:34,735 誰かの助けが不可欠だ 1164 01:08:35,361 --> 01:08:39,490 俺の意志を継ぐトミーが 家族より大切だった 1165 01:08:39,573 --> 01:08:43,035 彼が俺を再び 輝かせると信じた 1166 01:08:43,786 --> 01:08:45,704 個人的な感情だった 1167 01:08:46,872 --> 01:08:51,085 彼は息子のセイジを 映画に出演させた 1168 01:08:52,419 --> 01:08:56,841 彼は自分が得られなかった 機会を息子に与えた 1169 01:08:59,009 --> 01:09:01,720 地下室のシーンは どう生まれた? 1170 01:09:01,804 --> 01:09:04,807 息子がロッキーを 非難するところ 1171 01:09:04,890 --> 01:09:07,935 自分の経験から 生まれたセリフ? 1172 01:09:08,018 --> 01:09:09,311 そのとおりだ 1173 01:09:09,395 --> 01:09:12,398 僕が1番大事だと ウソをついた 1174 01:09:12,481 --> 01:09:14,483 僕にもママにも 1175 01:09:14,567 --> 01:09:18,195 ウソじゃないが トミーには助けがいる 1176 01:09:18,279 --> 01:09:19,572 僕にもさ 1177 01:09:21,115 --> 01:09:24,160 俺は現実で やりたかったことを 1178 01:09:25,119 --> 01:09:28,289 映画の中で体験したかった 1179 01:09:28,956 --> 01:09:31,625 現実ではできないから 1180 01:09:32,334 --> 01:09:37,214 だから何度も 芝居の中でやったんだ 1181 01:09:38,090 --> 01:09:39,133 幻想さ 1182 01:09:40,509 --> 01:09:42,469 何かを託したいなら 1183 01:09:42,553 --> 01:09:45,806 息子に託せばいいじゃない 1184 01:09:45,890 --> 01:09:50,477 息子を失いそうな俺に 彼女の言葉が突き刺さる 1185 01:09:50,561 --> 01:09:54,356 “こんなつもりじゃなかった 昔に戻りたくない”と 1186 01:09:54,440 --> 01:09:56,025 彼女は批判する 1187 01:09:57,193 --> 01:09:58,736 “息子を救え”と 1188 01:09:59,778 --> 01:10:01,071 それは正しい 1189 01:10:01,155 --> 01:10:04,825 家族より別のことを 大事にすることがある 1190 01:10:05,784 --> 01:10:08,329 しかし その反動は― 1191 01:10:08,954 --> 01:10:12,124 壊滅的で 取り返しがつかない 1192 01:10:13,125 --> 01:10:16,170 俺は自分の信念や 哲学を伝えたい 1193 01:10:16,253 --> 01:10:20,466 どんな栄光も 世界的な称賛も意味はない 1194 01:10:20,549 --> 01:10:22,843 安心して寝るためには 1195 01:10:22,927 --> 01:10:27,056 隣に家族がいることが 重要なんだ 1196 01:10:27,139 --> 01:10:31,644 「ロッキー5」には 私情が入りすぎてた 1197 01:10:32,561 --> 01:10:35,564 観客には 受け入れられなかった 1198 01:10:36,565 --> 01:10:37,900 よく言うんだ 1199 01:10:37,983 --> 01:10:41,445 “スターの経歴の 後半は見るな”って 1200 01:10:41,528 --> 01:10:44,073 必ず“彼の頂点はこの時” 1201 01:10:44,156 --> 01:10:47,451 “ここで頂点を手にしたが その後は…” 1202 01:10:47,534 --> 01:10:49,870 “転落の人生だ”となる 1203 01:10:50,579 --> 01:10:51,288 スライ! 1204 01:10:51,372 --> 01:10:52,331 スライ! 1205 01:10:52,957 --> 01:10:57,461 人生で25の映画ができるなら それで十分だ 1206 01:11:00,005 --> 01:11:02,132 それ以上は必要ない 1207 01:11:02,216 --> 01:11:06,720 突然 茶番劇をやりだしたね 正反対のジャンルだ 1208 01:11:06,804 --> 01:11:08,847 茶番劇は廃れた芸術だ 1209 01:11:09,640 --> 01:11:13,060 茶番劇はコメディとは違って 1210 01:11:13,143 --> 01:11:14,311 すごく速い 1211 01:11:14,395 --> 01:11:16,897 自分の枠から飛び出して 1212 01:11:16,981 --> 01:11:18,732 茶番を演じる 1213 01:11:18,816 --> 01:11:20,276 それを求めた 1214 01:11:20,359 --> 01:11:22,111 分かるだろ? 1215 01:11:22,695 --> 01:11:26,115 人は自分の枠を広げたくなる 1216 01:11:26,198 --> 01:11:29,868 コメディへの挑戦は 彼には当然だった 1217 01:11:30,619 --> 01:11:32,663 1番意外だった作品は? 1218 01:11:32,746 --> 01:11:33,956 俺自身が? 1219 01:11:34,039 --> 01:11:37,126 間違いなく この映画だ 1220 01:11:37,209 --> 01:11:38,919 「刑事ジョー ママにお手あげ」 1221 01:11:39,003 --> 01:11:44,383 スライと俺のエージェントに 脚本が渡された 1222 01:11:44,466 --> 01:11:47,845 脚本を見て これは売れないと思ったが 1223 01:11:47,928 --> 01:11:50,055 出演は断ってなかった 1224 01:11:50,139 --> 01:11:53,434 スタジオは俺のことを スライ側に伝え 1225 01:11:53,517 --> 01:11:58,188 それを聞いたスライは 俺を出し抜こうと思った 1226 01:11:58,272 --> 01:12:01,567 だから彼は あの映画に出たんだ 1227 01:12:01,650 --> 01:12:02,776 悲惨だ 1228 01:12:02,860 --> 01:12:05,904 彼は自分にとって意味のない 1229 01:12:05,988 --> 01:12:08,574 映画を作り続けた 1230 01:12:09,199 --> 01:12:13,162 彼が徹底的に 活躍する映画ばかりで 1231 01:12:13,245 --> 01:12:15,956 いい作品とは言えなかった 1232 01:12:16,040 --> 01:12:20,586 自分というものを 切り離すことはできない 1233 01:12:20,669 --> 01:12:23,505 コメディに挑戦したが 1234 01:12:23,589 --> 01:12:25,632 無駄な努力だった 1235 01:12:25,716 --> 01:12:27,634 時間を無駄にしたし 1236 01:12:27,718 --> 01:12:29,511 世間を幻滅させた 1237 01:12:29,595 --> 01:12:32,806 俺に向いてることを やるべきだって 1238 01:12:32,890 --> 01:12:34,975 ルーツに戻ってね 1239 01:12:35,059 --> 01:12:38,937 どんどん素っ気ない 役ばかりになった 1240 01:12:39,021 --> 01:12:40,898 セリフは少なく 1241 01:12:40,981 --> 01:12:44,026 昔のように アクション中心だった 1242 01:12:44,651 --> 01:12:50,115 彼はまるで話さない 巨大な動くフィギュアだった 1243 01:12:50,199 --> 01:12:51,867 アクションばかり 1244 01:12:51,950 --> 01:12:56,038 舞台は刑務所だったり 電車の中だったり 1245 01:12:56,121 --> 01:13:00,167 あの頃の役どころは アクションだけでセリフは 1246 01:13:00,250 --> 01:13:02,044 “何してる?”だけ 1247 01:13:02,127 --> 01:13:04,088 彼の個性は封印され 1248 01:13:04,171 --> 01:13:06,006 ただの進行役だった 1249 01:13:06,090 --> 01:13:07,966 「コップランド」までは 1250 01:13:10,344 --> 01:13:12,930 何の喜びもなかった 1251 01:13:13,013 --> 01:13:16,934 肉体的な挑戦ばかりに 力が入った 1252 01:13:17,017 --> 01:13:20,312 キャラクターの 行動心理を考えたり 1253 01:13:20,396 --> 01:13:24,566 演技のための役作りなどは 何もしなかった 1254 01:13:26,276 --> 01:13:29,071 やめなければと思った 1255 01:13:29,154 --> 01:13:31,407 初心に戻るための前提は 1256 01:13:31,490 --> 01:13:34,118 他の役者との交流だと考えた 1257 01:13:34,201 --> 01:13:36,412 「コップランド」の役は 1258 01:13:36,495 --> 01:13:38,497 俺には難しいと言われた 1259 01:13:38,580 --> 01:13:41,500 自分を捨てなければならない 1260 01:13:41,583 --> 01:13:44,420 10年ずっと 演じてきたものを 1261 01:13:44,503 --> 01:13:47,214 13キロ体重を増やし 1262 01:13:47,297 --> 01:13:50,884 卑屈で内気な男になりきる 1263 01:13:51,552 --> 01:13:54,263 自分を裏返したようだった 1264 01:13:54,346 --> 01:13:57,641 まさに自分の中身を 外に押し出した 1265 01:13:57,724 --> 01:14:00,602 俳優として認められる 機会だった? 1266 01:14:00,686 --> 01:14:05,065 すばらしい俳優と 共演することで 1267 01:14:05,149 --> 01:14:08,152 自分の力を 発揮できると思った 1268 01:14:08,235 --> 01:14:10,779 すみません こいつが勝手に 1269 01:14:10,863 --> 01:14:12,364 すみません 1270 01:14:12,448 --> 01:14:14,616 デ・ニーロとの共演を 1271 01:14:14,700 --> 01:14:16,618 20年も待ってた 1272 01:14:16,702 --> 01:14:20,706 誰もがこのシーンは 血の海になると思ってた 1273 01:14:21,415 --> 01:14:23,750 どういうことだ? 俺は… 1274 01:14:23,834 --> 01:14:25,419 セリフを言う間 1275 01:14:25,502 --> 01:14:29,590 デ・ニーロは俺に本気で 演技してないと思った 1276 01:14:29,673 --> 01:14:32,468 彼の本気が見たかった 1277 01:14:33,218 --> 01:14:36,972 彼からの強い悪意が 俺には必要だった 1278 01:14:37,055 --> 01:14:39,683 そうすれば俺も本気で― 1279 01:14:40,642 --> 01:14:42,352 演じられる 1280 01:14:42,436 --> 01:14:45,355 傷つき部屋から出られる 1281 01:14:46,648 --> 01:14:51,528 俺はアドリブで 彼をイラつかせることにした 1282 01:14:51,612 --> 01:14:54,281 あのシーンの最後のセリフは 1283 01:14:54,364 --> 01:14:55,908 “手助けは無理だ” 1284 01:14:55,991 --> 01:14:58,827 彼はそこまでだと思ってたが 1285 01:14:58,911 --> 01:15:01,038 だが俺は会話を続けた 1286 01:15:01,121 --> 01:15:04,958 “俺を助けると 言ったじゃないか” 1287 01:15:05,042 --> 01:15:06,168 “だから…” 1288 01:15:06,251 --> 01:15:08,378 彼は“もう終わりだ” 1289 01:15:08,462 --> 01:15:11,215 “君の頼みは聞いただろ?” 1290 01:15:11,298 --> 01:15:15,260 “なのに俺のことを 見捨てるのか?” 1291 01:15:15,344 --> 01:15:17,429 “頼むから話を聞け” 1292 01:15:17,513 --> 01:15:19,640 “黙れ 能無しめ” 1293 01:15:19,723 --> 01:15:21,225 よく聞け 能無し 1294 01:15:21,308 --> 01:15:23,769 警官になるチャンスをやった 1295 01:15:23,852 --> 01:15:26,772 それをお前が 台無しにしたんだ! 1296 01:15:26,855 --> 01:15:29,233 いい返しだった さすがだ 1297 01:15:32,528 --> 01:15:35,364 だがそれも うまくいかなかった 1298 01:15:36,198 --> 01:15:40,410 彼は役になりきり 自分の思いを伝えてた 1299 01:15:40,494 --> 01:15:42,871 爆薬や演説ではなく 1300 01:15:42,955 --> 01:15:47,876 内気で特徴のない男の ささいな言動でだ 1301 01:15:49,294 --> 01:15:53,215 スタローンの演技に ひたむきな何かがあった 1302 01:15:53,298 --> 01:15:56,301 彼は心の奥底で演じてたんだ 1303 01:15:57,761 --> 01:16:02,015 監督は彼を 信頼するべきだった 1304 01:16:02,099 --> 01:16:05,018 その悲しみには意味があった 1305 01:16:05,102 --> 01:16:07,646 あの映画は彼を失望させた 1306 01:16:07,729 --> 01:16:10,899 彼は正当な評価を 得られずに 1307 01:16:10,983 --> 01:16:12,859 悔しがってた 1308 01:16:15,279 --> 01:16:18,115 俺は自分自身に落胆していた 1309 01:16:18,198 --> 01:16:23,620 衰退していくのは 自然の流れなのは理解してる 1310 01:16:23,704 --> 01:16:25,539 それが人生だろ? 1311 01:16:25,622 --> 01:16:29,418 一生頂点に 君臨できる人はいない 1312 01:16:31,712 --> 01:16:34,172 その時に気づいた 1313 01:16:34,256 --> 01:16:38,218 自分の専門分野を 極めるべきだと 1314 01:16:39,678 --> 01:16:40,887 芸術家と同じ 1315 01:16:40,971 --> 01:16:43,390 画家ならロスコ以上に 1316 01:16:43,473 --> 01:16:46,226 ロスコを表現できる 人はいない 1317 01:16:47,644 --> 01:16:52,232 俺たちは何でもできるし 何にでもなれると言うが 1318 01:16:52,316 --> 01:16:53,317 それは無理だ 1319 01:16:54,067 --> 01:16:57,321 人にはそれぞれ 短所と長所がある 1320 01:16:57,404 --> 01:16:59,448 だから長所を伸ばす 1321 01:16:59,531 --> 01:17:02,534 俺にシェイクスピアは できない 1322 01:17:03,535 --> 01:17:07,623 彼の生み出した 2つのキャラクターなら 1323 01:17:07,706 --> 01:17:12,419 いつでも正統性や尊敬を 取り戻してくれる 1324 01:17:12,502 --> 01:17:16,340 ロッキーかランボーを 演じるだけでいい 1325 01:17:16,423 --> 01:17:18,884 いつでも彼を救い出し 1326 01:17:18,967 --> 01:17:21,803 リセットできる場所だ 1327 01:17:21,887 --> 01:17:24,640 ロッキーの6作目は 1328 01:17:24,723 --> 01:17:29,853 俺のすべてのキャリアの中で 最も誇らしい作品だ 1329 01:17:29,936 --> 01:17:34,941 前作から19年ぶりに 制作された映画だったからだ 1330 01:17:35,484 --> 01:17:40,489 世の中はロッキーを知らない 世代ばかりになってた 1331 01:17:40,572 --> 01:17:44,951 だが俺や多くの人にとって 大切な存在だったから 1332 01:17:45,035 --> 01:17:49,956 あのままロッキーを 終わらせたくなかった 1333 01:17:50,040 --> 01:17:56,254 俺は膨大な時間をかけて 6作目の脚本を書き下ろした 1334 01:17:56,338 --> 01:17:59,633 プロデューサーは できないと却下した 1335 01:17:59,716 --> 01:18:03,178 どのスタジオからも 突き返された 1336 01:18:03,261 --> 01:18:04,763 “ロッキーは終わった” 1337 01:18:04,846 --> 01:18:07,516 全員に否定されたよ 1338 01:18:07,599 --> 01:18:10,602 みんな笑った 妻も俺を止めた 1339 01:18:10,686 --> 01:18:15,315 これがボクシング映画で ないことを理解してなかった 1340 01:18:16,400 --> 01:18:20,904 俺が作りたかったのは どうやって愛する者の死を 1341 01:18:20,987 --> 01:18:24,700 彼が乗り越えて いくかという物語だ 1342 01:18:24,783 --> 01:18:28,245 エイドリアンを失ったことで 1343 01:18:28,328 --> 01:18:31,331 体の奥から つらい感情が生まれる 1344 01:18:31,415 --> 01:18:33,875 人生が欠けてしまう 1345 01:18:33,959 --> 01:18:36,503 愛がなければ… 1346 01:18:36,586 --> 01:18:39,673 後悔ばかりが押し寄せる 1347 01:18:39,756 --> 01:18:41,091 もっと愛して 1348 01:18:41,174 --> 01:18:44,594 大切にし 感謝すればよかったと 1349 01:18:44,678 --> 01:18:47,764 地下室で言われたことだ 1350 01:18:49,182 --> 01:18:50,559 後悔ばかりだ 1351 01:18:51,268 --> 01:18:55,772 俺自身の後悔を 映画にしようと思った 1352 01:18:55,856 --> 01:19:01,278 ロッキーは過去の痛みを 浄化するために戦うんだ 1353 01:19:01,361 --> 01:19:05,031 過去の痛みを新しい痛みに 置き換えるため 1354 01:19:05,115 --> 01:19:06,908 だから殴られたい 1355 01:19:07,909 --> 01:19:11,621 痛みで地下室のことを 忘れたい 1356 01:19:12,205 --> 01:19:15,375 俺は息子に 将来について話した 1357 01:19:16,334 --> 01:19:20,380 人生に打ち勝つことは できないと思った 1358 01:19:21,381 --> 01:19:23,467 ただ防御するだけだ 1359 01:19:26,386 --> 01:19:30,849 “人生ほど重いパンチは ない”という言葉が浮かんだ 1360 01:19:32,350 --> 01:19:36,480 俺はセリフを付け加える クセがある 1361 01:19:36,563 --> 01:19:40,609 撮影中に どんどん加えて注意される 1362 01:19:40,692 --> 01:19:43,653 “なぜセリフを 足すんだ?”って 1363 01:19:43,737 --> 01:19:47,616 このシーンの時は最後まで 止められなかった 1364 01:19:47,699 --> 01:19:48,867 シンプルだ 1365 01:19:48,950 --> 01:19:52,496 メッセージは単純なんだ 1366 01:19:53,038 --> 01:19:55,832 感情的でもない 1367 01:19:55,916 --> 01:20:01,129 小さなお前を手に乗せて お前の母親に言ったんだ 1368 01:20:01,213 --> 01:20:03,840 “この子は世界一になる” 1369 01:20:03,924 --> 01:20:06,802 “誰もが驚く すごい男になる”って 1370 01:20:06,885 --> 01:20:10,889 心から息子を愛してるのが 分かるだろ 1371 01:20:10,972 --> 01:20:13,433 世界は美しいだけじゃない 1372 01:20:13,517 --> 01:20:15,602 汚くて卑劣な場所だ 1373 01:20:15,685 --> 01:20:17,395 どんなに強くても 1374 01:20:17,479 --> 01:20:19,147 倒されてしまう 1375 01:20:19,231 --> 01:20:21,608 立たなければ永久に 1376 01:20:21,691 --> 01:20:23,610 俺たちの誰も 1377 01:20:23,693 --> 01:20:25,695 人生にはかなわない 1378 01:20:25,779 --> 01:20:27,989 強く殴るかではない 1379 01:20:28,073 --> 01:20:31,701 どんなに強く殴られても あきらめず 1380 01:20:31,785 --> 01:20:34,663 耐えて前に進めるかだ 1381 01:20:38,750 --> 01:20:41,628 この作品と ロッキーの1作目を 1382 01:20:41,711 --> 01:20:46,049 見比べて 時間の進む 速さを実感したかった 1383 01:20:47,133 --> 01:20:51,888 40歳まで人生は足し算だが それ以降は引き算になる 1384 01:20:51,972 --> 01:20:53,974 子どもは自立し 1385 01:20:54,057 --> 01:20:58,228 友人は離れたり死んだり 仕事もなくなる 1386 01:20:58,895 --> 01:21:00,981 失っていくんだ 1387 01:21:09,823 --> 01:21:11,283 映画のセリフだ 1388 01:21:11,366 --> 01:21:15,245 “息子の目を通して 俺は生きていける” 1389 01:21:15,328 --> 01:21:18,331 それが父親が 求めるものだと思う 1390 01:21:18,415 --> 01:21:21,001 自分の人生の延長なんだ 1391 01:21:21,084 --> 01:21:23,336 息子が生きてる限り 1392 01:21:23,420 --> 01:21:25,797 彼の中に俺も生きてる 1393 01:21:25,881 --> 01:21:32,846 セイジ・スタローン 1976年~2012年 1394 01:21:40,270 --> 01:21:44,190 あなたはロッキーと ランボーを成功させた 1395 01:21:44,274 --> 01:21:47,152 だとしても世間はこう言う 1396 01:21:47,235 --> 01:21:50,447 “役を演じるには あなたはもう年だ”と 1397 01:21:50,530 --> 01:21:53,450 エージェントは突如 手を引いた 1398 01:21:53,533 --> 01:21:55,619 それが4回目の岐路だ 1399 01:21:55,702 --> 01:21:59,414 彼らに従うか 自分の気持ちに従うか 1400 01:21:59,497 --> 01:22:00,957 まだ戦えるのか? 1401 01:22:01,041 --> 01:22:04,836 ロッキーなら 地下室で何を言う? 1402 01:22:04,920 --> 01:22:08,423 可能だと思った だが年相応のやり方で 1403 01:22:08,506 --> 01:22:11,051 生まれたのが 「エクスペンダブルズ」だ 1404 01:22:13,136 --> 01:22:16,848 ロックンロール・ リバイバルに行った 1405 01:22:17,766 --> 01:22:20,477 “彼らは最高だ”と 妻に言った 1406 01:22:20,560 --> 01:22:24,022 妻が俺を見る “もっとよくなるぞ” 1407 01:22:24,105 --> 01:22:25,190 ドン! 1408 01:22:25,273 --> 01:22:30,278 ヨレヨレのチノパンを はいた男が登場した 1409 01:22:30,362 --> 01:22:34,115 待機しすぎて背中が しわしわになってる 1410 01:22:34,199 --> 01:22:37,160 なんて最高なんだ 1411 01:22:37,243 --> 01:22:41,623 満員だった 全員ピークは過ぎてる 1412 01:22:41,706 --> 01:22:44,000 だが大勢の人が集まり 1413 01:22:44,084 --> 01:22:48,380 過去の大スターの 今の姿を見にきた 1414 01:22:48,463 --> 01:22:50,966 俺はそれに可能性を感じた 1415 01:22:51,049 --> 01:22:53,510 “アクション俳優でやろう” 1416 01:22:55,220 --> 01:22:58,473 それがあの映画を 作ったきっかけだ 1417 01:22:59,557 --> 01:23:03,645 映画の俺とは対照的に 俺は消耗品(エクスペンダブルズ)か? 1418 01:23:03,728 --> 01:23:08,525 いいや 俺もかつて 活躍したスターの1人だ 1419 01:23:08,608 --> 01:23:10,068 チクショウ 1420 01:23:10,151 --> 01:23:13,738 これを見ずには いられないだろ 1421 01:23:14,531 --> 01:23:15,907 すごい発想だ 1422 01:23:15,991 --> 01:23:18,743 80年代から 2000年代に活躍した 1423 01:23:18,827 --> 01:23:23,873 アクション俳優を集めて 1つの作品に詰め込むなんて 1424 01:23:26,501 --> 01:23:29,087 この時期にスタローンは 1425 01:23:29,170 --> 01:23:33,717 自分が長年生きてきた 経験を受け入れた 1426 01:23:33,800 --> 01:23:37,137 まだ続けるべきかは 分からない 1427 01:23:39,097 --> 01:23:44,436 アクション俳優が撮影で ケガをするのはよくある 1428 01:23:44,519 --> 01:23:48,440 だがスライは極限まで 追い詰めすぎた 1429 01:23:49,441 --> 01:23:50,817 彼はやりすぎた 1430 01:23:52,861 --> 01:23:54,779 家族が常にそばにいた 1431 01:23:54,863 --> 01:23:56,990 辛かったと思う 1432 01:23:57,073 --> 01:24:00,660 俺の体は撮影でボロボロで 1433 01:24:00,744 --> 01:24:03,747 感染症になり首も骨折した 1434 01:24:03,830 --> 01:24:05,623 何度もね 1435 01:24:05,707 --> 01:24:07,917 家族は喜んでなかった 1436 01:24:08,418 --> 01:24:10,503 寝ずに働いた次の日も 1437 01:24:10,587 --> 01:24:12,255 また徹夜で仕事よ 1438 01:24:12,338 --> 01:24:15,592 家に帰ってきて すぐ手術を受けた 1439 01:24:16,468 --> 01:24:20,388 シリーズ1作目の ケガも完治してない 1440 01:24:20,472 --> 01:24:24,726 体中がガタガタで もう元には戻らない 1441 01:24:24,809 --> 01:24:26,061 もう二度と 1442 01:24:26,144 --> 01:24:28,146 その価値はあったのか? 1443 01:24:28,229 --> 01:24:30,857 ただの承認欲求なのか? 1444 01:24:31,858 --> 01:24:36,488 子どもが父親から頭を撫でて もらいたいのと同じだ 1445 01:24:36,571 --> 01:24:38,073 励ましが欲しい 1446 01:24:38,156 --> 01:24:39,199 本音は 1447 01:24:44,746 --> 01:24:46,289 この映画が 心に響くのはなぜか? 1448 01:24:46,289 --> 01:24:48,291 この映画が 心に響くのはなぜか? 「冬のライオン」 1449 01:24:48,291 --> 01:24:48,750 「冬のライオン」 1450 01:24:49,375 --> 01:24:52,462 この映画は 親父を思い出させる 1451 01:24:54,089 --> 01:24:57,383 なぜ一度も俺の名を 呼んでくれない 1452 01:24:58,927 --> 01:25:01,221 呼べば そばにいく 1453 01:25:01,304 --> 01:25:03,014 何でもする 1454 01:25:04,766 --> 01:25:08,311 俺は悪くない 文句を言うな 1455 01:25:11,064 --> 01:25:12,899 この映画ほど― 1456 01:25:13,983 --> 01:25:17,946 人間の核心を 表現してるものはない 1457 01:25:18,029 --> 01:25:20,865 人が本当に心から 1458 01:25:20,949 --> 01:25:23,535 欲してるものは何か 1459 01:25:23,618 --> 01:25:24,994 必要なものとは 1460 01:25:26,704 --> 01:25:27,789 愛だ 1461 01:25:28,373 --> 01:25:29,415 報われる愛 1462 01:25:30,083 --> 01:25:31,709 俺は関係ない 1463 01:25:33,002 --> 01:25:34,587 つながりもない 1464 01:25:35,171 --> 01:25:36,339 お前はいらない 1465 01:25:37,423 --> 01:25:41,219 誰にも俺の王国を渡さない 1466 01:25:41,302 --> 01:25:44,097 お前らは滅びて死ぬがいい 1467 01:25:45,974 --> 01:25:47,892 自分が拒絶された時― 1468 01:25:48,810 --> 01:25:52,522 愛が強い味方になってくれる 1469 01:25:55,358 --> 01:25:57,402 俺にはなかった 1470 01:25:57,485 --> 01:26:00,238 子ども時代はすべてが… 1471 01:26:02,615 --> 01:26:04,159 最悪だった 1472 01:26:04,993 --> 01:26:08,413 だから俺の映画の世界では― 1473 01:26:09,664 --> 01:26:12,709 現実に 起こらないことが起こる 1474 01:26:13,585 --> 01:26:17,046 落ちこぼれ格闘家が 勝利者になる 1475 01:26:20,216 --> 01:26:25,221 俺が能力に恵まれたのは つらい経験を隠すためだ 1476 01:26:25,305 --> 01:26:29,893 自分が欲しかったものを 創造するんだ 1477 01:26:29,976 --> 01:26:33,354 ロッキーのような 親父が欲しかった 1478 01:26:33,438 --> 01:26:35,982 そこにいれば 自分を撮影できる 1479 01:26:37,358 --> 01:26:38,401 映ったぞ 1480 01:26:38,484 --> 01:26:39,485 すごいだろ 1481 01:26:39,569 --> 01:26:42,071 父が死にかけてると伝えた 1482 01:26:42,155 --> 01:26:44,365 長い間 話してないだろって 1483 01:26:44,449 --> 01:26:46,034 愛してる 1484 01:26:47,410 --> 01:26:48,870 体を大事に 1485 01:26:48,953 --> 01:26:50,246 フランクもいる 1486 01:26:50,330 --> 01:26:55,501 父が死ぬ数週間前に 2人を会わせた 1487 01:26:55,585 --> 01:26:56,628 こっちへ来い 1488 01:26:58,838 --> 01:27:01,174 人生最高の日だ! 1489 01:27:01,257 --> 01:27:02,550 愛してるよ 1490 01:27:08,014 --> 01:27:09,599 親父は死ぬ間際 1491 01:27:09,682 --> 01:27:11,392 “いいか スライ” 1492 01:27:11,476 --> 01:27:12,810 “何だ 親父?” 1493 01:27:14,187 --> 01:27:17,774 “人を愛して 許せるようになれ” 1494 01:27:19,359 --> 01:27:20,485 “そうか?” 1495 01:27:21,152 --> 01:27:25,365 “天使のお迎えが来て そう言ったのか?” 1496 01:27:25,448 --> 01:27:28,326 そうだと親父は笑った 1497 01:27:28,409 --> 01:27:30,286 最低な親父だ 1498 01:27:30,370 --> 01:27:36,292 人に優しくなれと死ぬ間際に 啓示を受けたのか? 1499 01:27:36,376 --> 01:27:38,294 親父は“そうだ” 1500 01:27:38,378 --> 01:27:40,463 “この言葉を覚えとけ” 1501 01:27:40,546 --> 01:27:41,965 “分かった” 1502 01:27:54,102 --> 01:27:58,439 俺は子どものことには 感情的になる 1503 01:28:00,024 --> 01:28:01,651 後悔は常にある 1504 01:28:03,444 --> 01:28:04,612 俺は… 1505 01:28:06,155 --> 01:28:08,199 もっとマシになれた 1506 01:28:09,075 --> 01:28:12,704 もし自分のことだけ考えず 1507 01:28:12,787 --> 01:28:16,791 周りの人にもっと 寄り添っていれば 1508 01:28:16,874 --> 01:28:21,838 この年齢の時に それに気づけばよかったよ 1509 01:28:22,797 --> 01:28:25,383 彼女たちはもうこの年齢だ 1510 01:28:25,466 --> 01:28:26,759 俺は何をしてた? 1511 01:28:26,843 --> 01:28:29,929 くだらない映画を作ってて 1512 01:28:30,430 --> 01:28:32,724 子どもたちを見てなかった 1513 01:28:34,559 --> 01:28:37,603 彼女たちは 俺の喜びで悲しみだ 1514 01:28:39,314 --> 01:28:41,774 俺の心を揺さぶる 1515 01:28:46,863 --> 01:28:51,242 失いかけて その尊さに気づいた 1516 01:28:54,579 --> 01:28:56,706 子どもを愛したくても 1517 01:28:56,789 --> 01:29:01,586 今からでは時間が 圧倒的に足りないんだ 1518 01:29:01,669 --> 01:29:02,920 何てことだ 1519 01:29:03,880 --> 01:29:05,256 時間はとても… 1520 01:29:06,341 --> 01:29:07,967 無慈悲で残酷だ 1521 01:29:08,051 --> 01:29:12,263 後ろに忍び寄り 退場の時間だとささやく 1522 01:29:12,347 --> 01:29:13,765 “生まれたばかりだ” 1523 01:29:13,848 --> 01:29:15,600 いいや 違う 1524 01:29:15,683 --> 01:29:19,771 だからジャグラーに なりたいと思ってる 1525 01:29:19,854 --> 01:29:22,106 腕のいいジャグラーだ 1526 01:29:22,774 --> 01:29:25,902 家族 人生 子ども 妻を うまく回す 1527 01:29:25,985 --> 01:29:28,404 芸術も バランスよくね 1528 01:29:31,449 --> 01:29:33,618 昔の人は言った 1529 01:29:34,327 --> 01:29:38,331 子どもはいつか 自分の父親になる 1530 01:29:38,414 --> 01:29:41,000 ロッキーとランボーは 1531 01:29:41,084 --> 01:29:43,336 今は俺の父親だ 1532 01:29:43,836 --> 01:29:45,463 俺を助けてくれる 1533 01:29:46,089 --> 01:29:49,675 この2人を演じる すばらしさは― 1534 01:29:50,551 --> 01:29:53,638 人生のすべてを 網羅(もうら)してるからだ 1535 01:29:53,721 --> 01:29:55,598 権利を奪われ 1536 01:29:55,681 --> 01:29:59,060 友人まで失い孤独な男 1537 01:29:59,143 --> 01:30:02,230 一方ですべてを受け入れ― 1538 01:30:03,147 --> 01:30:06,359 人を愛し愛される男 1539 01:30:06,442 --> 01:30:08,528 どちらにも共感してる 1540 01:30:10,780 --> 01:30:13,032 俺は死の世界から― 1541 01:30:14,784 --> 01:30:17,161 家に帰ろうとした 1542 01:30:18,830 --> 01:30:21,290 ランボーは致命傷を負い 1543 01:30:21,874 --> 01:30:26,087 父親の ロッキングチェアに座る 1544 01:30:26,170 --> 01:30:29,382 そして人生の走馬灯を見る 1545 01:30:30,758 --> 01:30:34,011 これを見て俺は後悔したんだ 1546 01:30:34,929 --> 01:30:38,391 この戦士の結末は これでいいのか 1547 01:30:40,143 --> 01:30:41,477 撮影した時は 1548 01:30:41,561 --> 01:30:43,604 イスは止まってた 1549 01:30:44,272 --> 01:30:50,194 それをCGIで 少し揺れてるように加工した 1550 01:30:50,278 --> 01:30:51,863 彼はまだ生きてる 1551 01:30:51,946 --> 01:30:54,031 撮影時は死んでた 1552 01:30:54,115 --> 01:30:58,870 俺が信じてるのは 俺たちの目の前では― 1553 01:30:59,745 --> 01:31:02,790 ヒーローは 死なないということ 1554 01:31:02,874 --> 01:31:08,463 彼らはいつまでも 神秘的な存在であり続ける 1555 01:31:10,256 --> 01:31:14,469 ランボーは一度も 帰る家を持たなかった 1556 01:31:15,303 --> 01:31:17,388 それが彼の悲劇だ 1557 01:31:21,767 --> 01:31:23,394 家もなく 1558 01:31:23,936 --> 01:31:28,774 家族から愛される 喜びも知らない人生 1559 01:31:31,152 --> 01:31:32,195 これは何だ? 1560 01:31:33,237 --> 01:31:35,907 これらはただの画像で 1561 01:31:36,657 --> 01:31:41,412 フィルムに撮影された 存在しない幻想だ 1562 01:31:42,246 --> 01:31:43,915 現実ではない 1563 01:31:45,249 --> 01:31:46,709 芸術作品だ 1564 01:31:47,335 --> 01:31:50,254 これは想像力の産物だ 1565 01:31:51,547 --> 01:31:52,882 これが現実だ 1566 01:31:53,966 --> 01:31:57,803 生きて存在し 血を流し死んでいく 1567 01:31:57,887 --> 01:31:59,847 だから大切にするんだ 1568 01:32:14,195 --> 01:32:15,947 だが導く者がいる 1569 01:32:16,030 --> 01:32:19,534 そうでないと 人生を傷つけられ 1570 01:32:19,617 --> 01:32:21,118 空洞が生まれる 1571 01:32:22,453 --> 01:32:24,705 それは一生埋まらない 1572 01:32:29,544 --> 01:32:34,215 だから俺は想像力で ふたをするんだ 1573 01:32:36,842 --> 01:32:39,804 俺は希望を見せたい 1574 01:32:40,680 --> 01:32:44,141 希望を売るのが俺の仕事だ 1575 01:32:44,225 --> 01:32:46,769 悲しい結末はごめんだ 1576 01:32:47,979 --> 01:32:49,105 悪いね 1577 01:34:55,314 --> 01:35:00,444 日本語字幕:岩瀬 亜沙子